今年もひとりで漕いできました。
自己満足の報告です



 今年で三度目の奥利根湖(一度目はこちら、二度目はこちら)。ところが今年はいつもと様相が違う。水が・・・。今年は水不足の影響で貯水率は60%。8月まで35%だったという。例年にくらべ、あきらかに水は少ない。関東では深刻だった今年の水不足の影響が利根川の源流にまで色濃く出ているんだなぁ・・・。一昨年と同じ場所で撮影した写真で比較して見ると・・・。一昨年は木の生え際まであった水位が今年はかなり下までさがっている。
左:1999年撮影 右:2001年撮影
 水位低下の影響で湖の中の世界を垣間見ることができた。これまで舟底にこする程度だった立木がトーテンポールが如くそびえ立っている。枯れてもなお威厳を保ち、湖を見守っている。水辺に点在する切り株はまるで異星人のよう。昔の火星人のイメージというか、クレクレタコラというか。短く切られた幹がずんぐりむっくりの身体で、四方に広がって伸びた根が足。それぞれの佇まいにも個性というか趣きがあって、今にも喋りながら動き出しそうなのだ。そんなことを考えていると、パドルを漕ぎながらも顔がニヤついてしまうのだ。下の絵、なんか楽しそうでしょ?
 そんなこんなで初日は軽く1時間半ほど漕いだのだ。そうそう、なんと熊に遭遇したのだ。鎖骨部分にしっかりと白い三日月。写真をとろうと準備したんだけど、すたこら逃げられてしまったのだ。まだ小さかったから、きっと小熊かな。右写真の切り株の辺りにいたのだ。岸に戻って管理人のおじさんに話したら、今年は多いとのこと。これも水不足の影響か。
 今年の奥利根湖は水位以外にも変化が。湖畔には小屋が建っており、管理人のおじさんが常駐していた。湖に入ってのキャンプは禁止というルールを守らない人が多く、危ないからだそうだ。嘆かわしい。駐車場でのキャンプも禁止。八木沢ダムの前面のテニスコートがキャンプサイトとか。少しはなれているけど我慢。
 9月末の平日、こんな時期にキャンプする奴はそうそうなく、キャンプ場にはぼくひとり。鈴虫、こおろぎの鳴き声とダム管理棟の灯りだけの世界。月がかなりキレイに見えるので星空に期待も、次第にもやがかかってくる。
 夜は黒部源泉水を遠赤外線炭火で沸かしたインスタントラーメン。旨いんだかなんだか、身体にいいんだかなんだか。相変わらずひとりのキャンプは質素なこと。
 ぼくは星座がまるでわからない。教育実習で地学を教えていたが、その時は天気を教えていた。星空を見上げて「ごらん、カシオペアがキレイに見えるだろ」なんてささやいてみたい。D井くんのように。そこで今回は予行演習とばかりに”新星座早見”なんぞ買い込んで備えたというに、たちまち雲が覆いつくし、暗転に。星はぼくの下心まで見通しているのだろうか。
 寒くなってきたのでモスラ(ツェルト)に潜り込み、HP新連載のネタを考える。結構たまったので、近いうちにご披露できるはず・・・but遅稿だしなぁ・・・。
モスラの向こうに矢木沢ダム 微妙なお湯 下心の新星座早見
 6時前に起床。濃霧。カラスがやたらとうるさい。ゴミ等を車に片付けておいてよかった。朝食を済ませ、7時頃になるとだいぶ晴れてくる。霧が山へ駆け上って行くのが見える。
 キャンプ場を撤収し、とりあえずダムサイトの駐車場へ。ここでモスラや寝袋を干し、いよいよ出艇の準備に入る。
霧が上昇ムード 物干しRちゃん
 8時。きのこ採りの人と「今日は貸切だね」と談笑しながら出艇。雲行きがちょっとあやしかったので干してきたモスラと寝袋が心配となるが、じき晴れ間が見えてくる。それにしても異星人が多い。堅硬な岩帯には見られないが、段丘堆積物、土石流堆積物、まさ土の所に多く生息している。基盤(花崗岩)が浅いため、根が深くなく広がっている。花崗岩では根を深くおろしても養分の補給は困難か。その前に硬くて無理か。まるで水を求めて移動しているような、水から逃げているような。
 上陸箇所はいつもならレキかまさ土の浜なんだけど、水位が低いため今回は粘土の上ばかり。しかし、干上がってからずいぶん経つようで、ぬかるむようなことはない。でも、ちょっと汚いのが欠点かな。
 水位が低いため、貫入岩帯がはっきり見える。一応本職は地質調査なので、この露頭には興味あり。そして圧巻は断層の滝。こちらも水位が通常とおりなら滝のようにはなっていなかったんだろうなぁ。
脈状の貫入が何本も見られる 断層の岩戸。水位が下がり滝状。
 先日「ガンバの冒険」のDVD-BOXを買い、ハマっているのだが、そのチーフディレクター・出崎統氏の言葉。
「海や川、湖の水の色ってみず色って先入観を捨てることから始めた。晴れの日や嵐の日で色は変わるし、空や景色を映し出しもするから。」
 ここで浮かんでいるとそれを実感することができる。気分はガンバだ。
「しっぽを立てろーっ!」


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奥利根湖
2001.9.26・27
ひとり漕ぎ