artな戯れ言'02-上半期


このページではartな戯れ言を集めて掲載しています。


「少林サッカー」を観る(02.6.24)

 これかっ!これだったのかっ!巷で噂の「少林サッカー」ってやつは・・・。
 W杯も大詰めに向けひと休み。観戦疲れもあるのかもしれないのだが、腑に落ちないことがいくつかあり、ちょっとクールダウンしていた。そんな気持ちをもう一度奮い立たせようと「少林サッカー」を観ることにした。もしかしたら週末に予定しているフットサルのプレーに幅が広がるのではなんて考えながら。
 まずはひと言。絶対観るべし。面白い。圧倒的に面白い。こんな手があったのかとただただ驚愕させられるが、とにもかくにも面白いのである。
 少林拳の奥義を会得しながらも発揮する場を見つけられずくさっていた兄弟たちが、サッカーを通して情熱を取り戻す・・・という感動的物語の骨子を持ったコメディである。小気味いい笑いが満載なのだ。香港でしか思いつかないようなギャグもあるが、万国共通で笑える映画だ。すごいぞ。
 今の日本にこんな笑いの取れる映画があるだろうか。TV番組があるだろうか。リアクションではなく作られた笑い。日本の笑産業はまず見習うべきなのではないか。
 ヒロイン・ムイちゃんかわいかったなぁ。ぱっと見は鈴木京香だけど、じっくり見ると常盤貴子にも見えてくるんだなぁ。
 スポーツメーカー・プーマが全面サポート。W杯ではアディダス・ナイキにはるか遅れをとってしまったけど、ショービジネスではこれで半歩リードかな。
 本編とは関係ないけれど、タイトルロールの香港語で「スタッフ」が「工作人員」と表記されているのにまた笑い。「スタッフ」というより「スパイ」だよなぁ。
 W杯準決勝、決勝が地味に見えてしまったらどうしよう。週末のフットサルに応用は・・・無理なんだけどさ。


エスニック
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「鼓童 ONE EARTH TOUR」
 を観る(02.6.23)

 1年半ぶりに鼓童のライブを観た。本当は5月末の新潟ライブに行くつもりだったんだけど、転勤となったので、練馬文化センターでのライブを観た。
 ぼくの認識が甘かったようで、会場は1階も2階も満席。鼓童が全国的に人気の和太鼓集団だったとは・・・。というか、和太鼓がこんなに人気があるとは・・・。
 それにしても相変わらずの身体に響くパフォーマンス。前から14列目でもその響きはクリアにぼくに伝わるのです。鼓童はやはりナマで体験すべきです。びんびんに伝わります。
 このところW杯のセネガル旋風で、会場に鳴り響く打楽器の独特なリズムに魅了されつつあったけど、鼓童が日本のリズムを、日本人が持つ固有の躍動感を思い起こしてくれたのだ。
 歓喜の音、静けさ、時雨れ、晴れやかさ・・・。四季折々の日本の表情や感情がつまったライブ。
 「打つ」という単純な行為がいろんな響きを伴い、身体に、心に伝わったのち、それぞれの中でイマジネーションを広げていく。和太鼓だけではない。世界中のあらゆる国や地域で「打つ」行為が様々な表情を見せてくれる。すごいよなぁ。


エスニック
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「スパイダーマン」を観る(02.6.20)

 いやいや、W杯漬けの毎日ですっかり他の遊びに手が回らなかった。ベスト8が出揃って小休止となったので、評判の映画「スパイダーマン」を観た。
 大人気アメリカンコミックをどのように観せてくれるのかと期待したが、疾走感はものの見事。画面いっぱいを上手く使った円弧の動きがダイナミックでかっこいい。
 物語は「大いなる力は大いなる責任を伴う」という名台詞を如何にスパイダーマンが心に銘じていくかを丹念に描いている。そのためか展開が遅いのだけれど、単なるアクション映画で終わらせたくないという創り手の心が伝わってくる。それこそがコミック・スパイダーマンのテーマなのだから。創り手はスパイダーマンがとても好きに違いない。
 「これぞアメリカのヒーロー映画」と感じた。昔から思ってたけど、アメリカのヒーローって頭が小さくてマッチョなのよ。日本のヒーローってかぶり物かぶるから頭がすごくでかい。そのうえ細身の日本人体系が多いもんだから、一層頭が大きく見える。ヒーローと悪役がまずは歩み寄ろうとするのもアメリカ的だし、悪役がやられる直前に助けを乞いながらも姑息なことをするのもアメリカ特有。当然、スパイダーマンの心の揺れを描くなど、勧善懲悪だけで済ませないのもアメリカだよなぁ。
 ウィリアム・デフォーの悪役はすっかり板についていたけれど、「プラトーン」に涙を流したぼくとしては、「エリアス〜っ!」って感じなんだよなぁ。鏡の前での演技の迫力は圧巻。一番すごいシーンだった。でも、グリーン・ゴブリンはなぁ・・・。
 来年には「超人ハルク」も公開されるとか。「X−メン」「スパイダーマン」と、アメコミブームなのかなぁ。
 ただ、「原作が好きだから」だけでは押し通せないものってあると思うんだ、映画には。そんなことをちょっと感じた。


エスニック
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大人計画
「春子ブックセンター」を観る(02.5.26)

 田舎町のストリップ小屋で下働きをする杉村春子。決して文学座の大女優ではありません。かつてトリオ漫才・春子ブックセンターで世に出た漫才師です。そこへかつての相棒・本宮ブックと青山センターが現れて・・・。
 人気脚本家・宮藤官九郎が初めて大人計画本公演の脚本・演出を担当した「春子ブックセンター」を観た。忘れ去られた芸人の物語。バラエティ番組の構成作家もしているクドカンにとってはオマージュ的な意味合いもあるのだろうか。これがとにかく面白かった。
 なにがって、松尾スズキ演じる杉村春子の笑いに対する執着心が。よくぞこんなとてつもない芸人を創り出したものだ。笑いのためなら全てを投げ出せる男。杉村春子は本名なのだから、生まれたときから笑いを宿命付けられた男。これを松尾スズキが見事な怪演ぶりで実像化しているのだ。いないぜ、逮捕覚悟で笑いを取りに行く男は。3年半もネタ振りのためにストリッパーに罵倒されながらパンティ洗いつづける男は。なんだか、井上ひさし著「手鎖心中」の主人公を重ねてしまったよ。
 この舞台のすごいところは単に客を笑わせるだけでなく、笑いの構造を紐解いて観せているところ。さながらマジックの種明かしのよう。でも笑いはマジックと違って構造を把握していても通用するもの。それを実践で観せてくれる。
 大人計画特有のメディアにはなりにくいダークサイドもしっかり織り込まれていて、小劇場の香りもたっぷり。クドカンの考える笑いとは、小劇場とは、大人計画とはが詰め込まれた舞台だった。


エスニック
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企画ユニット地球ゴージャスVol.6
「カルテ」を観る(02.5.25)

 地球ゴージャスだからあえて辛らつな言葉を並べる。もっと面白い舞台が作れるのではないか?
 西村雅彦・高島礼子とビックネームを客演させ、老舗の日生劇場初進出。面白かった。ゆうに平均点は越えていた。でも、地球ゴージャスに期待するのは平均点ではないのだ。チケット代はVol.2やVol.3の頃の倍。日生劇場を意識してか、セットは豪華絢爛。でも、入場料の多くがセットと小屋代だとは思いたくないじゃない。Vol.2やVol.3よりも楽しんで、値上がり分納得したいじゃない。
 ミュージカル・アクション・コメディ。彼らの素となったSETはすでに越えているけど、そこにとどまっている岸谷・寺脇コンビじゃないじゃない。常に上を目指して欲しい。
 パート・パート、断片・断片はとても面白かった。パントマイム・太鼓・タップ・ダンスと見せ場もたっぷり。でも、それらが繋がらないのだ。あくまで断片の楽しさで、STORYとは浮いてしまっている。STORYも題材は面白い割に、後半にちゃちゃっとまとめた感じが強く、全編を引っ張るだけの強さがない。断片が面白すぎるため、とても浮いてしまうのだ。
 これまで地球ゴージャスは外部脚本を2本(Vol.2・3)と岸谷脚本を2本(Vol.4・6)観たが、脚本の巧さは明かに外部。頑張れ岸谷っ!
 とはいえ岸谷&寺脇の息の合ったアドリブは絶品。ほんと、すごいぞ。怪優・西村がただ立ちすくむだけなんだから。
 現状に妥協せず、面白いものを追及して欲しい。脚本の大枠を外部に委ねたっていいではないか。岸谷脚本にこだわるなら、もっともっと頑張れ。地球ゴージャスはとてつもない可能性を持つユニットなのだから。ぼくはそう信じているのだから。


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演劇集団キャラメルボックス
「四月になれば彼女は」を観る(02.5.22)

 物理探査学会出席のため池袋へ行くこととなった。せっかく平日に都内へ行けるんだから何かしようとぴあを調べ、サンシャイン劇場で公演中のキャラメルボックスを観ることに。当日ハーフプライスチケットという半額券が売り出されていたので購入。席は2階だったけど、一番前で観易かった。なかなかいい制度ではないか。
 さて、今回公演の「四月になれば彼女は」である。7年ぶりの再演。新潟ではこの作品をコピーする地元劇団が多かった。一度も観たことはないけれど。なぜ彼ら(彼女ら)はこぞってこの作品をコピーしようとするのだろうか。
 作品は15年会うことのなかった母娘の葛藤と和解が主題。で、キャラメルボックスの感想では何度も書いたかもしれないけれど、とにかく登場人物全員が真っ直ぐなのだ。女性が主人公の作品はなお一層に。自分の気持ちに真っ直ぐで、打算のかけらも持ち合わせていない。それぞれの真っ直ぐの方向があちこちなので葛藤がある。ほんと、観ていて恥ずかしくなるほど真っ直ぐで、ねじれきった自分の心が悲しくなるくらい。それを押し通し、押し切ってしまうのがキャラメルボックスのキャラメルボックスたる所以なんだろう。気恥ずかしいながらもちょっとじーんとしてしまうんだな、これが。
 そして、ストレートの合間に入る西川さんと細見さんのボケ。この間、味わいが絶妙でバランスを保たせていると思った。
 で、どうしてこの作品がコピーされ易いのか。きっと登場人物の感情がストレート一本槍なので、一見扱い易そうなのかも。それは罠なのに。ただストレートなだけなら、観ている方が恥ずかしくて居たたまれなくなりそうだぞ。舞台全体のパワーがあり、役者と客の双方に理解がなければ成り立たない高度な舞台だぞ。もしかしたら、キャラメルボックスの実力を見せつけるための罠なのかも・・・。
 いつもながら平均点の高いキャラメルボックスの、オーソドックスながらも力量の量れる舞台でした。


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池袋演芸場5月中席昼の部を観る(02.5.18)

 一度寄席に行ってみたかった。ぼくは中学生の頃、落語家になりたかった。ツービートやB&Bが活躍した漫才ブームの中で、新作落語を引っさげて笑いをかっさらう三遊亭円丈に弟子入りしたかった。その円丈師匠が主任・トリを務める寄席が池袋演芸場で開かれているという。寄席初体験にはもってこい。
 寄席のイメージってちょっと古くさくってガラガラかと思ってたんだけど、池袋演芸場は新しくキレイだった。そして満員。出演者達は一同に「昨日までとは大違い」と言っていた。客層はツウっぽい人も多かったけど若い人も結構いて、老若男女皆笑う。なんかイメージと違っててビックリ。
 今日の出演者と簡単な寸評を以下に。
・三遊亭小田原丈…新作落語。お公家さんがペットだったら・・・という発想は面白かったが、話が続かずドタバタな結末。がんばれ〜!
・三遊亭らん丈…新作落語。辞書を使った巧みな話芸で場内爆笑。巧い。ただずるい。別に落語である必要はないし、引用であって創作ではないもん。
・ぺぺ桜井…ギター漫談。いかにもベテランらしい話術。いかにものところが今ひとつなんだよな。
・金原亭馬の助…古典落語「権兵衛狸」。誠実な芸人さんといった感じ。真面目なんだろうなぁ。おまけに百人相を披露してくれたんだけど、これって先日急逝された古参師匠の十八番なんだよね。さりげなく偲ぶあたりが粋。
・柳家さん吉…?。小さんの弟子ということで、大変だったそうだ。これから通夜だとか。小さんを偲ぶこぼれ話を披露。
・大空遊平・かほり…漫才。夫婦漫才の王道、カミさんがしゃべり倒す。それを抜けた間でダンナが突っ込む?ボケる?とにかくすかし方が巧かった。笑えた。突飛さはないんだけど笑いが取れるというのは、芸がしっかりしているからか。
・三遊亭円弥…古典落語「夢の通い路」。落ち着いた語り口。しっかり聞かせる噺家さんだ。そのためネタの選び方で取れる笑いが左右するかも。今日の下げはばっちりだった。
・柳家小ゑん…新作落語。とんだ伏兵だった。リフォーム・収納といった流行りのアイテムを巧く使って、庶民感覚の笑いを創り出す。それでいてツウ好みのなつかしネタも織り交ぜて、万人が笑える新作に仕上げている。笑った。まいった。
・柳家小せん…古典落語「?」。どちらかというと突っ走りそうなラインアップの中で、どっしり構えて味を出している。
・三増紋之助…曲独楽。普通なら笑いよりも感嘆の声が起こる筈なのに、人柄なのかハプニングのおかげなのか終始笑いが絶えなかった。曲独楽師としては嬉しいんだかブルーなんだか。もし全てが計算の元で行われているのなら・・・。
・三遊亭円丈…新作落語「土下座王」。大トリは期待の円丈師匠。スカイブルーの着物にストーンズのベロ出しワッペン(写真は本日撮影のものではありません)。枕ではマウスを駆使して現代感覚を妙にアピールし、パソコンネタでくるかと思いきや商社の土下座専門係の悲哀を笑いで説いてきた。ひたすら謝る土下座専門職だけでも笑えるのに、突如英国王室アカデミー指圧協会なる謎の組織を登場させ、きっちりまとめるあたりは流石。今日が二度目というだけあって、少したどたどしさが観られるも、勢いは衰えず笑いを誘った。
 いやはや、正直円丈師匠以外は期待していなかったのだが、見事に裏切られた。ホント、いい意味で。ちょっと通ってみたくなったのだ。


エスニック
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「獅子の門 朱雀編/夢枕獏」を読む(02.5.15)

 「餓狼伝」と並ぶ夢枕獏の本格格闘技シリーズ「獅子の門」の最新刊を読んだ。こう書くとごくごく普通に「シリーズものの小説を読んだのね」と思われるだろうが、ぼくが「獅子の門」の前三作(群狼編・玄武編・青龍編)を読んだのはまだ学生の頃。つまり、物語半ばでぷっつり途絶えた作品が14年の歳月を経て何事もなかったかのように再開したのである。これってすごいことじゃない?良くも悪くも。
 簡単に物語の説明をすると、羽柴彦六というフリーの格闘家が旅先で出会った少年達がそれぞれ独自に格闘家を志し、道のりこそ違えど交わっていくという物語。「餓狼伝」が闘いの場を総合格闘技としているのに対し、「獅子の門」は立ち技系(空手・中国拳法・・・)を闘いの場にしている。登場人物の書き分けが見事で、いまだに誰が主役か判然としないのだが、全員の成長が待ち遠しい作品である。
 今回最新刊を読むにあたり、前三作から読み直したんだけど、やっぱり面白いのだ。
 しかし14年のブランクは相当なもののようだ。著者の筆力の問題ではなく、14年の間に格闘技界は劇的な変化を遂げてしまったから。当時立ち技系では空手では寸止めの極真に対し、新興勢力として北斗旗の大道塾が台頭してきたくらい。キックやシューティング、シュートボクシングはまだまだマイナーだった。その後正道会館に端を発したK-1が立ち技界を席捲し、ついには総合格闘技と交流するまでに。当然時代に合わせるように最新刊では総合格闘技としてブラジリアン柔術が登場する。事情を知っているものとしてはその登場が唐突に思えるだろう。
 あと、ちょっと気になっているのが「餓狼伝」との住み分けについて。夢枕獏の描く闘いの世界は面白いので、より多くのバリエーションを楽しんでいたい。アプローチは違えど、「餓狼伝」と「獅子の門」が同じベクトルで交わってしまうのは、ちょっとさびしい気がするんだよなぁ。
 とにもかくにも、めでたく再開した「獅子の門」。今後は中断することなく書き上げて欲しいのだ。若者達の成長を語り続けて欲しいのだ。


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東京スカパラダイスオーケストラ
ライブを観る(02.5.13)

 市原市民会館で開かれたスカパラのライブを観た。前回観たのは忘れもしない、「ワゴンR当て逃げされる事件」の直後だったから、一昨年か。新潟ではオールスタンディングばかりだったので、ホールコンサートとなるとめちゃくちゃ久し振り。まぁ、登場と同時に立ち上がり、終始跳ね回っているのでイスに座っている時間なんてほとんどないんだけど、後ろから押されることなくスペースを維持できることは三十路には結構ありがたいのだ。疲れたら前後のイスに寄りかかれるし。
 今回はなんと前から2列目の中央右より。周りは女の子ばかりで、真ん前は同僚(後輩)の友達というおまけ付き。
 メンバーが颯爽と登場すると、場内のボルテージは一気に上がりまくり。三十路も負けじと気持ちを昂ぶらせるも、右隣の女の子の狂喜乱舞振りに圧倒されてしまう。連れがキレて喧嘩をし始めたとき、自分だって怒っているのについ冷静になって止め役になるのと同じような、スタートダッシュ失敗。くそぉ〜っ!
 とかいいつつも、ライブが進むにつれて冷静さなど何処かへ飛んでいってしまったようで、跳べや叫べのハイ状態へ。かつての色男の面影が薄れ、すっかり修行僧のような風貌となった谷中さんの説法RAPが始まる頃には、悟りが開けたかのように周囲が見えなくなっていたのだ・・・それは悟りではないか。
 スピードに乗った演奏はもちろんのことだけど、今回は沖さんが繰り出すステップがかわいく良かった。それに対抗するかのようなGAMOUの返しも。見所だったのだ。
 とってもいい汗をかくことができた。ぼくの場合、ステップでリズムを刻み、ディレイで贅肉が裏打ちを刻むという高等テクニック(?)を有しているので、きっと汗の量も人の倍だったに違いない。簡潔に言うとデブなだけなんだけどね。
 いつものことなんだけど、演奏曲の多くは没頭しすぎて記憶にとどまっていないんだけど、爽快感だけは身体を駆け巡っていたのだ。やっぱり「MONSTER ROCK」で跳ねるのは最高だなぁ・・・。
 オープニングアクトで熊谷和徳というタップダンサーが登場するなど意表をついたカッコ良さを見せてくれるスカパラ。7月7日は横浜アリーナで単独ライブを決行するとか。田島貴男・チバユウスケ・奥田民生のゲスト出演が決まっているというし、まだまだカッコ良さの引出しにはネタが満載のようだ。
 そのカッコ良さとパワーを少し分けてもらえたのでは・・・と勝手に思ってしまうライブでした。


エスニック
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シティボーイズミックスPRESENTS
「パパ・センプリチータ」を観る(02.5.5)

 毎年GW恒例となったシティボーイズの公演を観た。今回は常連・中村有志とナイロン100℃から犬山犬子を迎え、作家陣は昨年同様若手を起用。三者三様のキャラと味がどう炸裂するのか。
 考える隙を与えずにハイテンションだった。のっけから血管が切れてしまうのではと心配するほどの凄まじさ。オーバー50の笑いに対する心意気を見せつけられてしまった。とにかくすごい。すごすぎる。テンションの高さ、スピード感はここ数年No.1といっても過言ではない。
 大竹まこと・きたろう・斉木しげるの3人をここまで走らせた若手作家及び演出家の思い切りの良さにも感動。慣れ親しんでいる人なら決してやらない使い方をしているのだ。50を越えた大御所に・・・と敬遠してしまいそうなシチュエーションを容赦なく要求するのだ。「笑いがとりたければこれくらいやってよ」と言わんばかりに。3人はそんな挑発を中村有志、犬山犬子を道連れにしっかり倍返ししているのだ。恐るべし、五十路男たち。
 新キャラも登場。エスプレッソ王子&10pマン。切れる大竹、トボケのきたろう、存在感の斉木も健在。中村のジャックマイヨール並みの内臓持ち上げ術も披露。犬山犬子の声(うんこたれぞう)もすごい武器だった。
 これまでのコントひとつひとつが微妙にシンクロして最後には大きなうねりとなって大円団という流れはなかったが、ひとつひとつが独立した大きなうねりであり、腹をよじれさせるのだ。
 老いても盛んなのか、老いてもまだ挑みつづけるのか・・・。どちらかはよくわからないけれど、この男達からはまだまだ目が離せないのだ。


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「日雇い刑事」を観る(02.5.4)

 大人計画とHIGHLEG JESUSの俳優が総出演している映画「日雇い刑事」を観た。阿部サダヲや宮藤官九郎、河原雅彦と最近TVにも出ている面子はいるものの、ほとんどが余り顔の売れていない役者達。その雰囲気と16mmの粗い画像、監督自身が映画館に持ち込んだPAによる大音量がいかにも自主映画といった感じ。インディーズという意味ではなく、映研のフィルムフェスティバルかのよう。
 長く続く不況から警察がパートタイム制を導入。得体の知れない輩が刑事となるのに対し、東大出のヤクザが増大する。そんな中、警察はパートタイムの刑事を総動員して巨悪犯罪の検挙に乗り出すが・・・。ストーリーなどはまるでない。設定だけを利用した不条理コントが淡々と続く。大きな笑いはないけれど、心をくすぐるような笑い。ホント映研の自主制作映画の趣き。学祭で上映されてた8mm映画っぽさが存分。
 会場は両劇団のファンの娘で盛況だったけど、彼女達にはレトロ感あふれる新鮮味に受け取れたかもしれない。心底楽しんでいるかどうかは不明だけどね。
 ロードショー映画と比較して料金1500円の価値を問われると、一般的にはかなり厳しいところだけれど、元8mm少年には思わずニヤリの作品だった。


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「ブラックホーク・ダウン」を観る(02.5.2)

 ソマリアの内紛へのアメリカの干渉。その経緯や実態を平和ボケした日本にいるぼくは知らない。「エネミーライン」のときも書いたけれど、湾岸戦争と昨年のテロ報復の間の紛争って、わからないんだよなぁ。
 ソマリアの民兵の指導者を拉致するために出撃したアメリカ軍。当初30分で終わるはずだった作戦が、戦闘用ヘリ・ブラックホークの撃墜を境に大きく戦況を変え、とてつもない闘いとなってしまう。「ブラックホーク・ダウン」。地上で戦うアメリカ兵に失意を、ソマリア民兵に歓喜を促す象徴のよう。
 上映時間のうち2時間は銃声が鳴り響く銃撃戦。目を覆いたくなるような惨劇が続く。仲間の死、折れそうな心。勝者も敗者もない闘い。アメリカの過信。殺し合いを止めるためにまた殺し合う。何のための闘いか、誰のための闘いか。延々と続く銃撃戦の中で、この映画が問いかけてくる。
 ソマリア内紛への干渉というよりも、大きく戦争自体のもつ意味を問う映画だった。銃撃戦を続けることにより問いかける映画だった。ただ、その問いかけに気付かずにドンパチで終始するだけの映画と考える若者がいるんだろうなぁ。
 ぼくは外国人の名前を覚えるのが苦手なので、誰が誰なんだかよくわからなかった。みんなヘルメットかぶってるし。ユアンはどこだ?


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「友へ・チング」を観る(02.5.1)

 「親旧」と書いて「チング」という。「チング」と入力して変換したら「珍具」と出た。これは決してDr.中松の発明品映画ではない。
 韓国では「シュリ」「JSA」を抜いて興行記録を更新中だという。確かに目頭が少し熱くなった。小学校の頃からの友人四人がたどる運命を描いた映画。時にはくっつき、時には離れ、それでもどこかでお互いのことを想っている。素敵で厚い友情に守られていたはずの4人が、時の流れに飲み込まれて・・・。
 とにかく熱い映画だった。韓国映画ならではの熱さがひしひしと伝わってくる。友情をテーマに任侠を組み合わせた映画はかつての邦画でも良くあったが、今ではVシネマ以外とんと見かけない。邦画の創り手が、そして観る側がその熱さに耐えられなくなってきているからだと思う。韓国映画には、韓国国民にはその熱さが冷めることなくあり続けているのだと思う。思いのままにならずに戸惑う友情・愛情。北と南の対立からヤクザの対立へと衣は変わったけど、根底に流れるものは一緒。きっとここが韓国国民のツボなんだろうなぁ。そして、冷めたふりして実は胸の内に火種を残している日本人が共感しているんだろう。ぼくもその一人か。
 もしこれを邦画にしたら、ドンス役は極楽の加藤だよな。


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「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」を観る(02.4.22)

 GW恒例・名探偵コナンの劇場シリーズ第6弾、ベイカー街の亡霊を観た。ご存知江戸川コナンがバーチャルゲームの中で切り裂きジャックの謎を解き明かすべく活躍する。当然蘭や少年探偵団の面々も一緒に。毎回なのだが、子供向けと思われがちながらも、大人でも十分楽しめる物語。今回は脚本に野沢尚を迎え、本格推理アニメの色を強く打ち出しているのだ。
 映画のコナンはあくまで本編とは一線を画したサイドストーリー。コナンの設定をそのままに、自由に遊んでいるという感じがする。よって、コナンの本質に深く入り込むことはないので、TVやマンガを観ていない人でも十分楽しめるし、映画を観なくてもTVやマンガ鑑賞には支障を来たさない。その気軽さが映画版の最大のメリット。でも、どこかで「もっと観せてよ・・・」という欲求が生じるのも確か。その欲求が講じれば、マンガやTVの売上・視聴率に反映できるというわけか。巧く考えられているものだ。
 それにしても、本編を離れてサイドストーリーが原作者以外の作家により生み出されるに至っている「名探偵コナン」とは、「ルパン3世」に匹敵する名作なのかもしれない。
 個人的には灰原哀の化学者の素性をいかした活躍が観たかった。STORYは・・・推理ものの要素よりも活劇の要素の方が優っていたけど、その分コナンの目に見える活躍が楽しめます。


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入江雅人W1劇場
「筑豊ロッキー」を観る(02.4.20)

 入江雅人の一人芝居シリーズ5年ぶりの公演を観た。最近はすっかりバイプレイヤーとしてTV・映画・舞台で活躍しているけど、ぼくとしてはウッチャンナンチャンとともにやってたTV「SHA.LA.LA」のイメージが強く残ってるのよ。映画学校の同級生だったんだよなぁ・・・出川哲朗も。
 今回の公演は一人芝居4本とゲスト・清水宏とのからみが2パート。そのどれもが違ったテイストをもつ作品となっている。「イミテーションハンター真」ではアニメのヒーローものを一人でこなし、「ポエムリーディング IN」では一人芝居の怪しさを存分に醸し出す。「男一匹ナレーション人生」では人の一生を冷静な視線ながらも朗らかに描き、「東京大パニックメガネ」は超大作映画のような幾重にも重なった世界を見事に演じきっている。しかもオチまできっちりと。誰にも真似できない入江雅人の世界がそこには広がっており、笑って笑ってときおりホロリ。
 大勢の視点を効果音を含めて一人で演じる。あくまで能動態で。それが入江雅人の魅力だろう。彼がこれまで携わってきたお笑いの感覚や映画のセンス、幼少期に観たであろうTVの影響が素直に現れて、一人芝居のエッセンスとなっている。イッセー尾形にもモロ師岡にも野田秀樹にもない世界観。面白いではないか。
 ときおり出てくる趣味嗜好も共感できたりして、いろんな意味で楽しかった。
 そうそう、ゲストの清水宏ってこれまで知らなかったけど、彼のシンバル漫談も面白かったぞ。ハイテンションな彼と冷静な入江雅人のカラミも客を呼べるのでは。
 カーテンコールで誇らしげに両腕を上げ、深々とお辞儀をする入江雅人はさながら彼の故郷・筑豊のロッキーであるかのようだった。


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THE COMICMENTS LIVE を観る(02.4.13)

 会社の後輩・K村くんが「今度船橋でライブやるんで観に来てくださいよ」という。うちの会社でBANDやっているやつがいたとは。聞くと会場は我が家から徒歩2分ほどのところ。これは行かねばと「無国籍料理 月」へ足を運んだ。
 SOULというとSOUL TRAINに代表される腰クネのノリを想像してしまうが、聴いてみるとR&Bに近いのかな。きょうびの若者がやってるようなクラブよりのR&Bではなく、往年のアメリカンブルースの流れをひくR&B。それをコーラスを含め総勢9人編成の面々が気持ちよさそうにやってるのだ。ぼくは評論家ではないので音楽的な詳しいことはよくわからないけれど、気持ちよさそうにPLAYする彼らはとてもかっこよく見えたのだ。ちょっと誉めすぎかな。彼らの気持ちよさにつられて、ぼくも気持ちよくズブロッカをあおってしまい、気分はすごくハイだった。
 社内でのぼくは趣味人としてトップクラスを走っていると思ってるんだけど、ここにこんな趣味人がいようとは。なんだかうれしいけど、ちょっとくやしかったりして。
 次ぎやるときも聴きに行くから、その時は教えてくれぃ。
        


エスニック
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「野村萬斎トークと名作狂言」を観る(02.4.10)

 千葉に転勤が決まったとき、なにか面白い催しはないかとチケットぴあをめくったときに見つけたのが、千葉県民文化会館で開かれる野村萬斎の狂言会だった。すでにチケットは発売中だったため、まるでいい席ではないけれど、今年初の狂言鑑賞のためわくわく。
 今回の曲は「梟山伏」と「止動方角」。「梟山伏」は野村萬斎のワークショップやレクチャートークで今日を含めて3度も振り付けを練習したというのに、観るのは初めて。演じて楽しい曲の代表なのだから、当然観ても面白い。この曲最大の笑いどころは梟にとり憑かれた太郎とその兄の掛け合い部分。この間と動きこそがこの曲の全てなんだけど、巧いんだよなぁ。トーク全盛の現代お笑い界に見慣れていると、この笑いの原点がかえって新鮮に思えてしまう。野村萬斎や和泉元彌に始まった狂言ブームがお笑い界に原点回帰の流れを作るかも。
 「止動方角」は昨年に続き2回目。前回とは面白さは変わらぬものの、舞台装置や鑑賞位置が違うことで、全体が見渡せて感じ方が変わったような気がする。特に太郎冠者と主、馬の動きの関連性が遠くから観て取れたのが新たな発見。前回感じた一番前の臨場感を思い出しながら観ると格別だった。
 惜しむらくは万作さんとぼくのイチ押し高野和憲さんが観られなかったこと。高野さんのとぼけた味も観たかった。それと、舞台が中途半端だったのもちょっと。大きなホールの舞台に能楽堂を模した足場を組んだだけのセットのため、能楽堂の華やかさや荘厳さは感じ取れなかった。とはいえ、劇場狂言のような照明効果を利用した演出もなく、セットや電光掲示くんもないため、とても間が抜けた感じ。その分料金も安いんだけど、せっかくなんだから・・・という思いが残ってしまった。
 とはいえ、萬斎演出の狂言はやっぱり面白いぞ。


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「ビューティフル・マインド」を観る(02.4.8)

 アカデミー賞作品賞ほか4部門でオスカーをGetした話題作「ビューティフル・マインド」を観た。とても面白かった。上映時間を感じさせない面白さ。でもかなり困っている。この面白さをどう書いたらよいのやら。どこまで書けばネタばらしにならないかをぴあなどの作品紹介で確認するんだけど、なんともいえないライン。困った。
 物語はノーベル賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュの、フィクションのような実話である。というか、ある意味フィクションなんだけど、実話なのだ。天才ゆえ、孤独ゆえに患った精神分裂症。そんな彼を必死で支える妻の愛。とても素敵な愛の物語・・・だけでない。それは観てのお楽しみ。
 物語と離れたところでぼくの目をひいたのは出演者の皮膚感。ラッセル・クロウは10代から老年期までを演じているし、妻役のジェニファー・コネリー(すっげー艶っぽくなってた)も老年まで演じているけど、その歳々の皮膚感をしているのだ。顔の皺はもちろんだけど、首筋や手の皮膚まできちんと歳をとっている。「ハリウッド映画は意味なく金をかけている」という声もあるが、皮膚感を出すために特殊メイクを駆使することはとてもいい金の使い方だと思う。
 分裂症による幻想が彼を蝕んだと思われがちだけど、幻想が彼を勇気付けていたことも忘れてはならない。幻想との付き合い方、依存の仕方が問題なんだろうなぁ。それにしても、俗人のぼくなら一番の幻想はあの美しい妻だよな。


エスニック
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「Beautiful Songs」を観る(02.4.4)

 大貫妙子・奥田民生・鈴木慶一・宮沢和史・矢野顕子の5人のコラボレート、「Beautiful Songs」を観た。2年前にも開催され、その模様はNHK-BSで観たのだけれど、次があったら是非ナマでと思っていたのだ。
 演奏された曲は概ね各人の持ち歌で、それをソロだったりデュエットだったりトリオだったり全員で歌うんだけど、アレンジを工夫していたり声色の差で全然趣の異なる歌になっている。知らない歌もたくさんあったけど、聴いてるだけで面白い。それぞれの個性がうまく融合している。
 それぞれの個性といえば、糸井重里の書いた「船出」という詩にそれぞれがメロディをつけるというコーナーがあるんだけど、できあがった曲がバラバラで個性的。発表順に宮沢和史はアコースティックに歌い上げ、矢野顕子はテクニックを見せつけ、大貫妙子は情緒を表現し、鈴木慶一は壮大さを演出。トリをつとめた奥田民生はハードなのりで攻めまくる。まるで違うくせに、船出という新たなるおもいがひしと伝わる出来上がり。いいぞぉ〜!
 民生以外はみんなナマで観るのは初めてだったけど、特に宮沢和史の歌唱力と矢野顕子の存在感には脱帽だった。
 いろんな曲が演奏されたけど、ラストの「君はTVっ子」「イージューライダー」「星のラブレター」の盛り上がりはとっても最高。そしてアンコールはしっとりと・・・。まだ観ていない人のためにタイトルは秘密にします。
 メインの5人を一同に観られたこともすごいけど、バックを固めるメンバーもすごかった。小倉博和、小原礼、沼沢尚・・・。なんだかとてもおしゃれでゴージャスなライブでした。
 また次も観たい。
 それにしても矢野顕子、年齢不詳すぎるぞ。


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「イッセー尾形のとまらない生活
 2002年春新ネタ」を観る(02.3.29
)

 せっかく東京近辺に引っ越すのだから、東京を満喫しようと、チケットぴあやローソンチケットをあさり尽くした結果、第一弾はイッセー尾形にしたのだ。チケット発売後しばらくたっていたけれど、よくぞチケットが獲れたもんだ。右の写真は開演前のステージ。
 全体の感想を先に書いてしまうと、とにかく面白かった。新ネタ披露も公演5日目(?)でこなれてきており、すでに笑いのツボもおさえたといった感じ。会場に訪れていた永六輔氏も満足したのでは?
 では、全7ネタの勝手な紹介。タイトルは勝手につけてます。
@バーテン2002
 久し振りにバーテン登場。ジュン&みっちゃんも健在だけど、バーテンに特殊能力が備わっている。それを売りに、商売は繁盛しているんだけど、今後バーテンは人としてのキャラクター維持ができるかどうかちょっと心配。
A遺跡発掘
 発掘現場のバイトの娘の屈折した価値観を綴ったネタ。昨年ニュースになった話題をパロっているんだけど、決して発掘者をネタにするのではないところがイッセー風か。舞台をタテに使い、臨場感も出てました。
Bスカウト?鈴木さん
 ストリートミュージシャンにスカウトと間違えられたおじさん。微妙なたとえ話で若者を説き伏せるおじさんの正体やいかに。たとえ話の微妙なズレが絶妙な一本。
C50歳の花嫁。
 まさかイッセー尾形がウエディングドレスを着るとは。晩婚の新婦の控え室に祝福を言いに来る友人達。ところが新郎についてそれぞれが勝手にイメージしていたため、新郎はとんでもない人間に・・・。
D大家族・ヒロシの誕生日編
 大家族シリーズの第3弾。家族で内山さんの家を訪ねるが、そのゴージャスぶりに勝手がわからず戸惑う一同。しかも、内山さんの計らいで長男・ヒロシが誕生日だと知ったおとうさんは・・・。その小市民ぶりが幼少の頃の自分とダブってしまった。「グアヴァジュースってなんだっ!」
E詩の朗読会inローマ
 ローマの小丘でシーザーになりきる日本人観光客。シーザーはかく想い、シーザーはかく語りき。ムツゴロウさん風のおじさんのパワーはすごいのひと言。とにかくめちゃくちゃ笑える一本。
F失われた言語を求めて
 とある大学のゼミ。世界各地の言語を求め歩いた教授が現地に伝わる歌にヒントを見つけ、ゼミでその日本語カヴァーを披露するのだが・・・。その歌詩がめちゃくちゃ原住民っぽく素朴なのだ。あまりの素朴さに笑ってしまう。


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「ロード・オブ・ザ・リング」を観る(02.3.19)

 「指輪物語」が映画化され、今年度アカデミー賞最有力候補らしい。読んだことはないが、その名前は以前から耳にはしていた。「スター・ウォーズ」も「指輪物語」のエッセンスを取り入れているとか。うーむ、確かにそうだった。
 指輪をめぐる壮大なアドベンチャー。ひょんなことから全てを支配する力を持つ指輪を手にしたフロドが、指輪を消滅させるために旅をする。恐怖を味わい、仲間をつくり、勇気を身につけ、絆を育み、疑いを覚え・・・。少年が運命を受け入れて成長する過程がそこには描かれている。
 とにかく大作だった。スケールも大きいけど、時間も長い。途中で2回意識を失いそうになった。でも、きっちりと目を覚まさせてもくれる。話が平坦な部分と大きくうねる部分とでメリハリが効いていて、きっちり起こしてくれるのだ。起きるだけでなく、つい興奮してしまう。
 でも、3部作なんだよなぁ。最初からわかっていたことだけれど、物語は途中で終わってしまうんだよなぁ。3時間も観続けて結果がわからないというのはつらいよなぁ。早く次を観せてくれって言いたくはなるけど、どうせ「つづく」なら3部作にこだわらず、もうちょっとコンパクトにしても良かったよなぁ。
 あと、ホビット族やエルフって欧米では既成の存在なのかなぁ。あの辺を理解するのにちょっと時間がかかった。
 それにしても近頃続編が待ち遠しい映画が多い。「スター・ウォーズ」「マトリックス」「チャーリーズ・エンジェル」「X−メン」「ハリー・ポッター」・・・。これも映画界の戦略か。せめて前作のストーリーを忘れてしまわない程度の間隔で公開してくださいよ。


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「エネミー・ライン」を観る(02.3.12)

 戦争モノ(映画)にはブームがあるようで、'80年代後半「地獄の黙示録」「プラトーン」からのベトナム戦争モノ、'90年代後半「プライベートライアン」からの第二次世界大戦モノ。そして最近は「エネミー・ライン」「ブラックホーク・ダウン」の公開で'90年代の紛争モノがブームになるか・・・。とりあえず「エネミー・ライン」を観た。
 まぁ、面白い活劇映画、アクションムービーだったかな。個人的にはエピソードの時間配分を変えたほうがいいような気もするが、手に汗握るハラハラ感あり、爽快感もあり、楽しめる映画かな。
 ただ、戦争(紛争)を扱った映画であること、日本人にはよく理解できない近代紛争が舞台であることから、紛争の実態が観れるのではと期待していた点は大いに期待ハズレ。紛争の背景や世情、紛争に直面した人や従事した人の気持ち。残念ながら紛争の核心を語るものはなにもなく、ヒーロー・アメリカを強く主張した感じ。平和ボケした日本人にはぜひとも学んでおかなければならない一面だけに、そこを大切にした映画の公開が待ち望まれるのだ。そこまで描くにはまだまだ日が浅すぎるってことかな。湾岸戦争の総括もまだのことだし。
 どうでもいいことだけど、オーウェン・ウィルソンってハーレイ・J・オスメントに似てるよね。ハーレイくんの大きくなったときの顔?


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「モンスターズ・インク」を観る(02.3.5)

 ぼくは最近のディズニーに対しちょっと距離を開けていた。独創性がないというか、なんだかちょっと・・・。次も「ピーターパン2」だし。でも、PIXARと組むディズニー映画はなんて面白いんだろうか。最初は「となりのトトロ」の二番煎じ?とも思ったりしたが、心から謝罪申し上げる次第でございます。
 モンスターの世界のエネルギー源である子供の悲鳴を集める会社、モンスターズ・インク。そこに女の子・ブーが迷い込んだからさあ大変。モンスターズ・インクのNo.1、サリー&マイクとブーとの友情物語かと思いきや、それにとどまることのない二重三重のドンデン返し。よくできてるよ。脚本のしっかりしている映画はジャンルを問わず面白い。
 そしてPIXARといえばCG。やはり人間の皮膚感をだすのはまだまだだけど、今回はサリーの毛並みに注目。なんだ、あの質感は。やわらかそうで、暖かそうで、スクリーンに触れても毛を感じられそうなほど。すごいぞ。さりげなくPIXAR映画の友情出演もあり、その手腕がおしゃれ。そして、PIXAR名物、本編上映前のショートフィルム。屈託なく笑えるぞ。
 ちょっと心が荒んでいたときに観たので、めちゃくちゃ心の奥のところをつかまれた気がした。やられたなぁ。


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「オーシャンズ11」を観る(02.2.26)

 今週はさしずめジョージ・クルーニーweekである。豪華キャストとアカデミー賞監督で話題の「オーシャンズ11」を観た。
 いろんな人の映画評ですでに言われているけれど、別にジョージ・クルーニーでもブラッド・ピットでも、ましてやジュリア・ロバーツなんてまるで必要ない映画。いかに大金を強奪するか。二転三転する波乱含みのコン・ゲームがとても面白い。当然名優達が面白い脚本に味を加えているけれど、その味に頼るところがまるでない。むしろソダバーグ監督の感性とカメラワークに当てはめられているかのよう。
 それは豪華俳優陣だけではない。ボクシングのタイトルマッチのシーンに登場するボクサーはレノックス・ルイスとウラジミール・クリシュコだったりして、ボクシングファンには「マジかよ」もの。どちらが勝つかは観てのお楽しみ。ホントにタイトルマッチやってもいいんじゃないの?そんな豪華シーンまでがソダバーグに当てはめられている。
 もしかしたらこれ以上の贅沢はないのかもしれない。
 で、ジョージ・クルーニーは「オー・ブラザー!」と見較べるととても面白いと思う。共通点は刑務所・元妻・結婚指輪。「えっ」っと思わずにやけてしまうから。リーダーの自覚が十分な分だけ、「オーシャンズ11」の方が貫禄たっぷり。シナトラを意識してはいないと思うけど。
 ぼくの中ではジョージ・クルーニー絶好調!あとは命をかけて逃げのびろ!


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「オー・ブラザー!」を観る(02.2.24)

 ちょっと待て。この映画ってあんまり評判を聞いたことなかったんだけど、すっげー面白いじゃないか。危うく見逃すところだったぞ。「オーシャンズ11」で今話題の2枚目ジョージ・クルーニーが笑わせてくれる。
 それよりなにより、コーエン兄弟の手腕がすごい。刑務所を脱走したトリオのロードムービーなんだけど、'30年代南部アメリカのテイストが旅には詰まっていて作品を味付けているにとどまらず、物語の大きなキーワードになっている。トリオが出会う様々な人とたくさんのエピソード。その全てが使い捨てではなく、リンクしているのにも驚き。強引さも出来すぎも全て含めて面白いのだ。なんという秀逸な脚本と秀逸な演出なんだろうか。
 なんだか本当にアメリカらしいコメディを久し振りに観たような気がする。心から笑える作品を観た気がする。こんな面白い映画があまり話題になっていないなんて。映画のプロモーションって作品の持つポテンシャル以外の部分が大きく作用してしまうからなぁ。でも、この映画の公開が「オーシャンズ11」の後だったら、きっともっと宣伝されただろうし、単館上映じゃなかったかもしれない。
 面白いぞ!


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コットンクラブプロデュース7
「彼女を不安にさせるいくつかのこと」
を観る(02.2.9)

  コットンクラブが面白いといううわさは聞いていた。中西良太、河西健司というTVで良く見るバイプレーヤーが、田島令子を迎えどんな芝居を作るのか?とても楽しみに観にいった。
 まずはぼくが持っていた3人のイメージを。中西良太・・・80年代日テレ系ドラマのチンピラ風若者。田島令子・・・エメラルダス。河西健司・・・よくいる人。
 ホテルの一室で繰り広げられる3人の物語。脱稿直後の女流ミステリー作家とホテルマンと四国のおじさん?それぞれがそれぞれに対し、なにをもくろんでいるのだろうか。かぎを握るのは彼女が書いた小説・・・。
 大人である。それぞれが独自の味を出してちょっぴりミステリアスな人間ドラマを演じきっている。決して勢いに走るではなく、かといって説教がましくなるわけでもなく。
 大人の芝居を意識したときに海外戯曲に目を向けがちな今のベテラン俳優達に、彼らのポジティブな姿勢を見せたいなぁと、評論家っぽく書いてみたくなる舞台だった。


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木梨憲武展「SCORE」を観る(02.2.9)

  前回の個展が一昨年の暮れだから、だいたい一年。それでこんだけ描いたというのか。だって、本職じゃないわけだから、時間だって限られてただろうし。考えただけで圧倒されてしまう。なんという男か。
 とにかく嫉妬してしまう才能だ。ぼくはどうあがいたってあの線を書くことはできないし、あの配色を施せない。細かい幾何学のような落書きタッチ。意味が無さそうなのに味がある。いやいや、今回はしっかりとした意味もある。人物のいる風景も、遠くからの風景も、落書きタッチで観せてくれる。サイズの大きな絵は少ないけれど、滲み出てくる気迫で圧倒されてしまうのだ。
 ぼくが気に入ったのは「TWO POINTS」と香港の風景を描いた作品。香港を彩るネオンサインがまさに落書きのように描かれていて、その発想と奥の深さにただただ立ち尽くすだけだった。
 残念ながら上記2作品はポストカードではなかったけど、他の作品のカードを買い込んでしまった。でも、葉書サイズに縮小しているため、作品の細かいタッチが潰れてしまっているのは残念だけど。誰に送ろうか・・・。
 とにかくぼくも描かなきゃと駆り立てられるすてきな個展だった。



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「WASABI」を観る(02.2.4)

 ぼくのことを「広末ファン」と言う人がいる。別にファンではない。「WASABI」だってリュック・ベッソンとジャン・レノが好きだから観に行ったんだ。そう言うつもりでいたのだけれど、スクリーンで大写しされた広末涼子はめちゃめちゃかわいかった。
 言ってしまえばジャン・レノと広末涼子の魅力全開の映画。とにもかくにもそこが見所。その魅力を存分に発揮させるための親娘設定だし、物語設定だったのでは。ベッソン・マニアの方は日本人役で出演している俳優に注目してちょうだい。どこかで観た顔ばかり。あと、セルフパロディ(実際は監督が別なのでセルフではないけど)のようなシーンも出てきます。
 「新宿まで」と言って着いた場所が秋葉原だったという違和感はあったものの、全世界公開を考えればちょっとした誤差。でも、秋葉原は海外でも有名だからなぁ・・・。
 そうそう、なんかうれしいかったのはクレジットにT.OKUDAが。民生〜っ!世界デビューだ〜っ!


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「シュレック」を観る(02.1.28)

 スピルバーグ率いるDREAMWORKSがCGアニメーションで作ったおとぎ話「シュレック」を観た。さすがはDREAMWORKS。おとぎ話も一筋縄ではいかないひねりが効いている。
 童話のキャラクター狩りが行われ、彼らが追放された先は醜い怪物の住む沼だった。明かにディズニーを意識しているのだろうが、その発想は秀逸。CGアニメーションを制作するという時点でディズニーとPIXERを意識したんだろうけど、というか当然意識せねばならない存在なんだけど、その意識を隠すことなく上手く利用したな。
 童話やディズニーの長所であり欠点は容姿端麗が盛者必栄だということ(日本のドラマや映画もだけど)。野獣だって最後はカッコいい王子様になる。「ノートルダムの鐘」のカジモドはあんなに命を張ってエスメラルダを守ったのに、みんなに人間として認められるだけで終わってしまう。それは最低限のことで、当たり前だというのに。グリム童話は本当はホラーだというのと同様、ディズニーも結構残酷なのだ。それを見事に逆手にとったのが「シュレック」なのだ。そして皮肉やユーモアにとどまることなく、きっちりと大切なことも語ってくれる。
 話は簡単、突っ込んで書くとはネタばらしになってしまうからあえて書かないけれど、疲れを感じたときに観たら笑いながらなごめると思う。
 CGアニメーションの目標は「如何に実写(ホンモノ)に近づけるか」かと思ってたけど、別に写実主義にならなくてもいいんだと気がついた。進化した粘土マペットアニメーション。その素材感がマッチする作品がたくさんあるんだから。
 とにもかくにも新感覚おとぎ話をお試しあれ。


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「こころの湯」を観る(02.1.26)

 中国映画「こころの湯」を観た。かなり前、ニュース23で筑紫哲也が評価していたので注目していたんだけど、やっと新潟にて上映が。公開初日の今日、勇んで観てきたのだ。
 中国映画の特徴なんだろうか、はたまたぼくが観たものの偶然の一致なのか、中国の現代映画ってハートウォームなものばかりだなぁ。30年前の日本のような趣きが郷愁を誘って、必要以上にうるうるしてしまうのはきっとぼくだけじゃないはず。今回の舞台は銭湯。日本の銭湯とはちょっと違っていて、中国の銭湯は小規模健康ランドのような感じ。お客が入浴後マッサージを受け、将棋や闘コオロギを楽しんでいる。地域住民の交流の場となっているのだ。
 そんな憩いの場が立ち退きになることに。都会から帰省した兄と障害をもつ弟、銭湯を経営する年老いた父。銭湯に託す想い、家族への想いが淡々と描かれる。
 銭湯がただ身体を洗う場ではなく、心を癒す場として存在している。いくつかの銭湯にまつわるエピソードは、地域社会の交流の大切さを教えてくれる。それなのに、近代化を図るために素敵な場が取り壊されてしまう。まるで、無機質な地域社会の形成の第一歩のよう。まさに30年前に日本でもあったことなんだ。だからぼくらは自戒心を付加して観てしまうんだな。
 昔のぼくの家は風呂がなかったのでずっと銭湯に通っていた。学生時代の下宿にも風呂はなかったので、銭湯に通っていた。今でも銭湯や温泉が大好きだ。「裸の付き合い」って言葉、現代ではセックスフレンドみたいに聞こえちゃうもんなぁ。


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「ヴィドック」を観る(02.1.23)

 フランス革命前後のフランス。凶悪犯から刑事に転身し、探偵となった男・ヴィドックが鏡の面の男に殺された・・・。なんと謎めいた作品紹介なのだろうか。凶悪犯が刑事に転身するだって?で、探偵となってヒーローと呼ばれる。ヴィドックとは一体どんな男なのか?それだけでも興味が湧くというのに、そのヒーローが経歴も謎のまま死んでしまう。謎だ。謎で仕方がない。
 とにかくアウトロー・ヒーロー・ヴィドックを見定めようかと思いきや、ホントにいきなり死んだだと。なんたる映画か。これでいいのか。
 ヴィドックの伝記を執筆するという作家により事件の全容が明らかとなっていく。とても凝った作りである。ストーリーも映像も、目が離せない面白さ。ヴィドックの経歴がいまひとつ不明なのがちょっと難。
 フランスではヴィドックはとても有名な人らしい。日本でいうところの石川五右衛門や阿部晴明のような。実在はしないものの、語り継がれてきた人物。多くの小説に登場するヒーロー。フランスでこの映画が大ヒットしたのは、そういう背景があったからだろう。ヴィドックの存在を知って観ていたら、数倍面白いかもしれない。
 この作品はDVで撮影されたという。フィルムとの差を見極めようかと目を凝らしたけど、今日びのフィルム作品もデジタル処理されてるからよくわからなかった。でも、画像はとてもきれい。
 日本でヴィドックを映画化すると、ヴィドック役は高倉健とか田村正和とかカッコイイ系の配役となるに違いない。そこが邦画の弱いところなんだけど、観客も太ったおじさんがヒーローということを受け入れ難いんだよな、日本では。西田敏行には気のいいおとうさん的イメージはあるものの、アウトロー・ヒーローのイメージはないもんな。


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「アメリ」を観る(02.1.21)

 素敵な空想家のお話である。ぼくも負けず劣らずの空想癖を持つけれど、アメリにはかなわない。だって彼女は自己中心的になりがちな空想で周りの人々を幸せにしようとするんだもん。でも、誰にでも平等ではなく、嫌いな人はとことん嫌うあたりはぼくと一緒の自己中心か。
 両親から世間とは隔離した生活を強いられて育ったアメリが、独立し世間と向き合って行くまでを描いた作品。メルヘンって言えばメルヘンなのかもしれないけれど、とても素敵なのだ。きっとそばにいたらとても浮世離れしている女の子なのかもしれない。とても疲れる子なのかもしれない。でも、とても素敵なのだ。
 空想から策をいっぱい講じるくせに、その策に溺れかけたりとCUTEなところも満載。アメリの策にはまってみたいし、アメリの矢印を追いかけてみたい。きっとわくわくでいっぱいなんだろうなぁ。
 アメリって「東京大学物語」の水野遥っぽいよなぁ。勝手な想像なんだけど、「ハリー・ポッター」の著者はきっとアメリの心を持った女性なのではないかなぁ。


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伊東四朗・三宅裕司コントライブ
「いい加減にしてみました2」を観る(02.1.20)

 ぼくが高校生のころ、日テレ系で三宅裕司の「いい加減にします」を放映してたんだよな。最初は植木等が出演していたのが、いつの間にか伊東四朗に変わって。とても面白かったのに、半年で終わったんだよなぁ。今おしゃれ関係やってる枠。
 その復刻版みたいのが今回の舞台。2というくらいだから当然1が4年前にあって、それはナマでは観られなかったが、ビデオでチェックはしてたのだ。面白かった。
 で、今回4年ぶりに復活。ゲストとして小倉久寛を迎えるんだけど、ゲストというよりいて当然のメンバーなのだ。周知の中の後輩だけにやり易かろうし。逆かな?
 それにしても伊東四朗の勢力的な舞台活動はすごい。昨年は小松政夫とのコンビを復活させたと思えば、三谷幸喜の「BN☆GT」で大暴れし、そしてこれだ。当然TVも継続して出演しているんだから、まさに役者の鑑。そんな伊東四朗がボケるんだから、三宅も心してツッコむ。小倉は負けじとボケたおす。その必死さがまた面白い。
 ネタ的には同じボケを何度も繰り返すバカネタはちょっとつらかった。けど、変幻自在のボケが連なりだしてからは笑いっぱなし。特にTV時代から続くどうしても歌ってしまう2人のコントは伊東・三宅コンビの伝家の宝刀。これが始まったらただただ笑うしかないのだ。
 今回は三宅・小倉のコントライブ「タイトルマッチ」と同様に楽屋裏としてコントの合間の着替え風景を観せたのだけど、ここでの会話も面白かった。話題はどうでもいいようなことなんだけどね。全部アドリブなのかなぁ。毎日違うのかなぁなどと勘ぐったりして。
 小人数のコントだけに散漫とならなかったことで面白さが倍増したし、三宅が余計な芸達者ぶりを披露せず笑いに集中していた分、SETものや三宅・小倉コンビの時よりも面白かった。やはりこれも伊東四朗のなせる業か。
 東八郎亡く、萩本欽一潜む現在の下町の笑いを伊東四朗が支えている。そんな印象を強く感じるコントライブだった。三宅裕司、小倉久寛、後継に選ばれてるんだから、いっぱいがんばれ!


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「彦馬がゆく」を観る(02.1.19)

 この作品は三谷幸喜作品で唯一、長い歳月が演じられる舞台だそうだ。東京サンシャインボーイズ時代以来の再々演だそうだ。それだけ三谷幸喜が気にかけている作品なんだろう。
 幕末に日本で初めて写真館を開業し、多くの志士たちを撮影した男の物語である。いや、男とその家族の物語・・・いや、男とその家族と志士たちの物語である。時代の流れをつくろうと奔走する男たちと、時代の流れに翻弄されまいとする家族愛。そしてそれらが織り成す笑いのハーモニー。
 とにかく洒落てる。三谷作品初の時間の流れをどう表現するかと思っていたら、写真器の性能の進歩で現してきた。そのスピードたるや、維新という時代の潮流と呼応するかのような早さで。うまい。ふと「バックトゥザフューチャー」のデロリアンを思い出してしまった。
 それと桂小五郎の変化にも笑いとともに時間が読みとれて面白かった。なにせ梶原善がいいのよ、これが。
 いや、彼だけでなく、すべての役者がきっちりと立っていた作品だった。誰ひとり添え者はなく、異常に味を出している。そこが三谷作品の魅力のひとつであり、役者達がそれに見事に応えている。いいなぁ、とっても。誰のどこがと言い始めると切りがなくなるので割愛するけど、ほんとみんな光ってるのだ。小日向さんのとぼけといい・・・。
 前回の「BN☆GT」では鑑賞後何も残らないコメディがうたい文句だったけど、今回は笑えるとおなじくらい胸にも響く作品だった。
 ラストで桜吹雪が大量に舞う。一番前だったぼくの所にも桜がブワーっ。気付けば桜まみれとなっていたのだ。その桜がこちら。まぁ、ただの紙切れなんだけど、宙を舞う様はまさに桜吹雪なんだよな。印象に残るシーンだった。
 最後に。笑っている松重豊を初めて観た。


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「ダンボールハウスガール」を観る(02.1.12)

 米倉涼子初主演映画「ダンボールハウスガール」を観た。アメリカ行きの夢をかなえるため倹約をして金を貯めた主人公・杏は出発前日に全財産500万円を盗まれてしまう。金も住む家も失った杏は浮浪者のグループと出会い・・・。
 夢を追うこと、自由であること。もとから強く願っていた彼女だけど、社会システムからはずれたがゆえに経験したことがその想いをさらに強めていく。今の社会の中で生きて行くために払っている代償とは・・・。
 窮地の中でも前を向く意志を取り戻し、進む彼女はとても清々しい。それと同時に人というものは孤独を装いながらも人とのつながりなくしては生きていけないことを認識させられた。
 でも、ダンボールで暮らす彼女があくまで浮浪者たちとは一線を画していたのがちょっと気になった。前向きに進むことを願う彼女と浮浪者達との間には理解はすれど当然交わることのない最後の一線はあるだろうけど、ダンボールハウス生活があくまでステップのひとつであるということは・・・まぁそんなものかなぁ。貧しき中にも心の豊かさを取り戻したということでよしとするか。
 米倉涼子にはとてもハマリ役でした。


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奥田民生 tour0102
奥田STANDARD民生CUSTOMを観る(02.1.10)

 今夜、ぼくはギターを掻き鳴らすだろう。誰も知らないコードで、誰も感じたことのないリズムで・・・って、それじゃただの雑音か。でも、気分はこうなのだ。
 耳にはずーっと耳鳴りが響いているから、必要以上のでかい音になるだろう。隣り近所や居候のネコも全身の毛が逆立つかもしれない。苦情が殺到するに違いない。でも、そういう気分なのだ。
 民生のツアーが今年は冬に来た。「スケジュールの組み方間違えた」なんて言いながら、だらけているように見せながら、気合いいっぱいでやって来た。伝えたいことを歌にして、いっぱいいっぱい聴かせてくれるのだ。Dr.Strange Loveの2人もしったかも斉藤有太も、民生とともに想いを乗せてくれるのだ。それはとても素敵で、とても素晴らしく、とても心に響くのだ。
 だからぼくもギターを弾きたい気分なのだ。ぼくの想いをでたらめな言葉でも、あやふやなハミングでも伝えたい気分なのだ。それが雑音に聞こえようと、近所迷惑と言われようと。
 ライブ映像を逆手に取ったオープニングや、民生の歩みをまとめたような映像。これまでの演出とは趣の異なる、民生にとっては斬新なライブ。耳鳴りが心地良い。
 これくらい書けばもういいかなぁ。ぼくの気持ちは伝わるかなぁ。でも、早くギターを弾きたいから、この辺でおしまいなのだ。
 最後に一言、「やっぱ民生はいいっ!」。


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「ショコキ!」を観る(02.1.5)

 JOVI JOVAのマギーが監督・脚本をつとめる映画、「ショコキ!」を観た。今日はなんとマギーが舞台挨拶をするというので、座席指定前売りを購入して観に行ったのだ。会場は若い女性でいっぱい。映画館の両側の通路にまで立ち見客。ぼくは明かに浮いている。しゃーないか。
 上映前、マギーが登場し、軽くトーク。そして上映。
 映画は2台のエレベーターに閉じ込められた一般人(?)6人とJOVI JOVAの6人の物語。一見、あせる一般人とノー天気なJOVI JOVAの対比のような構造であり、実は空想と現実の対比だったり、創り手と演じ手の対比だったり。JOVI JOVAがストーリーテイラーのようでいながらも、話は違う方向に進む。手の込んだ二重構造を形成しているのだ。のせたり、すかしたり。うまいなぁ・・・。
 エレベーターの中ではスリルとサスペンス、人生やメルヘンまでもが笑いというオブラートに包まれて結構深い。その深みの分、全編大爆笑とまでは行かないけれど、笑いとは違う想いが心に残る仕上がりになっている。
 惜しむらくはJOVI JOVAのキャラありきの設定がなされていることか。それが笑いの全てではなく、あくまでいくつかのピースなんだけど、万人が見るとちとつらいか。
 マギーは上映前、「この映画は大勢で観てもらいたい。いろんなタイプの笑いが入っているので、それぞれ笑いのツボが違っても会場の何処かで絶えず笑い声が聞こえ、連鎖反応の起こるような映画」と言っていた。で、ぼくの思わず吹き出したとき、会場は以外にもシーンと静まっていた。なるほど、そういうことか。
 上映後、再びマギーが登場し、トーク&質問タイム。最後の質問で女の子が「ショコキの意味を教えてください」。これにはマギーもちと戸惑い、「えっ?わからなかった?みんなも?じゃぁ、会場の中で一番年上だと思う人?」。女性が手を上げたのでボーっと見てたら、マギーがぼくを見て一言。「おとうさんいるじゃないですか」。かなり傷ついたが、気を取り直して正解をコール。「昇降機」。
 確かに三十路だよ。ひげのせいで(?)老けて見られるよ。でも・・・、でも・・・。まぁ、女の子達とは笑いのツボも違ったことだし、しょうがないか。


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「ピストルオペラ」を観る(02.1.4)

 鈴木清順監督の最新作「ピストルオペラ」を観た。鈴木清順の映画は難しい。というか、物語の大枠を決めたら、後はつなぎとか整合性をあまり気にせず、自分の撮りたいシーンをひたすら追及しているみたいだから。ゆえにワンシーンごとの完成度は物凄く高く、濃密な映画なんだけど、やっぱりわかりずらいんだよなぁ。とはいえ今作は単純なストーリーなので、これまでの作品よりはわかりやすい。
 で、この映画のなにがいいかって、主演の江角マキ子がとてもSEXY。江角マキ子という存在があってこその映画だし、鈴木清順も如何に彼女をキレイに撮るかを目的に撮影しているかのよう。長い黒髪に和服とブーツ。これほどまでに着こなせる女性は他にいないと思う。そしてカッコいい。素敵なのだ。脇を固める役者達もいい味出しているけれど、江角マキ子なくしては彼らも光らないのだ。
 鈴木清順による江角マキ子のための映画。江角マキ子が月のような影を抱きながら太陽として輝く映画。それが「ピストルオペラ」なのだ。
 そうそう、画面のサイズが4:3だったのはかなり不満。


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