1999年、naoto-ok的COMIC



 '99年は個人的ニュースは、今まで購読していた「週刊モーニング」を買うのを辞めたということ。収入が減ったのが一番の理由なんだけど、大好きだった「ヨリが跳ぶ」の連載が終了した事と、他の連載にオリジナルのものが少なくなってしまった事もかなり影響している。確かにリバイバル・ブームってあるけど、いまさらってものがある事も事実なんだよなぁ。
 オリジナルが出てこないといえば、尊敬する江口寿史氏。単行本「江口寿史の犬の日記、くさいはなし、その他の短編」は過去に単行本化されていなかった短編をまとめたものだったし、しまいにはスケッチや下絵まで画集化してしまうし・・・。それでもファンは買ってしまうんだけどね。現在「週刊アクション」連載中の作品も週に1ページなので、オリジナルの単行本は今世紀中には拝めないのかも・・・。
 そういえば、細野不二彦の「太郎」が完結した。スポーツものなのに社会性が反映されていて、スポーツ馬鹿だけでは生きていけないという現実が、マンガの世界にも迫っているのだと実感してしまった。
 「MONSTER」「月下の棋士」「ギャラリーフェイク」・・・、好きな作品を数えたらきりがないのだけれど、'99年に特に読み更けた作品を以下に紹介します。
 順番は不同であって、BESTな順番ではありません。



同じ月を見ている  土田世紀 

 人はどこまで己を押し殺してまでも、他人を守ることができるのだろうか。ぼくは自分自身をドンちゃんのような人間でありたいと思っているのだけれど、冷静に自己分析するとテっちゃんなんだろうな。嫉妬心強いし。エミとドンちゃんの再会を切に望んでいるのだけれど、どうなるんだろうか・・・。


カラーメイル  藤原カムイ

 なによりもカラーを逆手に取った発想に、読み進めるごとに驚かされてしまった。コンピュータグラフィックの進歩とオールカラー単行本の普及がなせる技とでも言うべきか。短編としてまとまっているところにも作者の手腕が見えてます。


寺田克也全部  寺田克也

 COMICというか、画集と言った方が良いのかもしれないけれど、なにせ寺田克也の画力には唸らされるばかり。'98年の「西遊奇伝 大猿王」もポテンシャルの高い作品だし。上記「カラーメイル」もそうなんだけど、カラーの魅力が購入の際の高価というハードルを越える時代が来たのだなぁ。


YASHA−夜叉−  吉田秋生

 吉田秋生に熱中するのは「BANANA FISH」以来。遺伝子操作といういまどきの改造(?)により創造されたSUPERな主人公と、昔ながらの対立軸に位置する双子の弟。よく考えるとベタな設定なんだけど、決して大げさではない限りなく現実に近い世界観が、ぼくをとりこにしているのだろうか。少女マンガが男世界を描くときの必須アイテム・同性愛にはひいてしまうんだけど。

ドラゴンヘッド  望月峯太郎

 ついに「ドラゴンヘッド」も次巻で完結してしまうとか。あの広大な世界をあと1冊でまとめきることができるのかと、ちょっぴり心配しているんだけれど・・・。人は充足を味わうと、痛みを求めてしまうというくだり、映画「ファイトクラブ」でも言ってたよなぁ。ぼくには恐ろしすぎて理解しかねる心理だけれど、実際にはありなんだろうなぁ。天変地異の原因、人々の行方、竜頭の秘密・・・。いったいどういう結末なんだろうか。


バガボンド  井上雄彦

 宮本武蔵の世界、史実・武士道に偏ることなく、人間っぽいところが主体なので楽しく読める。決闘(立会い?)のシーンの迫力も夢中になってしまう要因だなぁ。バスケットと斬り合いとジャンルは違えど、間と重心を上手く利用したスピード感。続きが楽しみな作品です。


王道の狗  安彦良和

 中世ヨーロッパと近代日本は安彦良和のテーマなんだろうなぁ。日本が自ら目をつぶってしまいがちな近代日本。学校授業でも3学期に入り、割愛されがちな近代日本。そんな近いわりに疎い時代を舞台に、史実を踏まえながらのフィクション。このてのジャンル、好きなのだ、ぼく。接点がなさそうな日中の大物の間を登場人物が埋めていったり。そして迎える歴史上のヤマ場で、登場人物達はどのように現実と向き合うのだろうか。


エスニック
artな戯れ言COMIC


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