artな戯れ言2018


このページではartな戯れ言を集めて掲載しています。


「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」を観る(18.11.10)

「世の風潮に逆行するけど、斬新なアニメなのです」
 グリム童話は一筋縄ではいかないって聞いてはいたけど、『赤ずきん』や『白雪姫』みたいな清らかな話ばかりじゃないんだよね。『手をなくした少女』は毒親により悪魔に売られ、手をなくした少女の物語。あまりにも過酷すぎて、きっと文章では読めないような気がして。リアルな実写でも3Dのアニメでもグロくなっちゃうような。
 ところがなんだ、このアニメは。まるで水墨画のような出だしから始まって、全編背景の上を線が踊るような映像。すべてを描き切らなくても、いやむしろすべてを描かないことで伝わることもある。その踊る線があまりに美しすぎて、物語の悲惨さなど忘れてしまうかのような。ディズニーでもピクサーでも、ジブリでも庵野秀明でも新海誠でも細田守でもない表現。でも、これを日本じゃなくフランスがやったと思うと、なんかちょっと悔しい気分。だって、ぼくらの教科書の隅にはパラパラ漫画が描かれてたわけだから。
 新しい表現を観てドキッとする感覚、なんか久しぶり。でも、この表現が生きる題材ってそうそうないだろうなぁ。これが主流になることもないだろうし。と思うと、このタイミングでしか観ることのできない映画なんだよね、きっと。
 好き嫌いはあるかもしれないけど、アニメ好きには一度観て欲しい意欲作です。


エスニック
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ヨーロッパ企画20周年ツアー「サマータイムマシン・ワンスモア」を観る(18.11.3)

「過去と未来と昨日と今日、行ったり来たり♪」
 で、昼に『サマータイムマシン・ブルース』を観て、夜にその15年後を描いた続編『サマータイムマシン・ワンスモア』を観る。なんて贅沢なんだ、ヨーロッパ企画。しかも今回はタイムトラベルのスケールが増し増しで。
 同窓会を機にSF研究会(+カメラ部)部室に集まった面々。現部員とも知り合い、あの夏の日を懐かしんでいるときに、タイムマシン登場。それぞれの小さな欲を満たすため、3台になったタイムマシンでいざ時空の旅へ。
 いやホント、前作からの15年。三つ子の魂百までもってこのことなんだよね。いくつになってもやることは同じ。悪ガキは悪ガキのままだし、優等生は優等生。きっと普段はそれぞれ立場と責任を持って暮らしてるんだろうけど、集まると…ね。戻っちゃうんだよね。
 とにかく今回はミッションがいっぱい。だってタイムマシンが三台もあるんだもん。だから余計にこんがらがって。
 様々な伏線がしっかりと回収されていく。ちょっと強引な部分も無きにしも非ずなんだけど、脚本の勝利だよな。新たに加わった現役学生の二人と、金の臭いに敏感な関西人も効いていて、物語に幅を持たせてくれてます。
 面白かった〜。次回は40周年記念だそうで。さすがに大学生に戻るのは…。


エスニック
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ヨーロッパ企画20周年ツアー「サマータイムマシン・ブルース」を観る(18.11.3)

「13年ぶりのタイムトラベル。もちろん昨日へなんだけど」
 13年前琴似の小さな劇場で観た『サマータイムマシン・ブルース』。その前にこれを原作とした映画を観てたので、あのタイムスリップ感を舞台でこう演出するかとぶったまげ、めちゃ楽しんで。
 その再演(正式には再々演)、いい感じに忘れてたので、概ね新鮮な気持ちで楽しめて。
 大学のSF研究会(+カメラ部)部室でエアコンのリモコンが壊れることに端を発するタイムスリップ物語。概ね昨日と今日の行き来なんだけどね。
 集団って必ず役割分担ができるじゃない。大バカばかりでも優等生ばかりでも集団にはなれなくて。で、有事の際はそれが如実に現れて。そんなドタバタが小気味よく展開されるシチュエーションコメディ。
 やっぱ面白い。2003年の流行りを追うことなく作られた脚本は、色褪せることないんだよね。普遍の笑いと言いましょうか。
 ああ、今のぼくにはあんなバカばかり言い合う環境はないんだろうな…と思ってみたら、常連が騒ぎあう飲み屋がまさにそれだった。
 早織さん、かわいかったなぁ。


エスニック
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小松亮太 デビュー20周年記念コンサート〜The Greatest Hits of Ryota〜を観る(18.10.25)

「使い込まれたバンドネオンの吐息」
 今日はタンゴです。バンドネオンです。バンドネオンってもうほとんど生産されていないとか。だからバンドネオン奏者は年代物の名器を大切に治し治し使ってるとか。それってすごいよね。だってあんなに長い蛇腹を伸ばし縮めし、ボタンキー押しまくってだよ。そう思うと、バンドネオンの吐息ってめちゃくちゃたくさんの時間を音色に変えて届けてくれているみたい。
 そんなバンドネオンを、タンゴを身近に感じさせてくれる奏者の一人が小松亮太で。社交ダンス踊るわけでも、アルゼンチンにゆかりがあるわけでもないけど、あのメリハリの効いたリズムと、切れと情緒のあるバンドネオンの音色に惹かれてしまう。
 タンゴの名曲からジブリ作品、世界遺産まで。タンゴをタンゴだけにとどめることなく広げていく演奏は、また聴きたいって思っちゃうのでした。
 あの蛇腹を扇に広げたときとS字に広げたときの音色の違いがわかるくらいになりたいな。


エスニック
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「日日是好日」を観る(18.10.20)

小さな幸せに気づくことができれば、日日是好日
 なにもない。と言うのは語弊があるかもしれないけど、事件も事故も、とびきりの胸キュンもない。静かに流れる歳月があり、茶道がそこに根付いている。それは必ずしも茶道でなくてもよかったのかも。と言ってはまた語弊があるかもしれないけど。
 頭で考えるのではなく、身体が覚える所作。頭で考えるのではなく、五感で感じる風、音、景色。そこに見出す日常の潤い。緩やかな時間に寄り添うように、季節のように生きる。波乱万丈やドラマのような運命はなくても、気付きがある生活って豊かなんだよね。
 シーンごとに変わる掛け軸に意味があり、それを選べる人の繊細さに魅かれてしまう。本当に他人のことを思いやること、気遣いのできる人って、頭で考えてるんじゃないんだろうなぁ。打算とかじゃなく、ありのままを表現できるような。ぼくもそんな人になりたいんだけど、なかなか…ね。
 樹木希林の静かな中にピンと張ったすじが一本通っている様。黒木華の惑いながらも成長していく様。変わらないものと変わりゆくもののコントラストとたゆたう時間が心に染み入る映画でした。


エスニック
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「道新寄席 春風亭昇太 独演会」を観る(18.10.18)

「日曜日の人、木曜日に登場!」
 名前は出てこなくても、顔は全国区の春風亭昇太。そりゃもう、笑点の司会者なんだもん、大看板のひとりだよね。誰もが聞きたがる笑点ネタをトークやマクラにふんだんに使えるのはずるい気もするけど。
 今回は歌丸師匠がご逝去されたときの話しや、好楽一家の仲良し話など。
 いつも色物さんを連れてくるけど、次回からは昇太が三席って。ってことは、新作もやってくれる?昇太の新作、なかなか味わい深いんだぜ。
『オープニングトーク』 春風亭昇太
 これをやるから時間オーバーになる。でもやらずにはいられない。昇太こだわりの(?)時間は、私服の彼が見られる貴重な機会でもあるんだよね。
『たらちね』 春風亭昇りん
 実家は山梨のリンゴ農家。夢破れ、農家を継ぐ日が来ないこと、みんなが祈ってる若手さん。いい声してます。真っ直ぐなたらちねでした。
『親子酒』 春風亭昇太
 陽気なお父さんのおねだりがかわいい親子酒。昇太の性格と人柄がにじみ出てます。
『  』 檜山うめ吉
 年齢不詳のお姉さまが、小唄と踊りを見せてくれます。亡き歌丸師匠をして「ああ見えて私のひとつ下なんですよ」と言わしめる謎大き女性だそうで。もちろん冗談なんだけどね。
『宿屋の仇討ち』 春風亭昇太
 なかなか騒ぎやめられない3人組と、何度も苛立つお侍。あの侍さんはなぜ毎回同じくだりを最初から全部繰り返すのだろうか。このやり取りがたまらない。そして・・・も。


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東京スカパラダイスオーケストラ 2018 Tour 「SKANKING JAPAN」"めんどくさいのが愛だろっ?"編を観る(18.10.17)

「わくわくホリデイホールの中心で谷中敦と叫ぶ!」
 一年ぶりのスカパラのホール公演。他人との接触が苦手なぼく、ライブハウス公演は30代前半まで。以降は自分の居場所が確保できるホール公演ばかりの参戦。とはいえ、ホール公演でも接触はあるんだけどね。
 メンバーのうち3人が同学年、デビューはぼくの社会人デビューと一緒。その頃からライブに行ってる。もうぼくとスカパラは一心同体、勝手にメンバーの一人になっちゃってるのです。ファンのみなさまゴメンなさい。
 だから彼らがライブでなにをやるかだって、手に取るように…わからない。カッコいいことしてハイにさせてくれるのはわかってる。でも、合間にくり出すあれやこれやは…それもう反則スレスレじゃね?まぁ、立ちっぱなしで歌い踊りまくってるぼくらをCOOLダウンさせてくれる束の間としてもありがたいんだけどね。
 特筆はアンコールのメンバー紹介。加藤きっかけではじめて聞く沖さんの叫び。川上さん、GAMOUさんも続いて、二枚目がおお照れで。特別な夜なのです、札幌は。
 とにかく気持ちよく跳ねさせてもらった。気付けば服は汗でびっしょり。ライブ中の万歩計の歩数は1万3千越え。心拍数的にはずっとサイクリングしてた状態だって。まぁ、速攻でビールがぶ飲みだったんだけどね。


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Kazumasa Oda Tour 2018 「ENCORE!!」を観る(18.10.13)

「哀しみは絶えないから 小さな幸せに 気づかないんだろ」
 テレビから歌声が聴こえてくる。小田和正の澄んだ歌声が。CMソングとして、ドラマや映画の主題歌として。その歌声は優しく心に染み入るとともに、その時々を思い起こしてくれる。小田和正の歌声は永遠に音源として残るから、いつまでも聴き続けることができるだろう。でも、小田和正と時間を共有し、その歌声を聴く機会はどれだけあるだろうか。
 70歳となり、さすがに走ったり自転車に乗ったりはしないけど、多くのファンの前に姿を見せるべく会場を歌い動き回る。なによりあの高音に曇りがない。前半と後半の間に流れる札幌での交流ビデオに見る素朴さ。いつまでも変わらぬ小田和正がそこにいて。優しさで包んでくれる。
 あまりにも動き回るから、アリーナ前方席だったのにぼくも体の向きをぐるぐる回しながら。目の前にも何回か来てくれて、おおおーって。
 なにが良かったとか言葉にできないけど、心に歌声と歌詞が入ってくる。今日のこのライブも含め、小さな幸せが毎日なにかあるんだよね。
 あと、サザンや桑田佳祐のライブでもお馴染み、バイオリニストの金原千恵子さんが相変わらずキュートです。指に当たらないように掌だけの手拍子は必見。


エスニック
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サンドウィッチマンライブツアー2018「20th」を観る(18.10.6)

「伊達と富澤、両極端なのに相性ピッタリなんだよね」
 最初に北海道胆振東部地震の被災にあった方への言葉が出てきて。東日本大震災の際、宮城県で被災したサンドウィッチマンだから言える言葉、伝わる言葉があるんだよね。
 コントや漫才の合間にビデオが流れる構成はお笑いライブの鉄板だよね。で、作り込まれた渾身のネタとその場での笑いとが織り交ぜられて。やっぱりサンドウィッチマンはいいなぁ。
 今回はただただ面白かったという感想ではなく、ちょっと気になったことを。今回の公演、およそ3時間半におよぶ大熱演。どうやらツアー最長記録を更新したらしい。まぁ、今頃記録は塗り替えられているだろうけど。
 その長さ、うれしくもあるけど正直だれた部分もあったりして。作り込まれた笑いは尺が決まっており、メリハリがあるんだけど、フリートークやアドリブ的なコントだとだらだら流れちゃう部分があって。サンドウィッチマンのいろんな面を見ることができるうれしさの反面…。適度が一番なんだけど。
 それでも圧倒的に面白い。だから何度でも見たくなる。切れ味抜群のコントと漫才を。
 伊達が欽ちゃんになるにはまだまだいろんなものが必要なのかもね。

前座のディモンディ


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しげちゃん一座〜絵本と音楽とトークライブ〜を観る(18.9.30)

「やっぱ滋が好き」
 ぼくの好きな女優のひとり、室井滋。表情が豊かで、感情を自在に操ることができる。そして『キトキトの魚』をはじめとする彼女のエッセイを読んで知る感受性とユーモア。ある意味ぼくの理想の女性なのだ。最近は絵本の原作を執筆し、読み聞かせるライブを開催しているんだとか。知らなかった。で、それが札幌のお隣、北広島で開催されるっていうので、行ってきました。ナマ室井滋は初めてかな。
 やっぱ素敵な女性だよ、室井滋。脇を固める絵本作家&ウクレレの長谷川義史、ジャズ・サックス&フルート奏者の岡淳、ピアニスト&マジックの大友剛とともに、歌に朗読にと魅力を存分に見せてくれる。絵本の朗読は何役もの声色を感情たっぷりに使い分け、歌にも表情がたくさん出ていて。
 楽しくて楽しくて。それでいて、室井滋の絵本処女作であり、滋の名前の由来を語る『しげちゃん』にはホロリとさせられて。すごく素敵なライブなのです。
 次はぜひ誰か誘って観に行きたい、この良さを分かち合いたいと思うライブでした。
『おなら漫才』(絵本)
『北広島市長』(即興お絵かき)
『パンチパーマ』(うた)
『すきま地蔵』(絵本)
『手ぬぐい遊び』(絵本〜観客を呼び込んで)
『幼稚園ブルース』(うた〜近況(人間ドックダイエットなど)を交えて)
『へっこき嫁どん』(絵本)
『マジックショー』
『腹話術』
『猫のピート』(絵本)
『しげちゃん』(絵本)
en.『へいわってすてきだね』(絵本)


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誉田哲也「武士道ジェネレーション」を読む(18.9.29)

「剣道娘もそんなお年頃になりましたか。」
 このシリーズに何年ワクワクさせられただろうか。誉田哲也と言えば『ストロベリーナイト』(姫川玲子シリーズ)をはじめとする警察小説を思い浮かべる人が大半だろうけど、ぼくは断然『武士道シリーズ』や『柏木夏美シリーズ』といった青春ものの方が好きなんだよね。
 高校生だった香織と早苗も気が付けばいいお年頃。というか、いきなり早苗の結婚式??まぁ、香織と早苗だとそりゃ早苗の方が先に行くだろうけれど。そのなれそめはもちろんだけど、今回はほとんどが桐谷道場を中心に回っていく。
 ふたりが交互に語り合う形式、随所に登場する懐かしいキャラクターたち。前3作を踏襲しながらも、話は一段高いところに進んでいく。勝った負けただけではない、武道家としての高み。
 これまでタイトルにありながら真剣勝負か楽しい剣道かで漠然と表現されていた感のある「武士道」に、香織なりの、早苗なりの、作者としての答えが提示されていた。青春期の葛藤や甘酸っぱさとは違う、大人としての覚悟。それを読んで、この物語がもう終わるんだって感じた。仮に次の世代の物語が始まったとしても、そこに『武士道』の冠がついたとしても、それはまた違う新たな物語なんだろうなって。
 ちょっとさびしくもあるけど、それはそれとして十分な満足感を与えてくれた。素敵なシリーズでした。
 次は柏木夏美シリーズの続きをぜひ!


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「500ページの夢の束」を観る(18.9.28)

トレッキーがトレッカー(旅人)になって夢を追う
 ちょっと泣いてみたかった。そんな気分の夜ってあるじゃない。決して思い悩んでいる訳じゃないけど、気持ちを楽にしたくって。でも、既知の音楽や映画じゃダメなの。「ここだろ、ここでなくのがベストタイミングだろ」って迎えに行っちゃうから。で、自然にポロリときちゃう作品を探し求めたりして。
 自閉症の女性が夢を抱いて旅をする映画。未だに自閉症の症状というのがよくわからないんだけど、踏み出す一歩がとてつもなく大変だということはなんとなくわかる。それにしてもアメリカだよなぁ。序盤はこれぞアメリカって感じで偏見や悪意に満ち溢れていて。こうなるとうがった目で見てしまうのが、最近ちょっと荒んできたぼくの悪いところなんだよなぁ。こんだけ下げとけばあとは上がるだけだよなって。あと、みんなもっと合理的に考えられないの?って。それができない人のお話しなんだし、そういう状況なのはわかってるくせに。いかんいかん。
 でも、最後はたどり着いて目的を果たした。それで少し前向きになれた。『スタートレック』が支えになった。好きなものを好きでい続けることの大切さと素敵さが滲み出る映画だった。
 一番は本場アメリカのトレッキーたちはクリンゴン語(スポックの星の言語)を話せることに感動なんだけどね。


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「判決、ふたつの希望」を観る(18.9.27)

「中東の複雑さが招く哀しい対立」
 些細ないざこざが国を揺るがす大論争と対立に発展する。最初はお互いに自分の居場所、自分の存在を主張したかっただけなのに。そこは中東だから、ぼくの知らない深い根がそこにはあるから。
 ホントは互いにわかってたんだよね。でも、引くわけにはいかない気持ちが前に出て。弁護士は気持ちを大義とすり替えて、ナショナリズムを煽り、不必要な過去を暴く。当事者を置き去りに。まるでそれぞれがそれぞれに酔っているかのように。最初から醒めている人、途中で気づく人を罵りながら。それを淡々とカメラはとらえる。
 民族、宗教がもたらす対立に正解を見つけるのは実に困難。島国の日本ですら未だ不毛な争いが絶えることはない。もちろん中東における根を理解できるほど知識もないため、何を書いてもうわべだけの言葉になってしまう。
 立ち止まって振り返ることって大切なんだよ。あのシーンみたいに。単純な社会でも、複雑な社会でも。と、我が身に帰ってくるような映画だった。


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麻耶雄嵩「神様ゲーム」を読む(18.9.25)

「その答えはどこに・・・もやもや」
 鈴木くんは自称・神様。だから森羅万象いろんなことを知っている。頻発する猫虐殺の犯人も、身近で起きた殺人事件の犯人も。
 小学生が結成した探偵団。目下の活動は頻発する猫虐殺事件の捜査。秘密の隠れ家に集まって作戦会議。でもクラスメイトの鈴木くんは神様だから・・・。
 児童文学として書かれた作品らしいんだけど、そんなの関係なく面白く読み進めた。なにせ、何にもしなくても事の真相をすべて知っている、まさに神の如き存在(本人は神と名乗っている)がでんと構えているのだから。鈴木くんを信じるか否か・・・この作品の楽しみ方の第一の分岐点はここにあるのかな。
 それにしてもやっぱりラストなのだ。真犯人は誰だったの?鈴木くん、ストレートに受け止めていいの?でもトリックに隙はないの?もう一度読み直すべきか・・・いや、その気力はないんだけどさ。ぼくの洞察力が鈍いのか、なんかわだかまるんだよね、このラスト。う〜む。


エスニック
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billboard classics festival 2018 in Tokyoを観る(18.9.24)

心に染みすぎて…オケの調べに乗ったディーヴァの歌声が
 えっ、こんな催しが開催されてたの?
 上京の予定は決まってたんだけど、震災の影響もあり時間が決まらず何しようかなって思ってたら、こんな素敵なコンサートがあったとは。さすがに2日前にチケットをとったので、4階席の後ろ。まぁ、顔が見たくて行くわけじゃない。歌声が聴きたくて行くので問題なしさ。
 八神純子/手嶌葵/福原美穂/川井郁子/辛島美登里/Crystal kay/NOKKO(出演順)
 ビルボードのチョイスらしい、歌声の素敵な方ばかり。小学校の卒業アルバムに書いた好きな歌『みずいろの雨/八神純子』をついにナマで聴ける。後ろで支えるのはマエストロ栗田博文と東京フィルハーモニー交響楽団。
 まさか最初から八神純子『みずいろの雨』。もう、この時点でやられてます。そして『パープルタウン』でダメ押しで。相変わらずの高音の伸び、聴き惚れちゃう。
 次の手嶌葵のウィスパーボイスで癒されて。ゲド戦記のテーマ『テルーの唄』もよかったけど、『東京』が胸を締め付けて。ホテルに帰ってダウンロードしちゃった。
 福原美穂はゴスペル集団ソウルバードクワイアとともに。パワフルな歌声はもちろんだけど、同じ札幌出身ということで北海道胆振東部地震への気遣いもあり、ありがとう。
 ヴァイオリン奏者・川井郁子はラテン、ジプシー系の情熱的な曲を。赤いドレスに深いスリットが、見事な演出にもなっていて。
 辛島美登里は90年代を思い起こします。あぁ、ドラマの主題歌だったなぁ。
 Crystal kayもそんなに聞いたことなかったけど、『恋におちたら』はああこれこれって。なんか若かりし頃のワクワク、ドキドキがよみがえるような。
 NOKKOに関してはもうね。「アカシヤの雨に〜」で完全ノックアウトだもん。浦和児童合唱団との『卒業写真』は郷愁に満ちていて。オーラス『フレンズ』のイントロ、オーケストラの圧がバシバシ伝わってきて、それを切り裂くようなNOKKOのハイトーンがたまらなかった。
 この2週間いろんなこと考え、迷い、誤魔化してきたけど、それもまたひとつの過程としてありなのかなって後押ししてもらえたような。ちょっと気分が楽になった…気がする。素敵なコンサートでした。


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「道新寄席 桃月庵白酒 独演会」を観る(18.9.19)

「白酒で知る落語家たちの生態」
 なんにでも個性は必要なんだ・・・。白酒と言えば色白ぽっちゃりとすぐ思い浮かぶけど、それすら先輩の助言を受け、作られたイメージ戦略だったとは。ウソかホントかはさておいて、落語家といえばの破天荒なイメージ以外の生態を、なにげに教えてくれる白酒のマクラは聞いていて面白い。いまやどの落語家も奇人としてネタにする白鳥や笑点メンバーなど今の人たちだけでなく、談志、先代の円楽から志ん生まで。ときにモノマネも入れて(これが似てる)教えてくれる。協会じゃなく、一門の持つカラーの話しなんかはなかなか聞けないしね。 あと、古今亭一門なのにどうして桃月庵?師匠は五街道?ってのも謎解明で。
 で、体型と同様どっしりとしていながらも、ときに軽く、ときに風刺を利かせての語り口、楽しいです。
『松曳き』 桃月庵白酒
 間の抜けたお殿様と使用人のゆる〜いやりとりがたまらない。きっとこの藩じゃ何も決まらないんだろうなって。
『笠碁』 桃月庵白酒
 オトナの意地の張り合いって、くだらないってわかっていながらも引くに引けないんだよね。ホントは素直に謝りたいのに。その子供じみた感情がめちゃ伝わってくる。きっと白酒も同じ気持ちを味わってるんだろうなぁ。
『お化け長屋』 桃月庵白酒
 もうね、おどかしたいだけの語り口がたまらない。それを封印される無常さもまたしかり。その2つの顔を演じ分ける白酒の仕草が面白い。


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「大札幌成金・秋の陣 昼の部」を観る(18.9.8)

「震災直後に来てくれて、笑いと感動をありがとう」
 6日未明に地震があり、北海道全域が停電。札幌市内では交通機関の復旧が7日午後、停電の解消が7日夜。やるの?来れるの?集まれるの?
 いろんなイベントが中止となる中、いち早く決行を発表。しかも来られない方にはチケットの払い戻しもとは、これはもう慰問だね。そう考えるととてもうれしい。のんびり笑える。ほんとありがたいことで。
 昼夜公演完売。でも、昼の部ではさすがに空席結構あったな。それでもみなさんが熱演で、楽しいに飢えていたぼくらにはこれほどありがたいものはないって感じ。でもさ、身体の疲れってそうそう抜けるもんじゃなくってさ。誠に申し訳ないことになったりするんだけど…。それ以外は爆笑の連続、感動の雨あられでした。
『ニューシネマパラダイス・俳優』 笑福亭羽光
 羽光といえば”エロい””下ネタ”って先入観があって、申し訳ありません。有名な古典落語を映画の予告編風に紹介。これがハマります。必ず同時上映を入れるあたりに世代を感じさせます。
『初天神』 春風亭昇々
 昇々特有の斜め座りから、憎らしい子供のセリフが飛び出してくる。昇々らしい一席。途中「何人か寝てる」って絶叫。あっ、ぼくです。地震以来ハードな日々だったから、許せ!
『お見立て』 春風亭昇也
 同じ春風亭昇太門下でも昇々とはまるで異なる芸風の昇也。仲入り前にたっぷり聞かせます。落ち着きと風格は真打。
『多数決』 瀧川鯉八
 もう、すっかり鯉八の虜なのさ。チャオから始まる癖のある新作。『多数決』は独演会でも聞いたけど、子供が使うと合理的システムも不条理に変わっていくんだな…。
『中村仲蔵』 神田松之丞
 トリは報道ステーションの密着取材が入ってた松之丞。だからというわけじゃないけど、稀代の名歌舞伎役者・中村仲蔵のはまり役、『忠臣蔵』五段目の定九郎を演じるまでの秘話をじっくりと。もうこれが凄すぎて、震えちゃうくらい。感動しか言いようがありません。



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木下半太「ロックンロール・ストリップ」を読む(18.9.5)

「男としての覚悟と決断。やっぱ男は愛嬌じゃなく度胸なのさ」
 これは木下半太の半自伝的小説だそうで。もちろん、ある程度破天荒じゃなきゃ小説になんてなれないわけで。”大阪””ストリップ劇場””貧乏劇団”という怪しさ満載の、浅草芸人をも彷彿とさせるエピソードをもってして、なし得た成功劇とでもいうべきか。
 貧乏劇団に舞い込んだストリップの前座。しかし、小屋主とは因縁浅からぬ仲。やる気のないようなストリッパー、3人だけの常連客、小便臭い廊下。有名になりたい、成功したい。でもここからどうやって?チャンスがないだけ。みんなの見る目がないだけ。それを打開するあと一歩。そこを踏み出すか踏み出せないか。踏み出したからこそ自伝になるのであり、五万といる踏み出せない者たちがそれをうらやましく眺める。
 だからぼくらは賛辞を贈るしかないのだ。あちら側へいってらっしゃいと。面白おかしいエピソードを聞きながら。
 そんな感じの本です。青春をもがき苦しみ、一歩踏み出す勇気を読んでみてください。


エスニック
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「ペンギン・ハイウェイ」を観る(18.9.4)

「少年よ、おっぱいの研究はまだまだ努力が必要だよ」
 7年前、森見登美彦の原作を読んだとき、ぼくはアオヤマ君に激しく嫉妬した。オトナになって失くした想いを記録し続けるアオヤマ君と、アオヤマ君に訪れるであろう未来が眩しすぎて・・・。オトナになった自分が恥ずかしく思えて。
 で、今回映画を観て感じたのは、ぼくってアオヤマ君と同じじゃないかって。今のぼくって面白いを探すことを思いっ切り楽しんでて、手の届きそうもない女の子を追っかけて。7年で子供返りしたわけじゃなく、ある意味余裕ができたのかなとも思うけど、羨ましいが負けてないなに変わったというか。人生の楽しみ方を少し覚えたのかな、ぼくも。ただ残念なのはそのレベルが小学校4年生だってことなんだけど。
 小説は小説でとても面白かったけど、文章を可視化するぼくのイマジネーションに限界があり、いまひとつ乗り切れない箇所があったんだよね。他人の想像力、アニメーションの表現力を借りて見直すと、すとんと腑に落ちるというか。数年前は好きな小説の映像化が嫌だなって思うことも多々あったんだけど、それを楽しめる気持ちも成長したってことかな。
 楽しく、そしてちょっとせつないいい物語です。


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「野村萬斎スーパー狂言ライブ」を観る(18.8.31)

「東京オリンピックの総合演出だもんなぁ。流石です。」
 久々に野村萬斎の狂言を観た。だって、野村萬斎が東京オリンピックの開会式・閉会式の総合演出に選ばれたじゃない。となると来年は忙しくて札幌で公演してる暇ないでしょ。オリンピック後だと人気が高まっているだろうし。だから今年を逃したらいつ観られるかわからないんだもん。
 今回の演目は『三番叟』と『彦市ばなし』。もっとも伝統的なものと、昭和の戯曲を狂言化した落語でいうところの新作もの。伝統と革新の両立を目指す萬斎らしいチョイス。
 まずは『三番叟』。萬斎の解説によるとたいして意味なんてないそうで。凛とした立ち姿の舞いは日本舞踊やダンスなんかと違い、厳かで味わい深いものだった。
 そして『彦市ばなし』。熊本の昔ばなしをもとに木下順二氏により書かれた民話劇を、野村万作らによって狂言化された新作狂言(パンフレットより)。それを能舞台ではなく、劇場でCGを使った演出に。とはいえ、15年前のCGだから、なんとも・・・。それがまた味わい深くて。熊本弁満載だけど、本来の狂言よりも言葉がわかりやすくって、大笑いだった。
 和の強みを知り尽くした野村萬斎。2年後の大イベントが今から楽しみです。


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「劇場版 コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」を観る(18.8.25)

「鑑賞後はウクレレでもう一回♪祭りなのです」
 ドラマ3シーズン、10年の集大成となる劇場版。それぞれの旅立ちの前に次々と起こる惨事。それぞれが抱える問題も併せ、フライトドクター、フライトナースたちはどのような答えを出していくのだろうか。
 大ヒットだそうだけど、それだけテレビで放送するのを待ちきれない人が多かったんだろう。もちろんぼくもその一人なんだけど、興行収入を得ること以外に映画にするだけの意味はあったのだろうかとふと思う。TVスペシャルでもよかったんじゃね?過去のTVスペシャルの方が面白かったんじゃね?
 まぁ、最後の大きな打ち上げ花火。もう一回があるかはわからないけどさ。あったら観ちゃうんだろうけどさ。


エスニック
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TVh落語「立川志の輔独演会」を観る(18.8.24)

「やっぱり志の輔は面白い。当代の名人一番手」
 キャパ1,500名の札幌市民ホールが即完売。そんな落語家は立川志の輔しかいない。一之輔も喬太郎も談春も、こんなデカいハコいっぱいにはまだできないもんなぁ。
 貫録ってことじゃないんだけど、そこには絶大なる安心感がある。ただ、安穏としてられる安心感ではない。なにが飛び出すかわからないんだけど、ちゃんと大笑いさせてくれるという安心感。不快感は一切なし。そんな落語家ってなかなかいないよね。
 それと、志の輔の公演には必ず落語以外の芸能を入れてくるんだよね。ぼくらの知らない世界を垣間見させてくれる。その懐の深さも魅力なんだよなぁ。
 そして今回も大いに笑わせてくれました。
『金明竹』 立川志の大
 ド緊張が見てとれる。そりゃなかなか1,500人の前でやることもなかなかないでしょうし。そのぎこちなさが関西弁にも出てて、応援したくなっちゃう。
『目薬』 三遊亭全楽
 兄弟子・六代目円楽いじりは一門の必須なんだね。それより、マクラのセレモニーホール見学会で落語した話が面白くて。それをまとめれば新作になるんじゃないのってほど。”め”という字は”女”が変形してできたのね。
『千両みかん』 立川志の輔
 実はこの噺聞くの初めてで。志の輔って新作と古典を1本づつやるイメージがあり、しかも大爆笑だったもんだから、これは古典を模した新作かって。でも、古典だったのね。夏にみかんを所望する若旦那に翻弄される番頭さん。このうろたえようが絶品で。見ようによっちゃ『Say Yes』を歌うASKAなんだけどさ。この親にしてこの子あり。凄すぎる熱演でした。
『アコーディオン漫謡』 遠峯アコ
 アコーディオン抱いて日本の歌を唄うお姉さま。円丈・天どん親子会に飛び入り参加した際はジーンズ姿だったけど、今日は着物でしっとりと。足の鈴はそのままだけどね。今回は自作の2曲(どちらも海鮮系)も披露です。
『茶の湯』 立川志の輔
 びっくりした。だって、ひと月前に春風亭一之輔が札幌でかけた『茶の湯』を志の輔でも聞けるだなんて。落語会の先端を走る(あえて)中堅真打と若手真打の聞きくらべができるだなんて。大胆な動きで笑わせた一之輔、表情を巧みに使う志の輔。見た感じはそんなんだけど、ネタの膨らまし方、取捨選択も異なり、同じ噺なんだけど違うテイストがいっぱい。こんな贅沢させていただいていいのだろうか…。藤村の羊羹のプチ情報(キャンディーズのミキちゃんの実家)もあり、ためにもなる『茶の湯』だった。


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「道新寄席 柳家喬太郎 独演会」を観る(18.8.23)

「喬太郎が醸す夏の賑わいと郷愁」
 道新寄席もすっかり板についたといいますか、変わらずの新札幌&ちくわパンネタで飛ばします。新札幌住民としてはちょっと複雑な心境なんだけどね。
 マクラは「だくだく」からの時計台いじりや落語協会のサークル活動、三遊亭白鳥の非人道ぶりや東映マンガ祭りからのキングギドラ模写(初公開でウケる)、ウルトラマンと、喬太郎の好み前面に押し出して。若者ついてきてるかな…おじさんにはたまらなく面白かったけど。
 今回は9月から真打に昇進するという柳家さん若を前座に、古典と新作を1本づつ。
『お菊の墓』 柳家さん若
 9月から真打昇進で小平太と改名するのだそうで。しかし、喬太郎の突飛な演出で話題となった『お菊の墓』をその前座でかけるとは。大きな仕掛けはないものの、お菊のおてんばさが伝わる一席でした。
『寝床』 柳家喬太郎
 喬太郎色でいっぱいの寝床です。番頭の店子や従業員を守ろうとする健気さと嘘がとても楽しくて。そこには「芝浜」や「お菊の墓」が散りばめられていて、落語ファンならずとも大笑いできるんじゃないかな。特に「お菊の墓」は前座でやってたことだし。動き満載で渾身の一席でした。
『孫、帰る』 柳家喬太郎
 老夫婦の家に遊びに来た孫。おじいさんの猫並みの行動力に笑わされる前半と、お盆の郷愁を誘う後半。おじいさんの自然体な姿に胸が打たれる。静かに過ぎゆく夏を惜しむかのような秀逸の新作です。


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荻原 浩「金魚姫」を読む(18.8.17)

「めぐり逢えたことでこんなに 世界が美しく見えるなんて♪」
 世の中モテ期というのがあるそうで、おそらくそいつを5歳で無駄に使い果たしたぼくは、その後寂しい日々を過ごしてまして。それでもたまに女性と親密になると「これは夢に違いない」「なにかに騙されているに違いない」って疑いから入るようになり、最悪を想定するようになり…。まるで金魚が美女に化けて目の前に現れた主人公のように。
 世に言うブラック企業で神経をすり減らし、彼女とも別れ引きこもりの主人公が出会うびしょ濡れの女性。金魚の化身である彼女との奇妙な生活と、見えざるものによる意識の変化。冒険と別れ。脂肪分たっぷり干物男のぼくとしては正直うらやましいとしか言いようがない。その先がどうなるかはわからないけど(ぼくはどうにもならないと思って生きているけど)、その瞬間楽しいと思える出来事があるだけで、束の間でも続くだけで気持ちがとてもやわらぐもん。おびえる時間もあるけど、それを含めて生きてるって思えるんじゃないかな、なにもない毎日よりは。
 これはミスチルで言うところの「めぐり逢えたことでこんなに 世界が美しく見えるなんて♪」なんだろうなぁ。たとえその先に「もう一回」が訪れなくとも。


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「カメラを止めるな!」を観る(18.8.13)

「The show must go on.」
 まったくもってやられたー!って感じで。とにもかくにもそれしか言葉がないような。単館で始まった上映が口コミで広がり、一大ブームになった本作。低予算、有名なキャストなしを逆手に取ったアイデアの秀逸なこと。
 ぼくはホラー映画が苦手だから、監督が女優を追い込んで絶叫させる展開はうんざりだったし、ただただ絶叫の長さに不快感を覚え、「あっ、こんなところに斧が、ついてるわ」なんて棒読みのセリフに鼻で笑ってしまった。でも、それらすべてが必然だったのだ。そんなのありかよ…もちろんいい意味で。
 精神は「The show must go on」、展開は「ラヂオの時間」
かな。低予算の意地が詰まりまくってて、楽しくってしょうがないに変わるんだよね。
 いや、これは面白いです。詳しくは書かないけど、ぜひぜひのおすすめです。大満足です。

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「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄(ヒーロー)〜」を観る(18.8.10)

「ぼくのフルスロットルを出す機会は訪れるのかな?」
 マンガは読んだことないけど、アニメは欠かさず見てたんだよね、『僕のヒーローアカデミア』。あの真っ直ぐさ、ぼくはいくつぐらいで忘れてしまったのだろうか。失ったものを懐かしむのは歳をとった証なのかもしれないけど、仮面ライダーとウルトラマンに憧れたあの頃を忘れたくはないじゃない。
 オールマイティとお馴染み雄英高校1年A組の面々が訪れた研究アカデミーの島I・アイランドで、ヴィランによる占拠事件が発生。拘束されたオールマイトと拉致されたオールマイトの親友デヴィットを、デクをはじめとした1Aの面々とデヴィットの娘メリッサは救出することはできるのか?
 友情とバトル、少年ジャンプの王道というべき2大要素にアメコミ色をふりかけた本作。バトルバトルの連続で、どうやったら敵を倒せるのかやきもきもするけど、次から次と楽しませてくれる。
 気を楽にして楽しめる一本です。あっ、マンガかTVアニメ観てないとつらいけどね。


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「インクレディブル・ファミリー」を観る(18.8.1)

「待ってました、本当に、心から。」
 ちょっとヒットすると、すぐ続編作ってシリーズ化するディズニーとピクサーが、どうして『Mr.インクレディブル』から14年も沈黙を守ったのか。もう作る気はないのか?なんてあきらめの気持ちすら芽生えたところで公開となった『インクレディブル・ファミリー』。もうね、いてもたってもいられずに公開初日に観てきました。ファーストデイでもあったしね。
 まず戸惑い。空白の14年の間になにがあった?でも、ヴァイオレットもダッシュもジャックジャックも成長の跡は認められないし・・・。ということで、ヒーロー活動が禁じられた時代で、法律と信念の間で悩むMr.インクレディブルとイラスティガール。ヒーロー復権に手を差し伸べた富豪の協力を得て、イラスティガールはヒーロー活動に、Mr.インクレディブルは主夫として家事と育児に従事することに。もちろんどちらも一筋縄ではいかないのです。
 ぶっちゃけ、話しの大筋はすぐに読める。でも、それ以上のワクワクを与えてくれる。予定調和の安心感と、次々迫るドキドキ感。お馴染みの家族の奮闘と、知られざるジャックジャックの能力。時間なんてあっという間に過ぎたみたいな面白さ。これを待ってたんだ。これじゃなきゃダメなんだ。
 そしてオープニング、エンドロールで見せてくれるイラストの世界観。70年代を彷彿とさせるようなスタイルと色使い。大好き過ぎてたまらない。飽きずにずーっと見てられる。そして真似したくなる。最高だぜ。
 決して予想を裏切らず、その斜め上を行ってみせる。至極の喜びなのです。


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「道新寄席 らくごDE全国ツアー vol.6 春風亭一之輔のドッサりまわるぜ2018」を観る(18.7.28)

「一之輔の暗と明。ふり幅に括目せよ」
 落語ブームの先頭を走っている一人・春風亭一之輔。札幌での落語会は完売で、その人気が伺えるトップランナーなのだ。
 やる気なさげな気怠い口調でチクリと悪態をつく。その芸風は時に誤解を受け、歌丸さんの一声で笑点若手大喜利を降板させられもするけれど、ちゃんと香典は払ってる。若き日に憧れた立川志らく(俺の志らく)のテレビコメンテーターぶりに失望し、今では談春派を名乗る。落語好きをニヤニヤさせるトークでがっちりつかんで、独演会がスタートです。
 まさか仲入り前に怪談噺。時期だからありなんだけど、仲入り前の2席目でこの熱演。トリはどうすると思ったら・・・大爆笑です。このふり幅こそが一之輔の魅力であり実力なんだよね。
『トーク』 春風亭一之輔
 あっ、上に書いちゃった。あと日大とガラケーね。
『猫と金魚』 春風亭一蔵
 一之輔の弟弟子だそうです。イラつかせる口調が絶品で。娘は一之輔推しだとか・・・共演者によって誰推しか変わるらしいけど。
『代脈』 春風亭一之輔
 清水落語王国から浜松の銘菓・あげ潮の騒動談をマクラに、医者の弟子が師匠に変わって診察する代脈へ。果たして明日の帯広でマルセイバターサンドを頂戴することはできたのか?
『真景累ヶ淵―豊志賀の死―』 春風亭一之輔
 場内が暗くなり、怪談噺くるぞって思ってたら、円朝作・真景累ヶ淵ですか。豊志賀の死は笑うところが少ないだけに、どこまで客を引き付けるかがポイントなんだけど、がっつり来ました。人情噺とも違う一之輔の魅力、しかと受取りました。
『茶の湯』 春風亭一之輔
 怪談噺からの滑稽噺。しかもこれはもはや改作だね。知ったかぶりのご隠居と丁稚の定吉が開くお茶会の話しなんだけど、もうマヌケなの。それを思いっ切りデフォルメし、派手なアクションも加えての熱演。それが面白すぎて。古典の粋なんぞとうに飛び越えてて、いまどきの茶の湯になってます。仲入り前に冷えた場内を、一気に熱くさせてくれました。


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「未来のミライ」を観る(18.7.21)

「ぼく末っ子だからさ、子供いないし・・・」
 細田守監督の最新作。これまでも家族をテーマにしながら、冒険活劇を観せてくれた監督だけに、今回も未来のミライちゃんとどんな冒険を見せてくれるのか…。
 とまぁ、すごいハードル高くして観に行ったのであります。公開2日目に。おっと、ここからはぼくの主観であり、かなり偏った意見、ネタバレが含まれているかもしれません。お気を付けください。
 4歳のくんちゃんが、生まれたての妹の存在に大きく揺れながら、お兄ちゃんになっていく物語。でも、くんちゃんの悩みだけでなく、お父さん、お母さんの育児に対する葛藤も描かれている。これまでの特定した特別な存在の物語ではなく、どこにでもある…という物語になっている(というか意識していると思う)。
 ただね、ぼくは末っ子だから子供返りしたことがたぶんない。親の愛情に対する嫉妬心を抱いたこともたぶんない。子供もいないので、育児に対する悩みもない。正直友人の子供がくんちゃん的な行動をとったらぼくは確実に殴り、「おじさん好きくない」と言われることだろう。
 そして冒険の代わりにくんちゃんは未来や過去を旅して自分のルーツを辿る。そこで出会うファミリーヒストリーは想い出としては美しいけど、それがまた普遍的を特別にしているような気がして。
 残念ながら共感できないまま終わってしまった。ただ、ひいじいちゃんの物語はじっくり観てみたいと思った。


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「ワンダー 君は太陽」を観る(18.7.16)

「顔は過去を示す地図、心は未来を示す地図」
 この映画、観るかどうか最後まで迷った。遺伝子の異常で身体的障害を持つ少年が、初めて学校へ行く物語。感動を強いられはしないだろうか、感動ポルノになってやしないか。ぼくが苦手な1日テレビみたいに。
 そんなのまったくの杞憂だった。この映画はなにも強いていない。顔に27回の整形跡が残る少年・オギー。いやおうなしに注がれる好奇の視線といわれのない侮蔑。でも彼は登校する。父母と姉と愛犬の支えのもとに。新しくできた友人のために。
 誰かがなにかをしてくれたわけじゃない。オギーがありのままを見せただけ。子供って時に残酷だけど、感受性と許容力とわくわくで溢れてて、理解すると受け入れるのも早いんだよね。ぼくが子供の頃もそんな感じだった。成長するにつれ、大切な感覚が損なわれていき、排他的な思想が備わっていき・・・。ついつい流されて出てしまう言葉と、それに対する後悔。それを悔い改める素直な気持ち、忘れたくない気持ちなのに、オトナになるほど忘れようとしちゃうんだよな。
 オギー目線だけじゃなく、オギーと関わる複数の視点、想いで紡がれているのも、この映画のいいところ。みんなそれぞれに悩みがあり、でもその支えのひとつにオギーの存在がある。オギーは支えられているばかりではないんだ。
 ときには空想に逃げたっていい。周りの声を遮断して自分を守ってもいい。チューバッカだってハイタッチしてくれるさ。
 気づいたら涙があふれてた。素敵、素敵すぎる映画だった。大切な人に教えてあげたくなり、大切な人と観たくなる映画。
 最後に一言、パパ最高だぜ!


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「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー IMAX3D」を観る(18.7.7)

「I know. ハン・ソロはいつだってハン・ソロなのさ」
 スター・ウォーズシリーズ数あるキャラクターたちの中で、ぼくが最も好きなのがハン・ソロ。フォースは持ち合わせていないけど、相棒チューバッカとミレニアム・ファルコンで飛び回る一匹狼。そんな彼がいかにしてハン・ソロになったのか。若きハン・ソロの冒険が始まる。
 ハン・ソロだけじゃなく、若き日のランド・カルリジアンやチューバッカ(まぁ、若いかどうかは不明だけど)も登場。いかにして彼らの絆が深まったのかも。もうニンマリするしかないじゃない。
 ワクワクドキドキの連続さ。不遇の少年時代から立ち上がるまで。チューバッカとの出会い、ミレニアム・ファルコン入手のいきさつ、おしゃれなランド、哀しき愛。特にあらゆる種をも超える絆には胸を打たれてしまう。それと「I know」にも。
 そしてラストの衝撃。あいつが・・・。
 スター・ウォーズシリーズとしては興行収入的に芳しくないとか失敗だとか言われてるけど、ハン・ソロ好きとしてはどうしても次回作に期待しちゃう。アイツとどんな因縁が生まれるのか・・・。


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「道新寄席100回記念 柳亭市馬 落語会〜北海道で本場の寄席の雰囲気を感じる会〜」を観る(18.7.6)

「札幌に常設寄席はできるのだろうか・・・無理に作る必要はないと思うけど」
 道新寄席が100回を数えたんだとか。ここ2年くらいの落語ブームに乗って、回数が嵩んでいるだろうけど。そんな100回記念を飾るのは、現落語協会会長・柳亭市馬師匠。北海道出身の二つ目・こぶた3人組と、今や人気の講談師・神田松之丞を従えての記念公演は、午後4時から9時過ぎまでのロングラン。まさに寄席気分なのです。
 2部構成で、前半が【江戸寄席ごよみ】と題した二つ目の競演と三味線・太田そのさんを中心とした寄席囃子のプチ講座。若手の熱気と太田そのさんの技術を堪能です。松之丞は既に別格の風情が。まさかの盲目被りも、道新寄席っぽくって。
 後半は【市馬独演会―講談・松之丞特別参加―】ということで、真打登場です。ここではまさかの下ネタ被り。めでたい席である意味攻めの姿勢かな。前座が湯呑を出し忘れ、市場師匠がやんわり脅すあたりは、ライブ感満載。
 観る方がかなりバテた感もあるけど、楽しい会でした。
〜江戸寄席ごのみ〜
開口一番『牛ほめ』 柳亭市若
 もう、若さと元気で押し切っちゃえ。
『黄金の大黒』 柳亭市童
 市童の落ち着きはなんとも言えません。ただ、ぼくが疲れてて、堕ちてました。
『歯ンデレラ』 林家扇
 木久扇の弟子として、師匠をいじり倒すのは、ある意味弟子の特権だよなぁ。それで師匠を選んでたりして。女性落語家の古典の選び方は前に何度か書いたけど、こちらは思い切って新作を。無理に型にはまらない感じが良かったかな。
『真景累ヶ淵―宗悦殺し―』 神田松之丞
 昨年の道新寄席独演会で打ったネタをまたやるという強気は、流石のってる男。その迫力に、夢にまで出てきそうな宗悦殺しだった。
『寄席囃子』 太田その社中
 やなぎが司会を務め、囃子のいろはや出囃子を披露してくれた。圓生や彦六といった名跡の出囃子に混じり、まさかの白鳥(白鳥の湖)も。出囃子を語るのには格好の題材だよね。
『心眼』 柳家やなぎ
 盲目繋がりってわけじゃないんだけど、やなぎが固く目を閉じ熱演。いや、ホント熱かった。突如として開かれた世界への惑いと欲。人の業をたっぷり味わえる噺です。
〜市馬独演会―講談・松之丞特別参加―〜
開口一番『狸鯉』 柳亭市若
 前座が一日に二席やれる機会なんて、そうそうないんじゃないか。ほのぼのと元気な狸鯉でした。
『源平盛衰記 扇の的』 神田松之丞
 流鏑馬って祝い事ってイメージがあるから、那須与一は慶事にもってこいだよね。マクラはいつもの「講談ってわかりにくい」。それを逆手に取った「ちょうどお時間と・・・」。構成も巧いんだよなぁ、松之丞。
『禁酒番屋』 柳亭市馬
 いやいや、まさかの下ネタですか。確かに場内大爆笑。しかも市馬師匠お得意の小唄も聴けて、良しとしましょうか。
『武助馬』 柳亭市童
 市童、師匠に続いたわけじゃないだろうけど、下ネタかぶせてくるとはね。あっ、全部じゃなくて一部だけど。師匠も喜んでることでしょう・・・ほんとか?
『佃祭』 柳亭市馬
 市馬師匠の艶が随所に見られる噺。情けは人の為ならず。登場人物がことごとくいい人ばかりで、慶事の最後を飾るにふさわしいのをやってくれました。


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「焼肉ドラゴン」を観る(18.7.2)

「アパの言葉だけが重く、鋭く突き刺さる」
 ぼくが生まれて2年後の関西。在日朝鮮人の家族が苦境にあいながらも必死に生きていく姿を描いた作品。
 こりゃ泣いちゃうんだろうなって思いながら観始めた。できるだけ泣かないような心構えで。ぼくのそんな緊張感が災いしたわけではないと思うんだけど、どこまで行っても胸に響かない。時代の違い、ナショナリズムの違い、環境の違い。違うものを上げたらきりがない。物語ってそんなものじゃない。でも全然響かないのだ。共感できるところがないんだ。
 あちゃーって思ったまま終盤。でも一人だけ、アパ(父さん)だけがぼくと同じ考えを持っていて。それだけに、アパの言葉は重く鋭く、ぼくの心に刺さってきた。その決意とやるせなさ、それでも生きていく強さに。
 そんな感じです。感想は人それぞれ。誰に共感し、魅了されるかも人それぞれ。楽しみ方もまたしかりなのです。


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チャラン・ポ・ランタン ホールツアー2018 "唄とアコーディオンの姉妹劇場 〜ページをめくって〜"を観る(18.6.30)

半笑いのストロベリームーン、誰と見たのかな?
 初夏は二人で、晩秋はバンドで札幌に来てくれるチャランポ。昨年の姉妹劇場は出張で観れなかったので、2年ぶりの参戦なんだけど、チャランポのアーティストとしての充実感がひしひしと伝わってきた。
 アコーディオンと歌だけの編成なんだけど、一昨年まで満載だったゆる〜いコーナーが一切なく、全編オリジナル曲、しかも新曲たくさんのセットリスト。箱のキャパ、観客も多くなり、自己紹介的なコーナーがいらなくなったんだよね。
 何度も書いてるけど、チャランポってナマ映えするんだよね。CDでは伝わらない曲の感情が、濃密なアコーディオンの調べが。聴かせる曲が多かったけど、乗せる時はとびきりの煽りとノリで先導してくれる。ももの歌い方はこぶしこそ入れないけど、もはや演歌かミュージカルだもん。それが心地いいんだもん。
 姉妹ならではの掛け合いも楽しく、週刊誌報道には否定はせず。らしいっちゃらしいぜ、チャランポ。
 次は晩秋のライブハウスですな。去年は2Daysだったのに今年は1日?ってことは箱がグレードアップする?快進撃ですぞ。


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サザンオールスターズ キックオフライブ 2018「ちょっとエッチなラララのおじさん」ライブ・ビューイングを観る(18.6.26)

胸騒ぎの腰つき♪が止まりません・・・
 あの日から 40年 ともに過ごした
 胸を打つ 衝撃の ラララのメロディー
 ガキんちょが 恋をして オトナになったけど
 いつの日も かたわらには 彼らの音が
 涙に濡れたつらい日々も
 笑顔あふれる至福の時も
 ぼくの心を支えてくれた
 ぼくの気持ちを昂らせた
 時流れ 世の中も 変わってくけど
 いつまでも 変わらずに 包んで欲しい
 サザンの歌よ   【Live Ver.「みんなのうた」のイントロで】

 有働由美子アナのナレーションから始まったNHKホールでのライブ。新旧織り交ぜたラインナップは、その時々のぼくの想い出がよみがえってくる。小6からずっと一緒だったから。そして、これからも一緒だから。
 感想というよりも想いです。


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原田マハ「異邦人(いりびと)」を読む(18.6.17)

「ぼくにとってはまさに異邦人(いりびと)のお話でした」
 『楽園のカンヴァス』がすごくよかったから、原田マハ最新の美術関係作品というから、本作『異邦人(いりびと)』を読んでみることにした。
 関東大震災による放射能の影響を恐れ、東京から京都に疎開した身重の菜穂。個人美術館経営者の娘にして副館長、画廊の跡取りの嫁という美術界のサラブレッドにして、秀でた審美眼を持つ彼女が、京都で出会い、知り得た価値観。そしてまだ誰も知らぬ新たな才能。
 なにをもって正とするか、読んでて悩まされる作品だった。自分が求める美か、東京に残る家族か。あまり書くとネタバレになってしまうので難しいところだけど、選べる人にはそれなりの前提があるわけで、それを持たざる者にとっては「へえ」って感じてしまう。やっかみかもしれないけど、一度思ってしまった「へえ」は物語の最後まで付きまとってしまい、庶民にとっては絵空事よ・・・ってひねくれたりして。まぁ、小説自体が絵空事なんだけどね。リアルか壮大な夢物語か、どっちかにふってもらえれば面白く読めたかもしれないけど、ひねくれ者のぼくには中途半端な感じがしちゃってさ。
 もちろん読み方、感じ方なんて人それぞれ。だから気にしないでください、ぼくの拙い文章は。


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「50回目のファーストキス」を観る(18.6.15)

「福田組らしさ全開の、切ないんだけど楽しいラブストーリー」
 2004年のハリウッド映画「50回目のファースト・キス」を福田雄一がリメイク。山田孝之と長澤まさみを主演に、脇を佐藤二朗やムロツヨシら盟友が固める、福田組テイストが満ち溢れた作品に仕上がっている。
 コメディとはいえ、恋愛モノの邦画をあまり観ないぼくがなぜ?とお思いの方もいらっしゃるかも。それはね、『コンフィデンスマンJP』のだー子にやられたからさ。コメディアンヌとしての長澤まさみをもっと見たくってね。
 事故の後遺症で記憶が1日でリセットされる瑠衣。1年間毎日新しい1日を迎えていた彼女に一目惚れしたプレイボーイ・大輔。彼は瑠衣の記憶に残ることができるのか?
 とにかく日々めまぐるしく変わる瑠衣が楽しくて愛おしくてたまらない。『コンフィデンスマンJP』とは異なる、長澤まさみの七変化なのだ。この味付は福田雄一ならではで。
 そして安定の福田組。佐藤二朗やムロツヨシは活躍の場がどんどん広がったけど、一番うまく演出するのはやっぱり福田雄一なのよね。今回はさらに太賀と佐藤二朗のコンビがめちゃくちゃ効いていて。脳に不治の病を持つ娘の家族の葛藤をパワフルかつ笑劇的に演じてる。この作品が笑えるけど心に沁みる最大のポイントだと思うんだよね、ぼくは。
 いまや怪優とでも呼ぶべき山田孝之はもちろんのこと、福田組のチームワークが生んだ笑えるラブストーリー。楽しいです。


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「喬太郎北伝説6」を観る(18.6.10)

「新札幌ならではの喬太郎が楽しめます」
 今年も新札幌で北伝説開幕です。前日の前夜祭とは異なり、落語オンリーで勝負です。勝負という言葉が正しいか否かはさておいて。
 マクラはラーメン、うどんにベーコン、にんにく・・・ってなんのこっちゃ。あっ、ちゃんと筋は通ってるんだけど、ぼくのメモがぶつ切りでね。母校・日大の騒動をたっぷり茶化して笑いを取ったり。道新ホールよりも伸びやかな喬太郎が観れるのです、新札幌では。
『体力テスト』 二松亭ちゃん平
 茨城の学校の先生、教育現場ならではの創作落語は毎回とても楽しみです。今回は茨城の現状を憂い、苦手な競技を克服する顛末記。アルシンド先生が地味だけどいい味出してます。
『そば清』 柳家喬太郎
 この噺はいかにそばを旨そうに食べるかと、満腹感の演じ方にかかってると勝手に思ってる。で、喬太郎のそば清はいう間でもなく面白い。やっぱ上手いのだ、所作が。
『北欧探訪記』 柳家喬太郎
 初めての海外落語旅の模様を聴かせてくれる。でも、よりによって北欧って。それでも面白いことをきちんと見つけてくる喬太郎。食、怪談、留学生、オーロラ。赤羽に行った女子高生は愛おしいですね。あっ、決して落語じゃないよ、面白いけど。
『錦木検校』 柳家喬太郎
 面白いだけじゃない。きっちり人情噺も聴かせてくれるのが今回の『北伝説』。しがない按摩と市井で育った大名の絆の物語。じんとくるけど、もっと早くなんとかしてやれよ!


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「喬太郎北伝説6 前夜祭」を観る(18.6.9)

「ちくわパン食べてはっちゃけましょう!!」
 今年の喬太郎北伝説は、サンピアザ劇場での前夜祭付き。チケットは去年の9月に超早売り発売されたんだけど、そのときのふれこみが「師匠の落語がない場合もあります。ご容赦ください。」まぁ、やらないわけはないでしょとチケット購入。落語がなくても楽しめそうな面子なんだもん。
 いきなりそこは『喬太郎の部屋』か?ちくわパン片手に酒屋の前掛け&雪駄。新札幌と言えども超リラックスムード。まずはカンカラ三線演歌師・岡大介とカンカラ三線や演歌について語る。ぼくらの知ってるこぶしを回す演歌は昭和に生まれた演歌で、本来の演歌は民権運動で歌われた民衆の魂の叫びなんだとか。岡大介が現代によみがえらせた、右でも左でもない魂の叫びを堪能。
 続いて喬太郎とはたけやま裕が登場。はたけやま裕と落語(ぼくの敬愛する大物ミュージシャンの話も)、即席カホン教室で和み楽しみ。演奏は松崎真人と『氷の世界』を。カホンひとつで奏でる多重打楽。むっちゃかっこいい。もっと聴きたい…けどここで一度はけて。
 松崎真人(まつざきまこと)というと、古い世代は先代の座布団運びを思い出すんだけど、別人。ミュージシャンでSTVラジオのパーソナリティ。かつてはサザンのバックも務めてたそうで(『歌う日本シリーズ』はぼくも観に行った)。彼のラジオ、聴いたことがあるんだけど・・・。オリジナルを含め、数曲披露。三遊亭円丈の『恋のホワンホワン』をカバーするのはいいんだけど、円丈師匠を故人としてしつこくボケるのはいかがなものか・・・。同業がやるのはありだけど、畑違いの人が。これで残念ながら興ざめしちゃって。
 ここで再び喬太郎とはたけやま裕を呼び込み、左卜全の『老人と子供のポルカ』とかまやつひろしの『やつらの足音のバラード』を。あぁ、もっとはたけやま裕をじっくり聴きたかった。それはまた彼女のソロライブを期待して。
 最後はもちろん喬太郎の落語で楽しい会は幕を閉じるのでした。
『品川心中(途中まで)』 喬太郎
 喬太郎の演じる女性の艶気と阿呆の底抜けは何度も書くけど抜群です。

笑点シールで貼られてるんだよね、よく見ると


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「道新寄席 立川談春 独演会」を観る(18.6.4)

「怖いを面白く、面白いを怖く。」
 まぁ、安定の談春です。今年上期で3度目の道新寄席登場。季節ごとに違う顔を見せてくれる。楽しませてくれるのです。もう今年は打ち止めだそうだけど。
 初夏…というよりいきなり真夏日だった今日。談春の熱演で背筋から涼しくなる独演会。滲む脇汗は熱量の証拠です。
 では本日の演目を。
『牡丹燈籠 お札はがし』 談春
 三遊亭圓朝作の怪談噺。夏の寄席の風物詩です。連作モノのうち、笑いどころもある「お札はがし」をやるために、それまでの噺はダイジェストで。「お札はがし」は柳家喬太郎でも聴いたけど、喬太郎のCoolさとは異なり、夫婦のやり取りを主に置いた語り。だから怖い話もどことなく滑稽に聴こえる。となると、ダイジェストにした部分は滑稽のテイストに合わないからダイジェストにした?プロデュース力のなせる技ですね。
『らくだ』 談春
 こっちはほんとは笑い飛ばせる噺なんだけど。なにぶん談春の輩感が強すぎて、半次の恫喝が不快感に感じられるほどに。こうやって日大アメフト部悪質タックル問題が発生したんだろうなぁ・・・。それにしても脅す方と脅される方の演じ分けがすごい。とっさに顔が変わるんだもん。でもやっぱ、笑い飛ばせる仕立ての方がぼくは好きだなぁ。


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「山里亮太の140」札幌公演〜角部屋から見える景色〜を観る(18.6.3)

「その毒はぼくらの活力剤となるのです」
 南海キャンディーズ・山里亮太がツイートの裏に隠された毒を解き放つトークライブ『140』。札幌では去年に続き2回目の開催。2日前に北海道入りし、英気を十分に養った山ちゃん。内に秘めた本音がキレキレの話術で…。
 と書き続けたいとこなんだけど、去年同様「扉の外に出るとすべてを忘れてしまう魔法」にかかってしまってるんだよね。だから書くことができないのよ。だからこそ山ちゃんは全力で語るし、ぼくも全力で笑う。予定時間をはるかに越えたって。
 山ちゃんが札幌を愛し、また札幌で毒を吐いてくれるの、待ってます。
 山ちゃんのTwitterにUpされてる会場の写真。目を凝らすとぼくが写ってます。


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奥田民生「MTRY TOUR 2018」を観る(18.6.2)

「自由の中のお約束、お約束の中の自由」
 今回の民生はまさかのセトリ。もちろんまだツアー中だから詳しくは書かないけど、唐突過ぎてみんなびっくりしたのでは。しかも・・・。最初っから声がかれてしまいそうだぜ。
 民生のライブがゆるいってことは・・・あっ、もちろんいい意味でだけど、前から知ってるさ。でも今回はライブの定型を逆手にとって、それをいじり遊ぶ余裕感。民生のキャラ、実力、ファンとの信頼あってこそなせる業なんだよね。50過ぎたオトナがそれをやることのカッコよさ。やっぱいいよね、オトナの余裕って。
 今回は昨年リリースされたアルバムからの選曲に、久々に聴くあんな局やこんな曲。ゆるいトークとバンドの一体感。堪能です。
 あっ、今回は短めですが、楽しさが濃縮された文章になってるかな。


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大野雄二&ルパンティックシックス with Fujikochans「ルパンジャズライブ」を観る(18.6.1)

「今日の宝物は”炎のたからもの”」
 新シリーズのルパンも始まり、年に一度の「ルパンジャズライブ」が待ち遠しく感じていた今日この頃。特に去年のライブを出張で逃しただけに、期待が。さらに今回は女性コーラスFujikochansが帯同。ってことは、あれが聴ける?あの名曲が。
 ぼくにとってはルパンティックシックスになってから2度目のライブ。ファイブから引き続きのフロント2人(トランペットとテナーサックス)がカッコイイのはいつものこと。特にペットをフリューゲルホルンに持ち替えた時のやわらかい音色に今回はぞくっ。
 それと、新規メンバー・ハモンドオルガンの宮川純の演奏がクールで。明らかに大野雄二の負担を軽減し、彼なりのグルーヴを作り出している。やっぱり後継になるのかな・・・。
 そして3人のFujikochanたち。おじ様たちの渋さに彩りを与えてくれるうえ、各人にボーカルの見せ場があり、名曲『炎のたからもの』が・・・。『カリオストロの城』の名場面が走馬灯のように脳内を駆け巡る。ソプラノサックスとミュートの効いたトランペットが導き、女性ボーカルがささやきかける。ヒーローに憧れてた頃の自分に戻ったような。決してあの頃には戻れないんだけどね。
 変わらずにはいられないからこそ、変わらぬ想いは持ち続けたい。『炎のたからもの』はぼくの心のたからもののひとつになったのだ。
 素敵なライブでした。


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「北原雅彦 session」を観る(18.5.27)

「スカパラのもう一つの愉しみかた、今宵はJazzyに」
 前日スカパラは小樽でライブ。いろいろあって行かなかったんだけど、秋にも来るからということで、今回はスカパラのトロンボーン奏者・北原雅彦のJazzSessionに参戦したのだ。チケットは1月からおさえてたもん。
 札幌の小さなライブハウスくう。そこに道内アーティストとともに登場する北原雅彦。ポロシャツにパンツ、スカパラでは観ることのできない出で立ちで。演奏する曲はオリジナル、スカパラのセルフカバー、ジャズのスタンダードのカバー。スカの曲もジャズに彩られ、トロンボーン、サックス、ピアノ、ベース、ドラムがそれぞれにアドリブソロを繰り出して。それがすごく楽しそうで。
 ぼくとしてはあまり道内のアーティストを観る機会がないので、「こんな方たちが頑張っているんだ」って知ることができる機会でもあった。これを機に、もっとライブを観たいとも思えたし。
 北原雅彦しかり、川上つよし(川上つよしと彼のムードメイカーズ)しかり、スカパラという母体を持ちながら、違う一面をそれぞれに楽しんでいる。初期スカパラではミックスされていた個が、主張の場をスカパラから個に変えて。それを楽しめることの喜び。こんな機会、もっともっと作ってほしいのだ。


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バカリズムライブ「ドラマチック」 ライブ・ビューイングを観る(18.5.19)

「ドラマチックな日常を、棒と玉を手に入れTALA」
 孤高のピン芸人、お笑い四次元ポケット・バカリズムが、シュールでかつ独自の世界観を見せつける単独ライブ『ドラマチック』。それがライブビューイングとして全国の映画館で見られる。こんな機会は逃す手はないってことで、チケット獲って行ってきた。やっぱ劇場でナマで観たいって思うかもしれないが、バカリズムのライブはライブビューイングの方がいいのかも…。
【理由その@】
 バカリズムを実物よりも大きく見ることができる。表情もバッチリ。セットも文字もバッチリ。
【理由そのA】
 出演者が一人だから、あちこち目配せしないでよい=カメラアングル以外で動きはない。
【理由そのB】
 椅子が居心地よかった。飲食可。
 今回のライブ、撮影、録音はもちろんのこと、メモも一切禁止のアナウンス。ええ・・・メモくらいはよくない?と思っちゃう。だって、ホントに面白い作品って大笑いするたびに頭から抜けて行っちゃうじゃない。笑い声とともに。でも、それがまた爽快感なんだけどね。
 一度は言ってみたいドラマチックなセリフから日常をドラマチックにし、思い残すこと、本音、無関心、テーマソング、トラウマ、選タクシー的なコントと、合間に挟む映像で綴られたライブ…抜けてないよね。ぼく的には本音を言う女学生とテーマソングを歌う歌手に撃ち抜かれてしまった。一応メモ禁止だから詳しく書けないけど。
 バカリズムのセンスと才能に、大笑いと嫉妬したライブでした。


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「道新寄席 三遊亭円丈 天どん 親子会」を観る(18.5.12)

「新作の大御所、親子会で札幌上陸!」
 待望の円丈来札。ぼくは道新寄席のアンケートに何度書いたことだろうか。「円丈・白鳥親子会を」と。まさかその前に「白鳥・天どん兄弟会」と「円丈・天どん親子会」が実現するとは思わなかったけど。
 昭和の名人・三遊亭円生を師に持ちながら、新作落語を突き詰める円丈一門。どちらかというと古典至上主義の北海道、そのど真ん中の道新寄席での新作祭りだったので、客入りも気になったけど、大入りではなくともぼくと同じく円丈を待ち焦がれた方がたくさんいたようで。岩見沢では笑点の公開収録があったらしいから、ホントのコアだけが参集したに違いない。
 いやホント新作祭り。円丈とその弟子・天どん、ふう丈はもちろん、共演の三遊亭志ん五も新作を。天どんが気を遣って口直しに古典をやっちゃうほど。お口直しに古典だぜ。兄弟会では改作と古典だったから。
 もちろんぼくは古典も好き。でも、道内では古典ばかりで新作を聴く機会が滅多にないので、もっと聴けるようになってほしいと思ってる次第で。
 いつも飄々としている天どんも、師匠の前では緊張するのか、はたまたそれも天どんのくすぐりなのか。初の親子会がなんの縁もない札幌という奇妙さにうちひしがれているのか。そんな天どんが観れたことにニンマリ。
 そしてやっぱり円丈。ストーリー性のある新作の第一人者でしょ。漫才ブーム全盛の頃に、コメディアンではなく落語家として立ち向かった猛者なんだから。今日の客はホント円丈が見たかったって人ばかり。痴呆ではないけど物忘れが激しく、数年前から台本を置いての高座だけど、キレは健在。台本すらくすぐりのひとつにして笑いを取るんだから、さすがです。
『ライザップ寿限無』 三遊亭ふう丈
 円丈の9番弟子。顔はちょっとビリケン似(本人曰く)。お馴染み寿限無を現代調にアレンジし、健康優良児に育つことを祈ります。
『警察23時ごろ』 古今亭志ん五
 古今亭の新作使い。夜中に大声で尾崎を歌う人は、お巡りさんに職質されてしまいます。お巡りさんがいい人だといいよね。
『ハーブをやっているだろ!!』 三遊亭天どん
 まさかの警察職質被り。池袋演芸場を舞台に、売れない二つ目の悲哀をネタにしています。かなりダークだけど、笑えるんだよなぁ。半ドキュメンタリー、きっと小三治のくだりも…。
『噺家と万歩計』 三遊亭円丈
 師匠の健康を慮るばかりに、本来の趣旨からどんどん離れていく弟子たちの気遣い。元も子もなくなるさまが笑えます。円丈、極度のカニアレルギーなんだって。
『アコーディオン漫謡』 遠峯あこ
 前日天どんとともに札幌で仕事をし、今日は観客として来てたのに、飛び入りで舞台に立たされたアコーディオン流しの女性。『両国』を聴かせてくれます。
『牛の子』 三遊亭天どん
 本日唯一の純粋古典。今ではやる人が2人くらいしかいないという噺。理由は「そんなに面白くないから」。いやいやどうして、面白いじゃないか。天どん、演じ分けるでもなく、明確に顔を振るでもなく、声色を変えるでもないんだけど、しっかりと伝わって面白いんだよなぁ。
『グリコ少年』 三遊亭円丈
 新作の使い手・円丈の名を広めた名作を、現在にアジャストしてかけます。「一粒300m」の名コピーとおまけのおもちゃで一世を風靡したキャラメル・グリコへの想い。そしてしのぎを削ったライバルたち。最後は円丈が身体で実証します。「一粒300m」を。


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「神田連雀亭 GW特別興行」を観る(18.5.3)

「定員38人の小さな寄席で、若手噺家の勢いを感じる」
 神田に二つ目の落語家や講談師が上がる小さな寄席があると、Web検索で知った。毎日、朝、昼、夜と興行を打っているという。GWは特別興行なんだとか。9人の二つ目の高座と、趣向を凝らしたお楽しみを見れるんだとか。
 木戸銭2,000円、38席のかわいらしい寄席。舞台もこじんまりとして、天井に頭がつっかえそうなんだけど、演者との距離がすごく近くてアットホーム。そして次々と登場する名も知らぬ若手たちの熱演に大笑い。
 札幌でも二つ目の会などが開催されるようになったけど、ここまでたくさんの若手を聴く機会は滅多にないから、先物買いの優越感と楽しさを堪能です。
 この中から誰が札幌に来るのかな。
『反対俥』 春風亭吉好
 春風亭柳好の弟子だそうで。まずは連雀亭の客の入りをマクラに、流山からの通勤で笑いをとる。あとヤク絡み。飛鳥やのりピーはちょっと古いかな。『反対俥』はリズムの良さと思い切ったジャンプでノリノリに。A太郎待ちの引き延ばし工作もあり、ライブ感満載。
『勘定板』 三遊亭歌扇
 三遊亭円歌の弟子だそうです。若手というには落ち着いた感じで、喋りに安定感がある感じ。下ネタのひとつ『勘定板』も、しっかりオトナの趣きで聴かせてくれる。
『粗忽の釘』 春風亭柳若
 瀧川鯉昇の弟子だそうです。見た感じはふっくらした鶴光なんだけど。出身地・鹿児島よりも、現住所での活躍が認められているそうで。ちょっと横暴な『粗忽の釘』、その気性の荒いお間抜けが楽しい。えっ?A太郎がまだ来ない?
『ん廻し』 柳家さん光
 柳家権太楼の弟子で趣味がお洒落なんだとか。権太楼一門は坊主がマストか?師匠ほどの憑依はないけど、面白く使い分けてて期待十分。
『君と友』 昔昔亭A太郎
 昔昔亭桃太郎の弟子で、今回ぼくの一番のお目当て。彼の新作をぜひ聴いてみたかった。甥っ子はる君との想い出からの新作『君と友』。チューちゃんが『トイ・ストーリー』のウッディに見えてくる。助言をくれる友は大切です。仕掛けがあろうとなかろうと。
【仲入】
『紀州』 林家はな平
 林家正蔵の弟子。顔がどことなく師匠に似てはいないか?『紀州』の本編はそんなに長い話しじゃないんだけど、右に左にと脱線を繰り返し、一門伝家の宝刀・香代子さんと九蔵襲名騒動まで繰り出すサービス。
『秘伝書』 笑福亭羽光
 笑福亭鶴光の弟子。神田松之丞には逆らえないんだとか。まぁ、今人気あるから。得意の下ネタを封印し、古典です。まぁ、鶴光の弟子だから。
『豆や』 柳家花飛
 柳家花緑の弟子。もう見るからに実直真面目な感じ。落語もすごく王道を行く実直さで、「まじめかっ」とツッコミたくなる。正統派古典を担っていくのかな。
スケッチブック漫談『お囃子さんあるある』 笑福亭羽光(お楽しみ)
 羽光、まさかのスケッチブック。そんで絵が上手い。寄席を彩るお囃子さんの生態を。
『二十四孝』 春風亭昇也
 春風亭昇太の弟子。昇太が「俺より先に結婚した弟子」って高座で言ってたっけ。さすがに大トリ。噺が上手い。親孝行にまつわる噺もきっちり与太を演じ切る。羽光いじりは鉄板なのね。


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五十嵐貴久「1981年のスワンソング」を読む(18.5.3)

「ひところのアナタに戻る この時こそ大事な Twilight game」
 2014年から1981年にタイムスリップした平凡なサラリーマン・松尾が、当時はまだ発表されていない現代のスタンダードナンバーを武器に、自分が生まれる前の時代を過ごす物語。なぜ、どうやってタイムスリップしたのかを疑問に抱きながら。
 1981年、ぼくは中学三年生。世間は知らずとも物心はバッチリついてた。あの頃、確かに今の便利な生活は想像できなかった。だから現代しか知らぬ者はとても不便に感じるだろうが、それでもそれはそれで楽しい時代だった。情報は新聞、テレビ、ラジオ、雑誌からしか得られなかったけど、それゆえに話題を共有することができた。林間学校や修学旅行の旅のしおりにどの曲の歌詞を掲載するかで盛り上がり、バス移動で歌ったりもして。今だと各人がデジタルプレイヤーでイヤホンを介し好きな曲を聴いてるのだろう。当時発売したてのウォークマンは金持ちの子が自慢気に見せびらかし、不良どもに持ってかれるシロモノだから。
 ちょっと長くなってしまった。本題に戻ります。知り合いもつてもない松尾は代々木公園で知り合った学生デュオとの青空ライブを経て、生き延びる術を見つける(というか見つけてもらう)んだけど、利用した現代でのスタンダードナンバーがぼくにとってはドンピシャで。作者はあとがきで言い訳してるけど、2000年がひとつの区切りだとぼくも思う。いろんな意味で。ノストラダムスの大予言も、一部の解釈としては当たっていたのかも。
 また脱線してしまったので、このまま私論を書き続けるとして。1981年7月1日にタイムスリップした松尾は、学生デュオの演奏する下手くそな『栞のテーマ』を聴く。それがすべての始まり。でも、サザン好きとしては腑に落ちなかった。『栞のテーマ』はサザン4枚目のアルバム『ステレオ太陽族』の1曲だけど、この日には発売されてないハズ。映画『モーニングムーンは粗雑に』の挿入歌でもあるけど、映画館に通ってコピーしたってのも無理がある。と思ってたら、そんな裏話があったの?知らなかった〜。
 当時を生きてた人は懐かしさを、当時を知らない人は新たな発見を、この小説で味わってみませんか?作者が現代のスタンダードナンバーとしてどの曲をチョイスしたのかも楽しめます。


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小沢健二ライブツアー「春の空気に虹をかけ」を観る(18.5.2)

「小沢健二×満島ひかり兄妹(?)デュオと大声で歌っちゃおう!」
 薫る風を切って公園を通る、汗をかき春の土を踏む。やってきたのは日本武道館。小沢健二がこの春に東京、大阪でライブをするという。いやいや地方も回れよ…って気持ちでいっぱいなんだけど、「36人編成ファンク交響楽」って謳ってたから全員で回るには難しいのかな。そこは一定の理解。ぼくが東京に行けばいいんだから。
 報道では知ってたんだけど、満島ひかりがボーカル、コーラス、パーカッション、ギター、ダンス、照明、大道具…でフル参加。それがまたかわいいんだ。小沢健二とは兄妹のよう。一緒に歌い、ハモり、踊り。ときには歌う兄にちょっかい出してるみたいな感じも。出だしで音がふらついたのも小沢健二仕様?
 それよりもなによりも。いつものことだけど、観客みんなで大合唱。かつてワクワクした日々を共に過ごしたヒット曲たちを、みんなで大声で歌っちゃう。もちろんすべての曲、全コーラスそうしてもいいわけじゃないけど、サビをみんなノリノリで歌う気持ちよさったらないのさ、これが。小沢健二の曲の持つ最大の魅力だよね。
 あと、今回の目玉のひとつ「36人編成ファンク交響楽」。バンドメンバーに加え、小沢健二の盟友・服部隆之率いる大ストリングス集団が加わることで得られる厚み。それをファンクに落とし込むアレンジのすごいこと。楽しくてたまらない。踊る交響楽とでも言うべきか。
 往年のヒット曲から新曲まで、幻想的な空間と会場一体化コーラスの中で奏でられた、音の楽しさ、音の凄さを堪能できるライブ。めっちゃ声がかれて、めっちゃいい汗かいた。楽しかった〜。
 生活に帰ろう。

なんのこっちゃわかんない看板です


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TVh落語「柳家小三治 独演会」を観る(18.4.27)

「PM2.5にも鼻が利く人間国宝、これが見納め?」
 柳家小三治の公式サイトを見ると、今年6月以降は独演会を開かず、寄席の出演のみにすると書かれていた。ってことは、もう札幌で人間国宝・柳家小三治の落語を聴くことはないってこと?最近体調が…とか、記憶が…って話しが飛び交ってるし。本人曰く、京都で頸椎の手術を受けていたのだとか。
 道民としては「バリバリ夕張」のCMでバイクに乗ってるイメージが強い小三治。本人も北海道大好きだそうで、毎年バイクで道内周遊していたそうな。そんな各地を巡った話から入り(なぜか夕張の話しはないんだけど)、ばんえい競馬の想い出。そこから新宿、靖国神社での馬の話しをして…あっ、ネタに入っちゃう。
 今回は嗜好の違う噺を二席。人間国宝の変幻を堪能。マクラもネタもなんだけど、時折詰まるときがあり、「これは間か?天然か?」とハラハラすることもあったけど、やっぱ貫録はすごかった。
『道灌』 柳家小八
 真打なりたてのお弟子さん。彼と地元・岡山の少年のほのぼのエピソードにほっこり。言い間違いがいっぱいのリピート噺。
『馬の田楽』 柳家小三治
 イメージとして江戸落語は切れの良い江戸弁ってイメージが強いけど、これは全編訛りっぱなしで田舎落語といった趣き。話しぶりもさることながら、顔や仕草も田舎者にしか見えないからすごいんだ。田舎者オンパレードの滑稽噺。その野暮さが笑えるのだ。
『小言念仏』 柳家小三治
 一転して江戸弁が冴えまくる洒落た噺。日課の読経はなんのため?リズムよく読まれるお経の合間に挟まれるお小言は、まるで「いい湯だな」みたいで。ばばんばばんばんばん♪そうか、『小言念仏』はリズム芸の原点なのか。



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第3回札幌若手落語家落語会「瀧川鯉八 独演会」を観る(18.4.24)

「チャオで始まる新感覚新作落語、鯉八ワールド全開」
 札幌若手落語家落語会、3回目にして初の完売御礼となったのは…先月の札幌大成金でのぼくの高座が面白かったから。
 まさかの自画自賛から始まった鯉八独演会。でも、それは否めないんだよね。だって、ぼくも札幌大成金の高座を聴いて、仲入りの時に独演会のチケット予約メール送信したんだもん。自惚れのひとつひとつが笑いに変わるのを計算したマクラ。やはり頭がいいんだよね。
 5席やると宣言しての独演会。しかもすべて新作。そんでもって2時間弱ってのも新作ならではなんだけど。
 にしても面白い。小学生か!と思えば、小学生じゃん!となり、落語の根本を覆すような意欲作があり。この落語、じわじわハマっていく。もう鯉八ワールドの虜かも。
 涙も技術もなく、ただただ面白いだけの落語(鯉八談)。心地よく笑えます。
『科学の子』 瀧川鯉八
 博士渾身のロボット・ロボ八。万能型だけど女性に疎いのはモテない博士の作品だから。その姿は則巻千兵衛か錦小路はるかか。かつての少年コミックを思い起こすような、ちょっぴりノスタルジックな噺です。
『多数決』 瀧川鯉八
 学級会は一般社会の縮図なのだ。暴力の前で多数決は意味がないかもしれないけど、多数決に先導された民意にたいていは抗えないのだ。ウサギの運命も・・・。シュールです。
『暴れ牛奇譚』 瀧川鯉八
 古典風SFと謳われた噺。ありがちっちゃありがちな生贄を差し出すstoryがメインなんだけど、そこには村の切実な事情と人間関係が絡んでいて。え?でもそれが・・・?
『やぶのなか』 瀧川鯉八
 歌丸さんが唱える「落語は会話」を根底から覆した作品。タイトル通り、芥川龍之介の『藪の中』を彷彿とさせる、4人の証言からなる噺。4人とも会話はしていない。それでもそれぞれの心情が克明に描かれていき、そのギャップに笑える。これは後世に残りそうな予感。
『ゆめぴりか』 瀧川鯉八
 もう一作、後世に残りそうな噺が。米作りに精を出す夫とそれを支える妻の物語。その一年を妻が淡々と語る。そこに見られる愛情の深さにホロっと来てしまいそうな・・・。もちろん鯉八のことですから、ただの人情噺ではもちろんありません。オチが秀逸。新潟でやるときは『こしひかり』ってタイトルになるんだろうなぁ。


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海堂尊「スカラムーシュ・ムーン」を読む(18.4.20)

「夢を見れない卵に託した理想の国を求めて…桜宮サーガ最終章」
 これで最後なのね、桜宮サーガ。最後を飾るためにだろうか、これまでの物語たちがあちらこちらに見え隠れして。そして数あるキャラの中で最後の主役を飾ったのがスカラムーシュ・彦根という田口、速水、島津トリオの1学年下の後輩という感慨深さ。さらに物語が桜宮を離れ、浪花市と加賀市、そして遠くヨーロッパで展開する妙。話の半分がサーガ初登場で医療とはほとんど関係のない大学院生たちの奮闘という目新しさ。それでいて、ちゃんと桜宮サーガなんだ。
 海堂尊は医師として、自らの理想を桜宮サーガで提唱し、世間に問うている。日本特有の利権を敵に回しながら。でも、ぼくらは現実を知っている。海堂尊の理想は現実には叶っていないことを。だから結末はわかってる。でも、その結末への導き方が惹きつけられるんだよね、桜宮サーガは。
 ネタバレになるけど、スカラムーシュの描く絵は現実にはならない。でも、その絵が一部の既得権者以外にはとても魅力的に思えてしまう。そして、その絵はスカラムーシュだけの理想ではなく、1991年についえたDr.天城と世良先生が描いた理想を受けついでいる。ぼくにとっては特別なふたりの。
 これで終わりかと思うと寂しいけど、きっと世良先生の極北市再建や新しく描くスカラムーシュの絵が読めるに違いないと、もちろん田口&白鳥コンビの活躍も。そう祈って待ってます。
 あっ、2年前に刊行された本なのに、去年の総選挙を予見していたかのような…スカラムーシュの描いた絵が叶う日も来るのかな。


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渋谷らくご「しゃべっちゃいなよ」を観る(18.4.17)

将来の古典大作が、ここから生まれるかも
 毎月一週間、渋谷で落語会が開かれている。落語初心者でも気軽に落語が楽しめるようにと、二つ目や若手真打ちがいろんな企画で落語を演じる『渋谷らくご』。仕掛人は落語好きの漫才師なんだとか。一度行ってみたいと思ってたんだけど、なかなか日が合わなくて。
 ところが今回、最終日に上京。しかも林家彦いち主催『しゃべっちゃいなよ』という新作落語ネタ下ろし企画。札幌だとなかなか新作を聞く機会がないのでうれしいかぎりで。しかも彦いちが主催となると、昇太、白鳥、喬太郎、山陽とともに結成していたSWAを思い起こすじゃないか。今回の演者には昇太の弟子や白鳥の弟弟子もいるし。
 今回のラインナップは三遊亭わん丈、春風亭昇々、立川志ら乃、立川吉笑、林家彦いち。
 会社の飲み会を中座して開場入りしたら、わん丈が高座に上がったとこだった。あとで知ったが、前説と前座の三遊亭まん坊は観れなかったようで。
 誰からも新作ネタ下ろしという緊張感が伝わってくる。うけるのか、うけないのか、まさに手探り状態。もしかしたら、後世に残る名作がこの場で誕生するかもしれない。そう思うとこっちはワクワク。
 なんとなくだけど、新作落語っていくつかに分けられるのかな。@噺がまんま残りそうなもの。A主題は変わるけど構成が残るもの。B今を切り取った当代限定のもの。どれも枝葉は時代に合わせて変わるんだろうけど、作り手によりカラーが出るのかな。
 終了後には彦いちと主催のサンキューたつおによる感想戦があり、うらが見れて楽しかった。
 次は6月か...出張被るかな?では、個別に感想を。
『うちのウリ』 三遊亭わん丈
 ぼくがいま一番目をつけている若手・わん丈。今回の新作は上記@に当てはまるかな。テレビを見る人がテレビに出る人に。サゲもオーソドックスに決まってる。あと、手さぐりから『しゃべっちゃいなよ』の企画タイトルから落語界のジャニーズ化に展開するマクラが面白かった。
『お隣さん』 春風亭昇々
 これはBのように見えて、古典の長屋モノを今に置き換えた噺。昇々のいつもの斜に構えたカリカリ姿も、まさに現代を表しているかのような。引っ越しの挨拶で火花が散ります。
『仲入り』 立川志ら乃
 仲入り前に話すことを前提に作られた噺。これはAなのかな。「新作落語ができない…」。第一声がこれ。マクラかと思いきやこれから始まる噺とは。なんともすごい、禁じ手だこと。内輪噺のような、そうでないような。妙な味わいがいっぱい。
『話の心臓を止める』 立川吉笑
 同じ立川一門なのに、志ら乃の内輪ネタを非難するような始まりから、同門・左談次の葬儀での噺(芸人ギリギリ)で沸かせ、なにかと思えばX-JAPANのhideのソロライブへ。あれ?どこまでがマクラ?と思っているうちに本編に。そのライブの模様を話している合の手が落語になっていく。まさにAの噺なの。それでサゲはすっときれいにまとめて。上手い。ただ、かなりの部分で志ら乃に似ていたから、牽制の非難から入ったのね。
『まふぁんど』 林家彦いち
 前の四席を受けて立つ真打・彦いち。吉笑がhideならこっちはCOMPLEXだ。Be My Babe ♪ってなんの意地の張り合いか。しかも、二つ目が主役の噺ってまる被り?いやいや、そんな設定だけど、中身はきっちり@でした。間がもたらす笑い、間の大切さ。落語を通して世の核心を突くような面白く画期的な話だった。ね、グーグル。



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「椎名林檎 ひょっとしてレコ発2018」を観る(18.4.13)

「また四月が来たよ、同じ日のことを思い出して…うん、来年も再来年も」
 2020年東京オリンピックを託され、日本の顔となった歌姫・椎名林檎。一度観たくて機会をうかがってたんだけど、ようやく観に行くことができた。ライブ映像も見たことなかったので、なんの情報もなくぶっつけ本番で。唯一の情報は知人からの「手旗は必需品だよ。使い方は…まぁご自由に」。
 開演19:00。スクリーンに映し出されるカウント3:00:00。観客総立ちで振られる赤い手旗。徐々に落とされる場内の照明。登場するバンドメンバー、そして椎名林檎。圧巻の林檎ショーの開幕。
 もう濃密で圧倒されるばかり。セルフカバー・アルバム第二弾『逆輸入 〜航空局〜』の曲を中心に、新旧織り交ぜMCなしで突っ走る。なんじゃこれ?ライブ?プロモ?音と映像が見事にシンクロし、ライブ会場に居ながらにして、プロモーションビデオを観ているような…。それでいて躍動や息づかいはやっぱりライブで。見とれて、立ちすくんで、手旗振って。とにもかくにも圧倒されてしまう。
 ネタバレになるかもだけど、『ギブス』でぎゅっとしたくなり、『薄ら氷心中』〜『暗夜の心中立て』で「惚れてまうやろ」状態。まったく確信犯なのだ。彼女にかかったら、男なんてみんな手玉に取られるに違いない。でも、これだけ圧倒されるなら手玉に取られるのも悪くない。彼女の選ぶ権利は置いといて。
 手旗システム、すごく合理的。ぼくらは手拍子なしでノルことができる。ライブの翌日は手が腫れ上がって、キーを2つ同時に押しちゃうことよくあるから。演じ手としても音と映像をシンクロさせる上では、手拍子や拍手により流れを作られるのが邪魔になることもあるだろうし。あと、おっさんとしてはよくある手を左右に振るノリが長く続くと、腕と肩がつらくなるので。
 真っ赤な手旗が振られる中で観せる椎名林檎のパフォーマンス。来年も再来年も、四月がきたら思い出すに違いない。
 あっ、最後にツアーの真のタイトルを。
 椎名林檎と彼奴等の居る 真空地帯 -AIR POCKET- 2018


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「グレイテスト・ショーマン」を観る(18.4.9)

「”あっ”という間の至福のグレイテスト・ショー」
 とにもかくにも面白かった。ワンシーンワンシーンが、一曲一曲がものすごい濃密で、それを堪能しているうちに映画はラストを迎えていた。ほんと”あっ”という間。だから、P・T・バーナムの苦悩も挫折も栄華も、すべては一瞬の出来事だったのでは?って勘違いしてしまいそうなほど。でも、これほどまでに濃い人生を歩んだ偉大なショーマンにとっては、どれもが一瞬の出来事に感じられたのかもしれない。ぼくらの怠けた日常とは明らかに違う時間を刻んでいる男にとっては。
 貧しい仕立て屋の息子がご令嬢と恋に堕ち、結婚を反対した令嬢の親を見返すため、家族を幸せにするため、成り上がっていく。そんなサクセスストーリーを、歌と踊りが彩っていく。
 金のために集めた仲間、名声のために近づいたディーヴァ。賛辞と熱狂の一方、成り上がりに対する批判、異形を排除せんとする民衆が彼を襲う。彼には自覚があったのだろうか?なにが彼の力になるかって。彼の行ってきたことの意味について。
 なにはともあれ、見とれてください。圧倒的な歌と踊りに。すごく素敵です。何度も観たくなる作品です。
 いまやミュージカルには欠かせないスター、ヒュー・ジャックマン。歌って踊る彼と、アクションをこなす彼。今流行りの二刀流からこれからも目が離せないよね。


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TVh落語「立川志らく 独演会」を観る(18.4.8)

三ツ星ファストフードは時短で?
 いまやテレビに引っ張りだこ。Yahoo!ニュースで見ない日がない立川志らく。本人曰く、「テレビに出るやつはファストフード。こちとら会場でしか落語を聴くことができない三ツ星レストラン目指してるんだ…からファストフードで三ツ星を目指すに変わった」とか。その分、前座、仲入り、志らく二席で1時間50分。早いの部分から合せてくるのね。まぁ、長けりゃいいってもんでもないけど。
 今回のマクラはテレビ向きかも。大学の後輩・宮藤官九郎の『あまちゃん』秘話。鉄板の談志噺。笑点&こぶ平斬りなど。これもまたワイドショー慣れか?でも、めちゃ面白かったから、もちろんありなんだけどね。
『動物園』 立川志ら鈴
 二つ目に昇進すべく奮闘中の志ら鈴。前回も思ったんだけど、彼女の声で男役ってちょっとつらいよなぁ。二つ目になれれば、演じ方にも自由度が増えると思うけど。
『時そば』 立川志らく
 志らくがここで時そばをかけてくるとは…。どちらかというと若手がやるイメージが強く、仲入り前の一席って感じじゃないのでびっくりした。もしかして、志ら鈴に稽古をつけるべくやってたんじゃないの?って勘ぐっちゃうみたいな。それか、会場のぼくらに落語の基本を聴かせるような。勉強になります。
『紺屋高尾』 立川志らく
 立川流の十八番とでも言うべき一席。談春、志の輔と聴いてきて、今日は志らく。志らくのよさって、人情噺をさらりと聴かせるところかな。感情が深入りすることがないというか。だから逆に手数が多くなるのかもしれない。情に流されるのではなく、あくまで笑いを取りに行こうとする気持ちからなのか。なんで、からりと笑って帰ることができる。今日も楽しめたのだ。


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「シェイプ・オブ・ウォーター」を観る(18.4.1)

「切なくも愛おしい愛の物語…それは誰にとっての?」
 アカデミー最優秀作品賞を受賞する前から、劇場で予告を観たときから観たくてしょうがなかった作品『シェイプ・オブ・ウォーター』。1970年代を演出する色使い。冷戦下の混沌とした時代に、未開の地で神と崇められていた謎の生命体。種を越えた愛。その魅力が予告からビシビシ伝わって。こりゃすごい映画なんじゃね?って感じで。
 そして最初からぶったまげた。声を出すことのできないヒロイン・イライザの生活、そこまで必要?でも、それは彼女の孤独を描くには欠かすことのできないことなんだって、後々理解できた。あの時代、今以上に世間の目は厳しかっただろうから。
 そんな中、軍事等の利用を目的に捕らえられた謎の生命体と研究所で出会い、意志の疎通を図っていく。偏見のない二人だからこそ通じた想い。でも、二人が一緒にいるには障害が多すぎて。
 となるとやっぱり切なくも愛おしい愛って、イライザと謎の生命体のってことになるよね。でも、ぼくはついつい違うところに目が行っちゃって。イライザを見守り、絶えず支える隣人の画家・ジャイルズ。年上だし絵は売れないし髪も薄いから引け目を感じているんだけど、イライザに対し絶対恋心抱いてたと思うのさ。それでも彼女を、彼女の愛のサポートに徹する切なさったら相当だと思うのよ。報われないけど一途な愛。そんな見方もできるんじゃないかなって。自分を投影したくらいにして。
 見どころいっぱいで面白く、いろんな面で切ない物語。観てよかった。オトナのおとぎ話です。


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TVh落語厳選! 第一回「いまが買いドキ!若手会」〜最高に面白い若手連れてきました〜を観る(18.3.27)

「若手の勢い、落語ブームが常態化するようガンバレ!」
 もうね、個人的には一番気になる三遊亭わん丈が観れるってことで速攻で購入した若手会。。わん丈だけでなく、二つ目で勢いのある柳亭市弥、浪曲師・玉川太福が揃い踏み。よくぞここに目を付けた。
 ほぼ同じ時期に芸事の道に入った市弥と太福。それから5年遅れたわん丈。その5年の差はとても大きく…と口では言っているが、仲の良さがうかがえる。
 出演順は舞台上でくじ引きで。まさかの浪曲がトリという、予想だにしない展開も楽しくて。
 ”最高に面白い”というフリに負けない若手の熱演、すごい面白かった。
 終演後には今日の三人が選んだ第二回の出演者を発表し、会場限定前売り発売も。11月後半のチケットに長蛇の列。松之丞は去年、今年と同じ会場で独演会やるから、イメージはもはや知られざる若手ではないと思うけど。
 末永く続く会であることを、今日の3人がそれぞれ札幌で独演会を開けること、切に祈ってます。
『試し酒』 柳亭市弥
 もうね、貫録は真打。ベビーフェイスとは裏腹に渋い声で聴かせる落語。長唄から入るあたりは美声で有名な師匠・市馬譲りなのかな。お洒落な噺家が演じる愚鈍な田舎者は、いかにもな語り口がぴったりと来る。
『お見立て』 三遊亭わん丈
 やっぱわん丈は面白い。鉄板のお母さんネタで笑いをつかみ、大胆な演じ分けで古典の『お見立て』で笑いの渦を巻き起こす。太夫のいやらしさ(艶ではなく)、太鼓持ちの必死さ、旦那のしつこさ、三人三様のデフォルメの仕方が面白くて。合間に挟む時事ネタも切れ味抜群(詳細は書かない約束なので)。神田松之丞をして「平成の爆笑王」と言わしめたらしいわん丈。残り少ない平成にとどまらず、今世紀の爆笑王として君臨してもらいたい。
『地べたの二人〜湯船の二人』 玉川太福(三味線:玉川みね子)
 浪曲は初めて。そんなぼくらにあわせてか、オリジナル連作『地べたの二人』からの一席。上司と部下のふたりが仕事帰りに寄る銭湯での噺。浪曲ならではのリピートが、笑いに味を深めます。ず〜っと三味線弾き語りなのかと思ったら、メリハリがすごいあるのね。その客側のルールにいま一つ慣れてないので、これをきっちり決めれるようにならなくちゃ。面白かった。




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「道新寄席 柳家さん喬 独演会」を観る(18.3.25)

「見事な演じ分けでつなぐ会話劇、上手い…上手すぎる」
 演技派の噺家・柳家さん喬。柳家小さんの弟子にして、柳家喬太郎の師匠。喬太郎の語り口、まさに師匠譲りなのだ。昨年、浅草演芸ホールで一度聴いたんだけど、寄席って持ち時間が短いから物足りなくて。そんなさん喬の待ちに待った独演会。
 いや〜、やっぱり上手かった。会話だけで場面説明も動作説明もほとんど必要としない語り。それで情景がまざまざと浮かんでくるんだから、すごいんだ。
 感情にあわせて顔を真っ赤に染めたかと思ったら、演じ分けですぐさま元の顔色に…。そこまでやれちゃうんだ。
 静かさの中に1本筋が通った落語って感じかな。ホント聴き入っちゃう熱演で、すごく面白かった。
『ちりとてちん』 柳家さん喬
 関西初の爆笑噺。これを見事な会話劇で聴かせてくれます。もうね、鰻と灘の酒が恋しくなってさ。腹がなりまくりで。いやいや、ちりとてちんは食べないけどね。
『幾代餅』 柳家さん喬
 こちらも見事な演じ分けで、男女数人を操っていく。そのスムーズさと、感情の持たせ方がやっぱすごく、感心するとともに噺の面白さに笑ってしまう。『紺屋高尾』とほぼ同じ噺。同じ柳家小さん系列で小さんの孫であり弟子の花緑や、小さんの孫弟子にあたる立川流の面々が『紺屋高尾』を演じるのに、なぜさん喬は『幾代餅』なのか。その理由にドラマがあるのかなんて考えたら面白そう。
『柳田格之進』 柳家さん喬
 ここで人情噺をがっつり持ってくる。噺家としての見せ場というか。凛とした柳田格之進の姿がさん喬に乗り移っているかのようで、こちらもすごく背筋が伸びるような心持ち。で、そのまま心を持って行かれる。どちらかというと講談に近い話しなのかもしれない。


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「江戸は燃えているか TOUCH AND GO」を観る(18.3.24)

「すべては江戸を救うため…立ち上がった市井の人たち」
 江戸城の無血開城を成功させ、江戸市中を維新の戦火から守った勝海舟。でも、そんな彼が人見知りで優柔不断だったら…。勝海舟・西郷隆盛の極秘会談にまつわる架空のエピソード。無血開城は市井の人々のお手柄だった?
 三谷幸喜が新橋演舞場に来たーーーっ。三谷幸喜の時代物、偉人たちがメインではなく、市井の人々目線で描かれるのがいいんだよね。『彦馬がゆく』なんかもそうだったけど。
 中村獅童演じる勝海舟が西郷との対面を渋ることから、娘・ゆめが案じた策は替え玉作戦。風貌が似ている庭師を代役に立て、西郷を自宅に迎えるが・・・。
 もちろんハプニングの嵐。つじつま合わせに必死。江戸を焦土にしたくない娘、討ち死にしてまでも徹底抗戦を訴える妹、世捨て人的な妹婿、世俗を意に介さない嫁。それらが討幕派の西郷に対峙するのだから、大荒れなのよ。そして笑えるのよ。さすが三谷幸喜。
 そしてもうひとつ三谷幸喜のすごいのが、新橋演舞場の休憩が35分もあるという二幕構成を逆手に取る構成で、入れ替わり劇の反復を仕掛けるところ。宮藤官九郎の時間巻き戻しとも違う反転構造にやられた。
 中村獅童の歌舞伎仕込みに震え、松岡昌宏のきっぷにしびれ、松岡茉優の可愛さにニヤつく。個人的にはずんの飯尾くんから目が離せなかった。あと、花道沿いの席で、ぼくの目の前で立ち止まって演じてくれたから、演者が目の前なの。磯山さやか、34歳とは思えないキュートさがありまして。
 勝家だけでもばらばらなんだから、幕臣や一般の人々の価値観はもっとばらばら。それを託された勝のプレッシャーって、相当だよね。もし今の時代なら、江戸城無血開城ってノーベル平和賞ものなのかな。
 最高の舞台、めちゃ楽しかった。


実質前から2列目、花道沿い!


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JAバンク北海道プレゼンツ・落語競演「大札幌成金 昼の部」を観る(18.3.17)

「二つ目だけで昼夜計1,300席SoldOut。札幌にこんな日が来るなんて」
 ぼく個人としては2度目の『成金』。落語芸術協会の二ツ目ユニットが札幌で昼夜の2公演。前回の小痴楽、松之丞、昇々、宮治に加え、新作の使い手・鯉八を迎え、にぎにぎしく開演です。
 今回はテレビ局がスポンサーに着いたので、開演前にお客さんにインタビューしてる。若手の落語会ゆえ、若い女子へのインタビューが多いのかな。もちろんぼくはスルーで。
 今回のいじられ役は松之丞のようで。みんながマクラに必ず松之丞ネタをぶち込んでくる。それも仲の良い証なんだろうね。
 大師匠に劣るところもあるかもしれないけど、大師匠を上回る勢いと感性で場内を沸かす。札幌ではなかなか味わうことのできない楽しい寄席。9月にもまた開かれるということで、今から楽しみです。
『浮世床』 柳亭小痴楽
 このメンバーの中では一番若いけど一番芸歴が長いだけあって、テクニックがあって上手いなぁ。夢見ごちを起こされた男の夢物語。こんな夢ならぼくも見たい。
『おちよさん』 瀧川鯉八
 チャオ!で始まる鯉八ワールド。なんだこの感じ。脱力系のゆる〜い新作。なんだろう、それがじわじわハマっていく。落語はギャンブルから始まり、昭和歌謡ナレーションからの新作。身投げを試みる女性とそれを止める男性の物語。帰りに演目を見てびっくり。「おちよさん」って、うちのおふくろの名前じゃん。仲入りで4月24日に開かれる独演会のチケット予約しちゃったよ。
『吉岡治太夫』 神田松之丞
 一転強面、しぶ〜い語り口の松之丞。もうハマってます。今回は元武田軍の猛将が主人公。道場を開き、門弟の仇討をする物語。扇子と拍子木に煽られ、高揚感が増します。でも過去3回、マクラが同じなので、次は…。夜の部は変えたのかな?
『壺算』 春風亭昇々
 松之丞が時間を取り過ぎたので、短くなったのボヤキから、買い物上手の兄さんの手際拝見『壺算』へ。テンション高めのキレ落語。座布団も斜に座って、やすし師匠っぽいのかな。なんで、兄さんも威勢がいいです。
『花見の仇討』 桂宮治
 大トリ宮治は熱演だった。テンション芸と思いきや、演じ分けが巧みで伝わる。そこに本日のトピックスを織り交ぜるなど、これが二つ目かって思っちゃう。見た目、体型は大御所レベルなんだけどね。仇討の嗜好がどんどん崩れていく様も面白いんだけど、その前に却下された桜の木の下ミカン箱の上で踊る嗜好案のくだりが、仕草も含め最高でした。


鯉八の独演会をいじる昇々と横で笑う小痴楽。奥からゴッドファザー宮治登場
松之丞はサイン会中。


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道新寄席「立川談春 独演会」を観る(18.3.15)

「今回の談春は笑い特化です…爆笑です」
 談春はやっぱり面白い。権太楼のまるで憑依したかのような勢いのついた笑いと違い、メリハリが効いた洒脱な笑い。しかも、今回は人情噺抜きで、とことん笑いを追求した会となっている。情に訴えない談春。終始笑いを突き詰める談春。そりゃ面白いこと間違いなし。ドラマや映画で睨みの効いた顔がすっかり板についたというのに、今回は封印です。かわいく売るのに目覚めた?
『狸の鯉』 立川談春
 狸の恩返し。悪ガキどもに狸鍋にされそうなところを救われた子狸が、化け力を駆使して恩返しをするんだけど・・・。いやいや、かわいいんです、子狸の顔が。一番前の上手側だったので、目線がばっちり会うのです。クリッとした目で見られると、「よーし、よしよし」ってムツゴロウさんになりそうです。
『不動坊』 立川談春
 「落語 The Movie」で正蔵がやってたなぁ。四十九日がまだ明けていない後家さんを、借金肩代わりの条件で嫁にした男に嫉妬する、バカな長屋の3人組。クライマックスの吊るし芸が見ものの一席。こちらは吊るされる男の悲哀がたまらない。諦めたかのように見上げるせつない表情。笑えます。爆笑。
『明烏』 立川談春
 純情で世間知らずの坊ちゃんを、町で札付きの悪が吉原へ連れて行く一夜の物語。これまたおぼこの坊ちゃんをかわいい顔でやっちゃうの。ダダこねてるとことか、ぼくと同い年のおっさんには思えない。さげのときの顔ときたら・・・ずるい。


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山本甲士「ひかりの魔女」を読む(18.3.14)

「言葉に心を込めること、負の感情ならたやすいんだけど」
 必ずしも家庭円満とは言えない家族のもとに、おばあちゃんがやってきた。作務衣に割烹着、あねさん被りで一見田舎のおばあちゃん。でも、かつての書道教室の教え子は競い合って愛され自慢をし、おばあちゃんのもとに集まってくる。一緒に暮らしているうちに、いつの間にか家庭も朗らかになっていき・・・。
 もう、おばあちゃんパワーがすごいのだ。なにがって、真心なんだろうなぁ。おばあちゃんの言葉には心が込められている。必ずしも実直とは言えず、都合のよい嘘も多分に含まれている。でも、相手のことを考えて心を込めた嘘はとても優しい。相手だって嘘ってことは薄々感づいている。それでもその嘘(いや、優しさか)は勇気を与え、いつまでも心に残り続ける。言葉と心の融合。
 おばあちゃんは電話で話をしない。もちろんメールやラインなんて使うわけもない。でも、対面することで伝わる気持ちって、よりダイレクトなんだよね。そんなおばあちゃんが起こす奇跡・・・いや、もうそれは必然なのかもしれない。
 匿名で吐き捨てるような言葉がネット上に蔓延している今日この頃。ぼくもおばあちゃんを見習いたいと切に思うのでした。


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宿野かほる「ルビンの壺が割れた」を読む(18.3.1)

「男の美学はやせ我慢」
 なんだかとても嫌な気持ちでいる。それは決して読み終えてからの感情ではなく、ほぼほぼ最初から抱いていて、途中で読むのをやめようと思ったほど。不快を圧し殺し、読み進めた結果は「ザマーミロ」なんだけど。
 かつての婚約者をFBで見つけた男が、メールを送るところから始まる、メールによる対話形式物語。なぜ結婚式当日に彼女は来なかったのか?彼女になにが起こったのか?
 SNSの普及がもたらす欠点のひとつなんだろうけど、とにかくこの男の言動には最初から気色悪いしかなくて。思いの丈がどれ程募ろうと、過去は過去。想い出は美しいとこだけ胸にとどめて、やせ我慢でしょうが、男ってやつは。他に目的があっての行動はもちろん論外で。
 彼女も彼女、そんだけの思いをした相手なら、返信しちゃダメでしょ。
 結局のところ、仕掛けだ、展開だ、どんでん返しだってのを楽しむ前に、げんなりしてしまったのだ。
 まぁ、そんなときもあるか…。


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道新寄席「柳家権太楼 独演会」を観る(18.2.25)

「寄席、独演会でしか楽しめない、極上の笑い」
 御歳71。正直、外見は華やかではない。というか地味。素の語り口だってはきはきしてるとかシャープというわけでなく。だから、テレビ受けする感じではない…誠に失礼だけど。
 でも、高座に上がり、マクラからネタに入った瞬間、まるで憑依したかのように人が変わる。マクラで円生のモノマネをし、白鳥を引き合いにしたのが嘘のように、超絶ハイテンションで会場を支配する。喜怒哀楽をありのままぶつけ、笑いの渦を巻き起こす。
 テレビでは見ることのできない、本気の笑いは凄まじかった。これは病みつくわ。
『元犬』 柳家ほたる
 弟子は師匠に似るのだろうか。権太楼の弟子は丸刈りの朴訥とした感じの噺家で。でも、若手らしくハキハキしていて聞き心地が良い。それが従順な犬を演じるもんだから、妙にぴったりで笑えちゃう。
『二番煎じ』 柳家権太楼
 「落語 The Movie」で見た人も多いであろう、市井の人々の多く登場する噺。この市井の人々一人一人が感情露わに演じられる。噺が馬鹿げていればいるほど、そのパワーは増すばかり。番屋は宴もたけなわで。
『井戸の茶碗』 柳家権太楼
 コチラも「落語 The Movie」でやってた噺。今度は群集劇ではなく、1対1の対話形式。ここでは皆がパワー全開ではなく、くず屋の清兵衛だけがおどおど全開で。静と動というか、メリハリが効いた笑いに仕上がってます。


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TEAM NACS 第16回公演 「PARAMUSHIR〜信じ続けた士魂の旗を掲げて」を観る(18.2.23)

「北海道産NACSだからできる芝居、やるべき芝居」
 あれ?昨夜観劇した時はそんなことなかったのに、いま観劇記を書こうと思ったらうるうるして来た。カーテンコールがフル○ン連呼のおバカさん大爆笑だったから薄れていたのか…。
 太平洋戦争終結直後の1945年8月15日。アメリカの北からの侵攻を防ぐため、千島列島北東部・幌筵島に置かれた最前線の部隊にソ連軍が押し寄せた。敗戦を受け、武力解除した日本軍は不意打ちに動揺するが、ソ連軍の侵攻を許せば根室に脱出しようとしている400名の缶詰工場女子工員に災いが及び、ひいては北海道占拠に至る恐れがある。ソ連の侵攻を防ぐため、最後の砦となった名もなき兵士たちの戦いがそこにあった。
 最初は「ちょっとなぁ…」って思った。お国のために命を捨てて戦うって思想に違和感を覚えるから。でも、国は負けを認め、一度は萎えた気持ちを奮い立たせたそれぞれの想いは、とても純粋で尊いものだった。
 原案・演出のリーダー・森崎に、同じ北海道で生まれ育ったものとしてありがとうと言いたい。ほとんど知られていない北の辺境での戦いをぼくらに教えてくれて。未だ進展が見えず、意識の低下が懸念される北方領土にどんな想いが残されているのかを教えてくれて。
 北海道に生まれ、北海道で育ったTEAM NACSだからこそ伝えられる物語がここにある。彼らでなければ作り出せない、緊張の中に生まれる朗らかさ。北海道を代表する、後世に伝え残したい舞台だった。
 今日はメンバーの家族の観劇はなかったんだよね、あのカーテンコールだと。


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辻村深月「かがみの孤城」を読む(18.2.19)

「もどかしさの果てに見える優しい光景が」
 まったくもう、早く気付いてよ。
 5月、鏡の中の謎の城に集められた7人の訳あり中学生男女。城の番人であるオオカミさま(オオカミの面をかぶった少女)によると、3月30日までの間、城を自由に使ってよいという。ただし、ひとつだけ願いが叶うという願いの間のカギを探すこと(探さなくてもいいんだけど)、午後5時には必ず城を出なければならないという条件のもとに。
 それぞれが抱える問題はさておき、この物語には大きな謎が二つある。鍵のありかと7人の関係性。城の居心地のよさの中にも人間関係の難しさを感じ、謎に直面できない日々が続く。もうこの間がもどかしくって。伏線は方々に張ってある。なんてのはぼくが客観的に物語を読んでいるからなんだろうけど。それと、ぼくが生半可な年寄りだから…いや、若者文化についていけないから?まぁ、謎のひとつはそれがゆえにわからなかったんだけど。
 見事な物語だった。伏線の張り方、回収の仕方。それぞれの想いはわかっていても、それぞれの先が読めたとしても、最後は大泣きしてしまった。ちくしょー。
 7人の迷える中学生たちの成長記録。かつて迷っていた自分を見るようだなんて思わないけど、自分も通ってきた道だと思うと、こんなんでもなんとかオトナになれるんだよって言ってあげたくなったよ。


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桂雀々芸暦四十周年記念公演「雀々と落語天国愉快戯」を観る(18.2.18)

「江戸の人気者たちを従えて、上方落語・雀々躍動する」
 正直、桂雀々って去年まで知らなかった。四十周年記念興行で桑田佳祐と明石家さんまがゲスト出演したというニュースで知って、1月に枝光との落語会を観に行って。それですっかりハマっちゃったんだけど。
 で、今回東京出張が決まって、前日に何か面白い催しはないかって探したら、四十周年記念公演があるではないか。しかも、競演陣がめちゃ豪華。三遊亭円丈の弟子で人気上昇中の二つ目・三遊亭わん丈。五代目円楽一門の古典正統派なのに師匠が好楽の三遊亭兼好。愛くるしい体型と様相に似合わぬ辛口で人気の 桃月庵白酒 。いまや新作の第一人者といっても過言ではない三遊亭白鳥。みんな雀々の後輩にあたるから、あの大きな顔ですごまれた?
 まさに「雀々と落語天国愉快戯」。口上を含め、みんな楽しんで高座に上がってるのが伝わってくる。上方・江戸、宗派を超えた輪が雀々を中心に広がっているのね。
『新蝦蟇の油』 三遊亭わん丈
 古典『蝦蟇の油』にわん丈アレンジを加え、新たな蝦蟇の油の口上が仕上がってます。これは改作になるのかな?完成度高いです。3月に札幌で観るの楽しみです。マクラの母親の話、めちゃ面白かったです。
『さくらんぼ』 桂雀々
 いまではだれもやる人がいない…って前置きから繰り出した『さくらんぼ』。雀々の師匠・枝雀が得意とした噺。確かにこの不条理をきれいにまとめて話せる噺家って、そうそういるもんじゃないよね。雀々とて照れてるところあったし。江戸落語では『あたま山』。アニメ化された作品はアカデミー賞短編アニメ部門にもノミネートされてます。
『宮戸川』 三遊亭兼好
 兼好、なんかいつも以上に跳ねてるなって思ったのはぼくだけだろうか。マクラもそうだし、『宮戸川』のお花をめちゃ楽しそうに演じていて。艶っぽいシーンを明るくマイルドにするさりげなさが上手い。
『満員御礼長屋』 桃月庵白酒
 古典『喧嘩長屋』を白酒らしいダイナミックな演出でお届けです。夫婦ゲンカがどんどん大きくなる噺なんだけど、とにかく白酒の因縁と大振りがたまらない。
『口上』 桂雀々/三遊亭白鳥 / 桃月庵白酒 / 三遊亭兼好 / 三遊亭わん丈
 芸歴四十周年の記念口上って初めて聞いた。雀々も言ってたけど、昇進か襲名披露ぐらいだよね。それを、しかも後輩たちを並べてやるなんて。わん丈は人生初の他人の口上だったのでは?
 それにしても後輩たちが慕ってるのがよくわかる口上だった。みんな、笑えるエピソードを織り交ぜながらの愉快な口上。七代目円生についてはご愛嬌ということで。
『黄昏のライバル―桂雀々編―』 三遊亭白鳥
 まさにこの日のために書き下ろされた白鳥の新作。近未来の東京。栄華(ここでは怖くて書けません)を極め、目標を見失った桂雀々を復活させるため、落語会を去り池袋のおでん屋を営む三遊亭白鳥が立ち上がる。自虐と暴露、古典落語へのリスペクト(?)満載の爆笑噺。ん?桂雀々編ってことは、昇太編や喬太郎編もある?
『手水廻し』 雀々
 雀々命名の話しや上方四天王(文枝、春団治、米朝、松鶴)のマクラから、まさかと思ったんだけど、枝光との落語会と同じ流れだった。まさかひと月に2度聴くことになるとは。でも、面白いから許せちゃう。長頭を回したり、手水を飲むシーンはやっぱり枝雀譲りだなって思っちゃう。


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TVh落語「古今亭菊之丞独演会」を観る(18.2.15)

「軽快さを武器に生み出す掛け合い落語」
 菊之丞って艶っぽい語り口かと勝手に思ってたんだけど、こんな軽快な落語をする噺家だったのか。テンポの良い掛け合いはまるで漫才を聞いているみたい。と思えば、無音の間を仕草で見せて。ぼくの思い込みとはいえ、いい意味でがっつり予想を裏切られた心地よさ。あと、悪い顔するんだよね。ずるい。
 開演前はJazzが流れるスタイリッシュな雰囲気で、ふたを開ければ憎らしいベタな笑いの数々。いろんな意味でギャップにやられました。
『紙入れ』 菊之丞
 間男にかみさんを寝取られた豆腐屋の主。うろたえる間男と話しを聞きだす主の駆け引きの軽快さに、ラスボスおかみさんが登場して・・・。ホントにラスボス感たっぷりでさ。
『片棒』 菊之丞
 寄席で悪口を言っていい3坊をまくらに、ケチん坊な主が3人の息子を試す『片棒』を。コチラも3人それぞれのアホさ加減が軽快な語り口で引き立っていて。ど派手でガチャガチャした噺にテンポがついて、面白かった。
『芝浜』 菊之丞
 仲入り前の2本は滑稽噺で沸せたけど、まさか最後に『芝浜』を持ってくるとは。昨年暮れから『芝浜』が続いているけど、菊之丞のは…と思ったら、人情話をじんわりと泣かせにかかるのではなく、またも軽快に滑稽噺に仕立ててきた。設定もハッピーハッピーに。正解がないのが落語の面白さ。菊之丞の味を存分に出し切った『芝浜』だった。


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「スリー・ビルボード」を観る(18.2.11)

「問題提起から見えた覚悟の数々。まるで日本相撲協会に問うているような…」
 レイプ〜殺害された娘の捜査が進展しないことに業を煮やした母が、田舎道に掲げた三枚の広告看板。問題提起、情報提供、責任追及。その行動に含まれる意図はひとつじゃなかっただろうが、小さい保守的な南部の町では受け入れるだけの土壌ではなかった。特に人格者として町の人から敬愛され、末期がんを患った警察署長の批判には。
 負の連鎖なのだろうか。前へ進むための行動が、どんどん後ずさりしていき、対立が激化していく。
 いつも「ぼくなら…」って思いながら映画を観るんだけど、今回ばかりはなんともやるせない気持ちになった。警察の怠慢で捜査が進まない怒りもわかる。手詰まりで動きが取れないもどかしさもわかる。死を前に家族の先を想い怯えるのもわかる。ふんぞり返って人種差別する気持ちはわからんが。
 で、方向性は違えどそれぞれの覚悟を観る作品なのかなと。すべてを敵に回しても貫く信念と覚悟。よき父、よき夫、よき署長であり続けるための選択と覚悟。自分の非を認め、一歩踏み出すための改心と覚悟。
 重いテーマの間に挟まれるなにげないユーモアにホッともさせられる。ヘビーなテーマの120分が長いと感じなかった良作です。


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高田漣 デビュー15周年記念弾き語りツアー「ロンリー・ナイトライダー」を観る(18.2.2)

「親・先人から受け継いだ伝統に、オリジナリティを加えて未来に託す」
 昨年末からぼくの中でヘビーローテーションなのが高田漣のアルバム『ロンリー・ナイトライダー』。中でもキングレコードが推す『ハニートラップ』は頭から離れない。特に飲み屋さんで女の子と飲んでる時に。
 ギター1本とピアノでお届けするブルースの数々。これがカッコイイんだよね。レコーディングではあれやこれやいろんな楽器で彩られた曲がシンプルなセットで演じられる。趣は異なるんだけど、重厚さは変わらなく聴きごたえ抜群。キャパの小さいライブハウスだから臨場感も抜群で、楽しくってしょうがない。
 父親でフォーク歌手の高田渡や高田渡に影響を受けたアーティストの楽曲を弾き語りでカバーしたり。それは高田漣がたどってきた道筋を温め、次につなげる橋渡しのように。前回の単独ライブでの来札が高田渡トリビュートだったからか、客層がかなり高く、カバーを期待していたみたいで、すごく喜んでいた。ぼくもこれまであまり接する機会のなかったフォークを聴いて、ブルースへと続く道を感じたりして。
 ギターもピアノも聴きごたえたっぷり。大好き?な『ハニートラップ』もアコースティックVer.で鼓膜に焼き付いて離れない。実力者だからできる業だよね。
 終演後はサイン会もあり、握手もしてもらいました。今度はフルバンドでの演奏も聴いてみたいなぁ。

Live会場限定弾き語りCDにサインを入れてもらいました


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「スター・ウォーズ/最後のジェダイ IMAX3D」を観る(18.1.27)

「純粋に映像を楽しむなら、IMAX3D最高です」
 公開2日目に観に行ったとき、あれ?って思ったんだよね。料金ちょっと安くない?なんでメガネ貸してくんない?って。あぁ、SW8はIMAX3Dがないんだ…って思ってたんだよね。そしたら後出しで出てきて、「なんで最初っから上映しないんだ」とむかついたりもしたんだけど、やっぱり観たいんだよね、3Dで。ということで、いらだちをおさえて観てきました。
 やっぱ3Dなんだよね。とにかく艦隊が飛び出す宇宙空間での戦闘シーンは圧巻。あの迫力を味わうだけで、もう満足。確かに人物描写が続くときは違和感を覚えるときもあるんだけど、それ以上に迫力あるシーンが満載で、印象に残りまくって。2Dで物語をじっくり味わい、3Dで映像を堪能する。もうぼくのSWの楽しみ方として定着しているのだ。
 それにしても泣ける。ストーリーがわかってるから、来るぞ来るぞって思っていながらも、やっぱり負ける。でも、メガネの上に3Dメガネをかけてるから、涙をぬぐいにくくって。じっとこらえる3D上映なのです。


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「桂文珍独演会 JAPAN TOUR 〜一期一笑〜」を観る(18.1.26)

「上方の笑いを意識した構成。江戸とは違う味わいを堪能」

 桂文珍、テレビでの活躍はよく知ってるけど、本業の落語を聴いたことがなかった。札幌には毎年来ていて、今回が13度目だとか。チェックが足りず、申し訳ありません。
 だから文珍のイメージってテレビタレントでしかなく、あの軽快な語り口の落語かと思っていた。でも、高座に上がった文珍は落ち着いた渋い語り口。意識的に使い分けているのかはわからないけど、違う一面が観れてまた楽し。
 今回は雪のせいでギリギリに会場入りした弟子の文五郎と女道楽師・内海英華とともに、上方の風を札幌に吹かせてくれました。
『牛ほめ』 桂文五郎
 伯父の家の普請をほめに行く与太郎。普請をほめるだけでもひと苦労なのに、牛までほめようってんだから…。十数時間かけて札幌に来て、雪の中コロコロ引っ張って、それでも元気な高座です。ジンギスカンいっぱい食べてね。
『らくだがきた』 桂文珍
 無類の酒好きで酒癖がめぽう悪いらくだが近くまで来ているという。いよいよこの街に来襲か?らくだに怯える人々をユーモラスに描いた、名作古典『らくだ』のスピンオフ的新作。面白いです。
『   (読めない)』 内海英華
 三味線片手に歌い語る”女道楽”。そんなジャンルがあるって知らなかった。今や上方にしかない芸能だそうで。そして、師匠のお若く美しいこと。還暦だなんて到底思えません。三味線で弾く「ダイヤモンドヘッド」は『いとみち』感覚で面白かった。
『そこつ長屋』 桂文珍
 江戸落語の代表的な噺も、関西弁で聴くとまた可笑し。くまとはちがなお滑稽に見えてしまう。見台こそ使わなかったけど、上方落語の特徴を見せつけられるような感じで。死体が誰かなんて、ハナからどうでもいいんだよね。
『猫の忠信』 桂文珍
 こちらは上方落語の傑作だそうです。浄瑠璃の『義経千本桜』のパロディだとか。上方らしい仕掛けとオチ。人情じゃなく猫情噺です。


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松宮 宏「まぼろしのパン」を読む(18.1.26)

「食の大切さは身体だけでなく心も育む」
 なんだかほんわかと激しさが交錯するする短編集だった。薦められて読んだ作品。タイトルだけなら原田知世主演の映画のような雰囲気なんだけど。
 ってことで、表題作は原田知世イメージで読み始めたんだけど、いきなりハードな社会派な導入で。そういう作品かと身構えたら、郊外の中高年夫婦の日常に落ちついて。でも、今度は企業におけるあれやこれや…とまあ、シチュエーションのジェットコースターなのだ。
 お次の「ホルモンと薔薇」はどんだけ腸が好きなんだって親子とひったくり事件をめぐる物語。そして「こころの帰る場所」はおでん屋台の雇われ女将のヤンキー息子の回顧録。コチラも物語に起伏があって、どこに辿り着くのかちょっとはらはらするんだけど、最後はしっかりほっこり。それぞれに食べ物がいい味出してて。
 どんなに忙しくても、どんなにつらくても腹は減るから(個人差があります)、その時々に想いが強い食べ物ってあるよね。そんなぼくらの実体験を、見事に描いてくれてます。


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道新寄席「立川談春 新春落語会」を観る(18.1.20)

「テレビをうまく利用して、想像力に幅を持たせる…いまどきもしっかり入ってます」
 今年上半期に札幌で3回独演会を開き、チケットは昨年同時発売済みで既にSoldOut。「どうして半年以上先のチケットまで売っちゃうの?予定たたないじゃない」って談春の言葉通り、どうかしてるの道新事業部。
 そんな話から始まった独演会。いつもの通り、談志のこと。志の輔、志らくのこと(3人ともプロモーターが違うので兄弟会ができないとか)。伝統文化(寄席文化)から相撲のこと。噺家の事情(テレビの顔と実際の顔)など、談春ならではの考えが聞けて面白い。
 談春の落語は感情の入り方が面白いってぼくは思う。その迫力が伝わってくるというか。乗ってる役と乗らない役があったりするのも、聴いてて「ほほう」ってなったりして。
『六尺棒』 談春
 「落語 The Movie」でやってたのを見て覚えただなんてリップサービスが出てたけど(もちろんそんなわけはない)、テレビを見ているであろう客を引き付け、NHKの意図をうまく組み込んだなって。放蕩息子と父親のやり取りは画も浮かびやすく面白かった。
『藪入り』 談春
 談春の強面は小さい子供には合わない…。でも子を思うあまりに感情的になる両親はめちゃくちゃ入ってくる。幼くして方向に出て、久々の帰省を許された息子と、息子の帰りを心待ちにする親。いい話だよね。
『五貫裁き』 談春
 とにもかくにも大家さんの先を読む目に感嘆。そして、実話ではないにせよ、徳力屋が実在することに驚き。一文から始まることの顛末と大岡裁きは見ものです。で、ぼくにとっても大岡越前は加藤剛です。


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平成開進亭「雀々・枝光・好太郎三人会」を観る(18.1.17)

「無言の間こそ、喋りの境地なのかもしれない」
 桂枝光がホストを務め、毎回豪華なゲストを呼んで開催される平成開進亭。2018年の一発目は桂雀々と三遊亭好太郎を迎えて。三者三様のスタイルがどう反応するのか、楽しみで。当人たちに変化はないんだろうけど、ぼくの中での落語感みたいのが。
 そんで思ったのが、ぼくは落語を聴くとき、「間」を楽しんでいるってこと。噺家にとって、高座に上がったら喋り倒さなきゃ、笑いとらなきゃって思うかもしれない。でもぼくは喋りと同じくらい、間がもたらす違和感と笑いを楽しんでいる。無言、無音はとても勇気のいることだけどね。
 あと、人情噺は照れを捨てて噺に入らないと、逆に痛くなるんだよね。
 まぁ、かわいこちゃんと二人きりになり、間が持たなくて言葉で埋めようとするぼくが言うのもなんだけど。
『寄合酒』 枝光
 ダジャレを詰め込んだ、明るい枝光らしい一席。年末に一之輔で聴いたのとはまるで違う味わい。これもまた落語の醍醐味。
『刻そば』 好太郎
 濁音〜半濁音〜スミダで彼の国の言葉に聞こえるって枕で吹き出してしまった。耳がいいんだろうなぁ。汁をすする所作の時の丼を持つ手の位置が気になった。麺を食べる時と同じ位置ってのは。
『手水廻し』 雀々
 枝雀の弟子、枝雀に似た落語といううわさは聞いてたけど、間とタメの使い方がうまい。で、穴埋めの表情や仕草が憎らしいほど笑える。すっごく笑った。上方四天王(文枝、春団治、米朝、松鶴)をネタにしたマクラは、上方落語に接する機会の少ないぼくには勉強になりました。
『帯久』 枝光
 枝光のスタイルなんだろうけど、前に聴いた『芝浜』がよかったので、あれ?って感じで。もちろん好みの問題はありますが。


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パルコ・ミュージック・ステージ KOKI MITANI'S「ショーガール」vol.2〜告白しちゃいなよ、you〜を観る(18.1.14)

「『Walk This Way』はあきらかに反則。吹き出しちゃった」
 今回も大人の出会いの物語と圧巻のショータイムの構成の『ショーガール』。川平慈英とシルビア・グラブが、オトナの恋のはじまりを甘く切なく演じ歌います。
 作、演出その他もろもろはもちろん三谷幸喜。氏が敬愛するビリー・ワイルダーのような世界観で包まれた作品です。
 もちろん前作同様、生バンドが脇を固め、ライヴ感をより一層高めてくれます。恋愛下手の脚本家と恋愛上手の配管工の恋の駆け引きに、臨場感を加えてくれます。
 さらに日替わりゲストは竹内結子。かわいいのはもちろんだけど、すっごい細いの。で、照れながらのローラの真似がかわいいの。うまい下手などどうでもよいのは、ぼくだけじゃないでしょう。へそが見えなくたっていいんです。Wao!!ってshoutしてくれるだけで満足なんです。
 こんなお洒落な恋の駆け引きしてみたいけど、照れが先に出ちゃうんだよなぁ。キザなセリフをさらりと言える男にはなれないようで。
 次回公演は渋谷パルコのこけら落とし?こんな素敵なショーはずーっと続けて欲しい。川平慈英はぼくより年上なんだけど、がんばって。

EX THEATER ROPPONGI、初めてだけどいい劇場です



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「志の輔らくごGINZA MODE銀座 詣」を観る(18.1.13)

「古典も新作も長唄も…日本の文化、ためしてガッテン!」
 志の輔が札幌に来てくれないから、ぼくが銀座まで落語を聴きに行ってきた。場所は二十五世観世左近記念 観世能楽堂。昨年オープンしたGINZA SIX の地下3階です。あんな近代的な建物の地下に、まさかの能楽堂なのです。
 どっち向いて落語するのかなって思ったら、正面左の目附柱が取り外せて、ちょっと斜め向きでした。これもビルの中の能楽堂だから成せる技。
 だからか、今回のまくらや噺には日本の伝統文化に関することが多く盛り込まれていた。長唄を演目に入れるのもそうだろうけど、落語と伝統文化の架け橋になるような構成です。
 相変わらず上手いよね、志の輔は。劇場型ってほど演じ分けているでもなく、適度に力が抜けていて、自然体なんだよね。だから聴く方もすんなり入れちゃう。でも、聴き心地がいいだけじゃなく、要所のアクセントが効いてて、すごく笑っちゃう。参りました。
『買い物ブギ』 志の輔
 まくらで怒濤の小噺連発だったからどうなることやと思いきや、現代の買い物事情を揶揄した新作に。選択の自由が広まる反面、決断しにくい世の中になってるよね、確かに。
『長唄』
 創作長唄、伝統の長唄、3曲の美味しいところをかいつまんでギュっとした、まさに入門編。長唄をちゃんと聴くのはじめてだったけど、そんなに堅苦しいものではないんだね。
『徂徠豆腐』 志の輔
 善い行いはいつかは己の身に返るという、豆腐屋さんと学者先生のお噺。新作で抜けた噺を聴いた後だから、前半部の笑いは自由自在。そんでもって後半部で人情噺全開って、ずるいよね。途中、学者先生の素性を伝える際の忠臣蔵話しが長くなったのは「???」だったりもしたけど、人形浄瑠璃を面白おかしく説明するなど、文化交流的要素もあって、志の輔の意欲が感じられた。

地下3階の能楽堂



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有川浩「キャロリング」を読む(18.1.12)

「クリスマスキャロルが 流れる頃には♪」
 これまで彼女の作品の飛躍した世界観に慣れてきたせいだろうか、久々に読んだ今回もかなりぶっ飛び感を期待してしまって。ゆえに王道的な本作の流れが平凡に思えてしまうのは贅沢病なのかもしれない。
 クリスマス倒産を控えた会社の社員それぞれの想いと、離婚危機にある家族の想いが、会社が巻き込まれる事件により大きく動き出す。クリスマスに迎える結末は?
 正直最初は読んでていたたまれなかった。物語の主題のひとつであり、常に根底に流れる不幸せを印象づける作業なんだろうけど、荒んでて。必要不可欠であり、これがあるから進む物語だとわかっちゃいるけど、なんかね。それはぼくがなんだかんだ言って幸せに生きてこれたからの感想なんだろうけど。
 それを乗り越えると展開は面白くなるけど、度肝抜かれる圧倒感は…。なんかちょっとぼくには合わなかったかな。そんなこともあるさ。


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「キングスマン ゴールデン・サークル」を観る(18.1.7)

「Country roads, take me home To the place I belong ♪」
 前作で味わった高揚感。ハリーの壮絶な死によって、ふたたび観ることはないとあきらめていたんだけど、まさかの復活。しかも、ハリーが…いる?
 麻薬組織ゴールデン・サークルの攻撃により、壊滅状態となったキングスマン。生き残ったエグジーとマーリンはアメリカに渡り、独立諜報機関ステイツマンにかたき討ちの協力を求める。そこで会ったのは、片目と記憶を失ったハリーだった。一方、ゴールデン・サークルは麻薬を使い、麻薬の合法化と覇権を握るべく、アメリカ大統領と取引を行う。
 観る前はハリーの従兄弟ぐらいがアメリカにいたって形でお茶を濁すのかと思ったら、がっつり本人。しかも、それなりに復活の理由が…こじつけ感が仮にあったとしても。他にも前作をきっちり踏襲していて。それがうれしくて。
 もちろん展開もアクションもスピーディーで、飽きさせない面白さ。すっげー楽しい。やっぱり今回も最高だぜ。でも、前作のハリーの死なみのインパクトは…と思ったけど、『カントリーロード』独唱はたまらなかった。
 あとね、ハル・ベリーがよかった。出番も見せ場も少なかったんだけど、髪型、眼鏡、服装がすっげーぼくにドンピシャ。でも、ハル・ベリーだからできるファッションだよね。
 次も観たいし、含みのあるラストだったけど、どうなんだろうか。次なる復活劇はあるのだろうか…。
 なにはともあれ、今回も最高でした。


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「ギフテッド」を観る(18.1.3)

「平凡に生きることの幸せ、それが最高の贈りものなのかも」
 亡き姉の娘・メアリーと二人で暮らす独身男・フレッド。生まれながらにして数学の天賦の才を持つメアリーは、地元小学校でもトラブルばかり。その才能に手を焼く学校側は、メアリーを特別な(天才を集め英才教育を施す)学校への転向を進める。そして現れたフレッドの母(メアリーの祖母)はメアリーの親権をフレッドと争うことに。かつて我が子にしたような英才教育を、メアリーに施すために。
 ギフテッドって、メアリーの、メアリーと暮らす日々のことだと思ってた。でも、天賦の才のことがギフテッドだったのね。もちろんタイトル的にはどっちにもかけてるんだろうけど。
 才能を有することは特別なことだけど、その特別によって失う普通の大きさって、普通に暮らすぼくらには計り知れないよね。特別を持つことに対する羨望、妬みばかりが先に立っちゃって。だから普通であることの幸せにぼく自身目が行ってないっていうか。
 世の中を知ること、普通に生きること、その大切さを知ったフレッドだからこそできる子育て。それは特別な人だけでなく、普通に生きる人にも気づきを与えてくれる素敵な物語でした。


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