日々の戯れ言

エスニック
『日々是精進哉』へ


「CATS」を観る(15.12.29)

「ネコの祭典を覗き見しまして」
 
 最近知ったんだけど、うちの会社の本社や他支社には、ぼくと同じように舞台好きが数人いるようで。先日、その中でも劇団四季好きが揃った飲み会があり、かなり盛り上がったんだけど、ぼくが『CATS』をまだ観ていないと言うと、ランキング最下位に急降下。札幌でのロングラン公演も来春3月までなので、混みあう前にぜひ観ておかねばと。
 さすがに世の中冬休み。小さいお子様からお歳を召された方まで、劇場は満席で。何より側面のガラクタを模した装飾と舞台からハミ出んばかりのセットに圧倒される。おいおい、そんなごちゃごちゃした中で踊り歌うの?なんて心配をよそに、セットが回転してスタート。次から次へと這い出てくるネコたちに、視線を泳がせながら観入ってしまう。
 ぼくの勝手な印象だけど、『CATS』は天上に向う一匹を決めるコーラスラインかなと。猫たちにはそれぞれに物語があり、歌と踊りで紹介されていく。一幕終了の時点では正直「...」だったけど、気づけばあとは楽しむだけ。なにせひとつひとつの歌と踊りはとても楽しいんだから。
 いつものことなんだけど、やはり横文字(カタカナ)の名前は覚えられない。とくにメロディに乗せられると、そもそも聞き取れない。ぼくでもそうなんだから、お子様なんてもっとそうなんじゃないかと心配してしまう。でも、猫一匹一匹があまりにも個性的で、視覚的に受け入れられる。これってスマホや家電で用いられているグローバルデザインと同じこと?うまくできてるわ。猫の顔のフェイスパックもグッズとして売られてたし。買っちゃったし。
 ぼくの周りにはさほど英語が堪能でないのに、本場で観た人が数人いたけど、ストーリーに重きを置いてないので、わかりやすい。ぼくでもバッチリ楽しめた。しかもすっごく。
 これで四季好きに一歩近づけたかな?



「完全なるチェックメイト」を観る(15.12.26)

「病むまで賭けれるなにかがぼくにはないので、病む人の気持ちはわからない」
 チェスの世界で絶対王者であり続けたロシア勢に黒星を付けたアメリカ人。世界が震えた<神の一手>に辿り着くまでの物語。
 必ずしも恵まれた家庭環境ではなかった幼少時のボビー。寂しさをいやすため、彼が没頭したのはチェスだった。そしてひたすら高みを目指し、打倒・絶対王者を志す。
 なんとも奥深い世界。東西冷戦で両者手足が出せない中、唯一武力の代わりになりうる存在だった頭脳戦。チェスのルールを知らないので、ついていけるか心配だったけど、そこは全然大丈夫。手に汗握る神経戦が始まる。
 世界最高峰の頭脳の激突だもん、そりゃ大変だわ。凡人にはわからない。ゆえにボビーの行動はぼくにはさっぱりわからない。だからこそ生まれた最高の一手。天才のみにしかわからない、凡人の立ち入ることのできない世界なんだな。ぼくがわかるとすれば、二人の対戦に熱狂する一般市民の気持ちくらいかな。まるで秋のラグビーフィーバーみたいに。
 ということで、面白くもあるけど、わかりづらくもある、凡人にはちとつらい映画だったかな。


「ハッピーエンドの選び方」を観る(15.12.25)

「旅の終わりがハッピーエンドならいいのに、キミの顔色窺いながら Oh... ♪」
 末期のがんで闘病に疲れ果てた親友とその妻の懇願により、安楽死装置を開発ヨヘスケル。無事願いをかなえてあげることができたはいいが、なぜかうわさが広まって、安楽死を依頼する重篤患者が次々と。ヨヘスケルの妻レバーナは尊厳死ではなく殺人だと断罪する。依頼に応えるべきか、妻の意見に従うべきか。
 正直、コメディだと思っていた。安楽死装置に振り回される老人たちを滑稽に描いた作品じゃないかって。だって、このチラシの空の色。澄み切ってるじゃない。でも、”老い”と”死生観”について真摯に描いた重厚な作品だった。
 延命治療、認知症。自分の意思はどこまで反映されるのか。自分らしくあることはどこまで可能なのか。人は本当にハッピーエンドを迎えることができるのか。
 ぼくにはまだ実感がわかないのが正直なところなんだけど、死ってやっぱりつらく哀しいことで、安らかに死ぬなんて今の世の中できないんじゃないかな。なにをもってハッピーエンドとするか。もしかしたらそれは本人ではなく、残された者が決めることなのかもしれない。自分のこともあるけれど、残された者に少しでもいい思い出を持ち続けてもらいたいって。
 すごくシリアスながらも、時折ユーモアが挿入されて、無理なく死について意識することができた。これ、難しい問題だけど、避けては通れない問題だよね。
 イスラエル映画の真摯さを感じることができた。


「007 スペクター」を観る(15.12.23)

「ダニエル・クレイグ=ボンドの集大成。でもチンクのお尻はつつかないで」
 いま気がついた。007ジェームズ・ボンドは『水戸黄門』ではなく、『スケバン刑事』だったのね。何人もの俳優が同一人物を演じるのではなく、007ジェームズ・ボンドという屋号を受け継いでいくみたいな。だからダニエル・クレイグ=ボンドは衰えを描くし、出生の秘密にも踏み込んでいる。東西冷戦時代から世の中が大きく変わってきているのだから、必然ではあるんだけど。
 いやぁ、クールだよなぁ。最初はMI6じゃなく、KGBにしか見えなかったダニエル・クレイグ=ボンドも、慣れなのかな。もうMI6の凄腕エージェントにしか見えないもん。ユーモア感にちょっとかけるけど。
 でも、今回は濃密だったなぁ、ストーリーも、アクションも。前作『スカイフォール』の展開を引き継ぎ、壊滅寸前のMI6の最後の砦として、自らの過去と対峙しながら闘うジェームズ・ボンドがたっぷりと。粋な口説き文句はないけど、その男らしさでボンドガールもメロメロさ。
 なんともかっこよかったとしか言葉が出てこない。これまでのイメージを覆したジェームズ・ボンド。それもまた時代の流れということか。次の人選、難しいだろうなぁ。いっそ、往年のユーモア路線に戻すってのはどうかな?
 見応えたっぷりの007。ダニエル・クレイグ=ボンドの見納めには最高の作品です。
 個人的にはQのスピンオフが見てみたい気分。誰か作って。


「スター・ウォーズ フォースの覚醒[2D]」を観る(15.12.20)

「レイア姫の『 We Can Do It ! 』、本編のセリフじゃないけど、それもリスペクト?」
 公開初日から3日間限定で2D版を観た人だけが購入できる鑑賞日入りパンフレットがあるというので、一昨日[IMAX3D]版を観たばかりだけど2D版を観てきたのだ。
 そうそう、今日はストームトルーパーが会場に来ていたので、仲良くパシャリ。こいつが後にフィンになる?
 とはいえまだ公開3日目。やっぱり何か書こうとするとネタバレになっちゃうよね。ちょこまかあやうい言葉が織り交ぜられているかもしれないので、読まれるときはご注意を。
 さして間を開けずに観たというのに、新鮮であり、とても面白い。のっけから涙が出そうになり、ミレニアム・ファルコンに狂喜乱舞し、ハン・ソロ登場でノックダウン。でも、これはまだまだ前半の出来事。しかも、レジスタントのNo.1パイロット・ポーとストームトルーパー離脱兵・フィンの脱走劇や、レイとフィンの出会いと逃走などなど、盛りだくさんなのだ。それだけで1本観たような気分。でも、当然ながらそれだけじゃない。めくるめく怒涛の展開が、これでもかって押し寄せてくる。
 と、今回はここまでの記載ということで。これくらいなら許されるよね、きっと。もちろんもっと書きたいことはいっぱいあるんだけどさ。次はいつ観に行こうかな…。どこまで書けるかな…。
 2時間15分がとてつもなく長いような、あっという間の瞬間のような。濃密で、濃密で、時の流れを忘れさせてくれる2時間15分。最高です。
 
左が通常版パンフ、右が限定版パンフ


「スター・ウォーズ フォースの覚醒[IMAX3D]」を観る(15.12.18)

「『 I know 』はぼくらの合言葉」
  ついに来ました、12月18日。10年待った12月18日。SWサーガの新章突入、記念すべき公開日。朝の情報番組もYahoo!のニュースもスター・ウォーズでいっぱいなのさ。もちろんぼくの頭の中だって。
 何度予告編を観て胸ときめかせたことか。シリーズ6作はDVDで復習したし。連日の飲み会も昨夜はー軒でやめて、体調だって万全さ。
 ここでぼくの計画を。初日の今日はTMAX3Dで純粋に映像と音に浸りながら、初見を楽しむ。次に2D版でストーリーをじっくり味わって、最後に4DX3Dで無邪気に楽しむ。計画は完璧さ。ただ、3回で満足するかどうかが心配で。
 なんで前置きが長いかって?そりゃなに書いたってネタバレになりそうじゃん、公開初日なんだから。でも書いちゃうよ。怒られない程度で。
 もうね、ルーカスに替わってメガホンをとったJ・J・エイブラムスのSW愛に感激。そこここにリスペクトが伝わってきて、正直涙が出てきちゃった。でも、そのリスペクトがファン目線じゃなくて最高のクリエーターであるところが、本作を最高に面白くしている。楽しくてたまらないんだよね。
 映像もすごかった。これは IMAX3D だからなおさらすごかったんだと思うけど、もう圧倒されまくり。20日に2D版を観に行くんだけど、どうなんだろうか。とにかく IMAX3D がおすすめ。ちょっと高いけど、比較的チケットとりやすいし、お値段以上の感動を得られると思うよ。
 映画の冒頭に20世紀フォックス社のファンファーレが聴けないのがちょっと寂しかったけど、エンドロールの録音スタジオにその名が見れてうれしかった。
 そうそう、ダース・ベイダーとカイロ・レンのコスプレしてた人、いたよ。
 とにもかくにも、すっげー面白かった。新3部作、期待Maxだよ。
 


「死刑執行中脱獄進行中」を観る(15.12.15)

「不協和音に蠢く変幻自在のローソン地、概念すべて木っ端微塵」
 原作である荒木飛呂彦の短編を読んだわけではないんだけど、マンガが原作なんだから主人公がいかに脱獄するかを面白おかしく見せてくれるんだろうなぁ…なんて安易に思ってた。だから、バンドの重低音と不協和音が鳴り響き、幕が上がって森山未來が第一声を発しても、、その異様さには気がつかなかった。でも、徐々に異様さが会場内に蔓延し、いつしか押し寄せてくるローソン地に呑みこまれてしまう。なんじゃこりゃ。
 さしたる説明もなにもない。でも、怒涛のように押し寄せ、際限なく絡みつくローソン地こそが、主人公に課された死刑執行なんだろう。あがけばあがくほど、逃れようとすれば逃れようとするほど、押し寄せ続けるローソン地。もうこれはサイコホラーそのものなんだ。
 なにが凄いって、布とフレームと音以外、すべてが肉体。絶えず動き続け、ひるまなく仕掛け続ける肉体の世界。どうしたらこんな演出が考えられるのか。どうしたらこんな動きができるのか。ただただ驚きの一言。ぼくの持つイメージがいかに陳腐だったかを、徹底的に思い知らされてしまった。
 ダンス畑から役者の道に進んだ森山未來。彼が表現したかった世界って、これのことだったのか。つくづく感動。
 ローソン地から解放されたとき、彼は本当の意味で解き放たれることができたのだろうか。
 すごい舞台でした。


「海賊じいちゃんの贈りもの」を観る(15.12.12)

「雨降って地固まる。じいちゃん燃えて・・・」
 この映画が札幌では1日1回2週間限定計14回だけの上映だなんて…。こんなに面白く、こんなに幸せな気分になれる素敵な映画なのに。
 まじめで嘘が嫌いなロッティ、奔放で北欧神話の神・オーディンを敬愛するミッキー、石が友だちで不機嫌になると倒れるまで息を止めるジェスの三姉弟。75歳になるじいちゃんの誕生パーティ出席のため、ロンドンからスコットランドへ。仲が冷え切り、離婚調停をしている両親とともに。
 じいちゃんと共に暮らす家族もそれぞれ問題を抱え、死期を自覚するじいちゃんが休まるのは孫といる時だけ。そんなじいちゃんが話す理想の最期を知った三姉弟は…。
 大きなテーマがあり、そこに至る伏線が張られていて、一つ一つに微笑ましさがついてくる。観ててすごくほんわかする。他人の不幸は蜜の味って言うけど、大げさすぎず、ドロドロもせず、あと味を悪くしないで描くところ、すごく勘どころがおさえられていて。映画ってやっぱり観終った時に幸せな気分になりたいって思うぼくとしては、ほんとツボ。
 家族的なことも書こうと思ったんだけど、独身で子供のいないぼくには計り知れないので、控えさせていただきます。
 もうさ、これ観てよってとにかく勧めたくなる映画。でも、札幌では18日までなんだよなぁ。なんでだろう?


東京スカパラダイスオーケストラ ニューシングル「嘘をつく唇」発売記念!
「Live at Budokan 〜The Last〜」スペシャル上映会&トークショーを観る(15.12.8)

「アラ50男たちの熱を感じろ!」
 スカパラのNewシングル『嘘をつく唇』がすごく耳に残っている。スカのリズムにかっちょいいホーン。そこにのるちょっとたどたどしい片平里菜のボーカル。これが絶妙で、オトナに一歩近づいた少女って感じで危なっかしさを醸し出している。そのシングルの発売を記念し、全国8箇所の映画館で今年開催された武道館ライブ『the Last』を鑑賞し、メンバーのトークを聞くというイベントに参加したのだ。
「スカパラ解散っぽいですよ。ベストアルバムとライブのタイトルがラストですから」
 去年の今頃、友人がそう言ってきた。マジかよ。バンマスの脱退やメンバーの死など、多くの困難を乗り越えてきたスカパラが、ここまできて解散なんて…。結局ガセでホッとしたんだけど、そんな意味深なタイトルがついたライブ。4時間越えを2時間に編集して、いいとこどりでドドーンと。
 前から2列目通路沿い。大スクリーン劇場のそんな前で映画も観たことないのに、いきなりライブ映像だなんて。でも、その大迫力がくせになりそう。映画だと画角のスミズミまで観たいって思うけど、ライブだと舞台のすべてを俯瞰して観ようなんて思わず、独自目線で観てるから、おんなじ感覚で楽しめばいいんだよね。
 ライブの細かいこと書くのは割愛するけど、総勢21人のセッションは圧巻。『Merry X'mas Show』のロッケストラを思い出しちゃった。個人的には亀田誠治を迎えた『The Look of Love』がかっちょえかった。あと、亀田誠治と川上つよしがフェンダーの同じベースを弾いてるのがニンマリ。
 終演後は道産子・GAMOUが登場してのトーク。「つぶやかないでね」のお約束ゆえ、なにを話したかは内緒なのさ〜♪
 またスカパラのライブ観たくなったよ。


「全力スマッシュ」を観る(15.12.6)

「下町ロケット演出の原点、ここにあり」
 『少林サッカー』の流れを汲む?、香港映画のスポ根作品最新作は、中国が国際大会でも力を発揮するバドミントンだ。元中国チャンプも試合中の暴力等が原因で追放された女性カウサウ。彼女が羽根型UFOに追われたどり着いたのは、元銃撃強盗団が集うバドミントンクラブだった。バドミントンで更生を認めてもらおうともがく3人組+謎の師匠との交流が、彼女のバドミントン熱に再び火を付け、TV局主催のオープントーナメント優勝へ向け走り出す。
 言ってしまえばならず者集団。彼らに対する世間の偏見はすさまじく、容赦ない言葉が投げつけられる。それに耐え、実力で世間に認めてもらおうと努力する様は、「中小企業」「町工場」と蔑まれながらも技術を磨き勝負する佃製作所そのものではないか。香港映画の大げさな差別的扱いこそが、下町ロケット演出の原点だったのか。梶原ー騎的容素といい、荒んだ世界での差別といい、平成の時代に昭和30~40年代が流行るとは。時代は巡るということなのか。
 面白かったよ。特に師匠覚醒のところが。伝説の男はこうでなくっちゃ。でも、映像がリアルで笑えない(見るに耐えない)シーンもさ。『あしたのジョー2』ではキラキラ輝やいて表現してたのに。日本で言うお子様の笑いのツボがウンチに対し、香港はリバースなのかな?
そんなこんなで好みが分れる映画です。食後すぐの鑑賞はやめといた方がいいよ。食べながらの鑑賞も。


「黄金のアデーレ 名画の帰還」を観る(15.12.5)

「音楽の都・ウィーンの陰と、前へ進むための勇気」
 第二次世界大戦でナチスの軍門に下ったオーストリア。国をあげてのユダヤ人迫害の末、数多の金品財宝が略奪された。それらの一部はオーストリアの所有物とされたとか。本作は国策変更により国を追われ、家族を失い、多くを奪われた女性が、オーストリア政府から愛する伯母の肖像画を取り戻す、実話に基づく話である。
 現代(設定は1990年代後半だが)におけるマリアとオーストリアの攻防が主軸なのだが、第二次世界大戦前後のマリアとその家族の物語が第二軸として描かれている。栄華からの転落と辛酸。これまでウィーンの華やかな部分しか見る機会がなかったぼくとしては、改めて歴史を認識する機会であり、マリアの想いを強く感じられる構成だった。ただの法廷闘争劇だったら、こんなには心の奥に響かなかっただろう。
 1億ドルの名画。国にとっては国宝というべきものであろう。入手の経緯はどうあれ、手離したくない気持ちはわかる。でも、どんなものにだって作り手の想い、依頼主や所有者の想いが込められているんだから、それを無視はできない。伯母の遺言がカギのひとつになるが、「死んだ伯母だってこんな国(家族を迫害するような国)に自分の肖像画を託そうとは思わなかったはず」の言葉はとても重く、国のあり方を諭していた。その言葉を支持した方々の勇気にも拍手したいところ。もちろんこの映画に協力した(であろう)オーストリア政府にも。
 大きな戦争から70年ほど経った今でも、日本を含め各国で様々な問題が残っている。全ての円満解決は無理と言わざるをえない現状、これ以上新たな問題が生じないよう、各国が歩調を合わすことができればいいのに。
 今作の続編『審問会の逆襲』なんてのが作られないように。


「バクマン。」を観る(15.12.2)

「マンガの持つ魅力と可能性を大画面で 目撃せよ!」
 なんだ、この画は。少年ジャンプで連載を目指すマンガ家の卵たちを描いた『バクマン。』。その実写映画だというのに、原作マンガやアニメ版よりもマンガ感があり、生き生きとしている。鉛筆の擦れる音、Gペンが紙を引っ掻く音が旋律となり、ーコマーコマが生み出されいく。コマはやがて物語となり、読者の目に触れることでマンガとして命を授かる。その過程が躍動感たっぷりに迫ってくる。
 発行部数において日本のマンガ雑誌、いや全ての週刊誌の頂点に立つ少年ジャンプ。アンケートの人気で連載の継続が決まる人気至上主義。直接ぶつかり合うことができない世界だけに、本人たちの能力がすべての世界。なんともたとえようがなく、目には見えないバトルなんだけど、マンガ家たちの切磋琢磨が見事に映像として表現されている。凄いの一言。
 原作読んでたけど、一部の変更などまるで気にならない。登場人物を絞ることで一人一人のキャラもすごく立っている。だから、最高と秋人、登場人物彼らがこの映像の中でどこまで成長していくのかを観たくなる。新妻エイジとの切磋琢磨、小豆との恋の行方、仲間たちとの友情。まだまだネタはいっぱいあるんだもん。
 そして最後にどうしても書いておきたいのがエンドロール。この作品、そしてマンガ愛に満ち溢れたエンドロールは、観てるだけで涙が浮かんできちゃう。大根仁監督とスタッフたちの愛を感じて欲しい。




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