今年もひとりで漕いできました。
自己満足の報告です




 すっかり秋になってしまったけれど、毎年恒例の奥利根湖ぶらり旅に出た。去年までとは違い、今年は船橋スタートで東京を抜けなければならないと気負って出発したのだが、6:30AM発で4時間強。なんとか無事にたどり着くことができた。出発時間がこれより遅ければ、もっと時間がかかったんだろうなぁ。
 1年ぶりの奥利根湖は秋の気配に満ちあふれていた。さすがに紅葉はまだだったけど、風や空気が秋色だった。それにしても、今年は水がいっぱいある。去年の渇水が嘘のよう。夏場にきた大きな台風が確実に山に雨を落として行ったそうだ。去年と水位を比較してみると・・・(この岩はぼくには水位の目安になっているのだ)、全然違う。
左:1999年撮影 中:2001年撮影 右:2002年撮影
 このため、去年は水際に大量に見られたタコラが今年はとても少ない。願い叶って母星からお迎えが来たか・・・って、そりゃ昨日のリターナーでしょ。悲しいかな、水没してしまったようだ。さすがにここにはアザラシは来ないから、タコラをマスコットとして売り出せばいいのに。
 早速準備をして舟を漕ぎ出す。今日は湖の西側を攻める。9月に入ってからあわただしい毎日が続いたことと寝不足のため、パドルを漕ぐ手がかなり重い。運動不足による筋力の低下も否めない。ということで、亀さん状態でのんびり航行。9月の平日ということもあり、人影まばら(というかほとんどなし)なので焦る必要もない。不思議なもので、カヌーがいっぱい出てると、負けてなるかとガシガシ漕いじゃうんだよね。そういう意味では、今日はのんびりクルージングを楽しめたかな。
 小さな入り江の浜を見つけ、上陸する。沢から流れ込む水がとてもきれいで冷たい。茣蓙を敷いて、寝転がり、せせらぎを聞きながら読書する。人がなかなか入れない場所でこれって、すごい贅沢でしょ。しかもこのまま昼寝だぞ。極楽なのだ。しかしながら今は9月。陽射しの当たっている時は暑いくらいだったのに、山の陰が伸びて陽光を遮り始めると一気に寒さが身に染みる。汗が冷えたこともあるんだろうけれど、なんだか寂しくなってしまう。
 あまりじっとしていられなくて再び漕ぎ出し、お気に入りの断層の滝を見に行く。何度来てもここはすごい。入り口に来ると、滝からの冷たい風が一直線に吹いて来る。両岸の岩肌はブレーカーで削り落としたかのように平坦となる。やっぱすげぇ。 毎回のことだけど、自然の壮大さに圧倒されるんだよなぁ、奥利根湖に来ると。
 岸に戻り、夕飯の準備。いつもながらの質素な食事。なんか煌々と光りに照らされるので、街灯があるのかと見上げたら、とても明るい月明かりだった。今日は満月か?帰ったら調べよう。→20日は満月の一夜前。十四夜でした。
 月が明るすぎた分、ちょっとかすんではいたものの、夜空に星が散らばっていたんだよなぁ。こんな絶好機に、ぼくったら星座早見表を忘れるなんて。星を語れるロマンチストへの道は未だ遠いようで。
 7:00AM前に起床し、朝食の支度を始める。地元の釣り集団は出足が早いようで、すでに3艘が湖に入ったようだ。朝食を取り、タラタラと支度をしているうちにモーター付き釣り舟とカヌーがそれぞれ一艘づつ漕ぎ出していく。
 ダム管理施設のトイレへ行くと、「矢木沢ダムの状況」と題されたクチャクチャの紙が掲示されていた。これを見て意外だったのは、あれだけ水位の少なかった昨年、降水量では7月が極端に少なかっただけで他の月は今年を上回っていた。貯水量では今年は6月に大幅に減るが、7月の雨により持ち直している。つまり、7月の降雨がダムの貯水量に大きな影響を与えていたのだ。だからどうしたといわれてしまうかもしれないけれど・・・。
 8:00AMすぎ、出発。2日目は奥利根湖の東側、利根川の源流を目指す。2日目も舟影まばらだったのでのんびり航行。いつも周囲の自然を楽しんできたつもりだったけど、どちらかというと漕ぐことにより喜びを覚えていたみたいで、のんびり漕いでいると今まで気がつかなかったことにいろいろと気がついた。一番は西側と東側で地質が違っていたこと。何故今まで気がつかなかったかと笑われてしまうだろうけれど、西側と東側を同時に楽しんだことがなかったのよ、これまでは。そう考えると山の形にも差が見られたり、タコラの生息域にも・・・。あれやこれやと面白そうなことがいっぱい眠っているではないか。ちょっと閉塞感を感じつつもあったので、この発見は新たなる奥利根湖の楽しみ方として、好奇心をそそるに十二分のものだ。ちょっと下調べから始めてみようか。
 のんびり漕ぐこと2時間強。利根川の注ぎ口に到着。写真では浜が広いように見えるかもしれないが、肌色に見えるのは流木。入り江の手前に流木がびっしりと浮いている。それをかき分け浜に上陸すると、禁止されているはずのキャンパーがいるではないか。確かに奥利根湖を満喫するには禁止されている湖畔のキャンプが手っ取り早いんだけど、何かあった場合水資源開発公団が湖への立ち入りを禁止することも考えられる。みんながいつまでも奥利根湖を楽しむためには、最低限ルールは守らなきゃ。
 浜に上陸してまた発見。流木が一つの層として堆積しているではないか。きちんと礫層との互層状も見られる。ダムの水位により静水状態と流水状態が繰り返されるがゆえの堆積構造なんだろうけど、ちょっとめずらしいよね。こんな商売(地質調査)してるからの発見と思うと、今の職は日々を楽しむひとつのアイテムになってるんだなぁ。
 利根川を行ける所まで歩いて登り、放尿。きっとこれが何億・何兆・何京倍に希釈され、浄化され、千葉にたどり着く頃には・・・。これは壮大なるロマンだなぁ。
 キャンパー2人(男女)がやたらとこっちを窺っているので、居心地が悪くなる。悪いことしているのはむこうなのに(彼らだって放尿しているだろうし)、こっちが気を使ってしまう羽目になってしまうのは、ぼくの優しさかなぁ。本当なら昼食までのんびりしている予定だったけど、再び漕ぎ出してお隣の小穂口沢へ移動する。
 こちらは焚き火跡はあるものの誰もいなく、のんびりを満喫することができた。
 昼過ぎに再びたらたらと舟を漕ぎ出して戻ったんだけど、岸を確認しながら漕いでいると発見がいっぱい。書き出したらきりがないのでまたの機会に発表するつもりだけど、奥利根湖の次なる展開に期待して欲しい。というか、自分自身楽しみなんだよなぁ。
 管理人のおじさんともすっかり仲良くなったので、今年中にでももう一度来ようか・・・。11月末までOKだというし。でも、寒くてキャンプはつらいだろうなぁ。
 もう秋なので日焼けはないかと思っていたのに、気がついたら足が真っ黒。それにしても、正面から撮影するとスクール水着みたいだなぁ。


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奥利根湖
2002.9.20・21
ひとり漕ぎ