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初 日


磐越地方、大雨被害続出!
 関東地方では12日に梅雨明けが宣言されたというのに、新潟・福島を含む磐越地方では梅雨前線は衰えることなく停滞し続け、各地に大きな被害をもたらしていた。
 週の初めの予報では、海の日を含む3連休はいずれも晴れで、「海の日キャンプ、今年は晴れるよね」と期待と安堵でいっぱいだったが、日が進むにつれ予報の晴れマークは雨傘に変わり、キャンプ前日には遂に3日とも傘マークに。
 大雨が降ると、ぼく・小山隊長・うり坊はいつ発動されるかわからない緊急呼び出しに恐れおののいてしまう。大雨によるがけ崩れや地すべりといった土砂災害が発生すると、その調査・対応のために呼び出され、缶詰になることがしばしばあるからだ。しかし今回の大雨は河川堤防への被害が大きく、土砂災害はあるのだろうけどそれほど大きな被害は与えていないようで、なんとか呼び出されずに済みそうか・・・。
 キャンプ前日の夕方、うり坊から電話がくる。
「なんか大雨みたいだけど、とりあえず予定通り待合わせでいいんだよね」
 うり坊は東北支社勤務なので、キャンプ地周辺(裏磐梯)で土砂災害が発生したら呼び出しをくらう可能性が大きいのだが・・・
「もし呼び出しくらっても小山隊長と岡本さんもいるし。こんだけプロが揃っていたら、なにがあっても大丈夫でしょ。だから作業服と長靴とヘルメット忘れないでね。半ズボン禁止だよ」
 キャンプに半ズボンをはけないのは納得が行かないので、調査道具は荷物からハズすことにする。
 つぎに小山隊長から電話。
「7:30にうちに迎えに来てね。とりあえず行くだけ行って、雨降ってたらむこうで適当に考えましょう。おかもっちゃん、フネ積んでくるの?」
「去年は出張ばっかで一回も乗ってないんで、当然積んで行きますよ。床上浸水してるところで漕いで、視察しておかなくちゃ」
「ハハハ・・・。そんなことしたら石投げつけられるよ」
 夜になるとSAYUKIからメール。
くや探のみなさまこんばんは。
今日から福島に来ています。
こちらの天気は、雨が降ったり青空が見えたりでなんだかパッとしません。
大雨の峠は越えたそうなのですが、郡山市内ではときおり強い雨が降っています。
安達良山は霞んで見えません。
予想外の蒸し暑さです。
明日は午後から晴れの予報です。
良い天気に恵まれますようお祈りしましょう。
ではまた明日。

 なんだろうか、くや探には「大雨だからやめようよ」っていう意見はないようである。ただのお遊びチームが8年の歳月を経て、ワイルドなお遊びチームに変貌したみたい。これも一昨年のハプニングを笑って乗り切った経験からくるものか?
 そういえば金沢から今年こそは参戦すると意気込んでいたYasからもメールがきていた。
海の日キャンプ・・・2年続けてダメそうです。
明日・明後日はお仕事してます!
月曜日は何とか休めそうですけど・・・もう,どうにかしてくれ!
8月いっぱいは,身動き取れない状態です・・・トホホ。
新潟福島方面は,雨もひどそうです。
くれぐれも,無理をなさらないよう,お気をつけ下さい。
では。

 来年は一緒に遊べるようになればいいけどね。

関東地方は晴れてるが・・・
 6:00AM過ぎ、とりあえず小山隊長の家を目指して船橋を出発。湾岸高速は軽快に走ることができたものの、途中から事故・事故・事故の3連発!約束の7:30AMはとても間に合いそうになく、たどり着いたら8:30AM。
「いつも待合わせより早く到着しているぼくらが、今回は遅刻しちゃいそうだね」
「うり坊は仙台からだから遅れそうにないし、SAYUKI&Kibunは福島の実家に前日入りしてるんでしょ。11郎は明日合流って言ってたし、Yasは来れそうもないし・・・。ENOがいればあいつが遅刻大魔王なんだけどね」
 残念ながらENOはもういないので、どうにもこうにも今回の遅刻大魔王はぼくたちになりそう。事故3連発はいたしかたないのだが・・・。
「そういえばみーめんから参加表明あった?」
 いつもならレスポンスの早い奴隷2号ことみーめんが、今回に限ってなにも言ってこない。忙しいとは聞いていたけど、3連休は休めそうだと言ってたのに・・・。
「まぁ、連絡がないってことは幸せだって言うことだよ、きっと。おかもっちゃん、また先を越されるんじゃないの?」
「あいつに限っては大丈夫だと思うんだけどなぁ・・・」
 東北道郡山で磐越道に分岐してから、それまで燦々と輝いていた太陽は姿を隠し、どんよりとした雲が空一面を覆ってきた。依然として大雨警報発令中だが、雨はまだ降ってはいない。待合せの駐車場に3分遅れで到着すると、SAYUKI・Kibun・うり坊は当然の如く待ち受けていたのだった。
「なんだ、思ったほど遅れなかったじゃない」
 確かに3分はたいした遅れではないものの、時間に厳格な小山隊長とぼくはちょっぴり無念なのだった。

そりゃまぁ、降るわな
 いつもの如くみんなでお買い物。勝手知ったる行きつけのスーパーで、買い物カゴを埋めていく。
「この頃みんなカレー食べてないでしょ?だから今日はカレーにしようよ」
 Kibunの発言で今晩はカレーに決定。
「朝食のパンと明日の昼の焼きそばもカゴに入れるね」
 手際よく食材をカゴに入れるKibun。なんだか今回のキャンプ食事系はKibunがリードしている。
「で、明日の晩メシは・・・」
「私が炊き込みご飯作りますから」
 Kibunの流れを断ち切ったのはくや探のご飯炊き担当、ピチピチ音確認のプロ・小山隊長だった。その手にはレトルトコーナーで選びに選び抜いた『十目ご飯』が。
「じゃあ、付け合せに汁物を適当に作ろうか・・・」
 他に焼き物系や卵など盛りだくさんの食材をカゴに入れ、お酒コーナーへ。
「酒はみんな持ち寄ってるから、ビールだけでいいよね」
 当然の如くエビスをカゴに入れるぼくとうり坊。
「だめだよ、おかもっちゃん。ツーファーが多いんだから、プリン体カットのビールにしなくっちゃ」
 Kibunの配慮はありがたいのだが、今回はどうしてもエビスじゃなきゃダメなのだ。エビスをこよなく愛したENOに捧げなきゃならないんだから。
 買い物を終えて荷物をそれぞれの車に分配すると、作業終了を見越したかのように大粒の雨がザザザザザーッ。まっ、大雨警報発令中だからね。

曽原湖キャンプ場は・・・
 大粒の雨の中、ワゴンRを先頭にプジョー、レガシーが隊列をなして走っていく。そして目的地・曽原湖キャンプ場の受付前駐車場に到着したところで、一層激しい雨が・・・。決してアイコンタクトをとったわけではないのに、誰一人車から降りようとしない。見事なチームワーク。
 雨が少し落ち着いたところで、受付をすべく車を降りる面々。キャンプサイトはここ数日降り続いた雨のせいでグショグショとのこと。雨も当分やみそうにないし、テントを張るのは困難と判断。寝泊りは五角形のバンガローを借り、炊事・食事・団欒はタープを張って雨をしのぐことにする。

謎の五角形バンガロー

車2台とバンガロー2棟を駆使したタープ
 それにしてもこのバンガローは謎の代物。なんといってもこれで安定を保てるの?と疑いたくなる五角形。中は3畳程度で、二人が寝転がるといっぱい。左右のとんがりは無駄な空間だし、基礎はコンクリートブロックに乗ってるだけだし。バンガローの間隔もてんでバラバラ。散々悩んだ末にぼくが出したバンガローの真相は・・・。
「実はこのバンガロー、ここで立てられたものじゃなくて、工場で作ったものを運んで置いたんだよ。運んだのはトラックじゃなくて手押しで転がして。だから転がしやすいように五角形なの。で、手で押してきたからきちんと等間隔に並ばなかったんだよ」
 一同、笑い。
「もしかしたらサイコロ振って出た数だけ押せるとかって遊んでたりして」
 そんな変なバンガローの中でエビスで乾杯(献杯)し、SAYUKIの実家が提供してくれたおにぎりやらおかずを食べる。
 特製タープは予想以上に雨風をしのぐことができ、断続的に降る強い雨でも中にさえいれば濡れることはない。快適空間を確保することができたので、みんなで夕食の準備。
 ここでぼくに起きた悲劇をふたつ。まずは、このところ少しやせたからといって調子こいてベルトをつめたところ、いきなりブチっ!一息入れようとしてイスに座ったらイスが壊れてガクっ!これって実はやせていないってことなのか?

ベルトが・・・

イスが・・・

夜の部スタート

 前述の通り、本日の夕食はカレーと焼き物。材料を切り、仕込みを始める。焼き物班でもすっかり炭火管理担当となったうり坊が、慣れた手つきで火を起こす。団扇の風に煽られて、火の粉が舞う。これから続く長い夜の始まりなのだ。当然ながら仲間が集まったことを聞きつけたちらがー様も2年連続の降臨です。
 ビールを片手にカレーの調理にとりかかりる。焼き物班・Kibun&うり坊がつまみ用に食材を焼き、テーブルに載せる。焼く方も食べる方も、すっかり連携が出来上がっており、こんがり焼けたイカ・タコ・ツブ貝などの串焼きや厚揚げがビールによって胃袋に流し込まれる。
 焼き物のメインディッシュはサーロインステーキ。いかにも旨そうな肉を炭火で焼いてしまうのだ。こんな贅沢、一人暮らしではなかなか味わえない。贅沢な食事はくや探の代名詞だからね。
 旨い酒、旨いつまみをひたすら食べ続けると、酔いと同時に尿意も回ってくるというもの。みんな適当に席を立ち、雨の中をトイレまでダッシュしては戻ってくる。;いつもはあまりトイレに行かないぼくにもいよいよ尿意が回ってきた。立ち上がって雨の中を走り出す。用を済まし戻ってくると、誇らしげなVサインと強調する隊長が・・・。
「なに?なにそんなに喜んでんの?」
 わけもわからず雨の中立ちすくむぼくに隊長が一言。
「ついにおかもっちゃんに勝ったよ。トイレ耐久レースで」
「まさか?ぼくが隊長に負けるわけないでしょーが」
「いや、ホント。だって私まだ1回も行ってないよ。他のみんなももう行ったから、今日は私の一人勝ちかな?」
 なんてこったい。トイレが近くて有名な隊長に負けてしまったというのか?これまでに一度たりとも負けたことのない隊長に・・・。これはかなりの屈辱だ。
「では私は勝利を噛み締めながら排尿してくるかな」
 そうつぶやくと小山隊長は降りしきる雨に濡れるのもかまわずに、トイレまでの道のりを行進していくのだった。

カレーを見守る小山隊長&うり坊

つまみを食すKibun&SAYUKI
 そうこうしているうちにカレーも無事美味しく出来上がり、小山隊長が炊き上げたライスにかけられて食す。屋外で作ったからか、屋外で食べるからか、雨の中で作ったからか、雨の中で食べるからか・・・。そのあたたかさと味はなんとも胃袋に染み入るような素敵な感じなのだ。これだからキャンプはやめられない。
 酒を飲みながらの話は尽きることがない。グデグデで飲み続けているというのに、飽きることを知らず、強まる雨にシンクロするように勢いを増していく。政治のこと、年金のこと、金融再編のこと、北朝鮮問題のこと、大雨による被害のこと・・・。それらすべての情報を絶ちきったキャンプだもん、話す内容はひたすらお馬鹿なんだけどね。
「明日なんだけど、今日摂取したカロリーを消費するためにも少し歩かない?」
 だいぶ夜も更けて、各人いい感じにまどろみ始めた頃、小山隊長が明日の予定を切り出した。うり坊以外は運動不足&肥満という悩みを抱えるメンバーとしては、ちょっとたじろぐその提案。会津磐梯はトレッキング・ハイキングのメッカ。富士山とまではいかずとも、数年前の雄國山ハイキング並みの歩きをするというのか?これまでの苦行シリーズを闘痔を理由にパスしてきたKibunも、手術により完治した今となっては断る理由を見つけられず、ドギマギしている様子。どの程度の歩きなのか、行くのか行かないのか・・・そのすべては明朝の天気と体調により決定することにし、各人バンガローに入ったのであった。
 はたして、ぼくらは苦行をするハメになるのだろうか・・・?



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