artな戯れ言'02-下半期


このページではartな戯れ言を集めて掲載しています。


カムカムミニキーナ
「エメラルド」を観る(02.12.7)

 座長・松村武や看板役者・八嶋智人が出演する芝居は何度か観ているが、彼らの母体・カムカムミニキーナの芝居を観るのは今回が初めて。楽しみ楽しみで胸をときめかせていざ観劇。
 何よりも期待を倍増させたのがオープニングの部分。イントロ後の'60年代シネマを彷彿とさせるオープニングタイトルはお洒落。スクリーンを降ろしてアニメや映像で洒落たオープニングタイトルを映し出す劇団は結構あるけれど、全てを実演するとは。その実演ゆえの粗さがいい味になっていて、期待が膨らむのよ。
 そしてたたみ込むようにカムカムミニキーナの精鋭で演じる海賊の場面へ。これが面白かった。八嶋智人の勢いを座長・松村武がうまくいなし、笑いをさらう。そのまま突っ走れば軽快な芝居となったのだが。
 うーん、野田秀樹のあれやこれやを受け継ぐのは松村武なのだろうか。早口以外の面白さや難解さも含めて。それがゆえに、松村哲学を語る箇所ではやはり失速してしまう。野田秀樹以降の演劇人があえて切り捨てた要素に果敢に挑む姿勢はいいんだけど、ぼく個人としては野田秀樹同様つらかった。苦手なんだよね、哲学っぽい方へ走られるの。
 とはいえカムカムミニキーナを観るのはこれが最初。ぼくの好きな要素もいっぱい入っているので、もうちょっと彼らのことを勉強して次も観てみようかと感じた。


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「ハリー・ポッターと秘密の部屋」を観る(02.12.5)

 観た観た話題のハリポタ第二弾。一年の歳月のせいか、はたまた錯覚か、それとも前作が大ヒットしたので自信がついたのか、3人とも進級したのが見て取れる成長ぶり。下級生を迎える貫禄がついていた。
 とにもかくにも楽しい作品だった。前作はハリポタの世界に順応するのに戸惑いがあったりして少し時間がかかったけど、今回はアドバンテージがあったからすんなり入り込めたし、創り手も導入部や説明シーンを省くことが出来たので、シンプルにまとまった感じ。これがシリーズものの利点だよな。
 ハリー・ポッターの魅力であり謎なのは、どうして彼が人々から尊敬され、あがめられているのかを本人が知らないこと。今回も知らぬ間に敵を作り、気がついたら巻き込まれて、最後はきっちり解決してみせる。そして本人の意識しないところで成長しているんだよなぁ。それが観ていて楽しいんだよなぁ。もしかしたらぼく自身も知らぬ間に成長していたらいいのにとあこがれているのかもしれない。努力しないですみそうだしね。
 それと、少しづつハリーの秘密や宿敵ヴォ・・・ヴォ・・・なにがしのことが明かされつつあるのも楽しい。こりゃぁ、次が待ち遠しくなるわけだ。
 原作本を読んでしまおうかと何度も思って入るんだけど、外国人の名前を覚えるのが苦手なぼくにとっては映画の方がわかりやすいんだよなぁ。顔で覚えられるから。
 最後に私ナビーめより忠告です。全てが終わるまで席を立ってはいけませぬ。


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東京ヴォードヴィルショー
「日暮里泥棒物語」を観る(02.11.27)

 東京ヴォードヴィルショーがでんでんと坂本アキラと吉行和子を迎えた「日暮里泥棒物語」を観た。平日の夜の部だからというわけでもないが、客の平均年齢がとても高かった。親と子(OL)という組合せも多いし、年配のご夫婦もいっぱい。この客層がヴォードヴィルショーの歴史なのかも・・・とかみしめながら観た。
 水谷龍二を作・演出に迎えた今作は、一見活劇風にも聞こえるタイトルだが、バリバリの人情喜劇だった。日暮里のブティック兼自宅の居間で繰り広げられる、泥棒たちのヒューマンコメディ。藤山寛美が松竹新喜劇で演じたようなホロリとさせる喜劇を、東京演劇シーンのコメディ部門を引っ張ってきた佐藤B作が演じている。浅草の喜劇人にはない「引いた」演技で笑いを誘い、胸を打つ。うまいなぁ。
 でもそれがB作だけでなく、でんでん、坂本、佐渡稔にも行き届いていて、人情喜劇の真髄を観せつけてくれる。特に佐渡稔はキレキレで、いつもの2の線はまるでなく、真剣に笑いだけを求めて動いている。お見事。山口良一がとても若僧に見えてしまうくらいなんだから。
 それと、吉行和子が可愛い。歳を重ねるごとに可愛らしさが出てくる女優だと思う。「ふぞろいの林檎たち」の頃の悲壮を伴うような生活感が抜けきって、可愛いおばちゃんなのだ。吉田日出子もそうだけど、若い頃よりずっと可愛く、若くなる女優っているんだよなぁ。今の若手でその素質を持っている人って、誰なんだろうか・・・。
 にしても、最近観る機会のすっかり少なくなった人情喜劇が堪能できて、とても良かった。人情喜劇は経歴を積まないと上手には出来ないから。


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「MAKOTO〜ゆく年くる年Hello,X'mas〜」
 を観る(02.11.23)

 熱い物語を演じさせたら、今井雅之はピカイチだろう。TVで観せるおとぼけぶりの根底に流れる熱さを、エルカンパニーの舞台では存分に観せつけている。なんて、「THE WINDS OF GOD」と「カッコーの巣の上で」しか観ていないのに言うのもなんだけど。
 で、今回の「MAKOTO〜ゆく年くる年Hello,X'mas〜」。やっぱり熱いです。新日米安保条約締結で再び学生運動が激化する中、機動隊に所属する近藤・土方と学生運動を指揮する坂本とおりょうの友情と、それに関わる人々の青春物語。これをぼくがやるとしたら、すっげー照れる。正直観ているだけでも照れたりしてる。でも、今井演出は笑いを入れることにより、照れを緩和させて客を引き込んでいく。アドリブを多用し、役者の照れを観せることにより、客の照れを取り除く。作られた笑いの部分はもう一つだったけど、アドリブはLive感が伝わってとても笑えた。そこから熱さを倍化させる。今井雅之は熱いだけでなく巧い男だ。
 それにしても注文が一つ。熱い友情や熱い生き方の舞台が戦争や闘争、幕末、任侠などの激動出しか描かれないのをなんとかして欲しい。確かに極限の状態での生き様は熱さへの近道だけど、現実に学生運動が起こったとしても、角材もって殴り合いなんて武力行使は絶対にありえないよ、今の世じゃ。登場人物の名前が近藤勇、土方歳三、坂本龍馬、おりょうっていうのも、その設定もちょっとやりすぎ。
 などと言いながらも、今井雅之と宮川大輔のコンビプレーの巧さと、熱さに心揺さぶられた舞台でした。


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「トリック」を観る(02.11.13)

 堤幸彦監督作品を観るのにはちょっと抵抗があった。TVで観る堤作品はとても面白いのだが、映画となると・・・。
 「ケイゾク」はTVを欠かさず観て期待一杯で映画に挑んだのにもかかわらず収拾つかずで頓挫したし、「溺れる魚」は原作の世界観を陳腐なパロディでぶち壊してしまったし。その怒りは勝手にSHOW-論文に書き連ねています。
 でも、今回の「トリック」は前2作とはちょっと違う。なにせTV版「トリック」はたまに観ていた程度なので、あまり期待していないから。決してそれが効を奏したわけではないけれど、面白かった。
 仲間由紀恵演じる貧乳の奇術師と阿部寛演じる巨根の物理学者が、世の超常現象や言い伝えを解き明かす人気ドラマの映画版。
 この映画の成功を勝手に解説すると、堤幸彦が自由にネタを創造できる世界観を作り上げたことが一番ではないか。陸の孤島で、村の掟が法よりも重い山村を舞台にし、つじつまや後先に囚われることなくネタを創造する。彼の笑いのスタイリッシュな部分のみならず、ベタで洗練されていない部分も、この環境でならいきいきとしている。仲間由紀恵のツッコミも冴えてくる。
 当然のことだけど、これらは「トリック」という一連のシリーズの根幹がしっかりしているからなせる技であり、それら全てを含めて今回は堤幸彦に脱帽である。お見事!
 ということで、笑いに乾いている方におすすめです。観る前にシリーズの登場人物の相関図なんかをチェックしておくと、よりいっそうすんなり滑らかに笑えると思います。


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「BACK TO THE FUTURE THE COMPLETE TRILOGY」を購入する(02.10.6)

 傑作タイムトラベル・SF・エンターテイメント・スーパー・シリーズ「BACK TO THE FUTURE」のDVD-BOXを購入し、昨日と今日でシリーズ3作を観破した。そんなに続けて観るつもりはなかったんだけど、1作観たら次がどうしても観たくなり・・・。
 なにせすごく面白かった。そんなことは公開時に観ているのでわかりきってはいたことだけど、その面白さが色褪せていない。3作続けて観るのは初めてだったけど、面白さが3乗なんだなぁ。これまで気がつかなかったことにも気がつくことができたし。
 我が家の5.1chホームサラウンドシステムが臨場感あふれる音を鳴らしてくれるもんだから、ついついボリュームを上げてしまう。きっと近所迷惑だったに違いない。それでもPART1の冒頭、ギターを掻き鳴らすシーンの直前に慌ててボリュームを下げはしたけどね。ぼくまで飛ばされたくないから。
 映像特典もいっぱいあって楽しめる。これまでずーっと謎に思っていたことが、映像特典の未公開シーン集によって解き明かされたりして、気持ちが晴れたという感じ。
 こうなったら次は「インディ・ジョーンズ」シリーズだよなぁ。でもこちらは第4作の製作が決まったというから、その公開にあわせての発売かなぁ。「ゴッド・ファザー」シリーズのBOXも欲しいんだけど、高かったんだよなぁ。「仁義なき戦い」シリーズでもいいなぁ。
 宝くじが当たったら、プロジェクタが欲しいなぁ。やっぱり大画面がいいもんね。


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「サイン」を観る(02.10.4)

 M.ナイト・シャマラン監督の3作目「サイン」を観た。「シックス・センス」、「アンブレイカブル」も観ているので、さしずめ皆勤賞か。
 今作もあまり本編に関わることは書かない方がいいのかなぁ。謎とスリルが重なり合って、最後の数分に種明かしがあるという流れは前2作と同様。今回はそれに家族愛が加えられている。基本的には毎回「愛」という要素は織り込まれているんだけど、今回はそれを前面に出したのが特異な点か。
 それにしても困ったものである。ぼくの中ではまるで釈然としていないからだ。決して理解できなかったというのではなく、「そんなんかよ」って感じで。それは何も「サイン」と改まって言うほどではなく、物語の中のネタ振りぐらいでいいじゃない。まぁ、それをどのように着目するかなんだろうけど、何もなぁ。
 一番釈然としないのは、「何故あの家族なのか?」ってこと。ただのスリル映画ならそんなことどうでもいいのだろうけど、この映画においてはそれも重要な部分になるはずなのになぁ。そこを解き明かすサインこそが、一番の○○ってもんでしょうが。
 今回も鑑賞後に読むチラシがついていたけど、なんだか虚しかったなぁ。
 アメリカではどうしてあんなに人気となったんだろうか?こんな風に感じるのは、ぼくが無信教者だからなのか?ぼくだって奇跡は信じているんだろうけどなぁ。
 サイン=ネタ振りでいいのなら、三谷幸喜や宮藤官九郎の方が巧いぞ。
 期待が大きかっただけのかなり辛口の感想でした。
 とか言って、要所要所ではかなりビビってたんだけどね。小心者だから、ぼく。


エスニック
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「BIG BIZ〜宮原木材危機一髪!〜」
 を観る(02.10.2)

 松尾貴史が座長を務めるAGAPE STOREの舞台を初めて観た。以前から一度観たいと思っていたのが、今回念願がかなったというわけ。作の後藤ひろひとも、演出のG2も名前は知ってるけど観るのは初めて。先行発売、一般発売でチケットを入手することができず、追加公演でやっと入手したという経緯もあるだけに、期待でいっぱい。
 松尾貴史というよりも、デビュー当時のキッチュのイメージを前面に押し出して作られた作品というだけあって、まさに松尾貴史のハマリ役。それも必然性を重視して特長が生かされているので、イヤらしさがまるでない。持ちネタやギャグを無理に入れる芝居になっていないので、おしゃれなのだ。さすが職人芸と唸ってしまうほど。
 七色(それ以上)の声を持ついい加減な性格の健三が、その声を駆使して幽霊会社宮原木材を大会社に仕立て上げ、仲間とどでかい商談をまとめてしまうというシチュエーションコメディ。七色(正確には10色)の声はそれぞれ永六輔とかコロンボとかを彷彿とさせる。まさにキッチュの持ち芸なんだけど、必然なのだ。一見スーパーマンにも見られがちな健三だけど、あまりにもひねりがないなどの愛らしい欠点も多く、松尾貴史の本領発揮なのだ。
 ところが光っているのは松尾貴史だけでなく、出演者5人全員がピカピカに光っている。物語は発散する傾向にあるものの、シチュエーションコメディ特有の狭い空間と限られた登場人物がなせる技か。
 とにかく、作家・演出家・役者が見事にかみ合った絶品の出来。もう褒め称える言葉しか出てこないぞ。
 来春には第2弾「BIGGER BIZ」が上演されるとか。これはもう見逃せないぞ。


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「おかしな2人」<女編>を観る(02.9.28)

 ニール・サイモンの「おかしな2人」を観た。この公演は陣内&段田の男編と小泉&小林の女編が交互に上演されるという変則ぶり。小泉ファンのぼくとしては当然女編を観る。
 舞台の定石になりつつあるが、主役は遅れて登場する。まずは女性脇役陣4人が笑いを誘い、遅れて小林聡美演じるオリーブが登場する。軽快なテンポと絶妙なキレで笑いをふりまく。日本指折りのコメディアンヌだぞ、小林聡美。
 そして、満を持して小泉今日子演じるフローレンスが登場。しかし、声は枯れ、滑舌・動きが緩慢だ。小林聡美と比較すると、違いは歴然。この舞台の主題は正確が正反対のフローレンスとオリーブの対比ということなので、動きすらも演出かと思ってしまいそうだが、やっぱりコンディションが悪いのに違いない。残念ながらその重い演技が必要以上にフローレンスを「イヤな女」にしている。どうした?KYON2!
 とはいえ、脚本のよさと出演者の上手さで笑いに満ちた舞台だった。そして、絶好調の小林をも喰ってしまったのが、高橋克実&八島智人演じるスペイン人兄弟。二人の絶妙なコンビネーションと奇妙さが場内に爆笑の渦を巻き起こす。これは絶対見もの。
 こうなると男編も観てみたい。なにせ、主役の友人役4人が芸達者で占められているから。でも、チケットは売り切れなんだよね。
 それにしてもKYON2、これからも公演は続くのだから、コンディションを立て直して頑張って欲しい。コメディアンヌのセンスは小林聡美に大きく差をつけられてしまうけど、誰よりも華のある女優なんだから。


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「アバウト・ア・ボーイ」を観る(02.9.24)

 男版「ブリジット・ジョーンズの日記」の謳い文句のこの映画、観るべきか否か、悩んだのよ。38歳、独り身を満喫する男の話でしょ。働かなくてもいいほど裕福なことと、いい男であること以外は共感できる部分が多いような気がして。でも、そこにまた興味があって観てきたら、やっぱ共感してしまう部分が多いんだよね。話す言葉と心のギャップや割り切り方なんか。シングル・マザー感についてはぼくにも知り合いが多いのでノーコメントだけど。
 当然ながらぼくはヒュー・グランド演じるウィルのようにモテるわけではないけれど、気持ちは良くわかるだけにとても笑える。でも、ウィルがマーカスと出会うことにより、心境の変化を覚え変わっていくのは見ててツラいものがあった。誰だっていつまでも<島>のような人生を楽しんでいられないのはわかっているものの、変に諭されているような気もして。でも、一つの幸福論に縛られている人たちに説教されてるわけではなく、同士からの言葉だけに受け入れ易かったりもするけれど。
 この映画にスーパーマンがいないことも受け入れ易い要因かと思う。ちょっと特異な境遇はあるものの、とてつもない才能で問題を打開するのではなく、ひとりひとりが自分のできる精一杯のことをやって難局に立ち向かう姿はとても清々しい。また、ウィルの気持ちが結果的には鎖国状態から開国にむかうにしても、誰かの思惑に沿って流されるのではなく、自分の意志で方向性を決めていることも、好印象。
 とても頷けるいい脚本の映画だった。主演の二人もとてもGood。とはいえ、自分に置き換えるとコメントに窮するなぁ。いつかはぼくにもその日が来るのかもしれないけれど。


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「Returner」を観る(02.9.19)

 日本が世界に誇れるVFXを駆使した映画、「Returner」を観た。それがコメントの難しい映画なんだよなぁ・・・。
 どう難しいかというと、映画の個々のパーツはとても上手くできてるの。でも、映画全体となると物足りない部分が多いというか・・・。
 前評判の高かったVFXはなかなかすごかった。前評判が高すぎる分、「これだけ?」と思いもするけれど、必要以上に無理して使うとその部分だけ浮いてしまうということを考えると、見せ場を考慮して適度に使われている。
 鈴木杏のかわいさと樹木希林の落ち着きのバランスも絶妙。金城武を両サイドからしっかり支えている。
 そしてなんといっても岸谷五朗の演技。一際目立っている。朴訥な好青年やすれているけど純粋な役どころが多かったのに、今回は悪役一本。それがきっちり決まっているのだ。「レオン」のゲイリー・オールドマンばりなのだ。華のある悪役は日本の俳優では晩年の松田優作以来なかなかいないので、新境地開拓といったところか。とはいえそればかりやってもらっちゃ困るんだけどね。昨日遅ればせながら「北の国から2002遺言」の後編を観たばっかだったので、岸谷五朗、いいわ。
 でも、映画全体で観たらどうも今ひとつ。あの映画とあの映画とあの映画とあの映画と・・・(あえて名前は書かないが)のおいしいところを一つにまとめてみましたって感じで、オリジナリティがないんだよなぁ。どっかで観た物語のつぎはぎ。上手い伏線のはり方もあるにはあったけど、一つや二つじゃオリジナルじゃない。全米公開されるそうだけど、「創造性の欠如」を指摘されそう。一昔前のコピー技術に長けた日本人的評価。
 面白くなる要素はいっぱいあるはずなんだから、もっと脚本から考えて欲しいものだ。
 今回の製作はROBOTなんだけど、同じROBOT所属の本広監督はこの脚本をどう感じたんだろうかなぁ・・・。


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桃井かおりとイッセー尾形の二人芝居
「2002年真夏の新作」を観る(02.8.29)

 イッセー尾形プレゼンツの二人芝居をはじめて観劇した。今回のパートナーは昨年に引き続き桃井かおり。二人が「愛」をテーマに紡ぐ物語とは・・・。
 人妻とレスラーの許されない愛、高校生のドロドロのようでプラトニックでありつつも打算を含んだような愛、不幸を背負う二人の行きずりでまだ始まってもいない愛、×イチ同士のあと一歩踏み込めないもどかしい愛。どれもが一筋縄では行かない二人の世界。艶っぽく絡まる指、言葉よりも説得力のある表情の応酬、笑いで包まれる哀愁、共感できるがゆえのためらい。どれもが大人なのだ。たとえ不釣合いな学ラン・セーラー服姿でも、大人が漂っているのだ。お洒落なのだ。
 こう書いてしまうと、にがみばしった二人芝居と思われてしまうけど、さにあらず。しっかりはじけてるのだ。特に桃井かおりのはじけようはすごい。大女優のイメージが強かったけど、ここまではじける女性だったのか・・・。まぁ、とことんはじける演技もできるから大女優の称号が与えられているのか。
 二人の演技だけではない。要所に散りばめられた小ネタもとても笑えるのだ。ぼく的には「お伽話は大人の教訓からできている」といった、新解釈のシンデレラに片腹が痛くなった。
 とにかく全てにおいて格上の愛を観て笑うことができたのだ。素敵。


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「ピンポン」を観る(02.8.15)

「この星の一等賞になりたいの・・・で、おれは」
って、ぼくは何の一等賞になりたいんだろうか。ヒーローになりたいという気持ちは子供の頃から持ってはいたけれど、漠然としすぎて形にならず、一等賞になるための努力をする気にもなれない。困ったものである。
 今日観た映画は「ピンポン」。松本大洋をこよなく愛し、宮藤官九郎に共感を覚えているぼくにはたまらない組み合わせ。これは期待大でしょう。
 で、期待にたぐわぬ面白さ。なんて言うかなぁ。原作の持っていた登場人物ひとりひとりに対する愛情がしかとあふれている映画なのだ。卓球少年達の物語だけに、そこには勝者と敗者が存在するけれど、そのどちらにも愛情が注がれている。敗北を知るからこその強さや、勝ち続ける怖さなんかがそれぞれの目線で描かれている。共感できたり、驚愕したり。そんな面々の青春がぎっしりと詰まっているのだ。彼らの熱い青春が。
 前に「友へ・チング」を観たときに韓国映画の熱さについて書いたけど、それとは別の熱さ。ただ単に熱血で突き進むのではなく、登場人物それぞれがきちんとクールダウンする場所や瞬間を、冷静な一面を持ち合わせての熱さ。それはかつてぼくも持っていたはずの熱さ。去年観た「ウォーターボーイズ」とか、そういった青春の熱さに弱いんだよなぁ、この頃。
 主人公ペコ役の窪塚洋介やスマイル役のARATAが注目されているけれど、ぼくのお勧めはアクマ役の大倉孝二と劇団大人計画の面々。特にアクマの背中に注目。大倉孝二の味が存分に出ています。
 それにしてもぼくのヒーローは何処にいるのかな?
 ぼくは誰かのヒーローになっているのかな?


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「スターウォーズ エピソード2
 クローンの攻撃」を観る(02.7.18)

 観た観た。ついに観た。ペプシコーラを飲みまくり、フィギアを集めて気分を昂揚させてたのよ、この日のために。
 「スターウォーズ」初期3部作の面白さは数学の証明問題のようだ。答えは誰もが知っている。アナキンがダースベイダーで、アナキンとアミダラがルークとレイアの両親だ。パルパティーン最高議長はのちの皇帝となる。パンフレットにだって書いてある。でも、どうして?なぜ彼らは数奇な運命をたどることになるの?それを解き明かすのが「スターウォーズ」初期3部作なのだ。
 それにしても、答えが見えている物語のはずなのに、どうしてこうも面白いのか。エピソード1が顔見せ的な物語だったのに対し、エピソード2は核心へと走り出している。予定調和の面とたじろいでしまう事実と、待ち遠しいばかりの伏線が巧みに入り乱れる物語。そこら辺を深く書き連ねたいんだけど、公開して間もない作品だから今は抑えておく。あぁ、でもでも・・・。
 あどけない少年だったアナキンが10年経ったらカッコいい青年へと成長していた。でも、ちょっと危ないよな。青春時代にストイックな生活を強いられてきたためなんだろうけど、あの眼差しや言動は一歩間違えれば・・・。まぁ、結局は大きく間違えてダースベイダーなんだけどね。
 とにかくエピソード2ではエピソード4〜6へとつながる種明かしが続々と登場したんだけど、あの男だけは影も形も見えてこない。はたしてエピソード3で彼への手がかりは観られるのだろうか。
 そしてエピソード3への序曲かのようにラス前に流れるあのテーマ。あぁ、ドキドキしちゃう。あと3年なんて言わないで、今すぐにでも観せてよルーカス。
 ということで、エピソード2はぜひ音響設備のしっかりした映画館で観てください。そしてヨーダのカッコよさに酔いしれてください。


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「アイ・アム・サム」を観る(02.7.16)

 ぼくは子供や動物を扱った映画が嫌いだ。ぼくは障害者を扱った映画が嫌いだ。決して差別しているわけではない。ただ、本当の意味で彼らの持つ痛みや悲しみ、置かれている立場を自分のこととして知りうることはできないから。考えようとしないのでもなく、考えたくないのでもなく。だというのに、子供と障害者を扱った映画を観てしまった。そして、うるうるしてしまった。
 子供が親を成長させる。よく言われる言葉だが、子供のいないぼくとしては書く言葉に窮する。愛だけで子供を育てることができるのか?自分より精神年齢の低い親に育てられる子供は幸せか?第三者機関が家族の問題に立ち入ることが最善なのか?法の名の下に真実だけを追究することが本当の正義なのか?今のぼくに、いや、誰にだって答えなどわかるわけがない。
 ではとりあえず五体満足に生まれ育てられたぼくが考えられることとはなんだろうか?きっと、身近にそういう境遇の人がいたら、愛情を持って親身に接することができるかどうかなのではないか。残念ながら今のぼくにはこの答えすら書くことができない。でも、「アイ・アム・サム」に登場する女性弁護士も里親夫婦も最初から答えを見つけることができなかった。サム&ルーシーと接することにより心を開き、愛情あふれる関係を築くことができたのだ。だからぼくもそのような立場にたったら、心を開くことから始めたいと思う。
 ふとまじめにいろんなことを考えさせられる映画だった。愛があふれる素敵な映画だった。
 なのに夜のTVでは児童虐待死の判決を知らせるニュースが。無性に悲しくなった。


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ナイロン100℃
「フローズン・ビーチ」を観る(02.7.13)

 ナイロン100℃の看板女優4人によるサスペンスタッチ・コメディの再演「フローズン・ビーチ」を観た。ナイロン観劇は2度目で、前回「ノーアート・ノーライフ」は男優ばかりの公演だったため、ナイロンで女優さんを観るのはこれが初めて。それぞれ他の劇団や舞台での客演は観ているんだけど。
 それにしても、率直に面白かった。南海に浮かぶ別荘の一室で1987年と1995年、2003年の夏の同じ日に繰り広げられる物語。延べ16年の間に彼女達がそれぞれに抱く感情の変化が、その時々の時勢に乗って描かれている。彼女達の会話に見える時代に自分を映し出したりして。
 一見噛みあわずに笑いを誘う会話がそれぞれの関係を表し、笑いの中にサイコサスペンス的な要素を盛り込むなんて、さすがケラリーノ・サンドロビッチ。噛みあわない度合いの変化が感情の、関係の変化を表現しているのだ。やるのぉ〜。
 開演前のプロモーション(?)フィルムからセンスの良さがビシバシ。会話といい、選曲といい、洒落た面白さが満載の舞台。女優4人のそれぞれが持つ個性も光まくっているし、面白い。
 終盤のまとめがちょっと腑に落ちなかったが、こんなセンスの良いお芝居を観せられると、なんだか口惜しさを感じてしまうのだ。うぅっ!


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「コンタクト」を観る(02.7.6)

 トニー賞受賞のミュージカル「コンタクト」を劇団四季が上演する日本版を観た。なんだろうか、もったいないというか惜しいというか。日本におけるミュージカルの、とりわけ劇団四季の格式の高さが、「コンタクト」の持つ面白さを消してしまったようだ。
 ダンスは断然面白い。忠実にCOPYしただけあって、思わず唸ってしまう。そんだけじゃダメなんだな。
 ブロードウェイってなんでもアリじゃない、きっと。豪華さも絢爛さもコミカルさも猥雑さも。でも、劇団四季を観る客層が求めるものって、ぼくの偏見かもしれないけど、「お上品」って感じじゃない?浅利慶太がそれに応えたのか、彼自身の意思なのかはわからないけれど、「コンタクト」としてではなく劇団四季として不必要な要素を削いで出来上がったのが四季版「コンタクト」なのかな。
 観るまでわからなかったけど、「コンタクト」は異なる3作品からなる3部構成となっている。
「PARTT:SWINGING」
 貴族と貴婦人と下僕からなるショートストーリー。会話はなく、動きだけで構成されているスクラップコメディ。見せ場はブランコに乗っての男女のやり取りなんだけど、トリッキーな動きに加え、貴族とはかけ離れた猥雑さがギャップとして面白いんだと思う。でも、猥雑さをストレートに表現せずにかわいらしさに置き換えようとしたために、面白さも半減か。
「PARTU:DID YOU MOVE?」
 これが一番惜しい作品かな。面白くなる要素がいっぱいなのに・・・。マフィアの夫に束縛される妻が観る白日夢を面白おかしく描いている。作りはアメリカンアニメのハンナ&バーバラとかトム&ジェリー風。白日夢の中でのダンスはスゴイの一言なんだけど、現実の部分が妙にシリアスな芝居を入れすぎ。マフィアの夫を怖いだけのキャラで押し通すのではなく、大胆に緩急をつければもっと面白くなるのに。PARTTにもアメリカンアニメの匂いが漂っていたけど、四季にはそれを嗅ぎ取れなかったのかなぁ。
「PARTV:CONTACT」
 これはコメントしにくいなぁ。ダンスは面白い。でも、元のストーリーが日本には不向きなのだ。マイケルの滑稽さや苦悩を日本人が演じるのも不向きなら、それを日本人が理解するのも不向き。無理して忠実にCOPYするのではなく、ダンスと大枠をいただいて日本向けに書き換えることはできなかったのかなぁ。いっそのこと「ソング&ダンス」のようなプレビューショウにしてしまった方が良かったのかも。
 大御所に対しかなり辛口になってしまったけど、あえて書かせてもらいました。


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