「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観る
('00.12.29)

 年末の泣き納めとばかりに、話題の感動巨編「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観た。TVスポットでも泣きを売りにしているし、心洗われる気持ちで新世紀を迎えようかと。
 ちょっと話がそれるのだが、戯れ言を書くとき、他人はどう思ったかなど気にしないで、自分の気持ちに忠実に言葉を並べている。故に感想記などには他人との差がまざまざとでてたりして、結構ご指摘を受けたりもする。
 何故こんなことを書いたかというと、おそらく今回の感想は他人とは異なったものになりそうな気がするから。
 率直に書くと、一部の感情にストレートに伝わる映画だったのではないか。かみ砕くと、その感情を持ち合わせていない人にはどうして?の疑問符ばかりが浮かんでくる。対象者を限定した感動巨編という印象を受けた。もちろんぼくはその感情が欠如している部類の人間なわけで、残ったのは後味の悪さかな。
 はっきり書くと、母性本能を持ち合わせていない男が見るとつらいのでは。場内も女性はハンカチで目を押さえていたけど、男性は一様になに?ってリアクションしてたし。ましてやぼくは三十路独り身子供なし。家庭願望もないからなぁ。
 主人公セルマが選択した結末が本当に正しいか、ぼくには理解しかねる。あの境遇に会わないと多くは語れないかもしれないけれど、友情に対する考えかたもわからない。今あるもの、この先続くものを考えるなら、子供のためにもあんな選択はぼくは絶対にしない。残念ながら共感はできなかった。
 あと、2時間半がつらかった。それはセルマの視線や視界を意識するため、現実の世界をハンディカメラで撮影し、彼女の空想(ミュージカル部)を固定カメラで撮影するという手法が取られているため。彼女の現実が不安定なもので、空想だけが鮮明な世界という演出の意図は理解できるのだが、ハンディカメラの映像はBWPと同様ぶれたり揺れたりするので、車酔いのような不快感に陥る。特に前半はカット割りもぶつ切りなので、STORYよりも映像的に早く外に出たいと思ってしまった。
 年末になんともいえぬ映画を観てしまった。
 観に行かれる方、体調を整えて行かれることをおすすめします。

エスニック
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