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2002FIFAワールドカップKOREA/JAPAN

ナマ観戦記




=観戦予定=
 クロアチア×メキシコ(02.6.3:新潟スタジアム)
 イタリア×クロアチア(02.6.8:県立カシマサッカースタジアム)
 ラウンド16 A組1位デンマーク×F組2位イングランド (02.6.15:新潟スタジアム)


 クロアチア×メキシコ(02.6.3:新潟スタジアム)
 朝7:30、新宿発〜新潟スタジアム直行の高速バスに乗って、夢のW杯観戦へ。バスの中はみんな朝が早かったためか、いたって静か。みんなこれから目の当たりにする世界のプレーに胸をときめかせているのだろう。
 12:00、快晴の新潟にバスが到着すると、そこは日本ではないようだった。少なくとも3月までぼくが住んでいた新潟ではないし、何度も通った新潟スタジアムではなかった。ウラ日本では決して観ることのできないちょっと異常なテンションに包まれていたのだ。
 日本に、いやアジアにいる全てのメキシコ人が集結したのではないか?そのパワーとテンションはクロアチアサポーターはおろか、日本人をも駆逐しているのだ。
メキシコ国旗はためく 陽気にムーチョ
ルチャ・リブレ強制退去? ロバにまたがりハイドウドウ
クロアチアサポーター、強襲される!?
 新潟だって負けてはいない。郷土の伝統文化をもって、これに対抗。そのリズミカルな動きにメキシカンたちも拍手喝采。ノリノリだぁ〜っ!
 でも、圧巻はこのオヤジ。限りなく全裸に近い民族衣装でダボついた腹をなまめかしく揺らす。その妖艶なステップは、ダンサーを名乗るぼくもただただ脱帽するばかり。一体なにをしに来たのか?
 と思いきや、メキシコがゴールを決めたら、オヤジ誇らしげに場内をウィニングラン。だれじゃーっ!オヤジを場内に入れたのは?あのセキュリティーチェックはなんだったのじゃーっ!最高ーっ!!
 メキシカンはとにかく陽気。かなりしつこいけどね。
 セキュリティー問題といえば、あれだけ身分証明証による購入者チェックをやるといっておきながら、まるでノーチェックだった。場外にはダフ屋も出ていたし。土台が無理だったんだろうなぁ、全員チェックなんて。約4分の1は空席だったし。
 ぼくの席はバックスタンド2階、ホーム・クロアチアより。栗山町のキャンプ誘致におけるメキシコの不義理問題もあり、クロアチア応援仕様で臨んだんだけど、なぜか周りはメキシカン。どないなってるんじゃーっ!

 さてさて、試合のこと。クロアチアはプロシネツキ、スーケル、ボクシッチとベテラン勢を攻撃の中心に据える。あぁ、ここにボバンがいてくれたなら・・・。ところが、前線に張るボクシッチ&スーケルときたら、まるで守備をしないのだ。前線に張り付く利点はあるものの、高い位置でのチェイシングがないからメキシコは余裕を持って中盤でボールがまわる。プロシネツキ〜コバチ兄の右サイドを起点とした攻撃が効いていたけど、フィニッシュまでとなると今一歩。メキシコもカウンターから攻めあがるけど、決定機はなかなか。ブランコのカニばさみをはじめ、随所に世界の技が観られたけど、得点ないまま前半終了。
 後半に入るとクロアチアが動く。プロシネツキに代わりラパイッチ投入。「なんで?」と首をかしげたけど、ヒデのペルージャ時代の同僚は左サイドを駆け上がり、いいクロスを上げだした。これまで棒立ちだったスーケルも積極的に前線からプレスをかけるようになり、流れは徐々にクロアチアへ。
 と・こ・ろ・がっ!
 メキシコ右からのカウンターで完全に抜け出したブランコをジブコビッチがPKエリア内で倒してしまった。1発レッドで退場。ここで得たPKをブランコが落ち着いて決め、ゴール!
 後は一人少ないクロアチアに対し、メキシコは余裕のボール回し。憎たらしいほどの余裕で、すきがあれば放り込んでくる。おかげで試合としては盛り上がりに欠け、単調な展開が続く。勿体ない・・・。
 でも、これがW杯なんだろう。世界のサッカーなのだ。勝ち点3を守り抜く。つまらないと謗られようが、勝ち点3にはかえられない。1ではなく3なのだ。勝ち点を確実に取りに行く厳しさ。とても大切なプレーなのだ。
 勉強になった。この感覚はきっと、金払ってあの場所にいるものだけが味わえたと思う。身銭切ってるんだから。日本代表に教えてあげたいよ。
 夕陽に彩られた新潟スタジアムにはメキシカンたちの歓喜の声がいつまでも鳴りやまなかったのだ。
 メヒコっ!メヒコっ!ラーっ!ラーっ!!ラーっ!!!

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 イタリア×クロアチア(02.6.8:県立カシマサッカースタジアム)
 満員電車に揺られること2時間、足が棒になりかけたとき、電車が鹿島神宮駅に到着した。人こそ多かったがたいした混乱もなく、そのままシャトルバスに乗り込みスタジアムへ。スタジアムについて驚いた。鹿島には出店が出ているのだ。新潟には見られなかったのに。当然ビールと腹ごしらえ。W杯だって所詮はお祭。祭に出店は必需品でしょう。偉いぞ鹿島!
 ヨーロッパ人は物静かなのか?メキシカンのように会場周辺で大騒ぎなど見られず、落ち着いているのだ。新潟では少なかったクロアチアサポーターも、イタリアほどではないけれどしっかり集まっていた。一人Sexyなクロアチアのお姉さんがいてさ。ユニフォームに手を加え、へそが見えてるのよね。ミニスカートからすらりと伸びるナマ足にはクロアチアのペインティング。Goodです。
駅前。人は多いが混乱ナシ 出店は祭りの華なのだ
イタリアン山高帽 左のお姉さん、Sexyです
 スタジアムに入場して驚き。さすが専用スタジアム、ピッチが近い。席はイタリアベンチ後方1階16列目。なんて素晴らしいんだ。ありがとう、日清食品!ありがとう、カップヌードル!
 前座で小学生達が試合をしていると、イタリアのスター軍団がピッチに登場。観客がどよめき、一斉にスタンド中央へ駆け寄る。かっこいいぞ、おまえら。トッティ、なにカンナバロの記念撮影のカメラマンになっているのだ。そうこうしているうちにクロアチア勢もピッチに姿を現してくる。ボクシッチ&ヤルニがイタリア勢に近寄り、談笑スタート。その輪にデルピエロも加わり、なにやら盛り上がっている。決戦を前に、ちょっと心安らぐ光景か。
スター軍団ピッチに登場 カメラマン・トッティ 談笑はつづく・・・
 彼らが控え室に戻ると、会場全体が臨戦体勢に。ぼくが座るイタリア側のボルテージも上がり、イタリアンたちが大声を発する。貴賓席にはジーコ、ベンゲル、岡田武史が・・・。ベンゲル〜!稲本のプレー見たんだろ〜!

 今日のクロアチアはプロシネツキ、スーケルのベテラン勢をスタメンからはずし、ボクシッチとラパイッチの2トップ。ボクシッチは危機感を感じたのか、精力的に動き回り、攻撃と守備の起点となろうとする。メキシコ戦では右サイドに流れることの多かったコバチ兄が今日は左サイドでヤルニと絡み、攻撃を作っていく。
 一方イタリアはインザーギが今日もスタメン落ち。ビエリ&トッティの2トップだが、トッティは低い位置でボールを触ってから前線へ上がっていくパターンを多用するため、実質1トップ。
 前半は両チーム攻めきれずに0-0も、クロアチアの左サイドにイタリアが崩されかかる。なんかメキシコ戦とはチームが違う。イタリアはビエリへ大きくだして、クロアチアの守備のほころびを狙うも不発。

ビエリ、オフサイド?

ビエリ、ゴール!

オリッチ飛び込み同点弾

ラパイッチ逆転ループ

インザーギ投入

トッティのFK、ポスト直撃!

インザーギ、GKをかわして・・・
 後半に入り、イタリア攻撃陣がスピードアップ。トッティが変幻自在のパス回し。すごいと思ったのは、クロアチアはイタリアの攻撃を確実に遅らせて守備を固めるんだけど、それからでもイタリアは決定的なチャンスを作っていく。ビエリがオフサイドをとられた場面も、クロアチアの守備陣は戻りきり安心した直後。
 ビエリの先制ヘッドも、トッティからの攻撃が遅らされたと思ったのに、簡単に逆サイドに叩いて折り返しえしをビエリが一発。この展開力はいったい何なんだ?
 先制さえしてしまえば、あとはお得意のカテナチオ。ゴール前にしっかりカギをかけて、虎の子の1点をきっちり守りましょう。これでインザーギを観ることもできないか・・・。
 ところが今日のアズーリ、ゴール前にカギがかからない。再三崩されかけた左サイドをヤルニに突破され、センタリングが上がると走り込んだのは途中出場のオリッチ。GKともつれながらも同点ゴール。
 悪夢はまだまだ続く。左サイドのヤルニに気を取られているうちにラパイッチが右サイドを突破。中に絞り込んできてセカンドボールを逆転ループ。イタリアDF陣を左サイドに引き付けておいて、空いたスペースをつくなんて、めちゃくちゃ頭脳的ではないか。
 カテナチオ崩壊!
 ここで負けると予選突破が非常に厳しいイタリアは攻撃陣の切り札・インザーギをたまらず投入。追いつき、追い越すために全力でゴール前に詰め寄る。
 クロアチアも1点を守り抜くためにみんなが引いてくる。ボクシッチまでが守りに貢献すべく走り回っている。
 すごかったのは再三チャンスを演出してきたトッティのFK。思い切り振り抜いたボールは真っ直ぐ弾丸ライナーでゴールポストを直撃。あまりのすごさに誰も何もできなかったというのに、無常にもノーゴール。
 ロスタイム4分。イタリアはあきらめずに攻め込む。そして掴んだ最大のチャンス。インザーギが抜け出しGKをかわす。ボールはゆっくりとゴールネットを揺らし、ついに同点。湧き上がるアズーリ。喜ぶインザーギ。
 場内は割れんばかりの歓声と拍手でインザーギのプレーを絶賛する。

 ところが判定はノーゴール。あれがオフサイド?線審のフラッグは上がっておらず、真横にクロアチアゴール方向を指し示している。どうなっているんだ?解説者がいないからまるでわからないぞ。
 結局そのままタイムアップ。大喜びのクロアチア。カシマサッカースタジアムを彩った花火はスター軍団イタリアの輝きを奪い去り、クロアチアを称賛するためだけに夜空をにぎわしていたのだった。
 これでG組も混戦だぁ。

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 ラウンド16 A組1位デンマーク×F組2位イングランド(02.6.15:新潟スタジアム)
 迷いに迷い、悩みに悩んで迎えた決勝トーナメント1回戦。なにしろ優勝大本命のフランスが勝ち上がってくると信じていたのに大波乱。一体どこが出てくるのやらとやきもきしていたら、伸二の同僚トマソンがエースのデンマークに。。一方F組も大混戦。ぼくの本命・アルゼンチンは敗退してしまったけど、大好きなベッカムがナマで観られる。
 新潟についてビックリ。そこにはベッカムがいっぱい。「7.BECKHAM」のネーム入りレプリカやTシャツを着た日本人であふれ返っている(このことについては後でひと言付け加える)。当然、イングランド人も大勢押し寄せてそこかしこで交流が見られる。とはいえ、TV報道されるフーリガンの姿はなく、警官隊も拍子抜けか。デンマークサポーターはごくわずか。場内はイングランド一色。ここはイングランドかと疑いたくなるくらい。ぼくが座ったのはデンマーク側ゴール真裏のまさにデンマークサポーター席なのに、どう見てもイングランド応援席。
新潟にいた数少ないデンマーク人 フーリガン対策の警官もいっぱい
スタジアムすべてがイングランド一色
 ゴール真裏は遠近感がわかりにくい。だから、試合の展開も読みづらく、ポジションやシステムのチェックは難しい。ゆえに期待は目の前のゴール周辺でのプレー。前半はイングランドが攻め込んでくる。ゴールラッシュを期待したら・・・。うおぉぉぉぉぉーっ!
 ベッカム最初のCKが先制点につながり、オーウェンがいいとこ取りの2点目。3点目はベッカムのスルーにヘスキーが走りこんでズドンっ!
 デンマークGKのミスを指摘する評論家もいるけれど、目の前で見る分にはどれもすごいゴールだったのだ。

ベッカム1本目のCK

ファーディナンドがあわせてGOAL!

バットからオーウェンへ

オーウェン決めてみんな集まる

ベッカム右からのスルーにヘスキー走り込む

3点目のGOAL〜っ!
 くやしいのはゴールラインのすぐ後ろに設置された広告看板と報道陣。あまりに近すぎて、ボールライン付近が死角に。せっかくのナマ観戦がちょっとだいなし。クレーンカメラも邪魔だったなぁ。選手もやりづらそうにしているし、ちょっと商業主義に走りすぎでは。
 ゴールシーンだけを見るとイングランドの押せ押せだけど、実際はデンマークの方が上手くボールを回していたと思う。当然、イングランドが引き気味カウンター狙いだったため中盤にスペースがあったためだと思うが、イングランドに横綱相撲とるだけの余裕はまるでなかったと思う。決勝トーナメントだもんなぁ。
 3点差を追うデンマークが後半ぼくのいるゴールへ攻め入ってくる。ゴール真裏ってPKエリア付近のミドルシュートのコースがはっきり見える。ゆえに「打っちゃえーっ!」と思わず叫びたくなるシーンも多々あったものの、結局ノーゴールのまま試合終了。
 イングランドサポーターは後半中盤あたりから勝利を確信し、立ち上がって大騒ぎ。スタジアム内イングランド祭状態。「ご自分の席に座って観戦ください」の英語アナウンスには大ブーイング。これが本場か。
 ベッカムの復調がイングランドのこれからを大きく左右すると思う。今日はドリブル、切り替えし、シュートなど攻撃でいいプレーを見せたし、守備でもタックルに行くなどいい動きが見られた。しかし、消えている時間の方がはるかに多く、ボールを持たないところでの動きもかなりだらけている。肝心なところできっちり仕事をこなすのでベッカムの輝きは強烈に映るけど、イングランドが勝ち進むためにはベッカムが消えている時間を極力少なくしていくことが必須条件となるのでは。
 ぼくはベッカムが大好きである。彼の右足から繰り出されるクロスが、シュートが、FKが。人間らしいところも大好きである。シメオネの執拗なマークにかっとして報復するとところや、バッシングに耐えられず彼女のところに行ってしまうところなんて、とても人間らしいではないか。愛息ブルックリンを非常に可愛がるところなんかも。
 その容姿と愛妻ヴィクトリアに仕込まれたセンスのおかげでモデルとしても活躍するけれど、ベッカムは決して根っからのいい男ではない。今日もチームを鼓舞し、盛り上げるためにも無理をして明るく振舞っている姿が伝わってくる。痛々しくさえ思えてくる。サッカー以外の素の動きなんて結構とろかったりして。自分のため、チームのため、頑張ってかっこよくなろうとしているのだ。きっとカリスマ性ならオーウェンの方が上だろう。
 だから、黄色い声援を上げる方々にはそういうベッカムを理解して応援して欲しい。彼はキムタクでもブラピでもないのだ。きちんと彼のプレーを観て欲しい。彼が一番輝いていられる場所はピッチの上なのだから。ベッカムがただのブームで終わらないためにも。間違っても「あの人は今」みたいなTV番組に取り上げられないためにも。
 そうそう、4万人を越す大観衆の中、偶然にも新潟でのサッカー仲間ふくちゃん&つぼやに遭遇したのだ。これがホント偶然。ぼくも彼らもお互いが観戦していることすら知らなかったんだから。とてもうれしい出来事だった。

ふくちゃんとつぼやと11郎

美しく輝く新潟スタジアム

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