「私が愛したギャングスター」を観る
('00.12.28)

 オスカー男優ケビン・スペイシーが大泥棒を演じる「私が愛したギャングスター」を観た。
 傑作。ぜひ観て下さいと声を大きくしていいたい作品です。
 アイルランドに実在した大泥棒をモデルにしたこの映画、全編に溢れるユーモアと話の展開がまさにコミックのような出来栄え。こんな泥棒が実在したなんて・・・まぁ、脚色もあるだろうけど。誰もがルパン3世を連想すると思うんだけど、その原作者モンキー・パンチをしてルパンと不二子の結婚生活を描こうと思ったが、まさにこの映画だったと言わしめたほど。
 主人公マイケル・リンチの頭の良さと警察を手玉に取るやり口は痛快そのもの。それでいて冷酷な一面も持ち合わせて、泥棒一味のリーダーとして君臨する。それだけでもかなり羨望の眼差しを向けてしまうというのに、美人姉妹を妻にしているのだから。正確には妻の妹とも関係を持ち、家庭を二つ持っているのだが、どちらの家庭とも仲が良く、互いに協力しあっているのだ。なんとも羨ましい。
 物語はリンチ一味と警察の攻防にIRAが加わりスリリングなのだが、派手なドンパチやアクションはなく、そのスリリングさをSTORYと構成でじっくり観せてくれる。登場人物一人一人の設定もしっかりしていて、ひとつひとつの歯車としてかみあってSTORYを回している。それがなんともお洒落であり、各人をうまく引き出しており。
 リンチのウィットに富んだ部分が彼を最大のピンチへと導いてしまうけど・・・この先はご自分でお確かめあれ。
 IRAについてはマスター・キートンで予備知識をつけておけば、楽しさ倍増かも。
 とにかく愉快で楽しいこの映画、見逃すには惜しいなんてもんじゃありません。ぜひご覧あれ!


エスニック
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