artな戯れ言2019


このページではartな戯れ言を集めて掲載しています。


ヨーロッパ企画第39回公演「ギョエー! 旧校舎の77不思議」を観る(19.10.5)

「永遠に青春のヨーロッパ企画、小ネタ大放出で笑いが止まらない。」
 学園だったり、同級生だったり。ヨーロッパ企画の作品にはいつも青春があふれている。それがなんとなくこそばゆくて、ハマっちゃうんだよね。ヨーロッパ企画の役者たちの関係性も安定していて、落ち着いてさ。さすがに生徒役はつらくなってきたのか、今回は客演で補うんだけど。
 今回の目玉は学園(旧校舎)を舞台とした怪談話。しかも不思議が77個も。77個本当にあるのか?って心配になりながらも、77個の不思議(小ネタ)を堪能できる。あっ、もちろん大ネタもありますよ。そのネタの発想に大爆笑なんだよね。
 舞台上は楽しんでますってのがいい意味ですごく伝わってきて、こっちも楽しくなってしまう。シリアスをシリアスで消化させるのでなく、笑いを交えて流していく。それもまた伝え方なんだよね。逆に刺さったりすることもあるし。
 そんなヨーロッパ企画らしさが満載の舞台、脳ミソ空にしてめちゃくちゃ楽しみました。


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「レ・ミゼラブル」を観る(19.9.10 & 16)

「戦う者の 歌が聞こえるか? 鼓動があのドラムと響き合えば♪」
 小学校の読書感想文用として『あゝ無常』が推薦されてたっけ。そのタイトルの響きがいかにも重くて結局読まなかったんだけど。だから、レミゼがその『あゝ無常』だと知ったのは、映画版を観た後だったっけ。運命に翻弄される信念の男の物語だったんだって。
 数十年ぶりという札幌公演、2回観ちゃいました。キャストの違いを堪能する…なんて通ぶったつもりで。結局のところ言うほど違いを堪能できるほど目が肥えてなかったんだけど、2回観てよかった。初回はとにかく圧倒されてどこを観ていいのかわからずにきょろきょろしてたんだよね。でも2回目はなんとなく勘どころがわかってきたというか。だから2回目は伏線となる動きを事前に見つけることができて、初回に??だった流れが鮮明に見えてきたというか。もちろんそうなるとますます物語にのめり込んで行って。もう最後にはボロ泣きさ。
 2日目はこの日が千秋楽だった方が多く、カーテンコールでは一言づつご挨拶が。みなさんのレミゼに対する思いの強さにまた目頭が熱くなってくる。劇場を出る時は『民衆の歌』がぼくの胸に鳴り響いて。
 こうなると映画版ももう一度見直したくなるんだよね。

10日夜の部

16日昼の部


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大札幌成金ザ・ファイナル 昼の部&夜の部 を観る(19.9.8)

「小痴楽&伸三、真打昇進おめでとう。来年は鯉八も」
 落語芸術協会の二つ目たちが集まった落語会・成金。メンバーが真打に昇進したら解散という決まり。そして今日出演の小痴楽と伸三の真打昇進で解散が。来年には鯉八も真打に。それはとても喜ばしいことなんだけど、もったいない気もしてさ。札幌ではこれが見納めということで、昼夜通して観てきたさ。

まだ途中です

【昼の部】
『皿屋敷』 春風亭柳若
 。
『勘定板』 春風亭昇也
 。
『湯屋番』 柳亭小痴楽
 。
『やぶのなか』 瀧川鯉八
 。
『文七元結』 桂伸三
 。
【夜の部】
『七段目〜奴さん〜』 桂伸三
『にきび』 瀧川鯉八
『井戸の茶碗』 春風亭柳若
『壺算』 春風亭昇也
 。
『大工調べ』 柳亭小痴楽



昼の部&夜の部


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新さっぽろだよ!演芸秘宝館2019 を観る(19.9.7)

「自由気ままな演芸秘宝館。新さっぽろだからね。」
 開演まであと10分。劇場前のベンチに座っているのは…ナオユキ?入り口には正太郎がにこやかに笑顔を振りまいて(写真撮ってもらいました)。天どんがCD販売していて、舞台では小しらが前説してる。なんとまあアットホームな。内容もまたほんわかムード満載で。
 札幌でも巻き起こっている落語ブーム。でも、演芸という意味で幅広く楽しめるのって狸寄席とここぐらいだもんね。あと、サンピアザ劇場の客は優しいんだよね、いい意味で。そんな素敵な会の模様を少しだけ。
『曲芸』 翁家和助
 テレビでの染太郎・染之助で育ったので、演芸場で観る曲芸の凄さに驚いてばかり。ぼくには絶対無理。すごい芸しながら笑かせるなんて。
『棒鱈』 春風亭正太郎
 棒鱈はここ数回桂宮治で聴いてたので、それとは違う味わい…というか筋自体が少し違ったのでまた楽しめた。聴きくらべできるのは落語の魅力だよね。
『カンカラ三線』 岡大介
 岡大介を見るのはこれが2回目。あの純朴そうな顔で結婚したんだってね。温故知新を地で行く歌謡ショー。
『湯屋番』 立川こしら
 立川一門からは志らくの一番弟子・こしら。とっぽい噺家なのかなと思ったら、さにあらず。若旦那がまるで現代っ子な湯屋番は、立川流の遊びがいっぱい。
『セミの声』 三遊亭天どん
 ただただ欲望を満たすため。セミの声がうなる暑い夏の不動産屋と客の攻防。いやらしさすら天どんらしい新作です。「てめー、このヤロー、ぶっ殺すぞー」はつい先日も聞いたフレーズで。
『漫談』 ナオユキ
 一番の収穫。あるあるボヤキ漫談なんだけど、愛情と毒が絶妙にブレンドされていて、場末の酒場に群がる人たちを包んでくれる。最高です。鶴光のお弟子さんだそうです。

開演前、正太郎との2ショット

演者揃って抽選会


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「風をつかまえた少年」を観る(19.9.5)

「好きで生まれてきたわけじゃない、選んで生きてこれたわけじゃない、けど」
 アフリカの小国マラウイ。貧困の差が激しく、農民たちは乾いた大地で細々と穀物を育てる。悪天候に怯え、諦めることに慣れ、目先の生活に追われる。学を欲するも貧困であきらめ、学を得るも使う途のない境遇。そんな中、独学で風力発電を作り、畑に潤いと収穫をもたらせた少年の実話を基にしたお話。
 イメージとしては少年・ウィリアムのが風力発電を組み上げていく過程が詳細に描かれると思ってたんだよね。でも、実際はこの国の貧しさ、不条理さと、親としての葛藤がメインだった。それはまたせつなすぎるんだよね。父の、母の、息子の、娘の、族長の、若者たちの。いろんな人たちのせつなさが痛いんだよね。
 この土地で生きること、学を通じてみんなに幸せをもたらすことを諦めなかったウィリアムを賞賛するのは当然なんだけど、家族や村を救ったダイナモをもたらした器量よしの姉の存在は欠かせないよね。
「好きで生まれてきたわけじゃない、選んで生きてこれたわけじゃない、けど好きで生きていたい」
 ぼくの大好きなsionの歌のフレーズが頭から離れなかった。日本に生まれて贅沢なんて言っちゃダメだよね。


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山本 甲士「ひかりの魔女 にゅうめんの巻」を読む(19.8.23)

「やさしさに包まれたなら、それで♪」
 52歳のおっさんが書くのも何なんだけどさ、優しくされたいって思う今日この頃で。優しくされた記憶ってやっぱ心に残るし、誰かに繋げたいって思うもんね。朝のワイドショーが連日あおり運転一色になり、キレる老人が話題となる昨今、優しさがあれば少しづつ変わるのかも。もちろんこのぼくにも。
 作務衣、地下足袋、割烹着に姉さん被り。80歳を過ぎても自然体のおばあちゃん・真崎ひかりが活躍する『ひかりの魔女』シリーズの第2弾。今回もひかりさんがいつの間にやらみんなの気持ちを前へ前へと向けてくれる。前作でも登場した自称「一番かわいがってもらった」お弟子さんも後押しもあり、ひかり信者がますます増えていく(あっ、決して新興宗教じゃなくて)。
 今回も斜陽に立たされた4人がひかりさんに出会い、優しい気持ちに触れ、優しさを取り戻していく。その連鎖がなんとも心温まるんだよね。人のやる気スイッチがどこにあるか、本人すら気づいてないスイッチをいつの間にか押してるんだよね、ひかりさん。このシリーズを読むと自分もそんな人間でありたいって思うんだけど、なかなかどうして現実はギスギスしちゃうんだよな。世の中にはひかりさんと反対側の人もたくさんいるから。
 ひとつづつ、少しづつ。ぼくも優しい人になりたいって。そして優しさに包まれたいって。そう思える一冊でした。


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「工作 黒金星と呼ばれた男」を観る(19.8.17)

「ロレックスとタイピン。北と南。」
 韓国だからこそ作れる作品だよね。日本じゃスパイって現実味がないもんね。この物語が実話ってことが日本じゃ信じられないことだから。
 北朝鮮の核開発情報を得るために接触を図るコードネーム・黒金星(ブラック・ヴィーナス)。北朝鮮の外交を担当するリ所長と懇意になり、金総書記に会うまでに至る。それがもうスリリングで。疑い深い北朝鮮の執拗なマークをかわし、懐に入り込む黒金星。緊迫の連続。そして芽生える友情?
 互いに想う祖国は違えども、相反する敵国であろうとも、人としてすべきこと、やるべきことは同じであれば、心って繋がるのです。それが国策に反していようとも、追われる身になろうとも。
 最初はスリルを楽しむ映画と思ってたけど、最後には目頭が熱くなってしまった。日韓関係が悪化の一途をたどっているけど、一人一人を見れば感じ方も変わっていくと思うんだけどね。


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快楽亭ブラック札幌毒演会・十一 を観る(19.8.10)

「これが毒とエロの固まり、快楽亭ブラックか!!」
 とある真言宗のお寺の本堂に小さな椅子が並べられている。50席くらいだろうか。まさか、こんな厳かな場で、立川流の異端児(もう脱退してるけど)・快楽亭ブラックのエロと毒がまき散らされようとは。もちろんぼくはそれを期待してきたんだけど、すごい立派なお寺だったんだよね。いいの?ここでそんなことして大丈夫?ってハラハラしちゃう。
 マクラはホント毒満載。ジャニーズ、吉本問題を独自の情報をもとにぶった斬り、3年後に訪れるであろう女流落語家ブームをエロく解説して。ほとんどが放送禁止だし、具体的な内容をここに書くこともはばかれるような。ナマでないと聴くことができない特別感にニンマリなのだ。
 病みつきになりそう。
『YES』 伊達家粋鏡
 元公立高校の先生が退職されてアマチュアとして高座に上がっているんだとか。新作どんなもんかと思いきや、これがすごくよくできていて。バンドの名前が寿限無調。面白かった。なんだろな、寿限無だけに一人語りが多いんだけど、もっと合の手を挟めば一本調子にならずにもっと面白くなるんじゃないかなって。
『萬金丹』 快楽亭ブラック
 お寺での毒演会ということで、お寺にまつわる古典を一席。でも、ちゃんと毒がある噺なんだよね。で、エロもときおり混ぜ込んで。
『人性劇場』 快楽亭ブラック
 平成の初めの頃、冷夏の影響でお米不足となり、巷にはタイ米が出回って。そんな時代の風俗事情を妄想したどエロ落語。国際問題に発展しそうなネタではあるけど、それはそれでご愛嬌ということで。
『イメクラ五人廻し』 快楽亭ブラック
 仲入り後はイメクラのおかしなシチュエーションを堪能するお噺。ブラック、イメクラが好きなんだなぁ。まぁ、妄想する場だから噺も作りやすいんだろうけど。4人目の客はお国的にまずくないか?言論の自由に乾杯。
『立川流バトルロワイヤル〜さわり』 快楽亭ブラック
 マクラもなにもなしに唐突に始まったと思ったら、途中でバッサリ。CD販売のためにさわりだけ、立川流一門が生き残りをかけたサバイバルのお噺を、とりあえず志の輔が死ぬところまで。こんなもん聴かされたら買っちゃうだろ、CDを。


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東京成人演劇部vol.1「命、ギガ長ス」を観る(19.8.7)

「松尾スズキの独特の動き、真似できなくて最高なんだよね」
 大人計画の主宰でテレビ、映画でも役者・監督として活躍する松尾スズキ。ぶっちゃけ見た目は冴えないおじさんなのに、すごくカッコイイんだよね。
 今や大きな劇場で豪華絢爛なキャストとセットを駆使する売れっ子が、原点回帰とばかりに小劇場で二人芝居。もうね、近いんです、距離感が。すぐ目の前で松尾スズキと安藤玉恵が絶妙な絡みを見せてくれる。
 8050問題。高齢者が引きこもりの子供を年金で養う現実が問題になっているという。ぼくとうちの親の年齢にも近いんだけど、おかげさまでぼくは社交性を一応兼ね備えたので、該当はしないんだけど。想像するだけでヘビーだなって思っちゃう。でも、松尾スズキはその重さを軽妙な展開で観させてくれる。老齢の母と中年息子に第三者の視点を加え、それぞれが複数役をこなし、依存する者、依存される者の関係を描く。それは表裏一体だと。
 やっぱ松尾スズキのあの動き、だらだらしていながらもキレのあるあの動きはたまりません。そして、女子大生を演じるよりも老齢の母の方がキュートな安藤玉恵。二人の魅力がいっぱいで。
 札幌に来てくれたことにすごい感謝を覚え、松尾スズキの優しい毒を堪能したお芝居でした。


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道新寄席 柳家喬太郎 三遊亭天どん 二人会 を観る(19.8.6)

「自由すぎる二人会、札幌に新作の種は植えられたか?」
 きっかけは喬太郎独演会への飛び入りだったんだよね、天どんの道新寄席二人会シリーズ。白鳥との兄弟会、円丈との親子会に続き、満を持しての喬太郎との二人会。まぁ、新作の雄・円丈の方が本来満を持してって感じなんだけどさ。札幌での人気を踏まえると喬太郎の方が。でも、この二人会シリーズ、みんな新作の使い手なんだよね。ってことは、これからも新作の会として続いて行ったりしないかな?
 それにしても自由な。主任が天どんということで、喬太郎の気楽なこと。本人ぶっちゃけてるし、イラスト満載だし(下の写真参照)。テイストは道新寄席というよりも喬太郎北伝説だよなぁ。
 天どんもいつもは道新文化事業部への気づかいがすごいのに、今日は振り切って新作並べて。
 ということで、道新寄席に新作の会が根付いたと勝手に理解納得大爆笑した二人会でした。
『消えずの行灯』 三遊亭天どん
 宮戸川?時そば風?と思わせといて、夏にぴったりのお噺。バカヤロー、コノヤロー連発の威勢のよさも場を盛り上げて。でも、それ以上にサゲの作りが秀逸すぎて。作家としての才能がビシバシ伝わってきます。
『ちりとてちん』 柳家喬太郎
 柳家のお家芸のひとつ。顔が真っ赤になるところが師匠・さん喬譲りだなって。
『ウルトラのつる』 柳家喬太郎
 もうね、ウルトラマン好き、ウルトラマンへの愛情しか感じられないお噺。『帰ってきたウルトラマン』がなぜジャックと呼ばれているのか・・・。それだけで落語を作るその愛情に感服です。
『ともびき寄席』 三遊亭天どん
 最後にこんなとんでもない噺を持ってくるとは。セレモニーホールが閑散期に開催した素人寄席は、なんともつらい寄席なので。その寒さを笑いに変える、ひとつ間違えれば大惨事になるようなリスキーな噺。天どんにしかできないよなぁ。


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白石一郎「海王伝」を読む(19.8.2)

「まだまだ続きが読みたいけど…映像にするならぜひアニメで。」
 やっぱ男のロマンだよね、大海原は。大海原に漕ぎ出す海洋ロマン小説はワクワクするんだよね。本作は『海狼伝』の続編。もう早く続きが読みたかったんだけど、ちょっと寄り道して期待を膨らませておりました。
 対馬で生まれた笛太郎。明国生まれの盟友・雷三郎とともに村上海賊に拾われ、小金吾とともに小金丸で明国を目指した話の続きなのだけど、大海原に漕ぎ出した話の続きなんだけど、なぜか紀州の山の中から物語が始まる。でもそこが続編らしさをいい感じに醸し出してくるんだよね。
 大海に漕ぎ出した一行を待ち受ける高波と数奇な運命に翻弄されながら、荒ぶる海賊たちと対峙し、渡りゆく小金丸。男たちの冒険は始まったばかりなのだ。
 因縁の対決、帰りを待つ女。物語はまだまだ続くはずなんだけど、面白すぎたからもっと続きを読みたいんだけど、いまとなってはそれは叶わない。そうと分かっていながらも、この楽しさは読まなきゃ損なんだよね。


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「ザ・ファブル」を観る(19.8.1)

「美人は存在だけでいろいろと大変なんだなぁ。」
 役に入りきっているんだろうけど、あの繊細な美少年・岡田准一がどんどんおっさんになっていく。闘うための太い筋肉がかつてのシャープさを奪い、逞しさに変えていく。それはそれでカッコいいんだけど、もしかして役の幅が狭まってはしないか?肩幅は広くなったのに。
 とはいえ、岡田准一無くしてありえなかった映画が今作だと思う。正直ストーリーは後付けでもよく、岡田准一のアクションとギャップをとことん堪能するための映画。あっ、それと山本美月の可愛さにうっとりするための映画。
 だから任侠の世界のゴタゴタなんかどうも頭に入ってこず、かわいい子は危険がいっぱいなんだなって。ぼくにはかわいい子を守り、救い出すスキルがないので、かわいい子に恋しちゃいけないのかなって。
 豪華なキャストが岡田准一のアクションに食われていく。そんだけ面白いのだ。今回もスタントなしだそうだから、流石としか言いようがない。やっぱこれを見せる映画だから。まいりました。
 珍しく弾けた役の木村文乃も、最後に哀愁を漂わせた安田顕も健闘したけど、やっぱ岡田准一だったよなぁ。あと山本美月のかわいさと。


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「天気の子」を観る(19.7.27)

「新海誠が目指すところはアニメ界の山田洋一か?」
 夏に甘酸っぱいアニメ映画を観るのが恒例になりそうな。でも、個人的には昨年の細田守作品がちょっと残念だっただけに、今年の新海誠作品はどうなんだろうなって不安になってたりして。で、率直な感想としては普通に楽しめました。
 で、ここからはネタバレというか、印象バレというかがそこかしこにちりばめられるので、これから観ようって方はご注意ください。
 これは新海誠の鉄板なんだろうな。このフォーマットをくりだせば失敗しない、大きな冒険はしないという。『君の名は。』があまりにヒットしすぎたからか、新海誠の根っこだからか。ゆえに、設定や登場人物などが違えど、ある意味同じに見えてくる。もしかしたら、新海誠は同じフォーマットでどれだけバリエーションを創り出せるのかを挑み続けているのかもと思ってしまうくらい。もうそれは山田洋二の域にチャレンジしているかのような。
 ただやっぱり映像はすごかったなぁ。フォーマットのひとつに「降る」があるのかと。『君の名は。』での星が、『天気の子』では雨になって。この雨が繊細に描かれてるんだ。雨粒、しずくの美しさ。雨の遠近感、雨の透明感。この雨の映像だけでも観る価値があるのです。
 あと、お遊びもしくはファンサービスのつもりだったんだろうけど、『君の名は。』を使いすぎだよなぁ。そんなに引っ張らなくてもいいような気がするし。でも、このフォーマットを続け、一連の登場人物を小出しにすることで、最後に大きな大河ドラマを創作しようとしているのなら、それはあまりに策士だぞ。ただ、そこに至るまで客を維持できるかが問題だけど。
 あと、俳優を声優としてキャスティングするのって難しいよね。小栗旬はどんなキャラでも小栗旬だったし、平泉成にいたっては平泉成の顔しか浮かばないから、平泉成の顔をそのまま使ってくれよって思っちゃった。
 それともうひとつ。細田守も新海誠も、ちょっと斜に構えたアウトロー的な、でもホントは気の優しいオトナって、逆二等辺三角形顔でもじゃもじゃ頭なんだよなぁ。


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TVh落語厳選! 第三回「いまが買いドキ!若手会」〜最高に面白い若手連れてきました〜を観る(19.7.23)

「A太郎北海道初高座。小辰、紅純とともに3回目の若手会」
 今が買い時!若手会も今回が3回目。間隔があきすぎちゃって、うっかりすると忘れちゃうんだけど、今回は待望のA太郎が出演するってことで。
 新作・古典を自在に繰り出す長身イケメンのA太郎。落ち着いた話しぶりで古典をじっくり聴かせる小辰。この二人を聴くはともに2度目。そして女流講談師で初めて聴く紅純。
 紅純のたどたどしい司会から恒例の順番決めくじ引き。小辰→紅純→A太郎の妥当な順で始まり始まり。
 で、各々の感想は下に書くとして、次回は雷門音助、春風亭市蔵、そして大好きな瀧川鯉八。でも開催は来年の4月って。で、チケット先行販売ってどんだけ気が早く、長く待たせる気なのかな。まぁ、買っちゃったんだけどさ。
『金明竹』 入船亭小辰
 先日師匠・扇辰の落語を聴いたんだけど、小辰の落語は扇辰ほど江戸っこぽくなく、それでいて落ち着き払っていて。二つ目らしくないんだよなぁ。関西弁も堂に入っていて。
『講談特選 笹野名槍伝より「海賊退治」』 神田紅純
 講談師には女性が多いって松之丞が言ってた。その中でも若手の紅純。もうちょっと余裕をもってためを作れればいいのになぁ。
『妾馬』 昔昔亭A太郎
 トリになったから新作やめて古典の人情噺って。来年五月に真打になるんだし、北海道初高座だったんだから、ひよってほしくなかったなぁ。で、古典はというと、最初走ってるなぁと思ったんだけど、途中から阿呆が様になってきて。次はぜひぜひ新作で。



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「八神純子Live キミの街へ〜Here We Go!」を観る(19.7.20)

「思い出は 美しすぎてそれは 悲しいほどに…」
 やっとです。やっと八神純子のコンサートを観ることができました。昨年はいろんな人が出てるLiveで3曲だったので、単独は初めてなのです。しかも、彼女自身が初となるライブハウスツアーに。
 開始30分前に会場に到着したんだけど、超長蛇の列。全席指定だから早く入らないとまずいってことはないんだけど、もうびっくりで。しかも年齢層高め。ぼくが一番若いんじゃないか?って感じで。ちなみにチケットはSOLD OUTで。
 もうさ、新旧織り交ぜての選曲、たまらないのです。ティーンエイジに聴いてた名曲の数々、いまの彼女を知ることができる楽曲たち。変わらぬ歌声、高音がびんびん響き渡って、首筋がぶるっと来るの。あっ、これはぼくが感動してる時のサインなんだけど。
 富良野のスキー場のリフトに乗りながら聴いたデビュー曲『思い出は美しすぎて』、高音とサンバホイッスルに魅了された『みずいろの雨』、ニューヨークの風を感じた『パープルタウン』。他にもいっぱい聴いたけど、もう懐かしくて楽しくてうれしくて。
 穢れを知らぬ少年時代に戻ったような錯覚すら覚え、弾みながらの帰り道は「ふっふっふぅ」なのでした。


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蒼井碧「オーパーツ 死を招く至宝」を読む(19.7.14)

「すごいミステリーというよりも、ライトノベル連作って感じです。」
 瓜二つのアカの他人がバディとなり、オーパーツ(場違いな工芸品=場違いな遺物)が絡んだ事件を解決していく短編4連作ミステリー。このミス大賞受賞作なんだけど、軽〜い感じで読める一冊です。
 瓜二つがためにオーパーツ鑑定士・古城深夜に振り回される鳳水月。当初は不快感ばかりだったんだけど、高額バイトに魅せられて行動を共にするうちに、名コンビへと変わっていく。正直短編だけに深みにかけるのは否めないんだけど、往年のバディものドラマみたいな感覚で読み進められるんだよね。世界各地で解明されぬまま謎とされる遺物に対するうんちくもまた面白く、話のマクラとしてはバッチリだよね。
 これがシリーズ化されたら、いつかは映像化ってことになるのかな?そしたら一人二役なのか、似た顔の俳優なのか・・・悩むよね。


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「第二回 入船亭扇辰 独演会」を観る(19.7.6)

「江戸っ子らしい口調の江戸落語。でも出身は長岡市?」
 今回は初めて聴く入船亭扇辰。なんと、今回の独演会は我が家のご近所さんが席亭なのです。一体どんな落語を聴かせてくれるのか?楽しみでしょうがなくいて。
 会場は渡辺淳一文学館ホール。ステージが一番下に合って、客席から見下ろす感じ。どっから出てくるのかなって思ったら、最後列から階段通路を降りての登場で。で、語りだしたは江戸っ子口調。なのに出身は長岡市。このミステリアスさが面白い。正統派の古典落語。きっちり積み重ねた歴史と味のある洗練された江戸落語。特に今回のネタは聴きくらべができたので、その違いがよくわかり。ということで、江戸の風を存分に感じることができた独演会なのです。
『百川』 入船亭扇辰
 偶然にも半月前に一之輔で聴いていて、一之輔が今に通じるための足し算なのに対し、扇辰は余計なものは加えず、キレ味を鋭くした感じの引き算みたいな。とってつけた大きな笑いはないけど、終始クスクス笑い続けられる味わいになってました。
『江戸の夢』 入船亭扇辰
 初めて聴くネタ。田舎の庄屋さんが素性不明の婿の頼みで江戸見物の際に老舗のお茶卸問屋に伺い…。人情噺です。田舎から江戸へってことで、長岡から上京した扇辰になぞらえるのは横暴すぎるかもしれないけれど、生粋の江戸っ子じゃないから伝わる江戸落語なのかなって勝手に思ってます。


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「SANJU サンジュ」を観る(19.7.5)

「弱さを支えるよき友、よき父、よき師匠(歌)」
 大好きなインド映画。実話をもとに…って聞くと、壮大なる歴史スペクタル映画なのかなって思ってしまう。でも、今回の作品は数年前のインド芸能界におけるスキャンダルであり、インドのマスコミのあり方を問う骨太の作品だった。しかも、ただ問題を提起するだけの社会派映画ではなく、寄り添うことで強くなれた、ヒューマンドラマとしても涙が出るような。
 インド映画スターの両親を持つ二世俳優。特に父は国会議員まで勤めている。そりゃ息子にかかるプレッシャーは相当なモノだろうし、メディアの注目、世間のやっかみたるや、生半可なものじゃないだろう。生まれ持ったものがない者の非難の目。
 サンジュにかけられた言われなき罪はもともとサンジュの弱さから生まれたものだけど、一度は捨てた誇りを取り戻すための周りからの献身もあり、強さを身に着けていく。その過程に泣けてくるんだよなぁ。いろんな岐路があって。
 サンジュの10代からを演じ切ったランビール・カプールのすごいこと。正直若作りって見える部分もあるけれど、その年齢、おかれている状況にあわせて顔や体型を大きく変えて。ザ・役者なのだ。で、その時々でサンジュを支える友人と父のひたむきさが合わさって、涙がこぼれちゃう。
 厳格なサンジュの父の師匠がまたふるってる。そうなんだよね、歌って支えてくれるんだよね。気持ちを。それがすごく共感できて。歌は世につれ、世は歌につれ。
 エンディングがまたカッコよかったなぁ。ランビール・カプールと一緒に歌ってたのって誰だったんだろうか…本物のサンジュ?
 ボリウッド映画はやっぱ面白いのです。


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大野雄二&ルパンティックシックス「ルパンジャズライブ」札幌公演を観る(19.7.3)

「亡きモンキー・パンチ先生に捧ぐ大野雄二翁のピアノソロ。泣けます。」
 今年も大野雄二&ルパンティックシックスが札幌に来ました。ジャズ好き、ルパン好きにはなんともたまらないライブ。毎年楽しみにしている時間。
 ぶっちゃけると演奏される曲は毎年概ね一緒です。でも、毎年違うグルーブで、聴くたびに深まっていく。それが楽しくて、足を運ぶんだよね。そんでもって大満足して帰ることができて。
 そうそう、今回は大野雄二作詞作曲の「ありがとう札幌」が。いやいや、こっちの方がありがとうなんだけどさ。
 アンコールのピアノソロは先日他界されたモンキー・パンチ先生に捧ぐ『ルパン三世のテーマ』。これがまたむせび泣くようなピアノソロで、バンドの演奏とは異なる情緒にあふれていて。すべてがモンキー・パンチ先生から始まったんだもんなぁ。彼の創作が音に派生して、このライブにつながってるんだもんなぁ。
 冬のサッポロシティジャズにも登場するんだとか。行けるかなぁ・・・楽しみだなぁ・・・。



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「新聞記者」を観る(19.6.30)

「賛否両論あるでしょうが、この映画が開けた風穴は大きいと。」
 静かな中に込められた熱い熱い想い。それぞれの正義、それぞれの信念。誰のために正義を振りかざし、誰のために信念を貫くのか。立場が変われば人は変わらなければならないのか?
 菅官房長官との攻防で名を馳せた東京新聞の望月衣塑子記者の著作を原案とし、ここ数年耳にしたようなニュースをめぐる内閣官房の暗躍が物語の本筋。それだけに、現政府を揶揄しているとの批判と称賛、賛否両論ひしめく作品で。でも、警察官僚の悪行や省庁ぐるみの隠ぺいが地上波ドラマで垂れ流されている昨今、政府中枢の暗躍を描いたドラマや映画が日本で作られないことがある意味怖くて。海外では普通なのに。もちろんそれは限りなく本当っぽくても、フィクションであることが前提に。だからやいのやいのいう必要はないと思うんだよね。誰も『相棒』叩いたりしないでしょ。
 記者である父の自殺を乗り越え、自らも新聞記者となる主人公と、疑問を抱えながらも言われない醜聞をマスコミにリークする若手官僚。外務省から内閣府に出向していた先輩官僚の死と、大学新設にまつわる情報が二人をめぐり合わせる。真実とは何か、正義とは、信念とは・・・。そしてラストの言葉とは。
 見応えのある作品だった。あれやこれや、ちまたに流れるニュースのひとつひとつがなにかに操作されているのでは?と疑心暗鬼になってしまうような。ただ、メディアにだけは圧力に屈さない姿勢をとり続けてもらいたいなって。真実を見極めて報道して欲しいなって。
 権力の揶揄、メディアへの自己批判。この映画が報道、表現の自由の正統性を示す一つの指標になるのではって思うのです。サイレントマジョリティーの一人として。
 とっても見ごたえのあるすごい映画でした。


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「春風亭一之輔のドッサりまわるぜ2019【札幌公演】」を観る(19.6.22)

「今の落語、繋げる古典。落語の進化を促す一之輔。」
 一之輔の魅力・・・ぼくが勝手に思うのは、古典落語に現在のくすぐりを巧みに入れることで、古典を今に繋げていることかと。そして風刺の効かせ方。落語のマクラで社会に対してチクリとやるのが多いけど、そのチクリが絶妙に上手いんだよね。落語を通してニュースを知ろうとする人が増えるんじゃないかな。
 今回は米丸師匠の年金問題から麻生太郎大臣とのエピソードへと、笑いと風刺の絶妙なハーモニーを響かせてくれた。
 ご年配の落語ファンには軽く思われるかもしれない。でも、これから落語が前に進むためには、古典を古文書にしないためには必要な噺家の一人なんだよね。
 昇太のかめ虫バスターもあったっけ。
『トーク』 春風亭一之輔
 道新文化事業部からいただいたという日ハムのユニフォームを着て登場。グリーンのユニフォーム、結構余ってるんだね。札幌に若い娘が集まっているのは、一之輔目当てではなく札幌ドームの3代目J SOUL BROTHERS です。
『寿限無』 柳家小はだ
 まだ前座さんだそうです。顔は靴ベラ(一之輔曰く)。寿限無の前段部分(隠居とのやり取り)をきっちりやってたなぁ…という印象。きっと正統派に育っていくんだろうなぁ…って勝手に思っているのです。
『新聞記事』 春風亭一之輔
 「新聞なんかに金を払うの?」ってくだりで新聞社主催の落語会と気付く。それもまた一之輔ならではのくすぐりかな?基本は隠居の面白い噺を真似するってリピート噺。当然つっかえつっかえなんだけど、そのひとつひとつに時事ネタがふんだんに。あれ?時事ネタが70〜80年代に偏ってないか?そこはご年配への配慮か?とにかく大爆笑の一席でした。
『提灯屋』 春風亭一之輔
 字を読めない者が集まって、ちんどん屋が配ったチラシの中身をあれこれと…。この手の大勢が集まってあーでもない、こーでもないと言い合う噺をやらせたら、一之輔は上手いよね。大勢の見せ方が。全員をきっちり演じ分けるではないんだけど、目に浮かぶんだよなぁ。そんな真骨頂が見れた一席。
『百川』 春風亭一之輔
 訛りが引き起こす勘違いの連鎖。もう、ずるいんだよね、一之輔の演じ方が。一之輔の百兵衛を聞くと、なぜだか千鳥のはくべえを思い出してしまって。なんか頭に描く絵的にね。


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山里亮太短編妄想小説集「あのコの夢を見たんです。」を読む(19.6.21)

「夢を見て夢をつかんだ男の、あったらいいな夢物語集。」
 決して世紀の大逆転婚にあやかって買ったわけじゃなく、5月のトークライブで買ってたんだよ、サイン本を。いまめちゃくちゃ売れてるらしいんだけど、決して後追いじゃなく、あやかろうなんて・・・それは思っていないとは言えないけれど。だってさ、羨ましいじゃない。しばらく寝かしてから読もうと思ってたんだけど、「読むなら今しかない」ってことで。
 実在するアイドルや女優をモチーフにした短編集。まさに妄想というのがぴったりの、やもすれば「おいそりゃ中二病かよ」とツッコミたくなるけど、自信をもって書ききることが大切なんだよね。モチーフとした女性への一方的な愛情を伝えきるためにも。
 山ちゃんがあとがきに書いてるけど、確かの妄想はパターン化されていて、どれも山ちゃんらしいんだよね。で、ずるいのがうまいこと赤いメガネの男がインサートされてるんだよなぁ。ときにカッコよく、ときにダサダサで。まぁ、妄想たるもの自己満足が基本だから、そりゃ出てくるよね、自分。そして闇4。ある意味私小説だよね。
 正直小説としては読むのがつらくなるものもあったけど、それはそれで山ちゃんワールド。山ちゃんをこよなく愛する溝人にはホンワカな短編集でした。


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「僕たちは希望という名の列車に乗った」を観る(19.6.15)

「遠い昔の、遠い国の青春で終わらせたくない秀作です」
 これは実話をもとに作られた映画である。
 第二次世界大戦終結後、ヨーロッパの半分はソ連が指導する社会主義の政権下に置かれた。ドイツも二分され、東は社会主義に。ベルリンの壁が建設される前。まだ制限付きながらも東西の行き来が可能だった頃。東ドイツの高校進学クラスに通う高校生たちは西側の流す報道でハンガリーの若者の蜂起を知り、尊い犠牲に心を痛めていた。クラスで授業中に行った黙とうが社会主義国家への反逆とみなされ、クラス全員が当局の厳しい追及を受けることに。首謀者をあぶり出したい当局と、クラスの闘いの果てに待ち受けるものは?
 ナチスという理不尽から社会主義への方向転換を強いられた若者たちの葛藤。いまのぼくらには知る由もない環境の中で追い求める理想。最初は些細な抵抗だったのかもしれないけど、それを貫こうとする意志。躍起になる当局の家族を含めた揺さぶり。友情、愛情、家族愛。18歳の若者たちには過酷すぎる。その末に彼らの下す決断とは?
 もう、すごく考えさせられた。時代と言ってしまえばそれまでなのかもしれない。でも、なにが正しいかわからない中でも自ら考え、自らの正義を見つけようとする若者たちを、その葛藤を観ることが、平和に馴染んだぼくらの意識に響けばいいんだろう。
 楽しくて笑えて、ドキドキハラハラする映画とは対極だけど、これも観るべき映画なんだと強く思うのだ。


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「コンフィデンスマンJP」を観る(19.6.12)

「スティングから始まったコンゲームの流れ、日本にて極めり」
 とにかく面白い。連ドラ放映時から面白いのはわかってたけど、映画になってスケールアップして面白さも倍増で。映画になって「は〜っ」って思うドラマが多い中、映画というスケールと尺を見事に味方にした、すっげー面白い作品。
 ダー子、ぼくちゃん、リチャードの3人・・・おっと五十嵐もいたか・・・の詐欺師チームが今回選んだターゲットは、香港マフィアの女帝ラン・リウ。ダー子の弟子・モナコやダー子のかつての恋人?ジェシーが絡み、壮絶なだまし合いの始まり始まり。誰がラン・リウを落とすのか??そして忍び寄る赤星の影・・・執念深いのよ。
 最初からドラマファンには涙モノ。歴代ターゲットがいっぱい出てきて、これから始まるストーリーにワクワク感を添えてくれる。そして・・・。
 感想は上に書いた通り。もうどうなっちゃうのの連発で、はらはらしっぱなし。天才ダー子様の頭の中が読めなくて。で、せつなくてもどかしくて。でもきっちり答えは出してくれる。そこがコンフィデンスマンJPの素晴らしいところ。
 続編決まったんだよね。ドラマSPも見ちゃったよ。次のターゲットは・・・だよね。って、本当か?目に見えるモノだけが真実か?エンドロールのあの謎は?あの人は?
 もう、今から楽しみでしょうがない。


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サザンオールスターズLIVE TOUR 2019「“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!」を観る(19.6.9)

「ボクも見てくれが悪いんだけど、アホ丸出しで腰を振ってます」
 サザンの40周年記念Live。ぼくが小6の頃から早40年。サザンはぼくの人生そのものなんだけど、今回のLiveはぼくが一番多感で一番カッコつけてて、一番調子こいてて一番情けなかった頃がよみがえるようなLiveだった。ウキウキしてはサザンを口ずさみ、大一番でサザンに鼓舞してもらい、当たって砕け散ってサザンを聴き入っていたあの頃を。それがシングル曲でなくったって、ベストやバラード集に入ってなくたって、自然と口ずさめる。歌詞なんて見なくても歌える。もどかしくてやるせなくてせつなくて、中途半端なぼくを支えてくれた曲が、手練れのミュージシャンによるとびっきりのアレンジで蘇える。
 むせび泣くとはこういうことを言うんだろう。演奏が流れるたびに「うぅっ」「うぁっ」と声が漏れる。お隣さんの迷惑も顧みず。決して誇れた青春じゃないけど、笑い話にしかならない日々だったけど、いつもサザンがそばに流れてたから笑えるようになったんだろうなぁ・・・なんて考えながら聴き入る。
 ちょっとネタバレごめんなさい。『はっぴいえんど』と『慕情』と『わすれじのレイド・バック』をこの時、この場、この人と共有することができて、本当によかった。
 若き日が・・・なんて書いてるけど、やってることはいまだに一緒。これからもまだまだサザンにはお世話になり続けるのです。 



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三遊亭円丈「師匠、御乱心!」を読む(19.6.6)

「情熱だけで書き綴られた、ある意味落語青春記」
 ぼくの大好きな噺家が41年前に起きた落語協会分裂騒動を、その渦の真ん中からの視点で書いた衝撃作。登場人物はすべて実名。当時は暴露本として扱われてたんだから。なにがすごいって、初版『御乱心!』の発売が騒動の8年後。登場人物のほとんどが生きているなか、当時の落語会の重鎮たちをぶった斬っているんだもん。あくまで円丈の視点でなんだけども
 で、この問題作を当時のぼくは読んでいない。円丈ファンではあったけど、なんか気がひけたのと、単行本は高かったから。彼の落語は大好き。でも、ほかの噺家の落語だって好き。無理に嫌な面を見る必要もないんじゃないかって。うがった気持ちで落語聞くようにはなりたくないかなって。
 でも、近年の落語ブームにのって文庫化されちゃった。登場人物のほとんどは既に鬼籍に入られている。いまがちょうどいい潮時なんだろうなって。
 で、読んでぶったまげた。騒動のアウトラインは知ってたけど、ここまですごかったのかと。あくまで円丈の視点でだけど。円生、円楽の性格がこの騒動に、以降現在まで続くの落語会に大きな影響を与えてたんだと。
 いま読んでよかった。初版当時に読んでたら、いまみたいに落語を好きになれなかったかもしえない。少なくとも笑点はまともに見られなくなったかもしれない。ぼくの脳ミソが少し大人になり、事象が風化し、落語がまた盛り上がりを見せている今だからこそ、楽しめるようになれたと思う。
 三遊亭の本流はなくなってしまったけど、円朝の創作スピリットは円丈に受け継がれ、実験落語などで多くの新作落語を志す円丈チルドレンを生み出した。噺家じゃないけどきっとぼくもその一人。だから円丈の苦労も今につながるプロセスだったんだよね、きっと。
 とにかくその当時の円丈の情熱だけで書き綴られた、ある意味落語青春記。その熱量に圧倒され、涙するのでした。
 巻末の対談も面白いです。


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中村文則「教団X」を読む(19.6.1)

「こんなもん読まされたら、物書きになりたいって欲が失せちまうよ」
 小山隊長から単行本をいただいて数年。あまりの分厚さに持ち運びが大変とおののき、読むのを躊躇っていたんだけれど、文庫が発売されたので…文庫も厚いんだけどさ。
 もう読んでる途中は結構アタマぐるぐるで。出だしは王道ミステリーなのに、ものすごく高尚な理解が追い付かない話やら、これは官能小説かと地下鉄の中で頬を赤らめたりとか。戦争をはじめとする辛い手記もいっぱいで。怪しげな宗教を描くということは、それだけの知識と創造力がないとできないのかと、ただただ唖然となるばかり。
 すごい小説だなと。結局あちこち目線を変えられながらも、読みきらせるんだもん。もう違う小説を4冊くらい読んだかのような充実感と疲労感。細かいところまで書ききる力が、登場人物一人一人に命題を与えきったところが、この読後感につながってるんだよね。そういう意味ではすごく丁寧な小説でもあり。
 ということで、作家・中村文則の力量を見せつけられた怪作でした。


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「さっぽろ落語まつり」を観る(19.5.24-26)

「はじめの一歩は大爆笑。来年もやるってうれしい限り」
 道内の落語機運がすごくたかまったところで開催された三遊亭円楽プロデュース『さっぽろ落語まつり』。江戸・上方の人気落語家が札幌に集結して、たっぷり噺し聴かせます。それもこれも、テレビ北海道と道新寄席と平成開進亭の協力があってこそ。落語好きにとってはなんともうれしい企画じゃないですか。
 この素晴らしい企画、3日間で5公演を堪能してきました。総勢28人中20人の噺を聴いた最高の3日間。その後報告を。
 来年の開催ももう決まったって。今回二ツ目は宮治だけだったけど、次回は勢いのあるメンバーもたくさん来て欲しいなぁ。


5月 24日 (金曜日)13:00〜 札幌文化芸術劇場 hitaru
超豪華メンバーの幕あけ
[出演]桂宮治 / 桂枝光 / 春風亭小朝 / 立川志の輔 / 桂文珍

 いやぁ、ほんと豪華メンバーだよね。これがhitaru初の落語興行。で、その初高座が宮治ってのが新しい時代の幕開けのような気がしてさ。
『熊の皮』 桂宮治
 そりゃこのメンバーだと気は休まらないよね。でも、この大舞台のトップバッターが元気いっぱいの宮治でとてもうれしく思ったりして。家では尻に敷かれても、熊を尻に敷いて笑いをかっさらいました。
『大安売り』 桂枝光
 唯一の札幌在住の落語家。彼の地道な活動が札幌に落語を根付かせた一因となったのは確か。でもぼくは彼の芸風がちょっと苦手。面白いのは確かなんだけどね。
『一豊と千代』 春風亭小朝
 実は小朝を聴くのはこれが初めて。一時代を築いた芸はいかがなものかと思ったら、意外や意外、上方の?講談の?噺で。大河ドラマにもなった山内一豊とその妻・千代の物語。それを現代風にアレンジして、しまいには鳴り物(っつーかMISIA)まで。自由奔放な噺。元ネタを聴いてみたくなったわ。
『親の顔』 立川志の輔
 志の輔、この一本だけで東京へとんぼ返りして、夜には別の高座に立つんだとか。マクラからして見事な構成。幕開けは古典オンリーかと思ったら飛び出した新作。やっぱ頭人る抜けてるなぁ、志の輔は。
『花見酒』 桂文珍
 いくら宮治に頼まれたからって、小朝に泰葉いじりできるのってそうそういないよね。経済学まで織り込んだ、博学文珍らしい花見酒です。
5月 24日 (金曜日)18:00〜 共済ホール
爆笑・師弟の会
[出演]桂宮治 / 林家彦いち / 三遊亭小遊三 / 三遊亭遊雀 / 林家木久扇

 笑点の重鎮・木久扇と小遊三、初めて聴くんだよね。笑点のインパクトが強すぎて、落語のイメージが・・・失礼。木久扇の弟子・彦いちはよく聴いてるんだけど。プチ親子会、楽しかったです。
『壺算』 桂宮治
 「笑点DX」の若手大喜利メンバーだけに、昼の部よりはこちらの方が居心地がいいそうで。前職・シロアリ駆除セールスの経験を生かした壺算。だまされちゃいますよ、その口のうまさに。
『睨み合い』 林家彦いち
 とにかく姿勢がファイティングポーズなんだよね、彦いち。闘う新作落語家。学校寄席で闘い、JALの機長と心の中で闘い、実体験の京浜東北線の闘いを落語にする。渋谷だけでなく、この札幌でも新作を引っ張って行ってください。
『ん廻し』 三遊亭小遊三
 笑点で見慣れているからか、安心感抜群だよね。師匠・遊三の師である圓馬の弔いをマクラに、お馴染みの一席を。。
『悋気の独楽』 三遊亭遊雀
 師匠・小遊三が圓馬なら、こちらは落語芸術協会会長・歌丸の生前葬。いや、実際にやったわけじゃないんだけどさ。
『明るい選挙』 林家木久扇
 こちらも笑点で見慣れているハズなのに、安心感がほとんどない。そのキャラ演じが大好きです。日本丸での独演会から始まって、笑点繋がりの三平いじり。ネタは六代目正蔵〜角栄〜大平〜談志〜森繁〜渥美清の選挙応援演説をモノマネで。昭和の大スターたち。懐かしかったのはアラ50以上の昭和世代なんだろうなぁ。
5月 25日 (土曜日)12:00〜 道新ホール
追いつ追われつ江戸落語
[出演]三遊亭兼好 / 柳家花緑 / 柳家さん喬 / 柳家喬太郎 / 柳家権太楼

 実はこの枠が一番実力者が集まった、落語の醍醐味を味わえる枠なのかなって思ってて。花緑にはトラウマがあるので…なんだけど。で、これがすごかった。柳家宗家のボンの慢心を笑いでねじ伏せる。これもフェスティバルならではの座組なのかな。喬太郎、最高です。
『高砂や』 三遊亭兼好
 兼好の体験からくる結婚式の笑いどころが言いえて妙で。異色の経歴の持ち主が爽やかに聴かせます。
『二階ぞめき』 柳家花緑
 柳家宗家本流、人間国宝の孫の血筋の十四光。異例の7年21人抜き真打ち昇進。本物のお坊っちゃんは私だけ、本当の道楽息子を演じられるのは私だけ。他の方々は苦労なさってるけど。よく言ったものだ。こいつは何様だ?
『ちりとてちん』 柳家さん喬
 マニュアル社会を嘆き、Mの字ハンバーガーの対応に茶化し怒りながらも、予定調和を外しまくる男を懲らしめる『ちりとてちん』を演じてくる。これは馬鹿ボンへの暗示か?弟子・喬太郎にバトンを渡したわけじゃないだろうけど。
『すなっくらんどのぞめ』 柳家喬太郎
 札幌といえば喬太郎も大好きちくわパン。楽屋での各派のにらみ合いを揶揄しながらも…。寄席ではネタを被せないという暗黙の了解を「今日はなんでもアリだよね」と言ってぶち破り、仕掛けたネタは『二階ぞめき』を元に現代の池袋に置き換えた新作。もちろん先輩として、花禄への戒めにだと思う。これがバカ受け、拍手喝采。喬太郎の男気を感じた最高の一席だった。かっこいいぜ、喬太郎。
『井戸の茶碗』 柳家権太楼
 喬太郎が無茶したのをやんわりと諭しながら、「裏で花禄が泣いている」で場内大爆笑。柳家の先輩として最後は爆笑で締めてくれました。
5月 26日 (日曜日)11:00〜 札幌文化芸術劇場 hitaru
上方の重鎮と江戸の好漢の会
[出演]桂宮治 / 柳家花緑 / 笑福亭鶴瓶 / 三遊亭兼好 / 桂文枝

 江戸、上方入り交じって最終日を盛り上げていく。11時スタートは早すぎるよ〜と思いながらも、前夜終電まで飲んだくれてても、なんか起きて行っちゃうんだよね。で、豪華メンバーに聴き惚れちゃう。
『棒鱈』 桂宮治
 宮治の元気が会の出だしに勢いづくんだよね。東京で同日開催の芸協落語まつりに呼ばれなかった悔しさもあるだろうけど、初開催のさっぽろ落語まつりを3日皆勤してくれたのは、まつりの成功に大きく寄与してたと思うよ。酩酊の母からの『棒鱈』は流れもバッチリ真打ちものです。
『粗忽の使者』 柳家花緑
 前日のショックがまだ抜けないのか、マクラはボンの部分をカットしたけど前日と一緒。空元気の使者という感じに見えたのはぼくだけかな?
『青木先生』 笑福亭鶴瓶
 いきなり高座の前を歩いてトーク。バラエティ番組さながらに市井の愉快な人々について語り出す。「だってずっと正座はしんどいもん」。自由人だな、鶴瓶は。そんな自由人の若き日の思い出『青木先生』。秋岡が気になる。
『短命』 三遊亭兼好
 兼好って意外と毒舌だったのね。総理をいじりながらの元号伝達式〜皇室話なんて、白鳥と同じ血が…いやいや、流れちゃいないか。
『宿題』 桂文枝
 上方落語協会会長登場。関西人の受け答えの面白さを実生活に基づき語り、流れで塾の宿題への問答噺。初日の志の輔にも通じる、普通の考えの面白さ。
5月 26日 (日曜日)15:00〜 札幌文化芸術劇場 hitaru
超豪華メンバーのフィナーレ
[出演]林家たい平 / 桂ざこば / 柳家花緑/ 桂文枝 / 笑福亭鶴瓶 / 三遊亭円楽

 あっという間の3日間。たくさんの噺家さんをまさに堪能。フィナーレは昼の部と被るメンバーが多かったけど、滅多に観れない人たちだから聴き溜めしても損はない。
『紙屑屋』 林家たい平
 たい平も初めて聴いた。これはもう特権なんだけど、マクラはたっぷり笑点メンバー。今回は笑点の企画で健康診断に行った噺。あるあるもあのメンバーだと盛り上がる。元気が取り柄のこん平一門。落語はめちゃ聴きやすかった。
『上燗屋』  桂ざこば
 まさかざこばを札幌で聴けるだなんて。もしかしたら笑点メンバー以外で初めて名前を覚えた噺家ってざこば(当時は朝丸)かも。脳梗塞をやられたから、ウィークエンダーの頃の滑舌はもうないけど、滲み出る感じはあの頃のままかな。
『つる』 柳家花緑
 都合三回も花禄を聴いた。最終日にメイン会場に出続け、フィナーレもってことはやっぱ売れっ子なんだよね。注目のマクラはまた同じかよって思ったら、途中から自身の発達障害の噺になって。きっと勇気付けられた人も多かったのでは?あの得意気なピースがなければなおよかったのに。でも、『つる』のマクラとしてもよかったよ。
『涙をこらえてカラオケを』  桂文枝
 同級生との再会&カラオケから大阪で遭遇したカラオケタクシーにいっての、カラオケをネタにした新作落語へ。このマクラからの一連の流れすべてが計算されてるんだよね。さすがです。
『癇癪』  笑福亭鶴瓶
 フィナーレも立って話し出す鶴瓶。これはもう確立された芸風ということで。ダメとわかっていながらも、やっちゃいけないのにやってしまうあれこれから、亡き師匠・松鶴のエピソードを綴った『癇癪』へ。昼の『青木先生』といい、愛情にあふれているんだよね、鶴瓶の。
『浜野矩随』  三遊亭円楽
 みんなが気持ちよくやりたい放題やったためか、時間が押したのでしょう。マクラ超短めで人情噺へ。円楽の講談系人情噺を聴くのはこれが初めて。大トリだもん、決めに行ったな。腹黒さがない円楽も見ものでした。


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「ARASHI Anniversary Tour 5×20」を観る(19.5.19)

「20よりも大切な5、それこそが嵐の嵐たる所以か」
 ファンクラブに入って4年。過去3年でのライブの当選は1勝2敗。休止前のライブだけに当たればラッキーくらいの気持ちで応募したら、見事当選。勝率5割ならとんとんってとこか。
 当然ながら女性たちがほとんどを占める札幌ドーム。おっさん一人が浮きまくっていたけど、始まってしまったら関係ない。誰一人おっさんを気にすることなく、ステージ上を、会場を歌い、踊り、走りまくる5人に目が釘付けなんだから。そしておっさんも負けじと5人に目が釘付けだったんだから。
 すべての歌を知ってるわけじゃないし、踊りなんかてんで踊れない。それでも大いに盛り上がり5人と会場が作り出す熱に浮かされる。ぼくとしてはどちらかというと初期〜中期の曲が好きなので、『言葉よりも大切なもの』で一気にヒートアップ。『a Day in Our Life』で涙がこぼれる。あと一曲、あれをやってくれれば個人的には完ぺきだったんだけど、さすがに三曲コンプリートはわがままか。
 相も変わらずの光の演出にときめき、五人が近くまで来ると声を高め、おっさんがはしゃぐ。ぼく、こんなにファンだったかな。
 あと1年と7ヶ月、きっとこれがライブ見納めになるのかな。きっと国立競技場のこけら落としをやるんだろうけど、さすがにチケット獲れないだろうし。
 熱が出ちゃうほど浮かれまくったライブでした。


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「北原雅彦 session」を観る(19.5.18)

「数年に一度のイレギュラーセッションが心地いいのです」
 今年もまたスカパラのトロンボーン・北原雅彦と札幌のミュージシャンたちのセッションが開催されました。スカパラでは聴くことのできないJazzyなアレンジ。そして北原さんのちょっときょどったMC。病みつきになるんだよね、この感覚が。
 昨年はサックスとの二管だったけど、今回はトロンボーンのみ。その分ウェイトも大きくなるけど、ピアノ、ベース、ドラム&パーカッションがそれを補ってノリノリのグルーブを生み出していく。これが心地よいんだよね。
 オリジナル曲、スカパラの曲、スタンダードなど、休憩を挟んだ二部構成でたっぷり二時間超。『恋して cha cha cha』はイントロだけでみんなクスクス。北原さんといえばこれってスタンダードになりつつあって。毎回聴きたいって思っちゃうもんね。今回はクリーンヘッドギムラが歌った『黒い太陽』も。スカパラオールドファンにはちょっと涙もの。
 ベースくんのサンプリング、エフェクト効かせまくったプレイ、ピアノのエレガントかつ繊細なプレイ、パーカッション&ドラムの忠実ながらもウィットに富んだプレイ。どれも楽しかった。
 静かな昂ぶりを満喫する極上の夜なのでした。


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「山里亮太の140」札幌公演を観る(19.5.11)

「すべて忘れる魔法でも、楽しかった感情だけは消せないのさ」
 今年もまた溝人(どぶんちゅ)の集うデトックスの会が開かれました。毎年書いてるけど、会場を出るとすべて忘れる魔法にかけられているので、なにも覚えていません・・・都合上。
 山ちゃんがツイッターに投稿した文章の裏をぶっちゃけるというイベントの趣旨を説明するのに1時間15分。ちなみに予定公演時間は1時間45分。って、もう残り30分しかないじゃない。それでも大丈夫。そこから本編1時間45分で計3時間の長丁場。これをほぼほぼ一人で喋り通し。そして絶えず笑いっぱなし。テレビやラジオで聞くことのできない山ちゃんの本音を堪能です。
 今年も万を持しての前乗りでただでは転ばぬお笑いハンターぶりを発揮。ご当地ネタをジャブに次々と深いところをえぐります。
 令和1発目ということで、本人が絶好調だったのか、札幌の会場がそうさせたのか、今年一番のロングラン大熱演(山ちゃん調べ)。そしてぼくらもボルテージ上がりっぱなし。これくらいしか書けることないんだけど、とにかく最高のイベントでした。
 来年も無事にこの毒を浴びることができますように。


山ちゃん初小説、サイン入りです


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「ゴジラVS札響 〜伊福部昭の世界〜」を観る(19.5.6)

「迫力満点、これが本当のゴジラなのね」
 第一作目のゴジラを観たのっていつだったか。子供の頃にテレビで観たのが最後だよなぁ。あの頃はゴジラの不気味さとおどろおどろしい音楽にビビってて、
 そんなゴジラを大スクリーンで観ながら、劇伴は札幌交響楽団の生演奏でって、なんと贅沢な企画なんだこと。ライブ・シネマというんだって。知らなかった。しかも会場はできたてほやほやのHitaruとは。
 第一部はゴジラのライブ・シネマをつかさどる指揮者・和田薫とゴジラ俳優の一人・佐野史郎のゴジラ映画、ゴジラ音楽の生みの親・伊福部昭氏に関する トークショー。これが二人とも盛り上がって、舞台袖から巻きのサイン連発。
 15分の休憩後、札響メンバーが舞台に揃い、いよいよ映画が始まって。昔の映画だからさ、エンドロールじゃなくてオープニングロール。いきなりメインテーマが演奏される。前から2列目。振動が身体に響き、まだ文字しか映し出されていないのに、それだけで興奮Maxで。
 もうすごくよいとしか言いようがない。ナマ演奏に圧倒されっぱなし。でももちろんそればかりじゃない。大人になって初めて観たゴジラ、こんなにせつない物語だったのかと改めて確認して。天才科学者の科学者たるがゆえの葛藤。もうせつなくて、せつなくて。
 上映が終わり、カーテンコールのあとのアンコール「SF怪獣ファンタジー」はゴジラ音楽のすべてが詰まっててまた感動。すごく素敵なイベントだった。
 これ、『シン・ゴジラ』でもやってくれないかな。



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垣根涼介「光秀の定理(レンマ)」を読む(19.4.28)

「理(ことわり)、それは確立でもあり、矜持でもあり、生き方でもある」
 黒木華さんおすすめの本第2弾。彼女、歴史ものが好きなのね。
 明智光秀の物語は来年の大河ドラマにもなるようだし、これまでも多くの著作や映像作品などで語られてきた。でも、単なるドラマではなく、思考を追う物語ってあまりないのではないか。しかも、名もなき層と兵法者によって。
 辻で賭けをする僧と名誉を欲し上京した兵法者が光秀と出会い、意気投合。僧の僧らしからぬ独尊的な考え方と、兵法者の精神的成長。それらを目の当たりにしながら、お家再興を目指し自分の成長を促す光秀。それらのすべてはやみくも、がむしゃらなどではなく、理(ことわり)があってのことなのだ。僧の賭けにも理があるように。
 タイトルは光秀なんだけど、主役は僧と兵法者と光秀の三人。主眼も一定ではなく変わるので、おおっと思うところも多いけど、立場の違う三人がそれぞれを認め合い、思いあっているのが清々しい。そういう目で見ると、本能寺の変も見方が変わってくるのか。
 確率の定理から始まり、歴史の謎に迫る異色の作品。面白かったです。


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「ハンターキラー 潜航せよ」を観る(19.4.26)

「目に見えるものがすべてではない、見えないものが物語を支えてます」
 なぜかぼくはスペースオペラは好きなのに、戦闘アクションの類はあんまり観てなくて。でも、潜水艦アクションで評判も良かったので、プレミアムフライデーを利用して観ることに。ちょうど時間もよかったし。
 ロシア近海で行方不明となったアメリカの原子力潜水艦に端を発する米露の衝突。その裏にはロシア軍部によるクーデターが。実情を探るべく向かった潜水艦一隻と四人の特殊部隊。わずかな人数でロシア海軍を相手に難易度の高いミッションをこなすことができるのか?
 潜水艦に乗っている恐怖感ってたまらないだろうなぁ。視界がないわけだから音が頼り。ましてや攻撃を受けた際は魚雷やミサイルのほかに水圧も加わるだろうし。
 そしてこちらも怖い特殊部隊。限られた装備のたった四人が敵陣のど真ん中に入っていく。退路も確保されていない中で。
 終始緊張のしっぱなし。手に汗握る展開の連続。男たちの度胸、そして信頼。分かり合えるものと過ごした時間。すべてが胸熱になってしまう。面白い。これは面白い。
 いろんな感情が沸き起こる、いい映画でした。


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「かめあり亭 第41弾 新作落語の会〜今は新作!いつかは古典!〜夜噺編」を観る(19.4.19)

「爆笑爆笑でSWA復活?いや、一人足りないか」
 かつて、新作で勝負する5人の若手が結成したSWA。途中ひとり脱退し、最後は4人で解散興行を開いたメンバーのうち、3人がかめあり亭に登場し、新作落語の会だなんて。あとの一人は…次期会長だから忙しいか。 落語ブームと言われる昨今、古典ばかりに目が向きがちな風潮の中で、新作オンリーの会に満員御礼。なんかうれしいです。新作好きとしては。
 副題の「今は新作!いつかは古典」って受け止め方によっては違った意味になるよね。今日の新作がいつか古典になるってことなんだけど、今は新作やってるけどそのうち古典やりますから…にも。言葉のマジック。
 各人マクラもハチャメチャで、SNSには上げないでって。そりゃそうだよね。柳家と三遊亭の確執とか(ネタネタ)。
 江戸の風がまったく吹かない落語会、最高です。
『ランプのぐんま人』 三遊亭ぐんま
 白鳥の二番弟子が地元群馬をアピール。幸せを叶えるランプの精は、群馬限定の幸せ配達人なので。
『ナースコール』 春風亭ぴっかり
 白鳥作の新人看護師奮闘記。「ナースのお仕事」か「白衣の天使」か。患者の無理難題も新人ナースが応えちゃいます。
『路地裏の伝説』 柳家喬太郎
 喬太郎の新作には哀愁がにじみ出るんだよなぁ。小学生の頃、まことしやかに流れた都市伝説は、思いやりの詰まったエピソードなのです。素敵。
『青畳の女』 林家彦いち
 格闘バカとしても名をはせる彦いちが語る、柔道女子の恋物語。柔道一筋の最強女子に乙女心が芽生える時。アクション満載のバトル高座です。
『隅田川母娘』 三遊亭白鳥
 待ってました、ナマでしか聞くことのできない禁断の落語。今日が見納め、平成の終わり、皇太子が天皇に即位されるのを機に封印するって。最後にこれを聞けて感動なのです。さあ、みんなで魔法の呪文を唱えましょうキコマコカコマコ。


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第3回札幌福北寄席を観る(19.4.18)

「時計台の鐘が誘う笑い」
 3回目の福北寄席は平成・・・いや令和の爆笑王と異色の経歴の持ち主の組み合わせ。コミカルな喋りと動きで爆笑をとる宮治。師匠の立川流から落語芸術協会への転籍により二ツ目から前座に降格し、真打昇進が大幅に遅れた吉幸。きっと日本で一番高い高座でその技を披露です。
『肥がめ』 立川吉幸
 吉笑、穏やかに見えて意外と毒舌。これはかつての師匠・快楽亭ブラック譲りか?肥がめ、初めて聞いたけど、こんな落語もあったのね。小学校でやると大うけしそう。
『花見の仇討』 桂宮治
 宮治、笑点デラックスでの三平ネタをマクラでとことんぶち込んでからの鉄板の花見の仇討。ずるいとしか言いようがないほどかっさらいます。8時の鐘をも物とせず、いや見事なタイミングで噺に組み込んで、突き進む爆笑ロード。
『棒鱈』 桂宮治
 仲入り前に時間使いすぎを反省し、あっさり噺に。田舎者が似合うんだよね、ルックスからして。
『時そば』 立川吉幸
 日本で一番かけられてる噺なんじゃないかな。演者それぞれの屋台が思い浮かぶんだよね。吉幸の屋台には土臭さが感じられた気がする。まだぼくの心が肥がめを引きずってるのかもしれないけど。


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「喬太郎北伝説7(昼の部)」「喬太郎北伝説7(夜の部)〜あとの祭り」を観る(19.4.14)

「喬太郎と仲間たちの話芸を堪能した昼夜ぶっ通し」
【昼の部】
 今年も開催の喬太郎北伝説。札幌でありながらも札幌でないと言われる地元・新さっぽろで、昼夜続けて喬太郎だなんて、贅沢の極みです。なのに、ステージが暗いうちに喬太郎登場で開口一番をこなすなんて。ファンにはたまらないサービスぶりなのです。うれしいです。たとえ地元をディスられようとも。
『子ほめ(の失敗)』 柳家喬太郎
 羽織を羽織らず、前座として開口一番を務める喬太郎。もう豪華すぎです。
『コブラツイスト』 二松亭ちゃん平
 アマチュア落語賞荒らしもさすがにビビるよね、前座に喬太郎じゃ。しかも、喬太郎が原作の三題噺をやるんだもん。きっとその三題って「コブラツイスト」「同窓会」「凧上げ」なんじゃないかと勝手に想像したりして。学校の先生ならではの新作を演じてきたちゃん平。新たな新作の誕生です。あっ、最初よしこさんが女性だってわかんなかったんだよね。そこだけなんとか・・・
『試し酒』 柳家喬太郎
 まさか昨日がネタ下しだったなんて。喬太郎がこれまで『試し酒』をやっていなかっただなんて。マクラで前座時代のエピソードや同期・扇辰の話も聞けて、酒は涙か百薬か・・・です。
『任侠流山動物園』 柳家喬太郎
 新作好きには言わずと知れた、三遊亭白鳥作の怪作です。名だたる落語家たちが演じてるので、将来古典になりうる新作です。喬太郎のを聞くのは2回目。手元から注目してみてください。

【夜の部】
 夜の部はゲストを迎えて。くしくも出演者は全員大学のオチケン(落語研究会)出身。今や大卒の落語家がとても多くて。落語会にも高学歴の波が押し寄せているんだなぁ。一番前の真ん中だったから、舞台の袖の様子も見れて、出演者のオフを感じることもできた。そんな出演者たちの演目はこちら。
『家康vsメカ家康』 二松亭風林火山
 なんとも奇天烈な新作です。晩年の家康が多々いる側室のお相手をさせるべく、メカ家康を投入するというハチャメチャ噺。
『オチケントーク』
 主催者含め、オチケン出身者4名がオチケンあるあるや各大学のオチケンの差を語ります。大学によって全然違うんだなぁ。ぼくがオチケンに入っていたら・・・。うちの大学にあったのかな?
『鼻ねじ』 春風亭正太郎
 喬太郎とヨーロッパをともに旅するなど、とても仲良しの正太郎。舞台袖では手のひらに人を書いて飲んでから登場。プロでも緊張するんだなぁ。日本香堂のCMでもお馴染み、丁稚の定吉って意外と落語に登場しないんだよね。そんな定吉の活躍が楽しめる噺です。
『漫談』 寒空はだか
 初めて観た…。知らなかった…。歌ネタ漫談なんだけど、オチケン出身。東京タワーが鉄板ネタなんだそうだけど、幸せになる合言葉が最高でした。ハウスシチュー♪
『純情日記横浜編』 柳家喬太郎
 喬太郎も人を飲んでた。いつも飄飄としてる喬太郎でもそうなのか。昭和末期から平成初期、まだ携帯電話が一般化していない頃の恋物語。もうね、我が身に置き換えてキュンキュンしちゃう。山下公園も氷川丸も行ったもん、ぼく。入りが斬新すぎて、驚いちゃいます。



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「第19回狸寄席二日目夜の部」を観る(19.4.13)

「常設に向けては資金面以上に高いハードルがあると思うけど」
 札幌に常設の寄席を…その野望を成すべく開催される狸寄席は、落語会と異なりいろものも楽しめる楽しい場。そこに三遊亭わん丈が出るというので行きまして。昼夜登場の夜の部に参戦です。もちろん粋歌も楽八も歌太郎も楽しみなんだけどね。
 いろものの方は札幌で活動してるのかな?常設小屋の利点は彼らの活動の場を広げるにはもってこいなんだろうけど。
 正直札幌に常設小屋作っても平日は厳しいし、大看板は独演会やるから厳しいと思うんだよね。若手の会もすごく増えたし。あと、道内の演者がレベル上げないと。そのための常設小屋だとしたら、卵が先か鶏が先か。
 定期的な開催はもろ手を上げての賛成なんだけどね。
開口一番『道灌』 茶会亭楽志
 アマチュアの落語家さん、まさかのネタが飛んじゃって。
『漫才』 ヤスヒロセ
 道内在住のコンビだそうで。時事ネタ(時期だけにピエール瀧)から北海道の人気番組ネタ、時代劇ネタへ。どさんこワイドでコーナー持てたらいいですね。
『働き方改革』 三遊亭粋歌
 自作の新作で話題の女流落語家さん。自らの産休体験を生かしたネタ作り。登場人物の名前が埼玉の地名なのはなぜかしら。
『近江八景』 三遊亭わん丈
 今回もわん丈くんは攻めてます。『近江八景』は滋賀県民くらいしか覚えている人がいない・・・という理由で今や滅多に演じられることのない噺だそうで。そこで会場に説明のコピーを配布して、近江八景の説明から。確かに、近江八景がわかればすごくよくできた楽しい噺なんだよね。地元・滋賀の活性化にも奮闘するわん丈くん。がんばれ!
『』 ガジーと万歳楽団
 その名の通り楽団です。トランペット、クラリネット、バンジョー、チューバ、バスドラム、チンドン(鳴り物)の編成で、楽しい演奏を。寄席の客ってどうして裏打ちのリズムをとることができないんだろうか・・・。
『甲府い−奴さん−』 三遊亭楽八
 円楽門下の楽八さん、落ち着いてます。ぼくのイメージと違うんだよなぁ、円楽門下の。落語の時も背筋がピンとしてると思ってたんだけど、踊りの所作の美しさはすごいです。背が高いので見映えもいいんだよね。
『紙切り』 宝玉斎こん太
 紙切りにOHPは必需品のようだね。今回は手始めに『花魁』、リクエストで『だるま』『クィーン』『忍者』を切り取りました。
『死神』 三遊亭歌太郎
 独特のねずみ男のような声なんだけど、それがまた味わい深くて。死神ってこんな声してそう。桜咲く前に聞く怪談もいいのかも。


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万城目学「バベル九朔」を読む(19.4.12)

「今回の万城目ワールドはひねりが効きすぎてたかも」
 きっと物語が展開するエリア敷地面積は、万城目作品で一番狭いに違いない。そんなペンシルビルとでも呼ぶべきバベル九朔が舞台の、なんとも奇妙な物語。
 母親が所有する駅チカのビルの5階(最上階)に暮らす管理人兼自称小説家の主人公。管理人として過ごす何気ない毎日の中の小さな異変が、気が付くと大きなゆがみになり、このビルの創始者でもある祖父・大九朔の意志に巻き込まれていく。
 あまりにも管理人として、目の出ない作家としての日常がリアルだったので、これは私小説なのか?なんてドギマギしながら読んでたんだけど、そんな心配どこへやら。いつしか万城目ワールド全開の冒険活劇に導かれていく。そうきたかって感じで。
 日常に刷り込まれたキテレツが上へ上へと積み重なり、謎の累積にボルテージも上がります。
 ただ、パラレルワールドは頭の整理が難しいんだよなぁ。
 敷地面積は狭いけど、総床面積だとかなり広いんだよなぁ。


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「翔んで埼玉」を観る(19.4.5)

「桜井さんの実家の酒屋さんもありますよ〜!」
 ここまで地域を笑いのネタにしていいのだろうか?なんて倫理観あふれる言葉を書いたところで、大笑いした事実はくつがえらない。とにかく面白いのだ。そしてこの笑いを埼玉県民が一番受け入れているという事実。魔夜峰央が原作を書いたおよそ40年前では考えられなかったと思う。あくまで東京と比較した上での埼玉や千葉であり、関東だからこそ許される笑いなんだけど。
 埼玉、千葉から東京に入るためには通行手形が必要だった頃のお話。不法入国者は埼玉狩りとして厳しく取り締まられ、虐げられていた。そんな中、東京都知事を数多く輩出し、現都知事の子息・百美がいる高校に、アメリカ帰りの転校生・麻見がやってきた。しかし、彼は埼玉生まれで…。
 もう、登場人物がまんま魔夜峰央キャラなのさ。それだけで笑えるんだけど、あの倒錯の世界を誰もが真顔で演じ切る。それがまた面白くて。
 最大の見どころ、流山の激突は必見。ラストシーンはついに念願のあれが完成したのかと思っちゃった。
 もし可能なら関東地方の地図を見ながらの鑑賞がお勧めかも。ぼくは長年関東に住んでたおかげで、面白さも倍増だったしね。大宮と浦和に頭が上がらない与野とか(今はまとめてさいたま市)。最高でした。


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「マスカレード・ホテル」を観る(19.3.31)

「なんだかんだ言って話題の木村拓哉、よかったですよ」
 連続殺人の暗号により次の殺害現場と判明したホテルで繰り広げられる、刑事とホテルウーマンの協働戦線。容疑者はホテルに訪れる人全員。木村拓哉演じるやんちゃな刑事がホテルのフロントに立ち、お客様の無理難題に応えながら犯人を捕まえるお話。
 チラシ画像にもあるように、豪華なメンバーが揃ってる。もちろん多くは語れないけど、みんなが容疑者なんだから、役者の格で犯人バレしちゃまずいってのもあるんだろうけど、まぁ豪華。お金かかってるんだろうなぁ。いっそ全員名もなき役者にすればいんじゃね?とも思うけど、そこはやっぱ興行的に失敗するわけにもいかないしね。
 話は面白い。だって原作は東野圭吾。それだけに、キャストに頼らない映画だったらどうなるのか、木村拓哉と長澤まさみ以外をかつての『12人の優しい日本人』みたいにまだ売れる前の役者たちだったらどんな映画になったのか、観てみたい気がすごいした。
 なんて考えちゃうくらい面白くはあったけど、明石家さんまってどこに出ていたの?


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「ブラック・クランズマン」を観る(19.3.30)

「確かにオスカー作品賞は・・・でも、今のアメリカが見える秀作」
 まだ差別が色濃く残る時代のアメリカ南部、黒人の民権運動が盛んな頃。町で初めての黒人警官となったロンが潜入捜査の対象に選んだのは、白人至上主義団体「KKK(クー・クラックス・クラン)」だった。電話では黒人警官ロン、実働はフリップという変則二人羽織のバディ映画。彼らはKKKを欺き、実態をさらけ出すことができるのか?
 嘘みたいなホントの話。偏見を持つ者が多い警察署内でもロンの行動力が仲間を作り、絆を深め、難局に立ち向かっていく。黒人に敵意を露わにするKKKと黒人の民権運動が対比されるように物語が進む。随所に見られる黒人文化(音楽や踊りなど)は今でこそ自然に映るけど、当時は奇異の目で見られていたんだろう。それがまた一段と両者の溝の深さを浮きだたせる。そして手に汗握る展開が。
 とにかくコンゲームさながらの軽快なストーリーを楽しむことができる。でもそれだけでなく、悲しい歴史を学ぶこともできる。スパイク・リー渾身の一本だ。
 40年前の実話をもとに作られた映画。多民族国家として成熟していない頃のアメリカと思ったけど、その認識を覆すラストが待ち受ける。その直前のガッツポーズが清々しかっただけに、なんとも悲しくなる。
 アカデミー会員が称賛する映画を揶揄するように引用しているだけに、アカデミー賞の主要部門を受賞するのはやっぱ難しいんだろう。でも間違いなくそれに匹敵するいい映画だと、ぼくは信じて疑わない。スパイク・リー、グッジョブです。


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「まく子」を観る(19.3.29)

「その状況の素晴らしさ、失ったときに気づくんだよね」
 西加奈子原作のオトナの階段を上る小説を映画化。変わりゆく自分に戸惑い、変わりゆく自分を嫌悪する11歳の少年・サトシの冬から春の物語。
 西加奈子って言葉選びの感覚の抜群さと、リアルとファンタジーの使い分けがうまいなぁ…っていつも読んで思ってて、それをどんな映像にするか楽しみだったんだよね。
 主人公が11歳の少年と少女だったので、大丈夫かって思ったけど、これがすごくよかったんだよね。コズエの真っ直ぐさにサトシの照れる感じがすごくよくって。そりゃそうなったぜ、ぼくだってって。在りし日の、いまは亡き自分を思い出したりして。
 あと、草g剛がよかった。ダメな父ちゃんなんだけど、ジャニーズ時代にはなかったような抜けた演技が。
 舞い上がった枯葉は落ちるから美しい。終わりがあるから美しい。終わることは寂しいけれど、記憶にとどめたら永遠にだってできるんだもん。そして次に伝えることができるんだもん。みんなが体験したあの素敵な出来事が、いつまでも語り継がれればいいよね。
 舞台となった四万温泉は28歳くらいの時に1カ月ほど出張で過ごした街だったので、それもまた懐かしかったかな。


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道新寄席 春風亭昇太 独演会を観る(19.3.28)

「次期会長、古今亭に怒られないでね!」
 落語芸術協会の会長就任かぁ。会長職を名誉職と考えず、チャレンジの旗振り役と考えた場合、まだ還暦前でバリバリ動ける昇太は適任なんだろうね。
 マクラはメンバー鉄板の笑点ネタ。TBSの福沢ドラマ作品&映画『七つの会議』撮影秘話(談春と被ってる?)。会長就任後の公約(幕の内弁当撤廃)。テレビで活躍する昇太ならでは。
 前回の独演会で「次回は三席やります」の公約通りはうれしい限り。しかも一席目と二席目の合間にナマ着替えのおまけつき。三席とも色が違う噺で楽しかった〜。
 同日に開催された枝光・喬太郎二人会、円楽・好楽二人会ではなく昇太独演会を選んでよかった。
『オープニングトーク』 春風亭昇太
 会長就任(まだだけど)裏話。ほんとタイムリーなニュースだよね。
『転失気』 春風亭昇りん
 前回に続きリンゴ農家の三男坊が開口一番。マクラは複数持ってた方がいいかな。
『看板の一(ぴん)』 春風亭昇太
 バカっぷりが格別な看板の一。昇太らしい演出も加わって、爆笑必至です。
『伊与吉幽霊』 春風亭昇太
 えっ?これ新作なの?海難事故で幽霊となった伊与吉が母に会いに行く噺なんだけど、いい感じの人情噺でホロリときます。。
『火焔太鼓』 春風亭昇太
 一昨日NHK Eテレで『落語ディーパー! ?東出・一之輔の噺のはなし?』見ちゃったんだよね。古今亭志ん生が作り直し、古今亭一門が「よその人には演じてもらいたくない」とまで言わしめる一席を、バカVer.として昇太が・・・。もちろん古今亭一門とは趣の違う『火焔太鼓』で大いに笑えたんだけど、大丈夫か?古今亭一門に怒られないか?まぁ、古典落語なんだもん、誰がやったってありはありなんだよね。。


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RAKUフェス<夜の部>を観る(19.3.23)

「この中から未来の名人が・・・ガンバレわん丈!」
 正直、ぼくは三遊亭わん丈にめっちゃ肩入れしている。今回落語協会所属の二つ目を集めた落語会があると知った時も、真っ先にわん丈に目が行って。だからわん丈中心の記載になるかもなのは勘弁してね。
 今回出演のうち小辰を除く四人は聞いたことがある噺家さん。そこに小辰を加えても、なんと個性に富んだラインナップだこと。それぞれの特徴は下に記すけど、いろんなタイプの落語が聞けて、とても楽しい会なのだ。
 昼の部と違い、夜の部は艶っぽい噺が連発で、なんかみんな競ってかけてる感じで。となると、トップバッターはちょっとかわいそうだったかも。
 にしてもやっぱわん丈。このメンバーでは一番格下(入門から浅い)になるんだけど、機転の利かせ方が抜群なんだよなぁ。今後も追っかけたくなる噺家です。
『元犬』 柳亭市弥
 イケメン落語家なのに話しぶりは渋いの。師匠・市馬譲りというか。登壇時に座布団の向きを直すなど、落語の所作も教えてくれて。元犬は市弥の色の白さも手伝ってハマってたなぁ。
『短命』 春風亭一蔵
 こちらは元トラックドライバーで元気いっぱいの語り口。あまり優秀じゃない高校出身というマクラはとぼけた八っさんへのフリなのか。ハキハキとした語り口で勢いある落語です。
『夢の酒』 入船亭小辰
 こちらは師匠・扇辰譲りの落ち着き。なんというか、けれんみのある話し方なんだよね。生粋の江戸っ子って感じの。
『紙入れ』 三遊亭わん丈
 なんと、この噺は古今亭菊之丞から教えてもらったんだとか。確かに圓丈はやらないよね。ぼく、菊之丞のの『紙入れ』も聞いているので、なんか感慨深くって。そう考えると、噺家さんは必ずしも師匠にネタを教えてもらっているわけではないから、どの噺を誰に教えてもらったか、興味深いよね。で、菊之丞の「紙入れ」をさらに自分のものに消化してかけてるのが伝わってくる。特にわん丈考案・羽織を用いた掛け布団の所作はおおーって。マクラで市弥を褒め、ネタに一蔵や「夢の酒」を散りばめ、スポンサーである農協もPR。この機転の利き方もすごいけど、なにより噺が面白い。たまらないです。
『幾代餅』 柳家小太郎
 終演後、記念撮影に応じる小太郎は猫ひろしみたいなんだけど、高座ではその感じは抑えながらも味を出してます。さん喬の演じ分けとはひと味違う語り口で、安心感ある面白さでした。


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六本木歌舞伎 第三弾 「羅生門」を観る(19.3.21)

「歌舞伎の裾野を広げる試みがここにも」
「羅生門の脚本、宮藤官九郎だよ」
 当初観に行くつもりではなかったんだけど、そんな情報を飲んでる時に聞いて。そうだったっけ?もしそうなら…ってことでチケットを買ったんだけど、完全に出遅れてしまい3階席の右ブロックに。で、脚本は官九郎じゃないって後でわかって・・・まぁ楽しみましょう。
 でも、ここの席だと正直役者の顔がよくわからない。だからオープニングの立ち回りも誰が誰だかさっぱり。てっきり海老蔵と三宅健がやってるのかと思ってた。で、舞台が羅生門にかわって三宅健登場。なんたって声がね、特徴的だからすぐわかるやね。となると海老蔵はどこだ?おっ、不審者乱入?えっ?あれっ?
 歌舞伎を身近に知ってもらいたいという企画のもので製作されただけに、すごくフランクな三池崇演出。ブログ更新感覚の海老蔵といじられキャラの三宅健のダメ出しコーナーなど、とっつきやすさ満載で。もちろん歌舞伎の様式美も鹿と観ることができまして。
 そしてラストの美しさたるや。もう、言葉につまってしまって。正直、お話しとしてはどうかなってところがあるんだけど、日本に脈々と伝わる伝統文化の凄みを味うことができました。
 三宅健のキムタクと海老蔵の子どもはちょっとずるいけどね。いいもん観れました。


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白石一郎「海狼伝」を読む(19.3.17)

「海賊王に笛太郎はなれるのかな?」
 読む小説が偏る。そりゃ好みってもんがあって、ジャンルとか雰囲気的に偏るのは仕方ないと思うけど、作家が偏ったりシリーズものを追うばかりも困ったもんで。そんな時、ネットの記事だったかな、黒木華がおすすめの小説を紹介してたんだよね。それが本書『海狼伝』。華ちゃんが面白いって言ってるんだぜ。読んでみなくっちゃさ。
 30年以上前の直木賞受賞作。まだ『ワンピース』も『パイレーツオブカリビアン』も生まれる前の海洋活劇。対馬の若者・笛太郎が明国の血をひく雷三郎と朝鮮帰りの海賊団から瀬戸内海で名を馳せる村上海賊衆に加わり、海を駆ける物語青春記。殺伐とした場面あり、淡い恋心あり、夢がある冒険記となっている。かといって、すべてが架空の物語ではなく、戦国時代の史実も絡み、物語に深みが加わっていて。
 村上海賊といえば『村上海賊の娘』が記憶に新しいけど、まさにその時代。信長に対立し籠城を続ける本願寺勢に食料や武器を届けるくだりはまさに両作品ともにひとつのヤマ場。でも、同じ戦いでも視点が違う。『村上海賊の娘』が戦に向いているのにたいし、本書は海賊でありながらも商いに向いている。あの時代、あの状況の海賊でそこに目を光らせるとは。笛太郎と雷三郎が村上海賊衆で仕えることになる小金吾のキャラが立ってるんだよね。大海に出て自由に商いをしたいと願う小金吾が。この存在がなければ、この物語も進まないんだけど。
 風読み、舵取りに長けた笛太郎、武道に通じ無双の雷三郎、船頭で商いに秀でた小金吾。彼らの船出と切り開く世界が楽しくてたまらない。
 この物語には続きがあるそうで。冒頭に書いたけど、シリーズ物は…読むでしょう。


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「劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ」を観る(19.3.15)

「鑑賞後はもちろん『Get Wild』まつりなのです」
 新宿の街をかけるミニ。「Angel Night?天使のいる場所?」が流れると、すぐにあの世界観に陥ってしまう。学生の頃に夢中だった『シティーハンター』。ぼくの中ではルパン三世、ジャック・スパロウと同系列の格好いい男が冴羽?なのだ。もっこりしたっていいじゃないか。ハンマーで殴られたっていいじゃないか。やるときはやる、それが男なんだから。
 掲示板に書き込まれたXYZ。新宿ですすむ不穏な動き。あの頃のシティーハンターとは違う、電脳・ネットが脅かす脅威に、冴羽?はどう立ち向かうのか。
 テイストはあの頃のまま。エロさはちょっと増してはいないか?それでもやっぱ観てて楽しい。大学生の頃を思い出す。あの頃はミニに乗りたかったんだよなぁ。
 2019年の新宿が舞台。90年代じゃなく今が舞台という設定での劇場版というのがなんだかうれしい。だって、コミック上では2000年にはもう…。パラレルワールドとしてもなんでも、?と香が新宿を守る姿はずっとそのままであり続けて欲しいよね。
 エンディングはもう懐かしさと思い入れがいっぱい詰まっていて。やっぱりEpisode-05はホロリときちゃう。
 そして夜通しでもっこりまつり…ではなくて、「Get Wild」まつりなのでした。


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TBSラジオ『神田松之丞 問わず語りの松之丞』Presents「銀幕の松之丞2019」LVを観る(19.3.11)

「毒舌?それともぐだ噺?松之丞の面白さは難しい」
 松之丞の講談をライブビューイングで聴ける。ただそれだけの情報で札幌会場のチケットを入手し、参戦。彼が関東ローカルで持っているラジオ番組のイベントと知ったのは会が始まってからだった。もちろんラジオは聞いたことがない。
 ゆえに戸惑った。独演会などで辛口発言したりもするけど、誰かを攻撃するような発言はあまりないから。あぁ、こういうキャラなんだ…って。もちろんそれを批判する気はないんだけど、しっくりこないんだよなぁ。ナイツ・土屋とのバトルもラジオ聞いてないからわからないし、バナナマン・日村とのくだり(あとでWebで確認)も毒舌というよりはただのおっちょこちょいにしか見えず。そしてラジオの枠から出る話もなく(ラジオのイベントだからそれはよいのか)。ただ、内輪受けに終始してたのは、せっかくのライブビューイングなのに…って。
 きっと正直な人なんだろうね。そんで不器用で。だから不用意な発言になったり、上手く伝わらなかったりするのかな。講談はビシバシ伝わってくるけど。
 これまで知らなかった松之丞の一面を観ることができた。またやってほしいものだ…エンターテインメントとして。
『?』 ナイツ(漫才)
 テレビ以外でナイツの漫才を聞くのはこれが初めて。いやいや、毒がてんこ盛り。それはもう放送できないでしょ、このご時世では。特に盗聴器のくだりなんか。そんな一面を見れたのが大収穫なのだ。
『トークショー』 ナイツ、神田松之丞
 ナイツ・土屋と神田松之丞の抗争について…まぁ大した問題ではなく、お互いのラジオで面白おかしく掛け合いをしてるというとこなんだろうなぁ。二人をひいて見ている塙がすごく常識人でこれまた驚き。
『血煙高田の馬場』 坂本頼光(活弁)
 活動弁士というのもテレビでしか知らなかった。実際に観てみるとその伝える情報量が多くって。ただ話すだけでなく、映像に合わせて話さなければならないすごさ。このお話しは松之丞の講談『安兵衛駆け付け』として聞いてもいたので、それと比較するのも面白かった。
『赤穂義士銘々伝 神崎の詫び証文』 神田松之丞(講談)
 こちらは2度目の鑑賞。やっぱり松之丞演じる牛五郎の憎たらしさ、健気さがたまらない。最初はむかつくんだけどさ。もしかして、これが松之丞の素の顔なのか?


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「道新寄席 立川談春 独演会」を観る(19.3.9)

「そりゃもう喋りたくなるでしょう、こっちも聞きたくなるし」
 もはや個性派俳優の地位を確立したといってもよさそうな立川談春。映画にドラマに出てるよね。で、久しぶりの札幌での落語会。もう最初っから喋りたくってしょうがないって感じで。『下町ロケット』のこと、『Team NACS』のことを。そりゃもう食いつきはいいよね。視聴率よかったし、談春ファンが集まってるんだし、ご当地俳優出てたし。もうぼくだって耳がダンボさ。でもね、書けないんだよ。いろいろあってさ。オトナの対応として。
 もちろん落語の方は安定の上手さと面白さ。三本締め予告からの話の長さにはちょっと…だったけど、それだけ話したいことがいっぱいあったのね。そう思わせる地・北海道でよかったです。
『野ざらし』 談春
 釣りの話といえば…とのことで。釣りというよりは男のアホな生態の噺って感じがしちゃう。それが同感できちゃうから、ぼくも八五郎なんだろうね。
『下町ロケット撮影秘話』 談春
 下町ロケット、七つの会議、原田知世と共演した映画など、個性派役者としてした仕事のこぼれ話がどっさりと。ぼくは談春と同学年なので、やっぱり原田知世と言ったら上がるよね。。
『お若伊之助』 談春
 今ではほとんどだれもやらない、談春曰く「本当の意味での人情噺」なんだそうで。笑いどころは少ないと言いながらも、初五郎が駆け回る様はやっぱ面白い。その熱演が見所です。ちなみに6年前にも談春やってたよ


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星屑の会「星屑の町〜完結篇」を観る(19.3.6)

「歳をとると素直になれないんだよね、本当の気持ちに」
 小宮孝康、ラサール石井、太平サブローが中心となって結成された星屑の会。今作は地方回りの売れないムード歌謡コーラスグループ「山田修とハローナイツ」の悲哀を描く人気シリーズの第7弾にして完結篇。まぁこのシリーズ一度も観たことないんだけど、なにせ出演者が魅力的で。渡辺哲、でんでん、有薗芳記、菅原大吉。『アウトレイジ』には出ていないし、大杉漣とシェアハウスに住んでいなかったけど、なくてはならないバイプレイヤーたち。どちらかというとぼくよりの。さらにマドンナ戸田恵子。
 そして作・演出の水谷龍二。彼の書く人情劇は本当に心に染みるんだよなぁ。地道に生きてる人たちの何気ない感情がひしひしと伝わってきて。それがこの出演者たちにマッチしてさ。
 舞台は函館の閉館したキャバレー。取り壊し前の最期のショーに呼ばれ、十数年ぶりに集合する山田修とハローナイツ。でも、一人足りない・・・。
 アラ60になり、暮らしも考え方も変わったメンバーたちの悲喜こもごも。それぞれに見栄もあれば意地もある。だからかたくなにもなるし、情に脆くもなる。そんなこんなに近づいている自分に置き換えながら観てしまうんだよなぁ。
 横山やすしを知らない世代が増え、あまつさえサブロー・シローも知らない世代が増え、「めがね、めがね」が通用しなくなりつつあるものの、ラサール石井と太平サブローの漫才は絶品だったなぁ。


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竹原ピストル「one for the show 2019」を観る(19.3.4)

「ミジンコくらいにちいさくなれないけど、今のぼくにはないものばかりだけど」
 二日続けて心をえぐられた。すごいシンプルなのに、えらくがっつりと。今日の竹原ピストルはギター&ボーカル、ベース、ドラムの3ピース。広いわくわくホリデーホールのステージにぎゅっと固まって。その固まりから放たれる音の響き、声の唸りが直接耳に、心に突き刺さってくる。なにせ最前列だったし。
 うっとりするような美声じゃないけど、澄んだ音色のギターじゃないけど、確実に響いてきて、突き刺さって、えぐられる。その言葉は聴き取れないところがあったとしても、そんな些細なことなどおかまいなしに真正面からぶつかってくる。
 陽気なおっさんが願う思い。みんなの健康と幸せを祈る気持ち。やるせなさを励ますエール。そのすべてを全身で受け止め、負けないように飛ばされないように地に足をつけ踏みしめる。そして思う。「ホンモノぶっ倒す、極上のバッタモン」でありたいと。
 なんか同じようなことしか書いていない。でもそれがすべての最高の夜だった。
 竹原ピストル初体験が一番前でよかった。だって、ぼくの涙は竹原ピストルにしか見えないから。


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日食なつこ「Sing well Tour」を観る(19.3.3)

「日食なつこにとっての Sing well を身体で感じるLiveです」
 日食なつこのLiveには中毒性がある。ピアノとドラムだけで繰り広げられるとてもシンプルな響きと、心を刺す歌声。ピアノも歌声も打楽器なんだって感じさせてくれる。そして心をえぐられる。「Sing well」。まさに彼女の言葉のごとく。
 Newアルバム『永久凍土』を引っ提げての今回のツアー。ピアノ弾き語りで始まり、ドラム・komakiが加わっての2ピースへ。どちらも味わい深く、疾走感満点で。日食なつこだけでなく、ピアノもドラムも歌ってる。それがすごく心地よい。
 昨年に続き、彼女曰く「カラオケ」感覚のカバーは今年も健在で。それこそ「ヒットを記録したっていうサビさえ知らない歌謡曲」なんだろうけど。
 あんなふうに伝える術と力があったらどんなに楽しいか。伝えられる身ですら楽しいんだもん。この響きをもっとダイレクトに感じる方法はないかなぁ。kitaraの小ホールでやってくれたら、また違う味わいのLiveになるのかも。聴いてみたいなぁ。
 あっ、あの上から目線のMCもクセになる要素のひとつかも。


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「THE GUILTY ギルティ」を観る(19.3.1)

「息が詰まるほど釘付けになった…デンマーク発の落語的サスペンス」
 とにかくすごかった。見逃がせない…いや、聞き逃せないんだ。だって、舞台は警察の緊急通報指令室のみ。画面に映る登場人物はわけあって現場を外された刑事・アスカーとその同僚だけなのだ。あとはアスカーの電話の向こう側。声だけしかわからない。そこで繰り広げられる超絶サスペンスなのだ。
 疾走する車からかかる女性の緊急通報。誘拐?状況を把握すべく、携帯No.から身元を割り出し、ことの全容の推測〜解決を目指すアスカー。頼りは声だけ。関係者の声を紡いで事件の真相に迫る。
 声と音だけなのだ。あとはアスカーの焦燥と怒り。電話の向こうの出来事は、声と音からぼくらが想像しなくてはならない。これってまるで落語のようだよね。観る者(聞く者)の技量が試される部分が大きくて。だから必死に映画に食らいつく。息が詰まるほど見つめ、耳を立て、映像を思い浮かべる。その映像が鮮明になればなるほど・・・。
 まったくすごい映画だった。ぼくらみんなアスカーの気持ちとシンクロしていただけに、なおさら。お見事としか言いようのない面白さだった。
 これ、落語にできそうだよ…相当腕のある噺家が必要だけど。これを応用した新作も作られるんじゃないかな。そんなことも思わせる、いい作品でした。


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第2回札幌福北寄席を観る(19.2.27)

「正統と異端、清濁併せて楽しむ福北寄席」
 手作り感満載の札幌福北寄席も今回が2回目。今回も二つ目さんの競演・・・と言いながらも、小痴楽は真打昇進が決まったからなぁ。おめでとうございます。
 そんな乗りに乗ってる古典の使い手・小痴楽とガチンコ競演するのは、古典も新作も独自の斜め目線で喋り倒す昇々。成金メンバーで各二席です。
 福北寄席の会場である時計台ホールの特徴といえば、定時に鐘が鳴ること。ゆえに20時の鐘が鳴るときは仲入りでなければならず、21時の鐘が鳴る前に終わらねばならない。前回は惜しくも仲入り間に合わず鐘の音を聞いたけど、今回はなんとバッチリ。19:58に仲入りに。プロの対応だったのです。さすが。
 味わいが大きく違う二人なので、それだけで落語の懐の深さが感じられるというか。成金はメンバーの誰かが真打に昇進した時点で解散ってことなので、小痴楽と松之丞の昇進で解散となるんだろうけど、まだまだみんなで切磋琢磨して欲しいよなぁ。
『お面接』 春風亭昇々
 小学校入試の面接を控えた母子の練習から本番を面白おかしく描いた新作。よく見せたいと思うのはどこの親でも一緒なのかな。期待に応えるべく奮闘する子どもの健気さに心地よい笑い。
『磯の鮑』 柳亭小痴楽
 初めて吉原へ行く与太郎の教えリピート噺。これはぼくの受け取り方なのかもしれないけど、小痴楽の話しっぷりがすごく堂に入っていて。それまではそんなに思わなかったのに。これも真打昇進効果?小痴楽に作用したのか、ぼくの意識に作用したのかはわからないけど。
『粗忽長屋』 柳亭小痴楽
 落語といえば・・・ってほどの噺なんだけど、いまどきの感覚がふんだんに盛り込まれていた。それは言葉としてではなく、間や仕草として。二度見、聞きなおしがふんだんに使われていて、熊さん八さんの突拍子もなさをうまく引き出していて。「行き倒れ芸」にも笑わされた。
『湯屋番』 春風亭昇々
 とにかくマクラがずるい。昇々のお母さんネタなんだけど、爆笑連発。このまま落語やらずに終わるんじゃないかと思わせるくらい。で、噺に入った後の若旦那の中二病ぶりが昇々そのものなの。番台で妄想ってどんだけ男の子の夢だよ。でもこれ古典なんだよね。

ボケちゃった…


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TEAM NACS SOLO PROJECT 戸次重幸「MONSTER MATES」を観る(19.2.22)

「恐怖心を植え付けるすべはひとつじゃないので・・・」
 
 毎回ソロプロジェクトではやりたい放題ってイメージの戸次重幸。ゆえに正直ハズレも多い。だから今回もそんなに期待せず観に行った・・・と書くと失礼か。でも、ホントそうなんだもん。
 今回のテーマは不老不死。マンションの最上階に集まった五人の男たちが、不老不死という言葉に疑心暗鬼になり、争う様を描いてます。マンションの住人である精神科医と同居する同級生、元患者で同じマンションに住む魚屋が夕食の支度をしているところに、男が乱入するところから事態が動いていく。
 なんだろう。冷静に考えると脚本は面白かった。でも、終始あれれ?って感じなんだよね。とにかく威嚇の応酬がやかましくて、入ってこない。いろんな意味で恐怖を植え付けることが伏線なんだけど、それが全員単調すぎて、うるさいとしか思えない。まるで『アウトレイジ』みたい…観てないけど。もっと違う表現ってなかったのかな、本当の怖いを醸し出すための。だから最後まで観たらよくできた脚本だったと思うけど、観ているときは「なんだかな」ってなっちゃう。もったいない。あっ、戸次重幸も出演した『趣味の部屋』と被らないように意識したのかな・・・。
 しかし、こんな豪華な出演者が戸次重幸作・演出のカンパニーに集まるようになったんだね。北海道を引っ張って行ってくれ、北海道に帰ってきてくれるNACSメンバーたちには感謝です。
 違うアプローチ、違う演出でもう一度この芝居を観てみたいな。


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「女王陛下のお気に入り」を観る(19.2.16)

「どこまで上に辿り着いたらその欲望はおさまるのか?」
 没落した旧家の娘・アビゲイルはアン女王の信頼厚く今や政治をも牛耳る従姉・サラを頼って宮廷に入り、着々とアン女王の信頼を得ていく。そして、サラの地位を奪おうと・・・。
 幼馴染でもあるアン女王とサラに割って入るためのアビゲイルの行動たるや、なんともすごい。与党議員を駒にするサラに対し、野党議員を手玉にとり、アン女王とサラの禁断の関係にも身体を張る。今よりも幸せになりたい。その欲望はいったいどこまで続くのか。そこに果てがない限り、待っているのは・・・。
 アン女王、サラ、アビゲイルそれぞれに闇があり、それぞれが光を求めているんだけど、本来一番明るい場所にいるはずのアン女王が一番ディープのような気が。明暗の落差が大きいだけに。だって、女性の痛風ってかなりだぜ。同じツーファーとしては。
 正直面白いと声を大にして言える映画じゃなかったけど(ははは)、なんか残る映画でした。
 『ララランド』でも思ったけど、エマ・ストーンって映画の入りはぶさいくに見えるのに、話が進むにつれどんどんキレイに見えてくるんだよね。不思議な女優さんだこと。


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「メリー・ポピンズ リターンズ」を観る(19.2.15)

「毎日の隙間に楽しみがあるのよ 想像できる!」
 やっぱぼくはメリー・ポピンズの子どもです。彼女がいざなう素敵な世界の虜になってはや47年。いまでも心の支えになっていて。そんな彼女を、そんな彼女の新しい物語を、50過ぎて観ることができるだなんて。もううれしくってたまらない。だから今とても興奮しているので。だからネタバレも書いてしまう…。まだ観てない人はお気を付けください。
 ジェーンとマイケルの家庭教師として姉弟に夢を与え、バンクス一家に微笑みを取り戻してから20年。世界恐慌のあおりを食い、家を手放さざるをえなくなったマイケル一家を救うべく(?)メリー・ポピンズがふたたび地上に舞い降りた。
 登場からもう涙が出そうで。あのメリー・ポピンズが帰ってきたって。ぼくの前に戻ってきてくれたって。またあのめくるめく楽しさが目の前で繰り広げられるんだって。そんで繰り広げられるんだもん、なんと素敵な。ミュージカルシーンのワクワク感、圧巻さ、アニメとの融合感。もうたまりません。
 もうね、5歳児に戻ってるんだよね、ぼく。夢の世界への扉が開いてさ。そのくせ51歳のすねた目も併せ持っていて。だからマイケルの気持ちも、その子供ジョン、アナベル、ジョージの気持ちもわかるんだよね。だから楽しみながらもオトナの目で見ている部分もあって。で、一番思ったのが思わせぶりなオマージュの空振り。暖炉に紙を放り投げたら思うでしょ、『メリー・ポピンズ』観た人は。そして2ペンスの優しい嘘。スカされ、じらされ、楽しまされ。やっぱ童心に帰ってるんだよね。
 それだけに、20年前のメリー・ポピンズとの日々を思い出したジェーンとマイケルに言って欲しかったな、あの楽しい言葉、「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス !」を。
 ぼくのささくれたった心を上向きにしてくれる、最高の映画です。


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石田衣良「カンタ」を読む(19.2.13)

「信じあえること、それだけで強くいきたいと願う二人の物語」
 2度予想がハズレた。1度目は購入時。若き実業家と少年との心温まる起業物語かと思ったが、ともに母子家庭に育つ優秀な子・耀司と発達障害の子・カンタの成長物語だった・・・。その頃はまだ発達障害についてうまく理解ができてなかったので4年半寝かして読み始めたら、ただの成長物語ではなく、途中からかつて世間をにぎわせたニュースのまんまの展開が。いやいや、そんなの思ってもみなかった展開だったので、読んでて唖然としてしまった。やられた〜って。
 団地の中の公園にあるロケットのすべり台。そこが始まりで、それが目標の物語。障害があるから、母子家庭だから。二人にかかる過酷な試練に、束の間の幸せと大波に、心が苦しくなりながらも読むのが止まらない。
 あれ?これって一時期世間を賑わせたあの人の自伝じゃないよね…って、あの一連の行動にこんなウラがあったの?って思ってしまったけど、あくまでこれはフィクションです。なのに最後の最後、文庫本の解説をあの人が執筆するなんて。何度ぼくを驚かせ、裏切ればいいんだ、石田衣良。
 大切な人を傷つけられたことで優しさを失い、大切な人を傷つけられたことで優しさを取り戻す。大切な人を守るために大切なものを捨てる。すべての子どもたちがそんな風に思い詰めることのない世の中になればいいのに…と、漠然だけど考えてしまう。


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劇団千年王國「贋作者」を観る(19.2.6)

「混沌の時代に飲まれる二つの才能の物語」
 またもや札幌演劇シーズン2019-冬に参加です。今回は劇団千年王國の「贋作者」。2002年に初演。2009年の再演時にTGR2009 札幌劇場祭大賞を受賞したんだとか。満を持しての再演でしょうか。
 明治維新から間もない東京。狩野派宗家の血を引きながらもそれを嫌い、贋作者として気ままに生きる贋次郎と仲間たち。贋次郎を気に掛ける宗家を継いだ兄・清一郎と血のつながらない母を嫌い、やみくもに西洋文化に傾倒する日本をあざ笑うかのように贋作を描き続ける。でも、楽しい時には終わりが訪れ・・・その先に贋次郎が見たものは?
 武士の時代から散切り頭へ、文明開化真っ盛りの時代に翻弄される者たちの物語。ごった煮の時代の猥雑さがすごく表現されていて、もちろんその時代を体現したわけじゃないのでよくわからkないんだけどそうなんだと納得できて。その説得力に長けてるなって。で、そこをすごく上手く使った物語だなって。
 惜しむらくは贋作チームの掛け合いのところ。威勢のよさを早口で表現しようとしたのか、かつての野田秀樹へのオマージュなのか。如何せん、セリフがよく聞き取れない。もう少し言葉を大切に演じてくれたらよかったのになぁ。
 またこの作・演出家のお芝居、観てみたいよな。面白かったです。


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yhs 40th PLAY 「白浪っ!」を観る(19.2.3)

「地元の劇団も面白いです。和装モダンの義賊劇。」
 札幌はすっかり落語が定着し、演劇公演を観る機会が減ったなぁ・・・と思ってたが、地元劇団の公演は定期的に行われているんだよね、ぼくが注視していなかっただけで。ということで、札幌演劇シーズン2019-冬の作品のひとつ、yhs 40th PLAY 「白浪っ!」を観た。
 江戸幕府の統治が続く2019年に活躍する義賊の物語。歌舞伎「白浪五人男」に発想を得て作られた作品で、TGR2017 札幌劇場祭大賞を受賞したんだとか。
 まず和装モダンとでもいうべき衣装がいい感じ。なるほど現代まで続く江戸時代。そして盗賊団の一人・弁天の死から始まる展開が早くて面白い。舞台美術がシンプルなのもいいよね。あとは観る者の想像に委ねて。
 いつも思うんだけど、小劇団って小劇団らしさを貫くのと娯楽商業的演劇に昇華するの葛藤にあるのかと思う。本作もエンターテインメントに徹することもできただろうし、それにふさわしい物語だったと思う。でも、観てる側に「考えろ」と言わんがばかりのシーンを用意してくる。小劇団の存在意義を示すかのように。どちらが楽しいか、どちらが正解かはわからない。深みを与えるか、難解と思わせるか。それらを含め、挑戦なんだろうね。劇団☆新感線の後追いするわけにもいかないだろうし。
 満席の会場で、札幌の演劇シーンが盛り上がっているのを実感しました。


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「バジュランギおじさんと、小さな迷子」を観る(19.2.2)

「国を隔てる柵をもってしても、人の心は隔てられない」
 最初に書いておきます。ボロ泣きです。大号泣。大いに笑った後に感動の大波が押し寄せてくる。このギャップにやられてしまう。いや、そんなギャップがなくたって泣いてしまう。
 言葉が不自由な女の子が母親とはぐれてしまい、インドで出会ったのがバジュランギ。不器用ながらも真っ直ぐな彼から離れない少女。少女の両親捜しを始めるバジュランギだが、少女が隣国パキスタン出身だと知り・・・。
 インドとパキスタン、元はひとつの国で言葉も文化も近いはずなのに、いまや両国は緊迫した関係。ビザの発行すらままならぬ彼の国に、バジュランギは少女を送り届けることができるのか?
 バジュランギの生い立ちから生活を綴る歌あり踊りありの楽しい前半、少女を連れてパキスタンに密入国するロードムービー風の後半。全編に流れる優しさが心に染みる。国として分かり合えなくとも、人として分かり合える。人の思いが民衆の心を動かす。たった一人の名もなき男の優しさと勇気が、言葉ではなく心で紡いだ少女との絆が、冷たい関係の両国の民意を動かす。
 インド映画を観るたびに、昭和40〜50年代の日本がよぎる。古臭いというのではなく、当時の日本人が持ち合わせていた心がそこに息づいているような気がして。山田洋二監督のハナ肇シリーズや寅さん、黄色いハンカチにあったような、他人を思いやる優しい心が。
 ぼくもこんな男になりたいと思う。要領のよさで切り抜けることばかり考えず、真正面からぶつかって、心を揺さぶるような男に。まぁ、今からじゃ無理なんだろうけどね。
 胸に染みる、心に染みる、素敵な素敵な映画でした。いつまでも大切にしたい映画がまたひとつ増えたよ。


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「ヴィクトリア女王 最期の秘密」を観る(19.2.1)

「きっかけの心情が・・・そのキスの真意とは・・・」
 女王と従事が立ち向かった英国のタブー。差別にあらがい人種や階級を越えた友情。
 と書けば実に聞こえがよく、製作、配給、劇場などこの映画に関わる方々が納得するレビューなのかもしれない。でも、なんか釈然としないんだよね。ぼくの中でストンと腑に落ちないの。だって、明らかに不自然なんだもん。二人の距離の縮め方が。そこには何のためらいもなくグイグイと。
 なぜアブダルはあんなに女王に入れ込んだのか。一見女王がアブダルにと思えるけど、最初のアクションは彼。宴で女王がつまらなそうにしてたから?ハンサムを見込まれたから?それで家族を半ば捨てるような賭けに出ることができるの?
 イギリスとインドの歴史、英国国教会とイスラム教やヒンドゥー教の関係を理解していないので、彼らの根底に流れる感情は計り知れない。嘘をついてまで、ある意味命がけで取り入った理由はなんだったのだろうか。
 そこさえわかれば、それが純真であろうとも邪心であろうとも、あとは素敵な信頼関係を楽しめる映画だったんだけど。


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住野よる「青くて痛くて脆い」を読む(19.1.31)

「特別が日常になると幸せが生まれ、その日常を失う時に絶望を感じる」
 また胸が張り裂けるような想いがした。住野よる作品を読むたびにいつも。それこそ昔のぼくの、いや今も続く青くて痛いところを射貫かれるようで。
 他人と関わることを極力避け大学生活を過ごそうとしていた楓の前に現れた秋好さん。理想を前面に出し、楓の心にずかずかと入ってくる秋好さんに戸惑いながらも、二人で秘密結社モアイを作って。でも、秋好さんはもういない・・・。そしてモアイは規模を増し、楓を弾いて別モノになっていた。
 4年生になり、就職も決まった楓は、モアイを取り戻すために立ち上がる。
 特別な出来事が積み重なり日常になったときに幸せって生まれる。でもその日常が失われたときに絶望を感じるんだ。当たり前と思うとありがたみが薄れ、失くした時にありがたさに気づく。そして心の奥でからまわりし続ける。美しいものはいつまでも美しくあり続け。
 わかるんだ、その気持ち。自分を見つめ直す余裕がなく、自分を肯定することでやり過ごそうとする気持ち。まるでぼくなんだ。だから痛いんだ。だからつらいんだ、住野よる作品を読むことは。気づかされるから。ダメな自分を。
 でも、読んだことで前に進める気がしてくる。自分を勇気づけてくれる。だから、胸が張り裂けそうになるのを覚悟で住野よるを読んでしまう。いつまでも青くて痛くて脆いオトナのぼくは。


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特撮のDNA−『ゴジラ』から『シン・ゴジラ』まで−怪獣王、蒲田来襲!を観る(19.1.27)

「怪獣王とともにかつての子どもたちも蒲田来襲!」
 ぼくはそんなにゴジラや特撮にどっぷりハマった方じゃなかったけど、そんなぼくでもゴジラへの尊敬の念と憧れでいっぱいで。ましてやかつての子ども怪獣博士たちにとっては…。最終日ということもあり、会場は大賑わい。ゴジラの第一作からシン・ゴジラまで、実際に使われた造形物や設定がなど、それはそれは貴重なものがたくさん展示されている。フラッシュと動画以外は撮影フリーということで、みんなひとつひとついろんな角度から撮影して。みんな明らかに童心に帰っていて。
 いまでこそCGにより現実をはるかに超える映像が撮影できる世の中だけど、かつての特撮の試行錯誤、それを受け継いだうえでの現在の映像を振り返ると、未知のもの、見えないものに挑んできた先人たちの思いと技につくづく感嘆なのです。
 会場のあちこちで聞こえる怪獣博士たちの博識披露をなんとなく聞きながらの鑑賞は、公式音声ガイドを聞いているみたい。お互いの画角に入らないように気を遣いながらみんなで撮影。生まれた年も場所も育ちも違うかつての子どもたち。ゴジラ、特撮が絆となって集う素敵な展覧会なのです。
 ぼくも写真めちゃくちゃ撮ったけど、一部を以下にご紹介。

やっぱシン・ゴジラはリアルだよなぁ

第5形態のグロさは格別

樋口真嗣監督のかわいいスケッチ。野帳に書いてあるのがうれしい

第2形態、第3形態のかわいさといったら

特に第2形態のエラが・・・ね

ゴジラの設定図、モスラってそんなにデカかったの?

ゴジラの顔の変遷です。まずは第1作から

左は馴染みのゴジラで右はただの恐竜みたい

そしてどんどんいかつくなっていくのです

モスラ〜や、モスラ〜

メカゴジラも時代に合わせメカが強くなっていく

ゾーンファイター、完全にやられてます

ゴジラとモスラをバックに・・・ぼく


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恩田陸「蜜蜂と遠雷」を読む(19.1.27)

「情景か…凡人は記憶をたどるだけなんだけど…」
 日本のとある都市が開催する国際ピアノコンクール。世界から集まるコンテスタントと審査員たち。前日譚として語られるオーディションと二週間に渡るコンクールを、彼らの目線で描いていく物語。直木賞と本屋大賞をW受賞したという、著者渾身、文句なしの最高傑作!(本の帯より)
 4人のコンテスタントを軸に、彼らのバックボーンから演奏から感情までを、時には本人目線で、時には他人目線で。だから必ずしも他人目線が正解かどうかはわからない。でも、極め人たちには相通じる言語があり、同じ情景を見ることができるようだ。音、音楽という共通言語で。
 音楽モノを文章やマンガで描くのは難しいとはよく聞く。だって、音は正確に文章にはできないから。クラッシックの場合、ショパンの一番と書けばスタンダードゆえイメージは得られやすいのかもしれないけど、それでも各個人が奏でる音は千差万別だから。それを本作では感情と情景で描き切る。それも視点を複数にすることで、より幅を広げているというか。音を聴いて思い浮かぶのって、ぼくはせいぜいぼくの記憶を呼び起こす程度。奏者の描く絵なんて見えやしない。凡人だから仕方ないんだけどね。
 そんな高度な文章テクニックで描かれる音と、これは夢枕獏『餓狼伝』もしくは『獅子の門』じゃないの?って思っちゃうような格闘トーナメント的な展開がたまらなく面白い。
 これ以上書くとネタバレになりそうだし、今年映画化されるらしいから…でも、映画で実際に音と絵がついたら、この小説の魅力が半減しちゃいそうで怖いなぁ。
 W受賞が大納得の面白い小説だった。流石です、恩田陸。


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「十二人の死にたい子どもたち」を観る(19.1.25)

「集まらないと死ねないのかよ、最近の若者は…いえいえそこには」
 廃墟と化した病院に集う12人の子どもたち。目的は集団自殺。全員が集まった時、そこには12人の子どもと死体が1体。誰が0番を殺した?自ら命を絶つことができない場なのか?集団自殺を実行すべきか、子どもたちのディスカッションが始まる。
 最初映画情報を観たときに萩尾望都の『11人いる!』みたいな感じかと思った。まぁ、冲方丁が既定路線に走るはずもなく、ひと癖もふた癖もあって。それぞれに問題を抱える12…13人の、死にたい思惑が交差するさま。食い違う証言。誰が本当のことを言っているのか?誰が本当に死にたがっているのか?若手俳優たちが火花を散らす。
 率直に面白かった。小説は読んでないからイメージが違うのかもしれないが、映像だとしっかり見てやろうという気が満々で、ぼくも名探偵のひとりになるべく奮闘しちゃう。それが楽しい映画です。
 この謎と12…13人の行く末に注目です。


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「家(うち)へ帰ろう」を観る(19.1.19)

「帰るべき家(うち)はどこなんだろうか。心が求める場所は、人は」
 偶然なんだけど、2作続けてユダヤ人にまつわる映画で。「彼が愛したケーキ職人」が現代に生きる人の感覚で、「家(うち)へ帰ろう」は当時を知る人の映画…なんてぼくなんかが軽々しく言っちゃいけないんだろうけど。
 第二次世界大戦当時のポーランドでナチスのユダヤ人迫害に合い、アルゼンチンに移住した仕立て屋のアブラハム。あれから70年、子供たちに半ば強制的に老人ホームに入れられることを機に、アルゼンチンを離れ、ポーランドへ向かうことに。最後に仕立てたスーツを渡すために。
 あの手この手でマドリード、パリ、ベルリン、ワルシャワを渡りかつて自分が住んだ街へ。過去を背負いながら。
 仕立て屋だけあって、スーツ姿がカッコイイ。そして頑固なのにダンディ。そのギャップでってわけじゃないんだろうけど、彼には女神たちがついているようで。うらやましい。
 何度も書いているが、平和の中で生きているあの体験をぼくが理解できるハズもない。でも、70年音信不通でも会いたい、会いに行かねばならないという強い思いは理解できる。だからあのラストには自然と涙ボロボロだった。
 まぁ、32年後の初恋の女性の顔もわからなかったぼくなんだけどね。


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「彼が愛したケーキ職人」を観る(19.1.13)

「体の傷なら治せるけれど 心の痛手は癒せはしない?」
 イスラエルという国のこと…というかユダヤ教についてぼくはほとんど知らない。ただ、第二次世界大戦でナチスドイツが行ったユダヤ人弾圧は忘れてはいけない史実と理解している。だから、ベルリンとエルサレムを舞台としたイスラエル映画になんとなく興味がわいた。
 エルサレムからベルリンに定期的に出張するオーレンは、馴染みのケーキ店の青年パティシエ・トーマスと愛をはぐくむ。しかし、エルサレムに戻ったオーレンはベルリンに戻ることはなく、エルサレムで事故に遭い死亡する。オーレンの影を追いエルサレムを訪れたトーマスは、オーレンの妻アナトと出会い…。 二人の持つ喪失感は互いに埋め合うことができるのか。
 なんともせつない物語。抱き合ってもトーマスはオーレンを感じるために、アナトはオーレンを忘れるために。心の穴を塞ぐことと、新たな愛を求めることのかい離。
 ユダヤ教の決まりごとが物語の随所に見られ、少しだけどイスラエルという国を知ることができた。ドイツとユダヤ人の過去のわだかまりはアナトの義兄の「よりによってドイツ人…」って言葉に見えたりもしたけど、民族の対立じゃなく、喪失感の埋め方の対比をきちんと描いていて、今を生きる人たちの映画だって思った。静かだけど深い映画でした。


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「それだけが、僕の世界」を観る(19.1.9)

「不可能とは事実ではない、思い込みだ by モハメド・アリ」
 家族だから?才能があるから?そんなうがった見方をするぼくは心底ひねくれ者なのかもしれない。でも、幼い頃に見捨てられたことで母を恨み、サヴァン症候群の異父弟の存在を知り戸惑うジョハが心を開くきっかけはと思うと、そこに行きついてしまう。
 ボクシング元東洋チャンピオンのジョハにとって、ピアノの才能はあるものの、健常者とは一線を画すジンテは計り知れない存在だったと思う。しかも、自分を捨てた母はジンテばかりかばう。受け入れるのって大変だったと。
 とはいえ、戸惑いながらも少しづつ心を開いていく兄弟。その様は微笑ましくあり、笑いにもあふれている。悲しい出来事も越えて絆を深めて。
 自分だったらどう付き合うのだろうか。心から愛おしく思える存在と最初から認識できるだろうか。こんな目が差別の一因につながっているのかもしれないけど。
 本当の意味で無償の愛を実践していたのは、大家の娘なんだろうなぁ。


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「パッドマン 5億人の女性を救った男」を観る(19.1.5)

「1人の女さえ守れないのならば、男じゃない」
 ↑、主人公・ラクシュミが語る数々の名セリフの中でも、ぼくにとって一番グっときたのがこれ。彼には栄冠も成功も地位も名誉もたいして意味ないのだ。愛する妻の身を守りたい、自分のために妻が被った屈辱を晴らしてあげたい。それが結果として5億人の女性を救っただけ…とこともなげに言ってのけるのがラクシュミなのだ。
 21世紀になっても生理は忌むべきものとして女性は遠ざけられ、生理用品の使用率も12%と低かったインド。不衛生により命を落とすこともあったという。それでも生理はタブーというインドの慣習。小さい頃から当たり前に生理用品のCMを見てきたので、なによりその事実に驚かされた。
 そんなインド社会の中、ラクシュミは愛する妻の身を危険にさらしたくないと、お手製のナプキンを製作し(衛生面でツッコミどころはあるけど)、性能向上のため奔放し、自らをも実験台として村を追われ、妻にも去られ…。
 前半はもう妻に盲目で奇天烈な男にしか見えないんだけど、彼の一念が実を結んでいく後半は痛快と涙のジェットコースター。彼を支える顧客第1号・パリ―と、インドの女性を救う旅に、心撃たれまくる…せつない。
 すべてを投げ打ってでも貫く愛。心から感動できる一作でした。


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「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」を観る(19.1.4)

「生きていくんだから、わがままのひとつくらい言ってもいいのだ」
 筋ジストロフィーでほぼ全身の自由が利かない身でありながら、病院での拘束を拒み、自立して生きていく道を選ぶ鹿野。彼を支えるボランティアたちとの立場は対等もしくはそれ以上?鹿野の無理難題に振り回されながらも、鹿野を支え続けるボラのみんな。どうしたらそんなに献身的になれるのだろうか…って思ってた。でも、観ているうちに生きていくうえで、わがままだって必要じゃないかって思うようになってきた。強がって、自分一人で生きていくことが必ずしも正解じゃない。で、鹿野は一人でできることがほぼほぼないから、わがままの数が多くなってもいいんじゃないかって。それをみんなで共有すればいいのかって。
 ただ、目線は田中くんや美咲ちゃんに行ってしまう。田中くんの嫉妬する気持ち、言葉にすごく共感するし、美咲ちゃんの・・・もめちゃよくわかる。それは対障がい者としてのものでなく、ごくごく普通の人の気持ちとして。
 で、誰だってわがままを言いたいときもあるし、誰かによりかかることも必要なんだって。頼れる誰かになりたいし、たまには誰かに支えて欲しい。鹿野って誰かに頼ることしかできないように見えて、みんなの心の支えになってたんだよね。生きるために全力を尽くす、その姿が。
 ぼくが誰かの心の支えになることができるのかな?ぼくの財布は飲み屋の支えになってると思うけど。
 あっ、ラスト近くのあのロケ地って、『探偵はBARにいる3』のあの場所だよね、きっと。


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